じゃあ、アジャイル

リクエスト記事です。

日本企業の苦難はウォーターフォール組織、開発にあり、世の中はアジャイルに移行している時代に合わない、という意見がこのブログでは趨勢です。ただ、ハードに合うのだろうか?という疑問を議論したい、とのことで記事を書きます。

ソフト

ソフトは早く開発することが至上命題であり、完成度は低くても、リリースしてから徐々に完成度を上げていくことが可能です。iOS、Windowsなどの基幹ソフトもバグだらけでしょっちゅうアップデートを要求しますし、特にそれで問題はありません。Windowsはアップデートがやたら長いという文句はありますけどね。

その基幹ソフト、プラットフォームを抑えることがIT時代のスタンダードなのですから、アイディアをともかく具現化し、状況に合わせて調整を続けるのが主流ビジネスとなりした。グーグルは検索エンジン、フェイスブックはSNSというサービスをどのようにマネタイズするのか?はよくわからないままにスタートして、覇権を握りました。

世の中がハードからソフトの時代になってくると、ソフト開発に合うアジャイルが持て囃されるのは当たり前で、ウォーターフォールに拘る日本企業がまともに戦えなくなるのは当たり前といえば、当たり前だと思います。少しの不具合で全体がメチャクチャになり、大騒ぎになるウォーターフォールでは納期ばかりがかかり、必死のデスマーチで取り組むことになります。

各チームが面白いアイディアを出し合って、その結集を製品として出す、というやり方はスター集団が個性のぶつかり合いをして、その力が勝利という一つの方向に向かった時が最大出力になる、というレアル・マドリードだとか、マンチェスターUだとかのチームなのだ、というスタイルと似た感じだと思いますね。チームとしてのバランスを最初に考える日本型チームとは違います。

ハード

果たしてハードがアジャイルでやり切れるのか?という疑問は確かにあり、テスラ自動車の不具合はひどいものです。マスクマジックであまり取り沙汰されませんが、従来型の自動車メーカーの不具合とは比べ物にならないくらいです。これはアジャイルだから、という指摘があります。面白そうなこと、先進的なことを小さなチームでやってしまい、全体の不調和を起こす、ということみたいです。

自動車のように部品点数が多いハードは川上がカチッと決まってないと、川下がそれに合わせられず、全体として調和のとれた製品にはならない、というのは理解できます。個々の部品として素晴らしいとしても、他の部品を干渉するようなデザイン、機能は全体の完成度を下げます。

トヨタ自動車が自動車メーカーの中でも卓越した品質を誇るのは自社を頂点にして、資本系列の部品会社が連なり、ガチガチのウォーターフォールが形成できているからです。そして、自らを律し、系列を甘やかしません。

実際、一次下請けを倒産させたことはなく、何かしらの形で支援して事業継続できるようにします。つまり、トヨタは庇護を伴った抑圧をしているので下請けは辛い辛いと言いながらも付いてきます。これは年功序列、終身雇用と同じ図式ですね。

しかし、日産はルノー傘下になるまでは系列会社を甘やかし過ぎて統制できなくなりました。ウォーターフォールは階層組織なので、頂点である日産が官僚主義になり、系列会社とズブズブになり、高くて質が悪くても許してしまうようになったので、外資に降ることになりました。

とは言え、デジタル管理仕切れる弱電製品なら、個々の部品は数値化して規定を満たしていれば、取り立てて問題にならないのだろうと思います。人の生命に関わらない製品なら多少の不具合はアフターサービスの充実で有耶無耶にすることも出来ます。アップルの品質はあまり良くないですが、そのイメージがないのはアフターサービスがしっかりしているからです。

組織

私がウォーターフォールを最も問題視するのは組織です。MRJの問題点は組織がウォーターフォールで、川下で起こった不具合、問題点がすぐに上に伝わらず、放置されたり、決済に時間がかかり過ぎたことで、全体の納期をメチャクチャにしてしまったことにあるでしょう。

三菱重工がMRJを徹底的に管理するなら、最終コンセプトの決定権を持ち、そこに川下が合わせていくのはハードの作り方としてはおかしなものではなかったのだろうと思います。そうしないなら、川下が勝手に好きな事をして組み立てられなくなってしまいます。

