じゃあ、キャノン

ニコンを書いたなら、キヤノンも書くべきだろう、ということで記事します。

プリンター

この会社は売上半分をプリンターを中心とする事務機器で占めています。今のところ、事務機器は自動車のように耐久性が問われているため、日本企業の評価が高く、世界中どこでも、日米の合弁会社である富士ゼロックスを除けば、日本メーカーのキャノン、ブラザー、エプソンあたりしか見ません。HP、韓国企業も見なくはないですが、あまり競争力がないみたいです。

この牙城がどれだけ続くのか?、がこの会社の命綱になるのですが、IoTでどんどん新しい設計が入ってくるときに今のままのことをやっていても、日本勢の独占状態が守れるとは思えません。その危機感もあり、事務機器メーカーは他業種への投資、M&Aなどで、新しい風を入れて、次世代に乗り遅れないようにしているように見受けられます。

カメラ

カメラに関してはニコンの記事に書きましたが、完全に頭打ちであり、これ以上の伸びは期待できませんので、カメラをこれからの主軸だと考えている人はいないでしょう。徐々に減っていく需要をきちんと取り込みつつ、他に軸足を移していく段階に来ていると思います。

ちなみに私はキヤノンの一眼レフを持っていますが、選んだ理由は日本製だからです。キヤノンは自動化を進めているので、日本製をできるだけしようと努力しています。私はそういう心意気を買ったので、ささやかな貢献としてキヤノン製を買って、レンズもいくつか買い足しています。全然上手くはないですが、赤いラインの入ったモデルを2つ所有しています。

この会社はトップの御手洗さんがアメリカに長くいて、アメリカ型の合理性を尊ぶので、自動化にも積極的ですし、日本的な時代遅れの非効率なやり方に意味もなくしがみつくようなことはない、と聞いたことがあります。その成果が日本製の維持、日本人の雇用維持であるなら、日本人の鏡だと思いますね。ぜひ頑張って欲しい企業です。

オーナー

この会社は未だに創業者一族の御手洗富士夫会長がトップに立っており、長年の独裁体制で、荒波を乗り越えてきました。株式的には大株主でもなんでもないのですが、日本的な義理と人情から、一時的なサラリーマン社長が登場しても、大政奉還だといって、創業者一族に返してしまうケースは他でも見られ、日本最大の事業会社、トヨタ自動車も大株主でもなんでもない、創業者一族がトップです。

何回も書いているのですが、独裁体制、というのは有能な人がやると、凄まじい勢いで成長するし、安定するのですが、無能な人がやると、地獄絵図になるのですが、この御手洗さんは有能だったので、キヤノンは成長したのです。従業員にとって、どういう会社か?は知りませんが、数字的にはずっと結果を出してきました。赤字を出したこともないし、有利子負債はゼロに近いです。

御手洗さんは高齢であるだけでなく、一度は譲った社長の座を取り返したことがあり、今も会長ではありますが、実質的には社長にトップの座を譲ったわけではありません。本当はもっと前に後継者指名して、自分の立場を顧問へと徐々に移行していくべきだったのですが、それがなかなか難しいのです。その意味ではシンガポールのリークワンユー元首相は立派だったと思います。

もうひとつの課題はオーナーしか出来ない買収です。日本のサラリーマン社長は責任取れないし、その責任を負うほどの報酬ももらっていないので、一か八かの大勝負をかけることがほとんどありません。だから、御手洗さんは最後の仕事として、大仕事をして、責任を一身に背負って、後継者にバトンタッチすると良いでしょう。そうすると、後継者はすごく楽になり、経営がしやすくなります。

まとめ

キヤノンはシンガポールみたいなもので、独裁政治が上手くいき、いくつかの重点事業に絞った大型、集中投資が上手くいったので、今まできわめて良好な経営を維持してくることが出来ました。それが徐々に副主力だったカメラが崩れてきて、時間の問題で主力の事務機器にも及ぶのでないか?、という世の中の流れになっていて、その他の精機、医療事業はニコンをみるようにレッドオーシャンになっています。

さて、御手洗さんの退任とともにキヤノンは凋落をしていくいのか?後継者達が盛り返すような経営を出来るのか?、が見ものです。なんといっても、お金はたんまりあるので、リスクをとって、勝負することは出来ます。任天堂みたいに悠然と構えすぎて、火がついた状態で真剣になるのでは遅いですから、御手洗さんが健在なうちにガチンコ勝負を一回くらい仕掛けてはどうかな?、と思います。

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、キャノン” への 5 件のフィードバック

  1. 企業シリーズ大好きです。キヤノンの課題は東芝関連企業等の日本企業買収ならば特に問題は無いかと思いますが、日本電産の様に買収が上手でないと、海外企業の買収で成果が出せるかが、一つのポイントではないかと思います。シンさんの記事を読み込んで考えると、白人の欧米企業で美味しい案件は殆んど無いのでは?今回の東芝の件や日本郵便の件でも根っこは同じですね。

    1. 白人から会社を買って、旨味を持ってこれるのは日本電産くらいのもので、他に成功例が思い浮かばないくらいです。白人が長い植民地経営で培った合法搾取、見切り、押し付けのノウハウは日本人にはとても真似できません。

      日本郵政も同じ話で、イギリス人と同じ流れを汲むオーストラリア人から会社を買っても、上手くやれるわけないです。

      キャノンが買うなら、日本企業、それも官僚と話をつけて、同業他社、関連業者がいいです。海外企業なら、白人からでなく、同じアジア人からの方がまだマシです。中国人も手強いですが、白人よりはまだマシです。伊藤忠は中国に入れ込んでますが、シャブられないのでしょうか?注目しています。

      シン

  2. 事務用品の会社は2007年ごろから、フロー型からストック型にビジネスモデルを転換しました。折しも2017年なので、転換期なのかもしれません。
    カメラですが、自分も一眼レフに興味があるんですが、iPhoneのカメラで間に合うんですね。星空が好きなので専用にカメラが欲しいですが、これもレンタルで間に合いそうです。
    昔と比べるとユーザの選択肢が増えているので、ただ商品を作っても売れなくなってきてると思います。これからどうなるのか楽しみです。

    1. これからはIoTなどで、事務機器の統合が進み、寡占化してくるでしょうから、キャノン、リコー、ブラザー、エプソン、富士ゼロックス、と多すぎる事務機器メーカーは統廃合しないと、とてもやっていけないでしょうね。

      漠然と良いものを作るのでなく、差別化して、囲い込むようなプラットフォームを用意して、客を逃さないやり方をしないと、生き残れないだろうと思います。

      シン

  3. コピー機を手掛けているメーカーは長年、紙の交換代金やメンテナンスで儲けてきました。(大手複合機メーカーに勤務していた友人曰く、一時期は本当にぼろ儲けのビジネスだったみたいです)しかしながら近年のペーパーレス化の流れを受けて、紙の需要は減少傾向にあります。メンテナンスビジネスを包括した製品は一度据え付けると安定的な収益が得られるだけに、今後は新しいメンテナンスビジネスを仕掛けて行かないと厳しいでしょう。そうした意味で富士フィルムとグループで医療診断ビジネスに進出した富士ゼロックスは生き残っていけるでしょうね。(X線検査周辺、遠隔画像診断etc)こちらは信頼性が要求されるため、高価格帯で勝負できますし、定期メンテナンスも必要なので安定的な収益が見込めるでしょう。富士フィルムはフィルムカメラが斜陽になることを見越して、医療ビジネスに大きく舵を切って生き残りの活路を見出しています。富士グループには注目してます。

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