じゃあ、商学部

どうしても数学、物理が苦手で、理系に進むことが出来ない人に文系の中で何を選んで良いのか?と、問われたなら、私は会計に進むことをお勧めします。日本だと、商学部、とあいまいな呼び方をしますが、商学部の中でも会計学科を選ぶといいと思います。

その理由を記します。

簿記

簿記の基本は誰でも知っておくべきことで、資本主義経済では予算があり、売上があり、費用があり、利益があります。そのため、どんな仕事をしても、に必ず簿記の基本が必要となり、「俺は技術屋だから、技術以外はやりたくない。」という考えはトップ中のトップでもないと、通じないと思って下さい。プロジェクトマネージャーになれば、予算に追われます。

だから、主専攻として、どうしても学ぶことか?、はかなり疑問ですが、理系適正がまったくなく、無理にFラン理系に進んでも、まったく理解できず、中退するであろう人が何をするか?、というなら、会計です。一般人が覚えてもほとんど意味のない法律、経済、教養、と比較すれば、やって損のないことなので、文系の中では比較的マシな専攻だと思います。

一般論として、社会人になったら、何を飯の種にする人でも簡単な簿記くらいは覚えたほうが良いですし、複式簿記が理解できれば、会計の基本くらいは抑えられます。数ヶ月あれば、簿記2級くらいは取れるので、余裕のある人はやっておいてはどうか?、と思います。それが面倒なら、株価投資で実践的に有価証券報告書から学んでも良いでしょう。お金がかかると、人は真剣になるものです。

監査

会計士は主に監査法人なり、事業会社で監査をしています。大学で会計を専攻している人は会計士になるのがひとつの目標になるか、と思います。会計士には独占業務はありますので、「専門職」と呼んでも差し支えないです。日本人、日本語ネイティブの人がUSCPAとか、ACCAを持っている人を「専門職」というのかは怪しいですが、公認会計士なら、専門職です。

日本の場合、商学部を出ても、会計士を目指さない人がほとんどですが、英米ではほぼ全員が目指し、高確率で資格を取ります。それで、まともに食えるかどうかは別問題ですが、事業会社でも、会計関連部署のマネージャー以上は資格保持がほぼ必須といっていいので、理系学位に近いものがあり、応募必須条件みたいなもので、なくても出来なくはないが、採用はほとんどされません。

つまり、大学で会計を専攻して、監査法人などで下働きをして、資格を取ったところで、ようやく一本立ちが出来るので、下積み期間は長いです。監査法人での下働きは給料も安く、本当に文字通り「下働き」であり、資格を持った監査人の指示で雑用をして、仕事を覚えていくことになります。すでに、IT化で崩れつつありますが、今まで、会計は職人技術的なところがあり、徒弟制度みたいなシステムが残っています。

IT

会計って、会計法があり、そのルールの中で運用していくので、ITとすごく相性が良く、素人でも会計ソフトを使えば、複式簿記、財務三表を作成することくらいは簡単に出来るようになりした。そのため、会計は「職人技術」ではなくなり、エラーを探すだけの作業員、監督者だけで回るようになっていったのです。

それは事業会社だけでなく、監査法人でも同様の動きになってきていて、高精度の監査なんて誰も必要としていないので、出来るだけ安く監査をしてもらいたい、という顧客要望から、下働きを減らして、ITで処理するようになって来ています。そのため、監査、会計に必要人数が減ってきているのです。

監査法人では飯の種を将来にわたって、確保するために「IT監査」を導入して、大企業を中心に売り込んでいます。これは時代の流れとして当たり前であり、ITインフラがきちんと整備され、運用されているかを第三者に監査してもらわないと、何かしらの突発的事態が起こったら、重要データが消滅してしまいます。まだ、法律で義務化はされていませんが、時間の問題で義務化されるでしょう。

そうなってくると、必要なのは会計士ではなく、情報の学位を持った技術者で会計に詳しい人が監査をするようになるので、単に会計だけを学んでいても、今後の先行きは暗いです。資格も情報処理、会計、に分かれて、両方取得して、「IT監査」が出来るようになるのかもしれません。つまり、一部の会計法研究者を除けば、エンジニアの職場になる可能性が高いです。

まとめ

私はあえて会計専攻を勧めません。会計に興味があるなら、情報で学位をとった上で、公認会計士の資格だけ取れば良いです。そうすれば、来るべき「IT監査」時代においしい思いが出来る可能性が高いと思います。でも、どうしても理系に進めない学力の人が悩み苦しんでいるなら、会計を勧めます。

すでに事業会社の「経理」はかなり減っています。IT化が進んで、事務員、作業員レベルの事務職が減って、マネージャークラスにアシスタントをつけて、システム部と組み合わせれば、少人数でかなりの規模の会社まで対応できるようになりましたし、その流れはどんどん進んでいっています。極端な会社だと、会計業務をインドの外注先に任せて、コスト削減しています。

関係ないですが、本来、「経理」とは「マネージメント、管理」のことであり、会計がAccounting, Accoutancyの日本語訳になると思うのですが、なぜか、「経理」と呼ばれています。不思議だな、と思います。日本の官僚主義の表れで、管理部を上に置くような組織作りから、会計=管理、としているのかもしれません。

アングロサクソン社会では管理部は雑用係であり、そのトップにCFOがいますが、決して人数が多いわけではなく、本当に少数で回しています。CFOは組織のために色んな筋から、必死に資金繰りをしてくる交渉役であり、事務所に座って、細かいことに難癖つけている日本の経理部長とはかなりイメージが違います。

 

