じゃあ、二世

早世のカリスマを体現したような尾崎豊さんの息子さんが時折メディアに登場するのですが、二世が数字の残ることで成すことは難しいんだな、と思います。

尾崎息子さんはどこまで行っても、「息子さん」なんですよね。父親よりも年上になっても息子さん、という枠から抜けることは出来ず、父親の有形無形の遺産よって活動が続けられるだけで、そこから少しでも離れたら誰からも相手にされません。そりゃ、「I love you」を歌わない息子さんなんて聞きたくないですw

息子さんは幼い頃に父親がなくなり、その後の相続問題、過激なマスコミの追跡から逃げるようにしてアメリカで育っているので、父親に反発するよりも、憧れの方が明らかに強くなってしまって、父親の作品が自分の一部になってしまうのでしょう。であるなら、単なる模倣芸、物まね芸人ですね。

二世で親を超えるほどの実績を残すなら、少なくとも一定の成果が出るまでは親の名前を使わないことが求められますが、それだと、その他大勢と一緒になってしまって埋もれてしまうので、複雑な気持ちはあれど、親のコネを使うわけです。

宇多田ヒカルさん、降矢建志さんなんかは売れてから、その親の存在がクローズアップされましたが、そういう例はほぼゼロ近くて、やってみたはいいけど、どうにもならなかったから、公表しました、ということを笑いに持っていったDAIGOさんがいますね。逆にそういう路線をする人も徐々に増えてきています。

最近だと、「知らなかった芸」みたいなのも増えてきて、オーディションやって採用してみたら、大物芸能人の子供だった、という明らかに怪しい擬態が増えていますが、どうにかして本人の実力で勝ち取った、と言う風にして良くない先例を壊そうとするからでしょう。

伝統芸能でもないなら、親子連続して芸の道で食っていくことができるなんて、極めて難しいものです。親のコネでなんとか飯を食っていくことくらいは出来ても、芸は成らないことがほとんどです。芸を成らすのはどれだけ難しいか?ということですね。

経営

ブラック企業の典型例が二世、三世の世襲経営者がトップを勤める会社なんですが、これは当たり前といえば当たり前であり、その能力を具体的に示したわけでもない人がいきなり経営トップになるんだから、馬鹿げたことをするのは当たり前です。

普通に就職したら、課長も務まらない人が社長すると、番頭に経営をのっとられてむちゃくちゃになったり、部下による乗っ取りが怖くて恐怖政治で反目の芽を摘もうとするんだから、人の出入りが絶えない、離職率の超高い組織の出来上がりに成るでしょう。

でも、起業したい人は親の仕事を継ぐことを考えるべきだと思います。起業において最も難しいステージが創業して一定の売上、利益を確保してお金が回り始めるまでですから、そこが既にクリアになっているなら、時代に合わせた新しい要素を加えるだけで飛躍的に伸びる可能性があります。

いずれにしても、同じビジネスが続くのは30年くらいだといわれており、伝統芸能など特殊な業界以外は定期的に業種転換をしないと、同じ会社がずっと存続していくのは難しいです。中興の祖みたいな人が定期的に現れないと、百年単位でその家業が続くことはありません。

政治

政治の世界は最も世襲の激しい業界で、世襲以外で政治家、特に国会議員になるのはきわめて難しいです。世襲でない人は官僚になり、コネを作って自民党から立候補、誰かの地盤を引き継ぐか、元から有名人が圧倒的な知名度を獲得して無党派層からの支持を勝ち取るしかありません。

有名政治家の個人塾に入って、地方議員をすっ飛ばしていきなり世襲でない国会議員に成る人もいますが、これも自分の思想と違う政党に近づいたりしてグダグダになったり、当選するまでの無職期間が長くなるので、短期決着させないと心が折れてしまうので、かなり大変です。

何もない人は地道に政治家を目指すなら、地域社会の溝さらえみたいな地道な仕事を年単位でやり続けて、政治家を目指していることを伝えて、地道に緩い支持者を獲得し、熱狂的な手弁当で戦ってくれる仲間を作っていく必要があります。そして市会議員になっても、国会議員までたどり着く頃にはおじいさん、おばあさんでしょうね。

一概に世襲がダメ、ということもなく、官僚のように試験で選ばれた人たちが国の運営をするようになってもあまり行かないことは歴史が証明しています。複雑な官僚機構が仕事の為の仕事を増やし、派閥争いで決済が滞り、何もかもがウダウダになってしまうのです。

シンガポールはトップだけが世襲で、政治家=官僚なのですが、このシステムは小国にしか通用しないです。王族が直接統治しているようなもので、ダメではないけれど、現在社会の大国には合いません。日本で天皇陛下により親政体制に戻っても、メチャクチャになるでしょう。

歴史を見ると、飯の種に困らない貴族が公共に為に活動する、というのは意外と大事だったりするみたいですよ。逆に飯の種がない人が青雲の志を持っていても、現実に跳ね返されて、どんどん黒く染まっていくことは多いです。