日本企業の組織は重厚です。権限のはっきりしない役職に溢れて、紙媒体の判子主義で、些細なことでも部長が本社にいないので決済出来ません、という事がザラにあります。でも、こんなのは決裁権の範囲を決めて課長に移譲すれば解決するかもしれないし、それが出来ないならメール、チャット、ビデオ会議で決済すれば良いんですよね。

その意味ではウォーターフォールは形式主義でもあり、実態を無視して根回しを重要視しているピラミッド型システムだとも言えますし、その官僚組織が日本を食いつぶしている根源だと言えるでしょう。現場にほとんど決裁権を与えず、大本営への連絡、決済を仰いでいるうちに部隊は全滅する、というパターンですね。

自動車産業ではゲストエンジニアという下請けからの出向者がボディーメーカーに常駐している為、問題が起こった時にすぐに下請けを呼びつけて対策できるなど、密なコミュニケーションをしていますが、航空産業ではノウハウを持つのがほとんど外国人、特にアメリカ人であるため、言語、文化でコミュニケーションが十分に取れなかったこともあるでしょう。

ウォーターフォール組織の弱点として、文化の違う人たちが上手く共存しないため、本体に合う人たちを選別して、その流儀に染め上げていかないと効果を出しません。海外、特に白人社会で力を発揮している信越、日本電産なんかはこのスタイルであり、ウォーターフォールで川下に中途半端な自由を与えてしまうと無法地帯になります。

まとめ

個人的見解を言うと、ハードのウォーターフォールは必ずしも悪くはなく、だからこそ、日本企業の全盛期は存在し、絶対的立場として君臨できたわけです。しかし、そのハードの質がデジタル化によって均一化されてくると、特殊な物、特に人の生命に関わるもの以外は絶対品質が求められなくなり、重要視されなくなり、ソフト、サービスの充実が問われるようになりました。

見逃せないのは日本企業はサービスも苦手であり、個々人は親切で親身になってくれますが、組織としてのルールがなく、個人で決済出来なくなると、たらい回しにされます。そうなると、重大な不具合が起こった時の対応が悪くなり、顧客サービスも低下します。つまり、不完全な製品を売るの為のシステムがないのです。

アジャイルが万能法ではないと思いますが、文字通り、足の速いやり方であり、スピード勝負のIT時代に合っており、アジャイルが出来なければ、特殊な物を除いて勝ち残れないと言えるでしょう。ウォーターフォール型でやれるほどの納期が残ってないんですよね。

特に開発法としてより、組織としてのアジャイルは必須であり、ウォーターフォールはほとんど良いところがありません。軍隊のような特殊な環境なり、少なくとも年功序列、終身雇用が確保されないと、ウォーターフォールが上手く作用はしないでしょう。

皆さんの意見を聞きたいですね!

12+

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、アジャイル」への16件のフィードバック

  1. ウォータフォールでスピード感を持ってやる方法はあるのですが、それはノーミスで管理側が要求している以上の品質を技術者自身で考えてできるっていうことですが、そうなると技術者の負担が非常に重いこととスキルの高い技術者がいて成り立つ話ですよね。
    そうなると、一般的な話ではなくなるしついていけなくて離職率も上りますし、結果的に仕事の量がこなせないってことなんですよね。

    0
    1. 年功序列、終身雇用によって熟練者だけで行うならともかく、雇用が流動化すると、ウォーターフォールは完成度が低くなりますね。

      シン

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  2. 今はやりのアジャイルという言葉がウォーターフォールに比べて、ソフト、ハードだけでなく組織のありかたまで適用できる万能薬のように思われている風潮に疑念を感じざるを得ません。

    確かに大規模なソフト開発がウォーターフォールの欠点により完成できなかった/完成しても使い物にならなかったという事例が少なからず発生し、その原因が要件定義が不完全だった/途中で新しい仕様が入った/プロジェクトマネージメントがうなく行えていなかった等であり、場合によっては裁判沙汰になっていますね。変化に対応しやすくプロジェクトの進行がよりわかりやすいアジャイルであれば発生しなかっただろうというのは理解できます。

