じゃあ、東南アジアキャバ嬢

常連読者さんに勧められた本を読みましたので、書評を書きます。

文章

典型的な商業文で、良くも悪くもこなれていて読みやすいですが、味は全くありません。吉野家で牛丼を食べているような確実に想像していたものが出てきて、可もなく不可もなし、という感想を持ちました。ここで食べなくても、どこでも食べられる味です。

カワノアユミさんが商業誌のライターですし、丸山ゴンザレスさんが協力というか、彼、彼の部下が書いたのかもしれません。キャバ嬢が頭を捻りながら書いた拙くも凄みのある文章ではありません。荒いが、癖になるような文章うが好きな私としては自然と評価が下がります。

その分、癖が強くてスラスラ読めないと言うことはないので、流し読みでサクサク進んでいき、一時間ちょっとくらいで読み終わりました。そう言う意味では金子光晴と対極にある文章であり、辻政信はその中間です。キレイゴトを連ねて、着飾った文章ですね。

こういう文章なら、そのうちAIでも書けるようになるだろうなぁ、と思います。そうしたら、ライターなんて人たちは消えてしまうのかもしれません。やはり、作家の歓喜、嗜好、絶望、後悔、苦痛が文章から伝わらないような作品は価値がないと思います。

だったら、誤字脱字だらけの書いている人の人間味が伝わってくるぶっちゃけブログでも読んだいる方がマシであり、味のあるブログがいくらでもある中、素人に毛が生えたようなライターなんかの文章を読むのは時間の無駄かな?と思います。週刊誌記事みたいなものです。

内容

東南アジアの風俗を知らない人には面白いかもしれませんが、知っている人には当たり前過ぎるくらいの話で、まったく新鮮味はありません。ただ、数カ国に渡って実体験をまとめて書いたのは評価できますし、まったくの嘘を書いてません。他に書いた人もいないので貴重です。

ただ、素人にありがちな自分の都合の悪いことは一切書かないので、面白くないし、何の深みがなく、この辺は市橋達也氏の本と似ています。読んでいて心臓をえぐられるようなことはありませんし、衝撃を受けることもまったくありません。

やましいことは一切なかった。居候させてもらった駐在員ともセックスしなかった、とか、ことさら書いてしまうのは明らかな蛇足です。そのくせ、他人の不倫、枕営業は暴露して来るんだから、そりゃないっしょ?と言いたくなります。

カワノアユミさんは見ただけで、病んでそうな雰囲気です。高い確率で顔をいじってるだろうし、強烈な厚化粧に隠された汚らしい本音が隠れているだろうに、そこは一ミリも書かないのでもったいないなぁ、と思います。

前に化粧、パットの厚さは見栄の強さだ、と読者さんからコメントがあり、なるほどな、と思ったものですが、読みたいのはその薄汚い見栄であり、欲なんですよ。西村賢太さんが言うに、私小説は経験が最近過ぎると生々しくて書ききれず、しばらく寝かせる必要がある、と言うことですが、カワノさんにはもう少し時間がいるのかもしれません。

ともかく、内容そのものはさほど面白くありません。私は東南アジアの風俗でもっとエグい話、面白い話はいくらでも知っているし、本人達から話を聞いてます。多少の実体験とあります。ただ、それをわざわざ書いてもないから、そこで止まっているわけで、カワノさんは書いたから、そして、本人の経験したこと、という価値があると思います。

オススメ

Kindleで千円くらいなので、特に損したとは思いません。3/5くらいの評価で、東南アジアの風俗を知らないが、興味がある人には良いと思いますが、それ以上でもそれ以下でもなく、カワノアユミさんの他の作品を読もうとは思ってません。

3+