じゃあ、インド人躍進

最近、インド人の躍進は目を見張るものがあります。グーグル、マイクロソフトの雇われ社長はインド人ですし、アメリカのビジネス界で雇われ社長としてそこらじゅうで見るようになりました。この彼らの特徴は大学まではインドにいて、アメリカ生まれ、アメリカ育ちではないことです。

アメリカ育ちの中国系ということなら、ヤフー、ジェリー・ヤン氏、NDIVIA、ジェンセン・フアン氏などの台湾勢の躍進が目立ちますが、彼らは幼少期に渡米しており、半ばアメリカ人として育っていますので、大学まで本国で過ごしたインド勢の躍進とはまた少し違います。

英語

インド人が英語を教育言語として採用しているのはアメリカで成功するのに大きい要素だろうと思います。かなり訛ってはいますが、読み書きに不自由するようなインド人エリートはいませんし、渡米してしばらく経てば、徐々にビジネス上でも問題ないレベルになってきます。

これが日本人なり、中国人だと、大学まで母国にいるとエリートですら英語の読み書きすら怪しいレベルであることが珍しくなく、英語論文を自分で書き切れる人はかなり珍しいです。かなり添削してもらって、なんとか学会提出するレベルだと言っていいでしょう。

有能であることは誰が見ても明らかな孫正義氏は日本の高校を中退して渡米し、アメリカの大学を出ていますが、はっきり言って英会話は下手なので、あのままアメリカに留まってスプリントに就職してもマネージャーにすらなれなかっただろうと思います。帰国して大正解です。

そうなると、日本語母語話者はよほど語学センスのいい人でもないなら、ソニー、平井氏みたいに幼少期から日米を行き来するような人生でも送らないと、アメリカで経営者になれるほどの英語力は身につかないことに成ります。その点でインド人は大きなアドバンテージを持っているといえるでしょう。

論理

インド人と接した人は知っていると思いますが、彼らはすごく理屈っぽく細かいところを延々とついてきますし、本質的に議論をすることが好きみたいです。お得意の首を左右に振りながらフムフム、と辛抱強く聞きます。だから、延々と交渉することも厭わないし根負けして諦めることも余りありません。

アングロサクソンと対峙する場合、議論を避けることは出来ませんし、何をするにはひたすら交渉することになります。これを東アジア人は苦手とするので食い物されるし、信頼もされないのです。東アジア人は議論に慣れていないので、激論を交わすことで疲労したり、感情的になって諦めてしまうのです。

この論理性、交渉術が身につかないとアングロサクソン社会では生き残れず、特にGM以上の幹部職は務められません。アメリカでは実務しない人は常にギリギリの厳しい折衝ばかりを担当することになるので、決断力、忍耐力、精神力がずば抜けてないとダメです。

日本人は部長と名乗っているのに実務していたり、ろくに権限も与えられていないこともざらにあることからわかるように、特に日本人は巨大な権限を与える代わりに、その責任も強く取らせるという慣習がないので、管理力が身につかないのです。だから、日本企業の管理職は管理などしていません。

アングロサクソン経営だとGM以上は中小企業の社長並の権限があると同時に、数字が出なければ即解雇になるリスクと向き合って仕事をするので、些細なことで腹を立てて怒鳴る、パワハラするような小心な人には勤まりません。インド人はアングロサクソン経営の幹部を出来る能力がある人が少なくない、ということでしょう。

金銭

インド人と話しているとびっくりするのは「金、金、金」なんですよ。貧困層がそういうスタンスなら理解できますが、お金にさほど困らない中流以上の家庭出身でも常にお金が価値基準でそこにブレがありません。日本人なら恥ずかしくなるくらいはっきりと、お金の為だ、と言い切ります。

だから、インド人はお金にならないことは一切勉強したがらないので、インドのトップスクールはIIT(India Institute of Technology)と国立工業大学群であり、アメリカで活躍するインド人ビジネスマンは大抵がここの出身者で、アメリカの大学院に奨学金をもらって渡米することからキャリアスタートですね。

インド人に理論系専攻は本当に人気がなく誰もやりたがりませんし、文系は弁護士志望者くらいしか聞いたことがありません。例外的にMBAは大好きみたいで先にあげたインド人たちもMBAを取っています。まず、仕事を見つけ為に理系、偉くなる為に箔をつける、という感じなんでしょう。