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、商学部” への 12 件のフィードバック

  1. 自分は、今まで就職の事を考えるなら、文系に進むべきではないと思っていました。
    今でもそれは揺るぎませんが、世の中 工学部などの理系が無理な人は予想以上に多いです。
    理系にどうしても興味がなくて、一部の難関大文系にいく学力もなければ、高卒でトヨタなどのホワイト大企業に就職するのが一番マシだと思います。
    しかし、高卒でホワイト大企業に就職できそうなければ、中堅大以下の文系か専門学校・専門学校タイプのFラン大のどちらかです。
    専門学校は、文系と違い手に職の専門職につけますが、専門学校からなれる専門職は、看護師以外は、拘束時間の割にフリーター並みの給料だったりして、純粋にやりがいを感じる方以外だと割に合いません。
    また、専門学校は理系並みの忙しさのようですから、モラトリアムとしては文系に軍配が上がります。
    大卒資格を取れるから、並みの高卒よりはマシという消去法的に文系に進むのは、ある意味合理的だと思います。

  2. 自分がもし理系に進めないとしたら、できるだけ安い大学の商学部にでもいき、バイトをやりまくって高卒との生涯賃金の差を埋めます。
    大学の勉強で得た知識は、就活や株式投資にちょびっとでも役に立てばいいかな、程度の期待値で、僕が大学にいく最大の目的は、大卒資格を得る事とモラトリアムのためです。
    高卒でいいところに就職できても、大学文化と一生無縁なのは少しもったいない感じがするし、18から定年するまで社畜です。
    高卒でニートやフリーターだと、キャリア的にまともな正社員に就職は難しいですから、大学生は、合法的にニート・フリーターになれるようなものです。

  3. 情報の学位を持ってますが、大学の研究室に金融工学、会計関係の研究室がありました。そこで勉強して会計関係のソフト会社、文系就職で会計関係に就職しましたね。文系の配属ではなく、市場分析や経理システム担当らしいです。
    確かに会計関係のコースはありました。
    当時は、文系学部の先生がなぜ?と思いましたが時代の流れですね。

  4. すでに会計の道に進んでしまったのですが、、、
    会計事務所で働いていますがそういった人への今後のキャリアについてのアドバイスはありますでしょうか。
    FINTECHで銀行預金の入出金データから自動で仕訳が起こせるようになったなど、ITと会計の相性が良すぎて仕事が減っていくことを実感しています。

  5. NEETさん
    もしNEETさんにコミュニケーション能力がお有りになれば中小企業の社長と懇意の地域密着型の税理士になって社長のコンサルタント的な立ち位置で生き残る戦略はどうでしょう?相談→問題解決アドバイスはコンピューターでは出来ません。
    さらに思わず悩み事吐き出したくなる傾聴力を磨くのも有効だと思います。床屋さんだって美容室だって安いチェーン店の台頭で経営が苦しくなっていますが、従来型のお店でも繁盛しているお店はあります。そうしたお店の店主を観察するのも良いかもしれませんね。

    1. 確かにnobunobuさんがコメントしたことがヒントになりそうです。このまま行けば、会計士は美容師のように過剰供給、過当競争になるので、会計知識ではない部分で信頼されるようなアクセントをつけるのがいいのでしょう。そうでないなら、完全にとんがった会計知識、経験を持って、局地戦にすることです。

      シン

  6. 大昔はともかく現在、美容師は有り余っているので、よっぽど突き抜けた技術なりを持っている美容師(カリスマ美容師というんでしょか。)でないと生き抜けないと思います。
    また、日本でポルトガル語が話せても、それだけで生活はできないんじゃないでしょうか。
    合法なのか違法なのかは私にはよく分かりませんが、南米の方が日本にたくさん働きに来ています。そういう人達も散髪はするし、パーマもかけるわけで、日本に着て日が浅い人なんかは、細かい注文なんかはできないと思います。
    また、シンさんが想像したように、その美容師のかたは、話して面白い気さくな方です。そういうところが南米から来ている人には受けがいいのかもしれません。
    美容師に付加価値をつけることでうまくいった例だとと思います。
    その方は、たまたまブラジルに長く住んでいたということで、ポルトガル語が堪能で、日本に帰って美容師の技術とうまくマッチングしたのだと思います。

  7. 日本の美容師の技術やセンスは素晴らしく、海外に活路を見出だすべきとよく耳にしますがどうなのでしょう?

    1. アジア人の髪の毛って、堅くて、多いので、適当に切ると、メチャクチャになります。白人だと柔らかくて、少ないので、なんとかなりがちで、あまり技術が必要ありません。黒人はチリチリなので、また切り方も違います。

      こういう違いはあるので、アジア人が白人を切ると、丁寧な仕事になりがちではありますが、中国人は手先も器用で、格安で美容室やっている事が多いので、かなり綿密に出店しないと、潰れてしまうと思います。

      シンガポールの日本人経営美容室は現地の日本人とお金があり、小洒落た現地人を相手にしていて、高級美容院、という雰囲気でやってます。美容師もオシャレで、立地、内装などにお金がかかっていて、大型投資です。なんとかやっているけど、すごく流行っているわけではなさそうに見受けられます。

      シン

  8. 入さん
    美容師、理容師に限らず、電気工事、水道工事(手に職系)のレベルは世界的に見ても高いと感じます。(自分が世界を周った経験のみからの判断ですが・・)65歳以上のシニア層が再雇用で低賃金で会社にこき使われるよりも、発展途上国に行き、そうした技術の支援を行って、現地人に感謝された方が本人たちの生きがいも向上するのではないかと思います。日本で低賃金で甘んじている若手美容師も期間を区切って海外に挑戦するのはありかもしれません。とくに髪をすくスライドカットの日本人の技術レベルは個人的に高いと感じており、豊かになり、おしゃれに投資する余裕が出始めた新興国の若者女性を相手にしたら受けるかもしれません。

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