    しかし、ソフトであってもアジャイルが適用できるのはPC、携帯、SNS、自社内システム等のような不完全な状態でリリースして顧客の評価も含めて完成度を上げていくことが許容される分野に限らるのではないでしょうか。車/鉄道/航空機/ロケット/医療機器/金融など安全性・信頼性が最優先の分野に適用されるものは、完成度が低い状態で市場/顧客にリリースするなんてことはありえません。コインチェックはアジャイルの見事な失敗例で、400〜500億円も飛ばして会社が無くなりそうですよね。

    ハードに関しては、ソフトより圧倒的に適用できる範囲が狭いだろうと思います。一旦不完全な状態でリリースするという思想がないですし、アップデートすることが困難な場合がほとんどです。市場/顧客で何か不具合が発見されると製品そのものを交換/修理するしかありません。家電製品で特殊条件での火災発生の危険性でリコールがアナウンスされたり、ちょっと分野は違いますが偽物/有害物質入り食品が発見されたとしたら、その商品だけでなくそのメーカーそのものが信頼を失い市場から撤退することにもなるでしょう。

    ハードの開発段階で新規に開発すべき要素技術は小さな単位でPDCAを回して徐々に完成度を高めるとか、ある程度要素技術が形になってきたら完成品のプロトタイプを作って全体的な評価をするなどということは昔から実践されていることです。だた、成形金型、セミカスタム/フルカスタムチップやEMC対応などはPDCAの1サイクルが数ヶ月という場合もあり、ウォーターフォールでできるだけ上流で詳細な検討/開発が必要になります。ウォーターフォールの欠点として設計のアウトプットを待って製造し、その後販売やアフターサービスがスタートするなどという例が持ち出されている記事もありますが、何10年も前からコンカレントエンジニアリングという言葉があるように、設計と同時並行して生産体制/設備や販売/サービス体制の準備を進めているのは普通ではないでしょうか。

    また、組織に関しては、アジャイルという言葉が出てくる半世紀以上も前からドラッガーの組織論/マネージメント論などで権限委譲や組織のフラット化が言われており、日本では子会社を何100社も作ったりカンパニー制がはやったりしていますが、確かに未だに各子会社/カンパニーの意志決定に親会社の意向が大きく影響したり、階層的組織の見直しが進んでいるようには思えません。アジャイルとは別に意志決定の遅さは従来の日本企業の大問題ですね。

    アジャイルという言葉の周辺で商売をしているコンサルタント/会社に対しては斜めに見るところがあります。昔、TQC/TQMという言葉をはやらせた団体とそのコンサルタントがずいぶん喜び、これが下火になるとISO9000シリーズを仕掛けてまた商売繁盛でしたが、これらを導入した企業の業績が顕著に向上したとようには見えませんし、デミング賞をとった会社がつぶれた事例もあるようです。何年かして、アジャイルの過熱感が冷めた時に、アジャイルが適用され続けているのはどの分野か興味があります。

    6+
    1. 確かにアジャイルを標語にしてコンサル料を取りたい詐欺師の良いネタになっている感はあります。

      ハード、特に人の生命、財産が絡むシステムに全力集中していけば、アジャイルにできない日本企業にも勝機はあると思います。ただ、自動車が自動運転により安全になってしまったらお手上げです。今のところ、テスラの酷い不具合を見ると、まだまだ危険な乗り物なのかもしれません。

      日本組織の複雑に入り組んだ階層は戦前から言われていることで、もっと言えば、江戸幕府もかなり歪んだ組織です。今に始まった事ではないし、外部コンサル入れたくらいじゃ、どうにもならないのは確かだと思います。

      最終的には数字が出せてないのがダメなわけで、ウォーターフォールだろうが、数字さえ出せれば、いいんじゃない?ということになると思います。実際、高度経済成長期は絶賛されていたわけですしね。出てない、出せる見込みもないのにウォーターフォールに拘るのが日本人です。

      シン

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    2. シンさん、アジャイルに関して、より分かりやすい形で記事へのまとめ方、相変わらず脱帽です。

