じゃあ、日本で増収増益

日本は人口オーナスを向かえ、内需拡大は望めない状況になり、現状維持を続けているだけで、増収増益を確保できる時代ではなくなりました。だから、何かしらのとがった強みを持たない企業は緩やかに体力を失っています。日本人気質は泥舟であることがはっきりしていても、なかなか痛みを伴う決断をせず、問題の先延ばしをするので、すでに競争力を失った企業もゾンビのように生きながらえます。

だったら、どうしなければ、増収増益が出来ないのか?、という記事を書きたいと思います。

同業

全体のパイが大きくならなくても、同業他社からシェアを奪えばいいのですが、これは前例主義が大好きな日本ではきわめて難しく、一度、採用されたり、取引が始まってしまったビジネスをひっくり返すのは明らかに大きなメリット、デメリットがなければ、行われないからです。一度、普及してしまえば、ファックスのように明らかに不便な通信手段も一気に廃れないのです。

最近の日本で、同業からパイを奪った例はほとんどないですが、例外的に「ミスミ」という専門商社が同業他社からシェアを奪って破竹の勢いで成長しています。この会社はオンラインプラットフォームの提供を顧客にすることを仕事としており、量産品でない幅広い製品群を取り扱っていて、1ヶ、2ヶの注文にも対応しています。製造業向けアマゾンみたいなものだといっていいでしょう。

今でも、専門商社営業のオッサンが毎日のようにアポもなしに挨拶に現れて、細かい部品、部材需要がないか?、を確かめに来ているのですが、「ミスミ」という会社はカタログをばら撒き、ウェブサイトの充実を図り、必要なときに好きな方法、電話、ファックス、ウェブサイトから一気に注文できるようにしたのです。

こうするとオッサンAはXを取り扱い、オッサンBはYを取り扱っていると、発注者はオッサン二人を相手にしなければなりませんが、「ミスミ」なら、オッサンをまったく相手にしなくてもいいのです。自動的に見積もりが来て、納期回答があるので、だらしないオッサンを追い掛け回す手間がなくなります。

このくらい利便性があがらないと、日本人は今までの付き合いを優先させるし、今までの年功序列、終身雇用によって、長年の付き合いになったオッサンとの感情的な壁が崩れることがないのです。取り扱い製品には競争力はなくとも、親しいから出来るだけ発注する、とかいう情緒的なビジネスになってしまうわけです。そして、競争力がお互いになくなります。

異業

同業他社からシェアを奪えない、すでに独占的な立場にあるなら、異業種に手を出さないと、増収増益は確保できないのですが、まったく関係ないことに手を出して、成功するのは新たに起業して成功するのと同じくらい難しいため、今までやってきたことに何かしらの関連があることをしないと、勝負になりません。そして、それもまた難しいのです。

トヨタ自動車が元は豊田自動織機という織機メーカーだったり、ブラザーは元々ミシンの会社だったことは良く知られていますが、織機技術が自動車に、ミシンの技術が上手くプリンターに生かすことが出来たため、第二創業が上手く行くこともあり、社内ベンチャーを常に考えていないと、本業が時代に通用しなくなったときに会社は倒産することになります。

最近だと、富士フィルムがフィルムを失いましたが、化粧水などを開発に成功して、もともとの化学技術を生かした方向に進んで、異業種進出の成功例として取り上げれることが多いですが、こういった成功例は本当に少ないし、みんな考えることは同じなので、進出先もかぶっていることが多く、すでに化学系の会社が化粧品に行くのはありふれていて、レッドオーシャンです。

一般的に会社の寿命は30年だといいますが、最近は人間の寿命と同じように、もっと長くなってきており、50年くらいは持つようです。トヨタも自動車が採算にのり、50年くらいでEVという新しいステージに来ていて、ここで機械から、電気に会社の軸を移していけないと、徐々に体力が失われていくでしょう。仮にトヨタがテスラにやられたら、日本はどうにもならないくらい落ちぶれるでしょうね。

海外

同業他社を食うこと、異業種で地位を築くこともできないなら、海外進出しかありませんが、これが成功した例もほとんどありません。例えば、成功例は自動車産業がありますが、輸出から経済摩擦を避けるために現地で組み立てするようになったわけで、まずは国内で大勝ちして、輸出して成功するところから始める必要があります。そうでないなら、海外でやっても、アウェイのため、自動的に負けます。

