じゃあ、氷河期世代

次は氷河期世代に行きましょう。通称、ロストジェネレーション、ロスジェネ、とも呼ばれ、池井戸潤さんのロスジェネの逆襲でも、話題になった世代です。

誕生

氷河期世代が生まれた頃、日本はすでに人口オーナスに突入し、団塊ジュニアと比べると激しい競争に晒されたわけではなく、それほど他人を気にしなくなり、学校教育も人権重視になりつつあり、強制丸刈り、体罰、荒れ果てた学校が変わっていきました。

思春期にバブルが崩壊、幸いにも自分の家は良くとも、嫌なニュースばかりを目にしたり、友達のお父さんの勤める会社が倒産した、合併した、リストラ食らったとか、先行きに不安を感じながら、成長しているので、コスパ主義で、無駄を嫌います。

大学受験もそんなに大変ではなく、バブル期に新設した大学は定員割れを起こしてして、Fランク大学が続々と登場したため、誰もが望めば、大学に行けるし、中堅大学の文系でよければ、ほんの少しの努力でほとんど誰でも入れるようになりました。

大学に入って、先輩が就活で精神をボロボロにされる様子を見てビビり、かなり早い段階から、自己分析、面接対策をして、今では定番化した就活ツールが始まった頃の人たちです。上の世代ほど受験は厳しくありませんでしたが、就活は困難を極めました。

この世代は上の世代ほど学歴、学歴、と二言目には言いません。オンラインでは一部の学歴中毒が喚いても、オフラインでいきなり名前の前にA大学出身の、、、と紹介する人はほとんどいません。

仕事

文系だと手当たり次第に何十社も受けて、一社でも内定が出れば、御の字だというくらい本当に仕事がなく、特に2000年前後はどうしても仕事が見つからず、非正規、ブラックにやむなく就職する人が後を絶ちませんでした。

池井戸潤さんのロスジェネの逆襲では上の世代なら、親会社の都銀には入れたであろう人材が子会社にようやく潜り込むのが精一杯で、やることはやるが、冷めていて腐っている様子が描かれます。

この辺りから終身雇用の概念が崩れ始め、入りたい会社から内定が取れず、やむなく入った会社をすぐに辞める人も珍しくなくなり、第二新卒という言葉も一般化してきます。しがみついていても、報われないのが頭に染み付いている世代です。

バブル世代、団塊ジュニアの上の世代が多すぎ、企業が雇用調整をしているため、同じ世代が少ないだけでなく、下の世代もあまり入ってこないため、いつまで経っても若手扱いの人も多く、割りに合わない思いをしている人が多いです。

この世代は後輩が少なく、ずっと何でもやってきたので、優秀な人が多いですが、下の扱いにあまり慣れてないし、可愛がったりもあまりしません。聞かれれば、答えますが、聞かれない限りは放置します。

仕事がこんな調子なので、結婚にも前向きでない人も多く、結婚するなら、共働きが前提だとも考えるようです。専業主婦を叩くのもこの世代からで、団塊ジュニア世代までは専業主婦を受け入れているような気がします。

思考

美味しい思いをしたことがないので、ネガティヴ思考の人が多く、二言目にはコスパと言うし、出世も望んでない人が多いです。上の世代をみて、旨味を感じないからでしょう。中途半端に課長くらいになって、板挟みで苦しい思いするなら、一生ヒラでいい、と公言する人も珍しいありません。

この世代には非正規を淡々としてきた人もいて、その人たちは何もかもを氷河期のせいにして、自分の不遇の言い訳にして、負のオーラが体に染み付いています。若い頃に就職できず、非正規をして時間が流れ、小泉政権時のプチバブル期には年齢制限で正社員になれませんでした。

IT革命を思春期で経験しているデジタルネイティブと言っていい世代なので、アナログを嫌い、新しく技術に抵抗がありません。仕事上でファックス大好きなのはこの世代以下にはおらず、パソコンの簡単な設定くらいはほとんど誰でも出来ます。