      MDCSさん
      アジャイルって、表面的には短いスパンでPDCAを繰り返すスタイルというのはその通りなのですが、生命や財産に関わる産業の製品にも適応できますよ。
      MDCSさんのおっしゃっていることも同意しますし、理解もします。
      要は、どのあたりの完成度で顧客にプロトタイプを見せるか?もしくはリリースするか?ということを柔軟に対応できるのがアジャイルなのです。このタイミングを誤まらなければ、アジャイルは充分にハード製造業にも取り入れることは可能だと思っています。

      私が今の日本企業に危機感をもつのは、ウォーターフォールを維持している為が故に、本当に優秀で高い技術を持った人が冷遇され、優秀でなくとも、小さな利権を守るためプロパーのDQN総合職正社員が優遇されている点、それらの人たちの小さな利権にしがみつきたいが故、様々な決定権がごく少数の人たちに限られているため、結果的に納期が延長されてしまったり、正しい知識を持った現場の提案、意見が即スペックに反映されないが為に起こりえる不具合、さらなる納期の延期による機会損失なのです。

      これは実際に経験しないとわからないかもしれませんが、アジャイルをはじめることにより、顧客、調整役(プロパーや中間管理業者、現場)が一つのチームとして、皆がそれぞれの役割の中、そこには上も下もなく、意見や決定が話し合える、風通しの良い環境が生まれます。こうなってくると当然、全工程の流れが高速化されていきます。

      ウォーターフォール時代には分からなかった、個々人の実力が、可視化されてくるようになるんです。

      アジャイルを続けていくことにより、次第に今まで調整役の部分を担っていた人材が必要ではないということが分かってきます。各チームに一人くらいは必要かもしれませんが、何人も必要ではないですよね?

      逆も然りで、これまで冷遇されていた技術者が、実は必要不可欠な人材であることも顕著になり、それが日本では下請けや派遣さんの場合、正社員への登用に繋がる。。。そうしていくことにより、もっと力のある企業に生まれ変われる可能性を秘めているように思います。

      何か他の記事で読みましたが、近い未来、企業とは一人の経営者と大勢の末端社員だけの時代がくるだろうとの予想がありました。アジャイルやAIの投入により、中間管理職、もしくは中間業者が必要ではなくなるというのです。
      私も、そうなるだろうと思います。

      ただ、末端社員だから低給与ということではなく、それぞれのエキスパートに相応しい、年収は確保されるべきと思います。
      アメリカのIT業界では、マネージャーよりも、平のプログラマーのほうが高年収ということは今でもザラですからね。
      また経営不振に陥った時に最初に解雇されるのは、中間管理職なんですよね。

      要するに、高スキルのハンズオンメンバーは高待遇であるのは当たり前のはずなんですが、現在のアメリカと日本と比べるとその関係図が真逆になっていることが、日本企業の凋落を産んでいることなのです。

      アジャイルが遅れているのは、アジャイルを導入することにより、自分の職が失われる、もしくは存在価値が薄くなるという人たちが一生懸命、ウォーターフォールにしがみついていることによることによるからだと思っています。
      では、中間に意見は聞かず、トップだけで決めてはどうだろうか?
      いずれにせよ、凋落が止められないのであれば、部分的に少しづつ、とりあえずやってみては?と各企業トップに意見したいと思うほど、私はヤバイなーって思ってます。

      7+
      1. かりりんさん
        私の経験ですが、ボデーメーカーにゲストエンジニアで派遣で入ったときに一日目にプロパーのおっさんに何をすればいいのですか?って聞かれて戸惑いましたね。
        よく、親会社は座っていても飯は食えるけど、子会社は仕事しないと食えないって感じです。
        また、自分の会社に戻ったときに親会社の再雇用の人が実務やらなかんからきついと言ってましたし、実務ができないと再雇用させてもらえないですね。

        0
        1. ニコさん

          多くの日本のプロパー社員は、自分の市場価値など全く考えず、偉そうにしているだけなので、アジャイル化すると真っ先に必要のない人間だと認定されてしまいます。彼らは、一度、職を失うと、転職は難しいでしょうね。なんかそんなような日本映画を最近観ました。家族にも言えず、毎日、出社するフリをして、就職活動に出かけて行く叔父さん達のもの悲しいストーリーでした。終身雇用が約束されていた時代に新入社員だった人たちは、今は40代以上の方々になると思います。現在安泰だと思っている人も、こういう映画でも観て、事前策を考える時期に来ていると思います。

