じゃあ、工作機械メーカー-2

前にリクエストで記事を書きましたが、もう少し突っ込んで書いてくれ、という要望があり、少しずつ調査していて、書けそうになったので書こうと思います。

今回はフライス加工機を製造する会社に絞ります。

ファナック

本来、ファナックはロボットの会社であり、制御装置の会社です。しかし、ロボドリルという主に携帯電話のケース向けのロボット協業加工機を販売しており、この事業がかなり大きいです。

ロボドリルの専用機。Apple向けのEMS、ホンハイ、Samsungにかなり依存しており、携帯電話が売れなくなると、経営が成り立たないほどになってきた為、徐々に一般向けのフライス加工機にも手を出してきています。

これはある種の禁じ手です。制御装置の客である工作機械メーカーの島を荒らすことになります。それでも、手を出した、ということはファナックにも危機感があり、客との軋轢に目をつぶってもやるべき仕事だと思ったのでしょう。

元は富士通のスピンアウトですが、実質創業者の稲葉家が支配しており、二代目が会長に退き、三代目は三十過ぎに役員になり、登板を待っている状態です。なんか、シンガポールに似た会社です。実用主義の組織で、不合理なことを一切しません。

拠点がど田舎にあり、宗教じみた、一切遊びのない社風で働きやすいのか?は知りませんが、ファナックの技術力が世界トップクラスであることは間違いなく、三代目がバカなことをしない限りは脇を固める有能な幹部達と共に着実に成長していけるのだろうと思います。

DMG森精機

オーナー、森氏が率いるドイツとの合弁企業です。吸収した側の森精機が名前の後に来ているので、日本企業が外資に飲み込まれた印象を受けますが、違います。オーナーの剛腕で小が大を飲み込む合併を成し遂げました。

この会社に技術力はさほどなく、買収によって技術を買って大きくなってきました。かといって、オーナー、森氏が技術力を軽視した経営者ではなく、彼自身も工学部を出ていますし、社会人博士も取っています。ただし、修行先は伊藤忠なので、ハイブリッドという感じですね。

森氏の先見性は誰もが認めるところですが、いかんせん、大した技術がなく、雰囲気だけでなんとかしようとする社風です。会社の見た目は欧州風ですし、アジア人の白人コンプをくすぐるような雰囲気を作り出そうとしています。

バンバン広告を打ったりして知名度を上げ、ホワイト企業イメージのために社内システム改善前に残業規制だけしたり、女性社員を増やす為に文系比率を上げたり、大した力がなくとも女性エンジニアなら役を与えたり、と形から入るところがあります。意味もなく博士号取らせたり、保持者を前に出して、それっぽくしたりもします。

技術のわかる森氏も自社技術力がないことを知っているから買収で技術を買い、規模が大きくなることで生き残りをかけているのでしょう。彼は日本の工作機械メーカーは多すぎる為、大手ととんがったニッチ以外は消えるだろう、と言い切っています。

牧野フライス

オーナー、牧野二郎氏が引退、指名によって若い井上氏が後継しました。エンジニアの会社で技術力はあり、成長が望める航空機事業に特化して生き残ろうとしているように見受けられます。

堅実であるが上、一般的にはさほど知られた会社ではなく、国際的知名度はさほど高くないように思われます。聞いたことはあるが、何をやっているのか不明、というくらいでしょうか?

大々的にどこかのスポンサーになったり、トップがマスコミにバンバン出て広告活動するような社風でもありません。本拠地が厚木にあって、湘南の小洒落た感じだけど、すごく華がある、という感じでもないところですね。

このまま大きな改革をしないなら、徐々に規模を縮小していくでしょうが、それでも細々とは生き残っていくのかな?と思います?もしかしたら、どこかに買われる側になるのかもしれません。アジア勢は欲しがるだろうと思います。

ヤマザキマザック

オーナーは山崎さんで、この業界では珍しく、文系社長です。地元の愛知県の大学を出て、ありがちなアメリカにご遊学、実家に戻ってからも営業部隊で過ごし、アメリカ現地法人の社長を務めて、実家を継いでいます。

一般的に、ヤマザキマザックは技術力はイマイチだが、海外進出が早く、欧米で知名度がある、というオーナーの経歴をそのまま反映したスタイルです。私は技術的には何が良いのか、よくわかりませんが、割とオシャレだと思います。

オークマ

ヤマザキマザックの目と鼻の先にあるオークマは社風は真逆で、無骨なメーカー気質の愛知県人、というイメージです。得意なのはゴリゴリと硬いものを削る、という尾張企業なのに、三河武士みたいです。

社風はまったく違いますが、お隣さんのマザックと割と仲が良いので、業界再編時は一緒になる選択肢はすでに頭に入れているだろうと思います。どう考えても、一緒になるならマザックが良いです。

ジェイテクト

トヨタグループであり、グループ内の専用機を作るのがメインの仕事で、一般向けにはほとんど売ってません。一般ユーザー向けには半ばグループ内に取り込んだ三井精機の役割としています。

トヨタがグループ内に工作機械メーカーを持ってないと不安だから持っている会社であり、自動車部品メーカーとしてベアリングも作ってますし、純粋な工作機械メーカーとは違いますね。

松浦機械

一般的知名度はゼロに近い、福井にある中堅企業で、日本企業、日本人には合った工作機械を製造するようです。ただ、今後は厳しいことは理解しているようで、金属3Dプリンターを開発して、事業転換しようとしていると言っていいでしょう。

ブランド力もなく、新興国需要を取り込めることもなく、国内ユーザーの衰退と共に、工作機械事業は縮小していくのだろうと思います。その為の新事業仕込み期間に入っているのでしょう。

まとめ

ソフトからハードの時代になり、工作機械メーカーは再編されています。日本には同じ業界に似たような会社が多すぎる、という指摘は良くありますが、この業界は特にひどいです。大中小合わせると、百を超えるメーカーがあるそうで、技術的に尖ってない企業もなんとなく存続してきました。それが、許されなくなりつつありますね。

前の記事で、国策として日本の工作機械メーカーは海外向けにスペックを落として販売している、というコメントがありましたが、意味不明コメントで、高級分野は欧州勢の牙城であり、中級、廉価分野で中国勢が伸びてきて、日本勢が食い荒らされているのに、スペック落とせるような余裕があるとはとても思えません。

フライス加工にこれ以上の技術革新はなく、5軸加工が最終形態だろうと思います。もっととんがった事しても、それを必要とするユーザーが限られています。それ以上はファナックのようにロボットとの協業でしか付加価値は出せないだろうと思います。

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