自分は好き勝手やるけど、他人が好き勝手やるのも気にならない世代なので、趣味に生きている人も多く、人目を気にせず、仕事が終われば、内にこもっている人も多いです。ノミニケーションを嫌がる人も多いです。おきまりの「コスパが悪い」と思うわけです。

まとめ

下のゆとり世代、さとり世代に続く流れは氷河期世代が原型になっていて、これから下はほとんど反発をしあいません。氷河期世代は下に奢りもしないけど、偉そうにもしないので、無理に誘わないので、お互いやりやすいみたいです。彼らはわからないものを理解しようともしません。

氷河期世代が社会の根幹を担うようになると、サービス残業、パワハラ、根性論はかなり下火になっているだろうと思います。また、仕事の効率化が進んでからでしょう。彼は紙媒体でないと、受け付けない人たちではないし、コスパにうるさいので、時間の無駄も嫌いです。

負のオーラが身についている人はともかく、やれといればやるし、調子のいいこと、適当なことは言わない、押し付けもしないので、扱いやすい人たちだと思います。日本を復活させるなら、この世代だし、この世代がダメなら、もうダメだと思います。

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ニコ
7 years ago

ありがとうございます。
氷河期世代の人に関してはこの世代に入社した人は優秀で異例の早さで出世して団塊ジュニアやバブル世代の上司から頼りにされて利用されてます。バブル世代以前の上司は何もしない人もいますw
また、ホームページに載る社員もこの世代です。
あと、技術者派遣からの転職、弱電から逃げた人が多いのもあるのて実力はあるけど何も教えてくれないのに厳しい、日本人特有の俺も苦労したんだからお前も味わえという精神的に辛い、ついていくのが嫌って感じになります。石田三成さんみたいに告げ口するので私はこの世代には好感はないです。

ただし、団塊世代のように精神論ではなく、指示が具体的で計画もきちんと立てる、考えが違うとしても良い提案なら受け入れてもらえることはいいと思います。団塊世代だとキレたり、シカトしたりする人もいます。

後は、独身率がこの世代から高いですね。部署で誰も結婚してないとかこの世代の多い部署ですし、マニアックな趣味の先輩に絡まれたりもします。

だんだんと私の世代に近づいてきますね。

2+
Garfield
7 years ago

氷河期世代のイメージは、BUMP OF CHICKENの最盛期の歌に表現されるいくつかの人物像と重なっている印象です。彼ら自身が氷河期の後半生まれですが、日本が成長している時代に生まれ、バブルが成人前に崩壊し、それでもなおまだ日本にお金が余っている時代に青春期だったものの、いつの間にか国力が衰えて綻びが見え始め、就職で現実に苦しめられた世代という感じです。幸せな子供時代の思い出と大人になってから社会の姿とのギャップに苦しみ、この世代あたりから内向きに自分を見つめるという傾向が世の中に増えたと思います。私は行ったことがありませんが、我究館の絶対内定に代表されるような自己分析が受け入れられていった世代でもあると思います。同時期のインターネットの普及もこの傾向に拍車を掛けた重要な要素だと考えています。私自身は氷河期世代とゆとり世代の狭間の短い期間に生まれた世代ですが、昭和から平成になってその後日本の空気が確かに変わっていった記憶があり、そのためかBUMPのような曲には共感があります。

1+
Y
7 years ago

Garfieldさんの内向きという言葉には賛同します。いつも一緒につるむけど、相手のことをお互い深く理解しあえてないのもこの世代の特徴だと思います。自分へ踏み込んでほしくないから、相手にも踏み込まない暗黙の掟で成り立っている世代ですかね。自己主張をして敵を作ることよりも、主張を抑えてでも丸く収めようとする傾向も強いです。(相手の批判もしない代わりに自分の批判もしないでほしい)
目立つことが、羨望ではなく、場合によってはいじめのターゲットになりえるリスクを内包していたことも特徴的です。この世代以前のいじめは身体的、家庭的、精神的弱者が対象になりやすかったことと対照的です。特徴的な言葉の一つに「あいつ調子こいてる」という言葉が挙げられます。能力をいつも発揮しすぎてしまうと調子乗ってるって言われてしまうんです。
自分は氷河期世代の後期とゆとりのちょうど間くらいの世代だと思いますが、能力のある人が学校などのコミュニティでマラソン大会、学力試験以外の場では極力自分をセーブして目立つことを回避していた人が多かったです。
このようなことから氷河期世代は別名では抑圧世代でしょうか?