          またその背景には、夫だけが一家の大黒柱が当たり前であり、専業主婦に甘んじてきた妻たちにも多少なりとも責任はあるのではないかと、同じ女性として思います。
          どちらかが倒れれば、どちらかが支えるという、本来夫婦であればそうあるべきだと私は思っていますが、日本女性の意識も変わらないと、夫もおちおち転職活動にも、転職に備えた準備期間も確保できずかわいそうに思います。

          私が以前在籍していた某日系企業にもいましたよ。
          文系出身なのに、なぜかITマネージャー。
          何をしたらいいのかわからないし、ITなんてちんぷんかんぷんだから、いろいろ教えてくれと頼まれて苦笑しました。 これでこの人、年収いくらもらっているんだろう??と思ったものです。

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      2. アジャイルに詳しいかりりんさんからのコメントをお待ちしていました。いろいろな方とのの意見交換でアジャイルについての理解を深めることができればと思っていました。
        私とかりりんさんのアジャイルへの感じ方が違うのは、やはりハードとソフトの違い、受託(請負)開発と自社企画開発の違い、開発チームの規模などで、自分が直接的/間接的に経験したことを想定してコメントしているのではないかと思います。

        ソフト開発の場合ですとPCとインターネットがあれば学生でも派遣社員でも自分で技術を磨けるチャンスはたくさんあり、できの悪い正社員よりも開発能力が高いという人が存在するでしょう。ところが、ハードの場合、ある程度以上の規模の会社でないと開発環境(設備、予算、先輩の知恵)が整っておらず、十分な開発経験を積めないことから、学生あるいはすぐにフリーランスになった人達がメーカー正社員のエンジニアよりも開発能力が高いということはあり得ません。その整った環境のなかでも、多岐に渡る技術/法令(製品分野毎の規格、安全規格、環境規格など)の知識・経験を積み重ねて一人前のエンジニア(ひとつの製品の開発全てを仕切れる)になるには10年かかるというのが私の理解です。

        ですから
        >本当に優秀で高い技術を持った人が冷遇され、優秀でなくとも、小さな利権を守るためプロパーのDQN総合職正社員が優遇されている点

        という指摘は、ソフト請負開発を想定した意見であって、自社企画商品(我々が普段目にする商品は圧倒的にこちらです)のハード開発ではあり得ないだろうと思います。さらに
        >それらの人たちの小さな利権にしがみつきたいが故、様々な決定権がごく少数の人たちに限られているため、結果的に納期が延長されてしまったり、正しい知識を持った現場の提案、意見が即スペックに反映されないが為に起こりえる不具合、さらなる納期の延期による機会損失なのです。

        開発プロジェクトリーダーがチーム全体の開発状況を把握し、製品全体の開発の指揮をとるのは当然ではないでしょうか。開発チームが10人くらいまでなら一人のリーダーで全部仕切れるのでしょうが、これが50人/100人の開発チームとなると、リーダーが最終的な指示・判断をするにしてもサブリーダーを置いて開発要素ごとにPDCAを回しながらある程度まかせないと一人ではやっていけないでしょう。これは自分の利権を守るとかとは無関係です。

        ただ、開発チームとは別に、事業化の最終判断をする事業部門のトップの下に、元エンジニアだとか元営業だとかの余っている人達を集めた組織があって、組織上ここを通さないといけない仕組みになっている場合があります。これはかりりんさんの言う
        >自分の職が失われる、もしくは存在価値が薄くなるという人たちが一生懸命、ウォーターフォールにしがみついている

        であることはその通りだと思います。
        私も過去に日本の企業で製品開発のプロジェクトリーダーをしていた時に、こっそりと開発し売り出して市場の注目を浴びたとたんに、暇で使えないおじさん達が俺も俺もと次から次へと小姑のように関与してきて、本来の商品企画・開発業務の他にその人達への説明や資料作りで次期製品の開発がすっかりペースダウンした苦い経験をしましたので、シンさんの指摘する「組織としてのアジャイルは必須」は完全に同意します。