ともかく、独裁と言う形でなく、民主的に選ばれた代表と言う形で世襲議員が活動するのは文句を言う筋合いはなく、それが嫌なら自分の投票権は絶対に世襲候補者に投じない、という意思表示をするだけです。

学術

高貴な家柄の人が学術の道を選ぶことは多く、日本の皇室も何かしらの研究テーマを追いかけている人は多いです。変な動き方をすると名前を利用されかねないので権力、権益に直接関係しないほうが良いとされるからです。日本の旧帝国軍が皇族将校の政治利用で混乱したように、絶対権威を持つ人がそこにいるだけで冷静な判断力が失われてしまう、ということです。

高貴な家柄とまでは言わなくても、二世研究者は思いのほか多く、ほとんどが文系研究者です。文系は判断基準が曖昧で、権力を握った親が子供を無理やり引き上げても、その実力を簡単には看破されない、ということが大きいでしょう。文系のマイナー分野だと、その論文、研究の価値すら曖昧です。冗談みたいな内容の論文、著書しかない人が教授とか名乗れる世界ですからねw

文系学術分野はガツンと儲かるようなことではないにしろ、一度、テニュアポジションを掴んでしまえば、終身年金を受けるようなものなので、その旨みを知っている親は子供に継がせようとするわけです。親は親で何年もろくな論文も書いていない人もいますし、実質ニートみたいな人がいます。

でも、理系でそんな人は見たことないです。科学誌、学会にきちっとランクがありますし、そこでの評価で明らかな成果を見られるので、少なくともテニュアを取るまではかなり努力と能力が必要で、親が有名な研究者だから、本当に無能な子供を強引に引き上げるという芸当はかなり困難です。

崇高な学術に身を捧げる純粋な人たち、というイメージを持っている人も多いですが、学術業界にはゴーストライターがいくらでもいる業界で、実績をパクることもざらにあります。有能な学生、ポスドクを食い物にして自分の実績にする権力者は理系でもよくあるので、いわんや文系はってところです。

まとめ

どんな才能、運も代を繋いでいくことはほとんどなく、二世が先代の遺産をうまく使って無難な運営をしても、三代までは持たないので、二代、三代のどちらかが大きな仕事をしないと続きません。民主主義の世の中なので、跡継ぎを子供とすることはないですが、禁止することもないです。

世襲に対する嫉妬心から反発するなら、芸能人なら見ない、話題にしないというスタンスを取ればいいし、経営者ならその会社に関連するものを買わない、話題にしなければいいし、政治家なら投票しなければいいです。そうしたら、彼らは干上がります。それでも利害がある人が応援するので、なんとなく二世までならやって行けるんですよね。

9+

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、二世」への16件のフィードバック

  1. 試験で選抜された官僚なら政治が上手くいくっていうのが宋の趙氏の発想ですが官僚を増やしすぎて没落しましたね。
    異民族とも話し合って解決できるなんて甘いですね。
    私の感覚なのですが、知識人やエリートの発想や理念って素敵なのですが、常識が通用しない人やダメな人がいるのでその人たちがしっかり行動しないので上手く回らないですね。
    平和主義者や贅沢を恥とするような主張をする左翼的な知識人のようにできないんですよね。

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    1. 官僚は理想主義になりやすく、本人たちが人より能力を持って生まれて、自分を律して生きてきた人なので、当たり前といえば当たり前です。でも、政治は海千山千の煮ても焼いても食えない連中を手なづけることなので、なかなか理想主義ではやっていけません。

      シン

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      1. フランス革命では、貴族、王様が廃止されましたがナポレオンの第一帝政の反省から一定人数なら貴族の政治家がいてもいいとルイ18世が復活しましたね。
        なんというかいい意味で庶民感覚がないので税金の無駄遣いがなく、汚職や当選するために悪い意味で国民の人気取りをしないってのはメリットですね。
        会社でもそうですが、優秀で実力のある人って厳しいし、理想主義でやっていけないですね。

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        1. 官僚よりもっと理想主義に走っているのが左翼の人たちです。主張するのは甘い理想のようなことばかりで、現実化できるとはとても思えないことばかりです。

          今の日本は政治主導に段々なってきているので、官僚が理想主義に燃えて突っ走るということはなくなっています。
          ただ、政治家がふんぞり返って官僚に丸投げするということが今後起きないとも限らないので、そこのところはバランスですね。

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          1. 左翼は理想論をぶちまけて、その達成経路を考えるのは政治家、官僚の役目だとか平気で言うので呆れますねw

            どんな人達もバランス良く存在するのが一番なんでしょう。その意味では何の役にも立たないように見える左翼が世の中に一定数いるのも良いのかもしれません。

            シン

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  2. 二世というと長嶋一茂さん、野村克則さんを思い出します。
    この2人はお父さんが偉大過ぎる野球選手だったせいでいつも駄目な選手みたいに言われてましたが、それでも10年近くプロ野球の一軍でやってきたわけで、お父さんが監督しているチームにいることが多かったとはいえ、数字が全ての世界でこれだけできたのは充分凄いと言えるでしょう(本人はなかなかそう思えないでしょうが)。