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Garfield
Reply to  Y
7 years ago

Yさんの仰るとおり、「あいつ調子こいてる」という抑圧の雰囲気や空気は漂っていると思います。どの世代でも出る杭は打つというムラ社会の傾向はありますが、「みんな」でという点は共通していても、団塊世代やバブル世代などは「みんな」が上に行こうとするという上昇志向であったのに対して、氷河期から先は「みんな」で低い位置に小さく丸まって一緒にいよう(だから勝手なことして調子こくなよ)という下降気味の志向があるように感じます。Yさんは恐らく私と同じ年齢層だと思われますが、私としては上記の傾向は既に中学校で強かったように感じます。(一日の授業後のホームルームで「みんな」がその日の感傷的な反省会をする、合唱やクラス行事の方向性に疑問を差し挟むと「Garfield君はみんなをバカにしている!」と女子生徒から怒られるなど、色々意味不明なことが多かったです。)

一言で言うと、傷の舐め合いをしている方が多い世代なのかもしれません。つるむけれど深くまでは入り込んでほしくない、でも心の底ではもっと深いつながりがほしい、でも主体性を発揮することで自分が傷付くのは避けたいという感じでしょうか。前述のBUMPの曲のラフメイカーのような人を望みつつ、しかし現実ではそんな人がいたら「調子こいてる」と叩くのだろうなと思います。

1+
Garfield
Reply to  シン
7 years ago

確かに我慢を強いられてきた世代だと思います。それまでの世代と比べて社会背景が大きく変わり、過渡期世代だったのだと思います。

細美さんは氷河期世代の前半生まれですね。学生時代友人たちとカラオケに行った時の締めにMake A Wishをよく歌っていました。好きでしばしば聞いていましたが、2000年代初期の曲が特に良いと思います。当時の若年層の英語やその文化圏への漠然とした憧れのようなものを日本人が英語で体現していたために、日本だからこそ受けたのだと思います。当時は長期留学生の数も多かったみたいですし。

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ran
7 years ago

この頃から、学歴神話が世間でも崩れてきたイメージです。
どうせいい大学いっても、就職できねーから、勉強なんてサボろうぜ、みたいなセリフをいう小学生が頭に浮かびました。
学級崩壊とかもここら辺からのイメージです。
また、キレる17歳世代と同じくらいですかね。
サカキバラが話題になった頃は、犯行声明から、高い教養のある30代男性だと語った学者がいて、少年と判明してからは、学者も
的外れな事言うなあ、と笑ってしまいましたね。

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かりりん
7 years ago

確かに氷河期世代は、こちらの記事に書かれているような印象ですね。なんとか就職できても、圧倒的な人数のバブル、団塊ジュニア管理職がすぐ上にいて、上に登ることのできるエレベーターはすでに満員状態。それでいて大人しく社蓄するのって馬鹿馬鹿しくなるでしょうね。もがいてもどうしようもない、そのエネルギーはどこへ行くのでしょう?出来れば、そのエネルギーは有意義に使っていってほしいものです。(注)意外にもこの世代の日本人はアメリカにたくさんいます。学生もしくは現地採用者がほとんどで、そしてその多くは数年で見切りをつけて日本へ帰国していきます。飛び出してきたものの、冷静に現実と向き合い、正しい選択をしているともいえますね。

1+
ダー
7 years ago

はじめてコメントします
世代シリーズ面白いですね

自分は氷河期世代です
大学卒業時には履歴書を何十枚も書いて書類選考すらほとんど通らなかった覚えがあります
公務員の競争率が劇的に上がったのもこの辺りからかと思います