        3+
        1. MDCSさん

          >私とかりりんさんのアジャイルへの感じ方が違うのは、やはりハードとソフトの違い、受託(請負)開発と自社企画開発>の違い、開発チームの規模などで、自分が直接的/間接的に経験したことを想定してコメントしているのではないか>と思います。

          うん、そうなんだと思います。

          私がアジャイル化をハード製造業でも推奨するのは、「組織としてのアジャイルは必須」を目標とするからです。
          そして更にその先に、「受託(請負)開発と自社企画開発」 この壁を壊すことにあります。

          確かに私はハード製造業には詳しくはありません。
          日本企業には数年しか勤務したことがないので、それらに関わった方々からの話や、いろんな資料やネットでの情報を元にした浅い知識でしかありません。

          でも素人目に見ても、ヤバイなって本当に思っているんですよ。
          やはり祖国が落ちぶれていくのを見るのは忍びないんですよね。
          日本人は、世界的にみて 遅れているんだ ということが本当に理解できていない人達が多いように思います。

          世界的には下記の記事にあるように、日本はすでに遅れている!というのが浸透してきています。
          https://www.quora.com/What-are-some-aspects-about-Japan-which-are-still-low-tech-even-though-the-country-is-widely-perceived-as-a-high-tech-country

          昔は、自分が日本人であることに誇りを持ててましたが、今は持てませんね。

          今の旧軍隊式のような企業組織構造を変えるのは一筋縄じゃいかないでしょう。
          だから、遠まわしに まずは部分的にアジャイルを始めてはどうでしょう?と提案しています。

          またソフトを軽視する日本人だから、アメリカIT企業にプラットフォームを握られてしまいましたよね。
          今やハードとソフトは一体になって、一つの製品として市場に出すというのが主流ですよね?

          ハード製造業においても、制御システムはソフトだったり、何かしらソフトウェアが動く部分がありますよね?
          まずはソフトの部分だけでもアジャイルをするとか。
          あとはMDCSさんのおっしゃる、管理部門のアジャイル化などです。

          その後に、基幹部門を小さなチームに分けてアジャイル化するという流れになるのが理想的ですね。
          まずは部分的にでもいいので始めてみてはいかがでしょう?

          私の経験ですが、大体ウォーターフォールからアジャイル化する時には、アジャイル化しやすそうな部門から始めて、組織全体に行き渡るのに平均的に3年~5年くらいの期間がかかっています。

          それを考えると、今から始めても遅すぎるくらいですよ。

          1+
          1. かりりんさん
            受託開発(請負)で客先常駐のような仕事のやり方ってのがやめられないのは親会社の正社員利権の維持が目的でしかないと思いますね。
            そうなると、下請に対する精神的な圧迫がかなりあり、やる気も奪うシステムなんだなと思います。
            私の同僚も派遣ではない自社開発では勤務できたのに、親会社に派遣で仕事をはじめたら、精神的におかしくなり休職中です。
            一生懸命やっても、新しいことに挑戦してミスや要領が悪いとクビになるから、開き直って、ボーっしてクビになりを繰り返して派遣でたらい回しにされてダラダラ給料を貰うほうが賢いとか言ってたおっさんの言い分もわからなくはないです。

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    3. MDCSさん
      >>今はやりのアジャイルという言葉がウォーターフォールに比べて、ソフト、ハードだけでなく組織のありかたまで適用できる万能薬のように思われている風潮に疑念を感じざるを得ません。
      >>ハードに関しては、ソフトより圧倒的に適用できる範囲が狭いだろうと思います。一旦不完全な状態でリリースするという思想がないですし、アップデートすることが困難な場合がほとんどです。
      →私も組織の在り方としてアジャイル(部門間で仕事を区切らず、プロジェクト単位で仕事を進める)は支持しますが、ハード設計ではアジャイルが万能でないことを痛感しています。以前、製品開発で機構、電気、ソフトの部門間の垣根を取り払いプロジェクトでチーク単位での仕事をしたことがあります。しかしながら、リーダーがソフトの担当者の場合、リリースしてからアップデートしていけば良いとの感覚をハードにも持ち込みがちで詳細な信頼性検討をおろそかにして、リリースを急かせて、その結果市場不具合が発生した苦い経験を何度か味わいました。
      ただし、ハードとソフトのそうした差異をメンバー全員が認識した上で、アジャイルを取り入れるのは有効だと考えます。電気製品の開発におけるEMC設計、放熱設計などは機構と電気の部門間にまたがる分野です。ウォーターフォールだとそうした分野横断的な問題は部門間で責任の押し付け合いに終始しがちです。アジャイルであれば、問題の解決のために異なる部門の設計者間で知恵を出しあって共同で解決する方向を向きやすいです。また、下記のコメントでかりりんさんが述べてもいましたが、部門間、会社間の連絡係といった付加価値の無い人が明確化されやすく、筋肉質な組織ができることは非常に望ましいです。(プロジェクト単位で仕事を進めれば、異なる部門の担当者が一堂に会して直接話し合うので連絡係は必要ありません。)
      大きい会社ですと、設計者の仕様や図面をサプライヤーに転送しているだけの人でも仕事をやっているように見えてしまうのが問題で、ここが大きなコストになっています。