    芸能界ですが、宇多田ヒカルさん、降矢建志さんのように歌であれば売れる・売れないは実力ですから二世がいても許せますが、最近多い二世タレントについては実力があるのかないのか判然としないケースが多く、コネが蔓延る世界なんだと思いますね。俳優・女優ならまだ許せるんですが、二世タレントがバラエティで偉そうにしゃべっているのを見ると速攻でテレビを消しますね。男性はそうでもないんですが、女性の二世タレントはやたらと大きな顔していますから。

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    1. 長嶋、野村二世は二世でなくとも、プロ入りできるくらいの成績をアマで出してますし、プロとしてもまずまずです。10年も持たないプロどころか、一軍をろくに経験できない人も多いです。なんとなく気を使われて上がったにしろ、それなりの数字はありますしね。

      芸ですらなく、バラエティタレントの二世はそこになぜいるのかすらわからないので、見ていて不快な気持ちはよくわかります。対処は即チャンネルを変える、消すしかないですね。

      シン

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  3. 尾崎豊さんが19才か18才位のデビュー間もない頃にコンサートに行った事が有りますが、情熱や才能を感じるのは本人で、とても息子の歌を聴く気になりません。物真似タレントも本人在っての芸ですから、コージー冨田さんの様に好きで好きで堪らなきオーラが必要です。

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    1. 貴重な体験をしましたね。デビュー当時の尾崎さんをこの目で見て聞いてみたいものです。息子さんがあれほどの熱量があるわけもなく、モノマネ芸人を越えませんし、モノマネ芸人として一流になるなら、松本さんがおっしゃるように好きで好きでたまらない感じがにじみ出ないとダメですね。親のことを好きで好きでたまらないようには普通なりませんからね。大抵、含んだものはあるはずです。

      シン

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  4. 宮崎駿の息子とか・・
    金儲けのために制作側が無理やり担ぎ出した感が醜悪です。
    そんなのがまかり通るのは日本くらいでは。

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    1. 日本以外のどの世界にもコネはあるし、そのほとんどがダメ二世ですね。二代続けて傑出した才能が出ることはごく稀です。

      シン

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      1. 競馬の世界では親子GⅠ制覇(ウオッカの父娘ダービー制覇とか)等ありますけど馬は血統を操作しますし子だくさんですからね。調教師親子二代ダービー制覇や三冠馬達成とかは稀にありますけど・笑
        人間も優秀な人の遺伝子を人為的に交配していけば面白いですね。才能って、運動能力などの機能的なものはクローン化した場合も継承されそうですが、芸術的才能・センスなどはどうなんでしょうね。

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        1. サラブレッドだと、名牡馬の産駒数は半端ないので、そりゃ父子ですごい馬もいるだろうという感じですが、名牝馬の産駒数は人間と大差ないので母子ともにすごい事は滅多にないですね。速いという観点の優秀だけで掛け合わせてもこんなものなら、他の要素も大きい人間の二世はほとんど大した事ないのは当たり前と言えば、当たり前ですね。

          シン

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          1. ウォッカの子どもも、今はどうか知りませんがデビューの時はダメダメでしたしね

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  5. マイタケさん
    >>優秀な人の遺伝子を人為的に交配していけば面白いですね。
    →生物学的、社会学的な実験として面白そうですね。今は人々の能力にばらつきがあるので、能力に応じて職業階層、社会階層がばらけてますけど、優秀な人だけになったら単純労働の担い手ってどうなってしまうんでしょうか?働き蜂の原理と一緒で優秀な人の間で住みわけがなされて行くのでしょうか?

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  6. 他に二世で成功した人をパッと思い浮かべるなら角界の若貴兄弟、メジャ―リ―ガ―のグリフィ―Jr、元広島の黒田投手くらいですかね。(黒田投手の場合、お父様が偉大な選手かと言われれば疑問はありますけど)

    そもそも一部例外を除けば偉大過ぎる親と同じ土俵で勝負する事自体がナンセンスだと思いますね。
    特にスポ―ツ選手二世の場合ほとんどが自分の立ち位置を理解する前に土俵に上がってしまうので、本来ならメリットである七光りのアドバンテ―ジを上手く使いこなす技量を培う前にマイナス部分に押し潰されて大成しないんでしょうね。

    確かに長島一茂氏も選手時代は一流半でした。ただ引退後は球団アドバイザ―という曖昧な役職ではあったものの巨人軍の背広組になった事で、今では勇退された長嶋終身名誉監督と読売グル―プとを繋ぐ『連絡係』として重宝されています。これこそまさに長男である長島一茂氏でしかできない唯一無二のマネ―ジャ―役ですよ。

    野村克也氏も義理の息子である団野村辺りは野村克也氏の野球界での知名度や人脈を上手いこと活用して代理人としての地位確立に成功しました。

    このお二人のように土俵は違えど偉大な親の七光りがギリギリ当たる分野で活路を見出だす。というのが二世が成功する秘訣のような気がします。

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