じゃあ、アジャイル

リクエスト記事です。

日本企業の苦難はウォーターフォール組織、開発にあり、世の中はアジャイルに移行している時代に合わない、という意見がこのブログでは趨勢です。ただ、ハードに合うのだろうか?という疑問を議論したい、とのことで記事を書きます。

ソフト

ソフトは早く開発することが至上命題であり、完成度は低くても、リリースしてから徐々に完成度を上げていくことが可能です。iOS、Windowsなどの基幹ソフトもバグだらけでしょっちゅうアップデートを要求しますし、特にそれで問題はありません。Windowsはアップデートがやたら長いという文句はありますけどね。

その基幹ソフト、プラットフォームを抑えることがIT時代のスタンダードなのですから、アイディアをともかく具現化し、状況に合わせて調整を続けるのが主流ビジネスとなりした。グーグルは検索エンジン、フェイスブックはSNSというサービスをどのようにマネタイズするのか?はよくわからないままにスタートして、覇権を握りました。

世の中がハードからソフトの時代になってくると、ソフト開発に合うアジャイルが持て囃されるのは当たり前で、ウォーターフォールに拘る日本企業がまともに戦えなくなるのは当たり前といえば、当たり前だと思います。少しの不具合で全体がメチャクチャになり、大騒ぎになるウォーターフォールでは納期ばかりがかかり、必死のデスマーチで取り組むことになります。

各チームが面白いアイディアを出し合って、その結集を製品として出す、というやり方はスター集団が個性のぶつかり合いをして、その力が勝利という一つの方向に向かった時が最大出力になる、というレアル・マドリードだとか、マンチェスターUだとかのチームなのだ、というスタイルと似た感じだと思いますね。チームとしてのバランスを最初に考える日本型チームとは違います。

ハード

果たしてハードがアジャイルでやり切れるのか?という疑問は確かにあり、テスラ自動車の不具合はひどいものです。マスクマジックであまり取り沙汰されませんが、従来型の自動車メーカーの不具合とは比べ物にならないくらいです。これはアジャイルだから、という指摘があります。面白そうなこと、先進的なことを小さなチームでやってしまい、全体の不調和を起こす、ということみたいです。

自動車のように部品点数が多いハードは川上がカチッと決まってないと、川下がそれに合わせられず、全体として調和のとれた製品にはならない、というのは理解できます。個々の部品として素晴らしいとしても、他の部品を干渉するようなデザイン、機能は全体の完成度を下げます。

トヨタ自動車が自動車メーカーの中でも卓越した品質を誇るのは自社を頂点にして、資本系列の部品会社が連なり、ガチガチのウォーターフォールが形成できているからです。そして、自らを律し、系列を甘やかしません。

実際、一次下請けを倒産させたことはなく、何かしらの形で支援して事業継続できるようにします。つまり、トヨタは庇護を伴った抑圧をしているので下請けは辛い辛いと言いながらも付いてきます。これは年功序列、終身雇用と同じ図式ですね。

しかし、日産はルノー傘下になるまでは系列会社を甘やかし過ぎて統制できなくなりました。ウォーターフォールは階層組織なので、頂点である日産が官僚主義になり、系列会社とズブズブになり、高くて質が悪くても許してしまうようになったので、外資に降ることになりました。

とは言え、デジタル管理仕切れる弱電製品なら、個々の部品は数値化して規定を満たしていれば、取り立てて問題にならないのだろうと思います。人の生命に関わらない製品なら多少の不具合はアフターサービスの充実で有耶無耶にすることも出来ます。アップルの品質はあまり良くないですが、そのイメージがないのはアフターサービスがしっかりしているからです。

組織

私がウォーターフォールを最も問題視するのは組織です。MRJの問題点は組織がウォーターフォールで、川下で起こった不具合、問題点がすぐに上に伝わらず、放置されたり、決済に時間がかかり過ぎたことで、全体の納期をメチャクチャにしてしまったことにあるでしょう。

三菱重工がMRJを徹底的に管理するなら、最終コンセプトの決定権を持ち、そこに川下が合わせていくのはハードの作り方としてはおかしなものではなかったのだろうと思います。そうしないなら、川下が勝手に好きな事をして組み立てられなくなってしまいます。

日本企業の組織は重厚です。権限のはっきりしない役職に溢れて、紙媒体の判子主義で、些細なことでも部長が本社にいないので決済出来ません、という事がザラにあります。でも、こんなのは決裁権の範囲を決めて課長に移譲すれば解決するかもしれないし、それが出来ないならメール、チャット、ビデオ会議で決済すれば良いんですよね。

その意味ではウォーターフォールは形式主義でもあり、実態を無視して根回しを重要視しているピラミッド型システムだとも言えますし、その官僚組織が日本を食いつぶしている根源だと言えるでしょう。現場にほとんど決裁権を与えず、大本営への連絡、決済を仰いでいるうちに部隊は全滅する、というパターンですね。

自動車産業ではゲストエンジニアという下請けからの出向者がボディーメーカーに常駐している為、問題が起こった時にすぐに下請けを呼びつけて対策できるなど、密なコミュニケーションをしていますが、航空産業ではノウハウを持つのがほとんど外国人、特にアメリカ人であるため、言語、文化でコミュニケーションが十分に取れなかったこともあるでしょう。

ウォーターフォール組織の弱点として、文化の違う人たちが上手く共存しないため、本体に合う人たちを選別して、その流儀に染め上げていかないと効果を出しません。海外、特に白人社会で力を発揮している信越、日本電産なんかはこのスタイルであり、ウォーターフォールで川下に中途半端な自由を与えてしまうと無法地帯になります。

まとめ

個人的見解を言うと、ハードのウォーターフォールは必ずしも悪くはなく、だからこそ、日本企業の全盛期は存在し、絶対的立場として君臨できたわけです。しかし、そのハードの質がデジタル化によって均一化されてくると、特殊な物、特に人の生命に関わるもの以外は絶対品質が求められなくなり、重要視されなくなり、ソフト、サービスの充実が問われるようになりました。

見逃せないのは日本企業はサービスも苦手であり、個々人は親切で親身になってくれますが、組織としてのルールがなく、個人で決済出来なくなると、たらい回しにされます。そうなると、重大な不具合が起こった時の対応が悪くなり、顧客サービスも低下します。つまり、不完全な製品を売るの為のシステムがないのです。

アジャイルが万能法ではないと思いますが、文字通り、足の速いやり方であり、スピード勝負のIT時代に合っており、アジャイルが出来なければ、特殊な物を除いて勝ち残れないと言えるでしょう。特に開発法としてより、組織としてのアジャイルは必須であり、ウォーターフォールは良いところがありません。少なくとも、年功序列、終身雇用が確保されないと、ウォーターフォールが上手く作用はしないでしょう。

皆さんの意見を聞きたいですね!

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