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      1. ハードの開発では、プロジェクトリーダーのもとで電気・機構・(組込)ソフトがお互いに情報交換しながら設計・実験・試作・量産化を行っており、この段階ではASICや金型などPDCAの1回転に大きな時間とコストのかかる部分以外では小さな開発単位でPDCAを回しながら進めているのが実情で、部分的には既にアジャイル手法を取り入れていると言っていいでしょう。

        しかし、ソフト開発でのPDCAの1回転にかかる時間とコスト(電気代と人件費?)に比べ、ASICや金型の開発、試作装置での評価の結果でYさんの指摘されるEMCや熱設計に関わるPDCAの1回転にかかる時間(1〜数か月)とコスト(電気代と人件費の他に実費として数10万円〜数100万円)の差は、ソフト開発の経験しかない人達には理解できないでしょう。

        また、ソフトでは市場に出荷した後でアップデートするためのコストは開発段階と比べてほとんど変わらないでしょうが、ハードの場合、開発段階での間違い修正は図面上で単に線を書き換えれば良かったものが、製品として市場に出荷された後で当該箇所を修正するためには出荷台数、場所によっては多大なコストが発生します。従って、ISO9000でも商品企画から量産出荷までの各段階でデザインレビューを実施して、市場に出てからの不具合発生によるユーザーからの信頼性低下や市場シェアの低下、および企業の財務的ダメージを防止するよう品質保証システムの構築を求めています。

        企業の組織のフラット化や意志決定の迅速化はアジャイルという言葉が生まれるずっと前から組織論として課題になっていることで、それを今更アジャイルという名前を借りて議論しなくてもいいだろうと思います。開発部門だけでなく、企業組織全体に関わる課題です。組織論としては理解できても実際の現場が変わらないのは、日本の年功序列制度の中で権力を持っている中高年中間管理職が自らの待遇を悪くするかもしれない改革に積極的に取り組むことは期待できず、経営トップが大胆な決断しない限り容易には変わらないでしょうが、オーナー社長でない企業ではそれも困難でしょう。無駄に消費されている人的リソースで日本社会全体が地盤沈下しないように、アメリカやシンガポールのように待遇と成果が合わなくなった人達を容易に解雇できる法整備と同時に、転職市場の多様化と活性化が必須だと思います。

        2+
  3. ウォータフォールをうまく成り立つようにするには、うまくいった現場の例だと組織を細かくしてそのトップが選手兼監督みたいな方法をとり、元請(親会社)から検図、教育のOBを連れてきて全体を把握して組織の技術の底上げをしでしがハードであれば人の出入りが激しくても人材がいればチームワークで乗り切る方法はありますね。

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  4. シンさんのブログやかりりんさんのコメントや私の経験を踏まえると、人の出入が多い組織になるとアジャイル式に業務を進めないといけないのだなと思います。
    ウォーターフォールでいきなり、やれと言われて具体的な指示も与えないまま仕事を進めるってのは難しいです。よほどできる派遣社員を連れてくるか即戦力新卒を使うしかないですね。
    それか、仕事のレベルを落としてやらせるかしか回らなくなります。

    ウォーターフォールだと、野球に例えると、FAで実績のある選手か大谷や松坂みたいな高卒ですぐに一軍で活躍できる素材しか持たないです。

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