ですが結果として自分の周囲では結婚して家庭を持って暮らしている人がほとんどです

当時はマスコミが不景気不景気と煽り、それを真に受けて卑屈になっていましたが、今思えば食っていくだけならどうにでもなる気もします

また実は親世代が裕福な家庭も多く、今になって相続やら生前贈与やらで潤っている人の話もチラホラききます
私の家庭は特段裕福ではありませんでしたが、それでも奨学金を借りることもなく進学させてもらえました
そういう面では今の若い人より恵まれているのかもしれません

私の若い頃は「先の見えない時代」などと言われ悲観していましたが、
今は見えないどころか衰退していくのがほぼ確定しています

そう考えると今の若い世代は本当に可哀想だと思います

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Y
7 years ago

氷河期世代は二十代前半の若かりし頃に右肩下がりが確定的だったので、貧しさに対する覚悟って一定程度あると思うんですよ。それよりもバブル世代はなまじ二十代の前半にほんの少し甘い汁をなめて、終身雇用もギリギリ信じられたんで、二十代の頃に会社や上司から理不尽な仕打ちを受けても我慢しちゃった世代なんですよね。今さら管理職になっても下の氷河期世代は何かあったら辞めてやる気が満々なので、昔自分たちが耐えてきた頭ごなしの説教とか強引な指示が通用しなくなってるんですよね。そうした意味で梯子を外されちゃったわけで・・・・。

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Y
6 years ago

最近強く思うのですが、氷河期世代は新卒で大手に正社員として入社出来た人物と非正規、中小の内定しか取れなかった人物との間に圧倒的な能力的な壁が存在することでしょうかね。というのも氷河期世代は善戦採用だったので、入社の競争は厳しいですし、入社してからも人数が少ないので一人当たりの仕事のボリュームや難易度が高めの中で仕事をこなさざるを得ませんでした。(入社一年目から、入社三年目以降に本来こなす1.5人分くらいの仕事を恒常的にこなしてきたイメージ)
そのため、彼らの30歳時点の能力値はあらゆる世代の中で突出しています。実際に彼らに接した経験に照らしてもこの世代は部署の中でエース級の人達ばかりでした。会社としては不況がひと段落して、採用を抑制したその世代を中途で補充することに積極的でした。しかしその世代で大手の入社に漏れたのは非正規、中小の雇用が大半で言われた仕事しかこなしてこなかったために、中途採用に必要十分な能力ではありませんでした。ここが氷河期世代で非正規の新卒採用で負け組になった人達の悲劇です。結局、会社は彼らの中途採用を見送り、氷河期世代以降を第二新卒として採用したり、多少のことには目をつぶってゆとり世代をじっくり育てる方針に転換しました。本当にロストジェネレーションという言葉がぴったりはまります。能力開発、平凡な幸せという点で新卒で負け組になった彼らは敗者復活の機会が与えられないまま、完全に置いてきぼりにされてしまいました。
氷河期世代で新卒採用競争に敗れた人たちを仕事をする機会を経験しましたが、能力、責任感という点で、自分よりも年上のくせにこの程度かという疑念を感じざるをえないことは多々ありましたが、半分は犠牲者という点は否定できません。

2+
ニコ
Reply to  Y
6 years ago

Yさん
氷河期世代の部下として仕事してますが、彼らの能力は会社のHPに掲載されるくらい優秀な人が多いです。それ故、普通の人がついていけないことや組織として機能しづらいのが問題になります。
また、こんなにできる社員が一般なわけじゃないのに上が調子に乗って基準値にするので困りました。

それ以降のリーマンショックなどの不景気入社だとブラック企業という言葉があるように雇用の劣化が進んだので、私の周りの人のほとんどは転職してますね。
優秀な人ほど職場を替えてます。

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コロナの女王
2 years ago

問題のあるアストラゼネカ製ワクチンを中年層への使用を検討してるそうですね。職域接種も受ける機会のない氷河期世代のゴミにはこれでいいでしょwてなもんでしょ。非正規も多いこの世代は将来的に負担ですし邪魔なだけですしね。一生雑に扱われ続ける悲惨な世代です。

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