トヨタが勝ったので、それについて関連メーカーがついていって、それで成功しているわけで、トヨタが負けて、それでも現地で戦える部品メーカーはごくわずかだろうと思います。デンソー、アイシン精機くらいでしょうか?ほとんどの部品メーカーはトヨタ方式の厳しさについていけるから、採用されているだけで、技術的に現地メーカーに勝てているわけではないです。

また、M&Aで海外進出しても、東芝のWHを見るようにアングロサクソン、ユダヤ、中国人に散々食い物にされるのが一般的で、海外大好きな楽天、三木谷さんも国内の儲けを海外に吐き出しているような状態です。天才、孫正義さんですら、スプリントでは相当苦戦していますし、戦国武将のような日本電産、永守さんくらいしか、海外M&Aの常勝将軍は存在しません。

日本人は農耕民族です。更に戦国時代を勝ち抜いたのが三河土着の半農民みたいな徳川家康だったので、地道に田畑を耕すようなことは得意でも、生き馬の目を抜くことは苦手なんですよ。だから、植民地経営も上手く行かなかったし、M&Aしても、上手く行かないんですよ。アングロサクソンみたいにキレイごとを言いながら、散々搾取するような二面性がないとダメなんです。

現代日本人で、織田信長、豊臣秀吉のような人ってほとんどいませんし、黒田如水、真田昌幸のような煮ても焼いても食えないような人物もほとんどいません。強いてあげるなら、先の永守さんくらいです。そういう人たちは早い段階で潰されるからだろうと思います。善悪を抜いても、ホリエモンを潰した日本ですから、異端を育てる環境ではありません。

まとめ

企業は人間と同じです。増収増益が達成できないと、お金が回らないので、成長できなくなり、あとはどうやってきれいに終末を迎えるか?、だけの話になってしまいます。自分が定年を迎えるまで、その会社が持ちこたえられるなら、それでいいですが、そうでないなら、船の乗換えをする必要があり、その為の準備はしておいたほうがいいでしょう。

最悪、日本という船も下船する覚悟も必要だろうと思います。まあ、半世紀ほど前、戦後混乱期までは日本人も海外に出稼ぎ、経済移民もしていたわけです。また、日本人が日本から出て行くのは何もおかしいことではなく、日本という国を信用しきっていても、裏切られるかもしれません。

日本人は甘ったれていて、所属企業が潰れる、裏切ることをまったく想定せず、くだらない序列ばかりを気にして、社内政治に明け暮れている人が本当に多いです。同様に日本が手がつけられないくらい落ちぶれる可能性だってあるし、その時に保険として外貨建て資産すら持っていない、のは危険すぎます。日本円で、所属企業の持ち株資産をよりどころにして、その給与だけが収入なんて、人生の一点張りですよ。

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、日本で増収増益」への18件のフィードバック

  1. ミスミは本当に勢いありますね。
    誤手配やケアレスミス、納期遅延もほとんどありません。
    今は知りませんが昔は他の専門商社より少し高かったので、ミスミからの購入をできるだけ抑えようとしてたのですが、その便利さに負けて注文しまくってましたw

    ちなみにミスミへの転職の話があったのですが、忙しそうなのでやめましたw 今思うとストックオプションなどもちゃんと調べておけばよかったです。

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    1. ミスミは高くても買ってしまうだけの利便性があるので、同業他社からシェアを奪えますね。株価はガツンと上がっているので、上場前に勤めて、ストックオプションがあったなら、ひと財産築けたでしょうね。仕事はきついらしいですが、勢いのある会社に勤めるのは悪くないと思います。

      シン

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  2. 人口が減っている国で増収増益は至難の業です。
    国内市場だけ見て、大きく成長してる産業ってほぼないですし。
    介護、医療は成長してると言えば言えるのでしょうが、元は税金ですから成長というには何か違う感じがします。
    私の知っている製造業に限れば、国内の売り上げを伸ばしてる大きな会社ってほぼ存在しません。
    史上最高売り上げや利益を出してる会社は、海外が貢献したか、大リストラかのいずれかです。
    酷い国になったと思います。

