じゃあ、買収

ふと思ったんですけど、買収って、オーナー社長にしかできないことで、サラリーマン社長なら長期政権による神格化した存在でないとダメです。

リスク

買収って、多かれ少なかれリスクはあります。多くの場合、簿価でなんかは買えないので、のれん代を払うことになり、その償却をしても、シナジーを発揮出来るのか?、は買ってみないとわからないことも多く、悩んで悩んで踏み込むような類のものです。

そうなると、基本的に大胆なことは自分の懐からお金を出す、オーナー社長にしか出来ず、合議制のトップであるサラリーマン社長だと、無難、無難に攻めたがるので、上手くいっても、大して影響のない買収しか出来なくなります。そうなると、それっぽい会社を言い訳できるような形で買うことになります。

孫正義氏は、成功確率が7割くらいで踏み出さないとダメで、10割になる頃には遅い。日本のサラリーマン社長は10割になるまで待っているから、なんとも言えない微妙な買い方をする、と言ってましたが、そうはそうだと思います。

特にハイテクセクターだと、トップが出張って、即決めてくるくらいの速さがないと、売ってもらえなくなることはザラにあるので、サラリーマン社長率いる日本企業の決済系統ではまともな投資はできない、ということになります。

期間

投資としてシナジーを発揮したいなら、三年から五年はいるわけです。純投資ですら三年は待たないと結論を出すのは早いわけで、統合していくなら、大きな成果は十年後になってもおかしくはありません。特に製造業は技術の統合に時間がかかりますからね。

DMG森精機も、本当の意味でシナジーを出せるのは先のことだろうと思います。資本提携から含めれば、すでに十年近くになり、図体は大きくなりましたが、今の段階ではマスメリットが出たとも、技術的に優位に立てたとも言えないでしょう。

森社長がオーナーだから、これだけ待ってられますが、サラリーマンなら上手くいって五十代半ばで社長について十年後は相談役とかになっているでしょう。後任は後任で考え方の違いもあるので、前任者の仕事は面倒くさがり、積極介入もしないものです。

若さ

サラリーマン社長の買収で大きく伸びたケースをたまに見ますが、株主でもないのに完全に独裁体制で、株主から全幅の信頼を寄せられて強行しているようなケースですね。有名どころだと、ルノー日産のゴーン氏ですが、彼ももはや神格化されて、後任が見当たらないレベルです。

ゴーン氏があれほどの力を手にしたのは日産のトップに立ったのが四十半ばだったから、あれほどの長期政権が可能であり、GEのウェルチ、イメルト両氏なんかも同じことなので、若くしてトップに立つのが重要です。還暦越えてどれだけ成果を上げても、時間切れです。

ソフトバンクでナンバー2を務めたアローラ氏が孫正義氏の誘いに乗った理由、辞めた理由は諸説ありますが、四十代でトップに立つ為であり、グーグルでそれが叶わない、という事が分かったからソフトバンクに行き、ソフトバンクでも無理だとわかったから辞めた、という事でしょう。

非オーナー企業が伸びたいなら、若い人をトップに据えて予算、時間を与えることなんでしょうけど、日本では四十は若手だったりするので、なかなか古参が納得しないでしょう。オーナーの肝いりでもなきゃ、猛反発で内戦になりかねません。

まとめ

日本企業の買収下手って、若いサラリーマン社長の抜擢、老舗オーナー企業が買収に消極的だからなのかもしれません。家族的で、力のある知らない人を雇ってきて管理職に据えることすら嫌がる会社が多いのだから、買収して取り込みたがるわけがありません。

米系は四十代でサラリーマンが大企業トップに立つことは少なくないし、若すぎるとも思わないんですよね。そして、上手くいっていれば、長期政権も珍しくありません。その辺がアメリカは若い国だし、数字さえ出してれば、誰がトップに立とうが大して気にしない、と言うのはありますね。

英独仏もエリートシステムで、才能がある、と看做された人を若くして抜擢することは少なくなく、前述のゴーン氏は二十代でミシュランの工場長になってますし、外部抜擢とそんなに珍しくありません。マネージャー候補、それ以外はしっかりと別れていて、日本みたいに大卒は全員管理職候補、ということはないです。

アジアだと、国営企業、オーナー企業が多くて、サラリーマン社長の経営の大企業って少ないんですよね。そして、外部抜擢が当たり前で、内部昇格は逆に嫌がられる傾向があり、今まで同僚でタメで付き合ってきた人を上司にすると、同僚時代の関係からグダグダになりやすいらしいです。

そう思うと、世の中の流れが早くなり、均一化してきて、一から事業を起こすより他社を丸ごと買ってくる方が有利なことが増えると、年功序列、内部昇格が基本の日本企業は元気がなくなるんだろうなぁ、と思います。

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