じゃあ、潜行三千里

読者さんからお勧めの本を紹介して記事にして欲しい、というリクエストがあったのでシリーズ化します。ボリュームもあるので、一記事では長くなりすぎると思います。

記念すべきお勧め本の第一弾は辻政信、潜行三千里です!これはマジかよ?というほどスリリングな冒険体験本でフィクションじゃないのか?と思うくらい波乱に富んだ展開が繰り広げられますが実話です。CIAの調査で概ね事実だと認定されているようですし、単なるフカシ本ではありません。(落合○彦さんみたいにどこまで本当なのかわからない話ではないのです。)

天才、神様、鬼才、絶対悪、と称される辻政信さんは旧日本帝国陸軍参謀です。第二次世界大戦における日本軍の作戦に深く関わっており、彼が作った歴史もいくつかあり、功罪は未だに定まっておらず議論は継続中です。

この男は貧しい家に生まれ、お金がかからないから陸軍幼年学校を目指し、何とか補欠合格で入り込むところからキャリアをスタートさせて、幼年学校、士官学校を主席卒業し、陸大は第三位、恩賜の軍刀組(天保銭組)です。陸大三位はあまりにも過激な辻を陛下の前で演説させられないという理由で主席にしなかった、という話があるくらいです。

心酔していた石原莞爾と同様に、辻に詰め寄られると上官だろうが、年次が上だろうが、従わざるを得ないような人格的迫力があり、かなりの独断専行を繰り返しながらも順調に昇進を続けています。政治力に優れ、転属するとすぐに経理台帳を調べ上げて上官の怪しい経費を見つけ、証拠を確保したり、軍人皇族に近づき、その威光で何もいえなくなる環境づくりをしていました。

事件

辻は上記のように日本の歴史を変えるような大事件を何度も起こしているのですが、代表的なものをいくつか紹介します。

・ノモンハン事件

外モンゴルでロシア軍と対峙した日本軍は辻の誘導で正面衝突、大本営からの中止命令を無視して戦争を続行、大損害を出しましたが、強引に作戦を継続しています。捕虜交換で戻ってきた上官に自殺を強要したとの噂があり、薄ら寒くなるような鬼です。

・マレー作戦

兵站の確保に絶対必要なシンガポール占領を目指して、タイ国境を通過してマレーシアに上陸し、凄まじい勢いで南下してシンガポールを目指します。この作戦を立案したのは辻であり、日本軍の快進撃を支えます。

そして、未だにシンガポールの日本人が中華系シンガポール人に指摘されると黙ってしまう「シンガポール華僑粛清事件」を立案したと言われています。実際、シンガポールの赤化は進んでおり、反日スパイが多数紛れ込んで、なかなか収拾がつかなかったそうですが、虐殺に持ち込むとは恐ろしいです。

・ガダルカナル島の戦い

ここでも実情を無視した作戦を立てて、ジャングルを心もとない武器と兵站でさまよう羽目になり、多数の犠牲者を出したと言われています。この件で辻は自分の作戦失敗を認めず、上官に責任を押し付けていますが、その真相はわかりません。

潜行

ここまで主導的な役割をしていれば、日本が戦争に負ければ、戦犯として両方から追われます。ビルマからタイ、バンコクに敗走し、そこで終戦を迎えた辻は偽僧侶となって潜伏することを決めて失踪します。

ここからが私の好きな潜行三千里のスタートです。せっかくのドキドキわくわくを奪いたくないので、詳しくは書きませんが、ノンフィクションとは思えないくらいはらはらする展開が繰り広げられ、どこに行っても何とかピンチを切り抜けて蒋介石に助けを求めて中国に向かいます。

まとめ

ドキドキするようなスリルが好きな人にはマジでお勧めです。自分が辻になって、ピンチをスレスレで交わしながら、東南アジアを北上して中国を目指すなんて映画の主人公になったようです。歴史が好きな人、東南アジアにかかわりのある人には当時の緊迫した様子と今を比較することも出来ます。

まずは潜行三千里が面白かったら、シンガポール攻略へ移り、辻政信制覇も検討してみてはどうでしょうか?善人なのか、悪人なのか、理想家なのか、虐殺者なのか、正体のわからない不気味な実在の人物の怪しい魅力に取り付かれるかもしれません。

0