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    1. 774さん
      マーケティングの仕事をしていた時に人口衰退が増える日本でニーズが増えるものを調査していたことがありました。その中の一つにペット産業があります。未婚率の上昇による独身者の増加、高齢化、核家族化による独居老人の増加により精神的な癒しとしてペットのニーズは着実に増加しています。しかしながらペットショップでの販売時に病気に罹患すること、捨て犬、捨て猫の増加などで殺処分が増加しており、その点が課題となっております。一昔前はコンビニでペット用品なんて販売されていませんでした。今は缶詰、ペット用トイレなどありとあらゆる製品が販売されております。時代は変わったものです。

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  3. 野村総研によると、2030年には日本の労働人口の半分が、人工知能やロボット等で代替可能になるそうです。

    その時、日本企業は大幅な給与カット&リストラをして、人口減による内需縮小のダメージに耐えると良いのではないでしょうか?

    解雇された人には、国から手当てを出し、一億総中流から、五千万総低所得に移行します。バッドエンディングの中ではマシな方だと思います。餓死レベルまで経済が落ち込まなければ、日本の治安の良さも何とか維持できると信じます。

    そのためにも、ロボット技術・省人化には、日本に資金があるうちに、さらに力を入れると良いと考えます。

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  4. 自動車産業にいますが、自動車産業が大丈夫だと言い切りませんが技術の裾野や応用分野が広いのでこれらの技術を別の分野に応用して収益力があげられるかが今後の鍵かなとも考えられます。
    トヨタやHONDAがロボットをやってますし、アイシン精機はベッドでデンソーはQRコードだったりです。

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    1. 逆に言うと、自動車産業が世界で通用しなくなったら、日本はどうにもならなくなるな、と思います。膨大な数の仕事が消滅します。

      シン

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  5. 日本の借金がヤバイって子供の頃からよく言われてますが、子供の頃から、それだけの借金をどこから借りてるんだ、という疑問がありました。
    それはどうも銀行の預金から借りているようです。
    借金だから返さないといけないのに、政府は返していないようだから、預金が気づいたらなくなったりする事があるんだろうか、と思いました。
    国民が銀行に利子付きで預金する場合も、銀行は国民から借金してると言えますが、すぐに全部返す必要はなく、国民が必要な時に、必要な分だけ(せいぜい預金の2割以下)出せればいいのと、同じような感じで、政府が銀行に常に利子付きで満額返済する必要はないという事ですね。
    だから、借金は返す必要はなく、過剰に増えすぎなければいい。
    たまに、借金返済のために増税だ、という意見もありますが、増税で国民の預金が減るなら、結局あまり変わりはない?
    という認識ですが、自分の認識はあっているでしょうか?

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    1. 中学時代の公民の教科書に、日本人一人当たりに500万円の借金の負担が、などと書いてありましたが、国民が銀行の預金を通じて、間接的に貸しているだけで、貸してる人がなんで負担を負うのか、論理が破綻しています。
      義務教育の教科書が、いい加減なもんで問題だと思いました。

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      1. よくマスゴミが国民1人当たり○○万円の借金!とか書いてますけど、全く事実ではないです。日本の借金ではなく日本政府の借金であり、貸し手は9割超が日本国民ですから、むしろ国民1人当たり○○円を日本政府に貸し付けてるのが事実かと思います。
        政府の意向でマスゴミに不安を煽らせ増税をしたいだけでしょう。
        ただし、借金自体はともかくも、日本国はヤバイ方向に向かってるのは事実ですが・・・

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      2. 今のマスコミの日本政府の負債のみを強調するのは間違っていると思うのですよね。

        企業会計と同じように資産の部と負債の部を合算して考えるべきですね。
        合算するとわりと日本の借金は少なくなります。
        資産の部は、土地など売却が難しい物もありますが、独立行政法人などのへの貸付金など換金性の高い金融資産もあります。

        例えば独立行政法人のURなんて、民間でやればよいような事業もありますが、
        売却すると、天下り先が減ってしまうので手放さないわけです。

        こんなこと教科書に書けませんw

        負債のみを強調し、消費税を増税しないと破綻するという方向に持っていきたい財務省の策略を感じますね。

        とは言え、経済成長とともに負債が増える分には問題ないですが、
        日本は将来を考えると、負債のみが増加し続けることが予想されるので、先行きは暗いですね。

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        1. 何によって財務状況を判断するかですけど、借金を国民割りにするなんていうやり方は馬鹿げてますね。ソフトバンクの借金を社員割りしたら、凄いことになるので、危険な企業だ、と言うことになります。バランスシートによって総資産で判断すべきです。そりゃ、ソフトバンクは危険といえば危険ですが、それ以上に期待感があるので、お金が回るわけです。日本株式会社とするなら、期待感がないから、外部の人が将来性で買う人が少なく、社員の持株、社債引き受けでお金を回しているようなものでしょう。

          バカげたオヤジ社会を変える強力な指導者が現れて、停滞感を吹き飛ばしてもらいたいものです。

          シン

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  6. 少し本題とはズレるのですが、終身雇用についてです。

    終身雇用は終わったと言われて久しいですが、会社はどのようにクビにするとお考えですか?
    左遷や閑職に回して自主退職に追い込むやり方は昔からありますが、解雇というのは明確な理由がない限り難しいです。
    例えば、
    激務でうつ病を発症して復帰したがロクに仕事をしない人
    50代で高給だが、その給料に見合うだけの働きをしてない人
    今の日本社会で、これらの人たちをクビにするのは難しいと思うのですが、いかがですか?

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    1. 法改正をするしかないでしょうね。

      能力不足を理由にした指名解雇を可能にする代わりに、サービス残業、パワハラへの厳罰を法規定すれば、もっとバランスが良くなると思います。ブラック企業が減らないのは労働基準監督官の怠慢ではなく、ルール違反に対する罰則が軽すぎるので、抑止力にならないからです。かなり激しいパワハラしても、慰謝料は100万円にもならないみたいですから、鼻くそみたいなものです。

      アメリカでパワハラをすると、会社が潰れるほどの巨額賠償が発生しかねませんし、ドイツではサービス残業を命じた管理職の個人資産から罰金を払わせるので、怖くて鬼軍曹なんて出来ません。こうなったら、労働基準監督官はたまに制裁を加えて、グレー企業を取り締まるだけで、見せしめになり、ブラック企業はなくなります。

      例えば、労働基準監督署は電通から売上の1割を制裁金として召し上げて、Mさんの遺族に3億円くらいをお見舞金として送り、残りのお金をブラック企業撲滅基金として、運用して、通報者に報奨金を出していけばいいんじゃないでしょうか?

      話を戻すと、今の指名解雇はほぼ不可能である代わりにパワハラ、サービス残業が横行しているので、同時に法律を変更しないと、おかしなことになります。雇用者だけに厳罰を与えると、権利だけ主張するモンスター社員だらけになって、社会が回らなくなりますし、簡単に指名解雇する権利だけを雇用者に与えると、従業員をボロボロにして、使い捨てにするブラック企業がもっとのさぼります。

      シン

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      1. 会社も早期退職を募集して、気になる人材に退職勧告をかけるしかないですかね。
        40-50代のどうしようもない人たちが会社に残っており、クビにしようにもできない現状に困っています。いざ会社が傾かないと踏み切れないでしょう。
        そういう場面を肌で感じると、一般的に終わったと言われても、終身雇用はまだまだ継続されてるのだなと思ってしまいます。

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        1. 法律が変わらないと、持て余した中高年を切らないし、中高年は行き場がないので、しがみつきます。お互いに無駄だと思いますが、日本社会は無駄だらけです。

          その会社ではダメ中高年でも、他で輝けるかもしれないし、最低評価で嫌がられながら、居座るなんて、人生の無駄遣いです。

          シン

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  7. リチウムイオン電池の次の世代の電池、より強力で充電容量も大きい2次電池が開発されれば、間違いなくガソリンエンジン車から電気自動車にシフトすると思います。
    次世代電池の開発、製造においても、日本企業が核心技術を握っていてくれていることを願います。

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    1. そうしてくれないと、日本は手がつけられなくなる、という悲痛な思いとともに、日本の電池メーカー各社の取り組みに期待します。

      シン

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