アメリカでもMBAの人気が落ちつつあり、コストに対する実利がないのが見えてくると、インド人は当然スルーしてくるようになると思います。彼らにとって利があるのか、ないのか、だけがすべてなので、取り返せない見込みの投資をすることはありません。

こういうわかり易さがアングロサクソンからすると使いやすいのでしょう。意味のわからない情に訴えかけてくる日本人よりも、実利一辺倒のインド人の方が圧倒的に使いやすいのでしょう。仕事熱心だし、数字は出すので、多少通じにくい訛った英語だろうが、そんなものは関係ない、と雇われ社長に抜擢されるんでしょうね。

まとめ

日本人がアメリカ企業の幹部に成ることは日本市場担当役員、ということでもない限りはないだろうと思います。マイクロソフト、アップルでも日本人で本社役員になった人はいるんですが、あくまで日本の市場の大きさを意識した担当役員と言う感じで社長候補を見据えたものではありませんでした。

英語力もそうですが、それ以上にメンタルが日本人的だとアングロサクソン経営には向きません。だから、孫氏のように日本で天下を取ってから、アメリカに殴りこんで日本型の経営をアメリカに合う形で進めるしかないのでしょうね。

日本人からするとドライに見える中国人も日本人ほどじゃないにしろウェットですし、交渉上手でもないのです。感情的に成りやすいし、我慢強くありません。だから、東アジア文化なんでしょうね。良くも悪くも曖昧で優しい人たちなんだと思います。

6+

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、インド人躍進」への9件のフィードバック

  1. 数学のお話で、インドは0の概念を発明した国ですので納得しました。
    それまでは、無というのは感覚的に理解はあるが数学として公理を立てることはなかったのだと思います。
    底力のある国だと思いますよ。

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    1. 底力はあるものの、中央集権の進まない国でもあるのでなかなか成長はしないだろうな、と思います。一つの目標に対して一致団結するには自由すぎる人たちなんですよね。

      シン

      1+

  2. 日本企業の役職者(GM、部長など)に権限委譲できていないのは、まさにご指摘の通りだと思います。
    結果、何か事業を動かすには所属部署のヒエラルキーのトップにいる人間(担当役員など)に全ての判断が集中し、現実と乖離した判断が下される。または、判断が異様に遅いという事態が生まれていると思います。

    0

    1. 役員レベルになると、実務をまったく見てないので、現場とあまりにも乖離した決断をしたり、確認にあまりにも時間がかかって決断した時にはもう遅い、という事態になりがちです。

      MRJのグダグダはこれが原因だと言う指摘がありましたが、そうなんだろうなぁ、と思います。

      シン

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  3. >こういうわかり易さがアングロサクソンからすると使いやすいのでしょう。
    これだからインドは大英帝国の植民地にされ、徹底的にしゃぶり尽くされたたんですよ。あれだけの人口が居ながら、ずっと小さな国に植民地にされたのは他に例がありません。
    社会構造としては一部の人間がアングロサクソンと結びついて富を独占し、他は貧しい状態に置かれているわけですよね。
    今や、中国人からもインドは遅れているように見えるらしいです。

    1+

    1. 確かにそうですね。公共より個人の利益を大事にするので、一部の人間がアングロサクソンと結びついて国を売ってしまったのがインド植民地化の始まりです。

      シン

      1+

  4. はじめまして。
    今も、インド地場の企業は財閥系が強く、IT系はアメリカに本社を持ちインドは開発またはオフショア拠点です。

    自由すぎる国だけに、統率力に課題があるのでしょうね。
    面白いのは、彼らの中にも比較的真面目な人材はいて、番頭として協力してくれることです。皆も彼、彼女を頼るので、うまく抜擢がハマれば成功します。嫌われたら終わりですけど。

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    1. インド文化として自由すぎる人たちなので一部のスタープレーヤーに頼る部分が大きく、それがハマるとガツっと伸びるし、ハマらないとグダグダなんでしょうね。

      シン

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  5. スタープレーヤーをスターにさせず、手柄を取ろうとする輩も居るのは日本と同じですね。
    個人スキルへの依存率が高い分、誰がスターで誰が阻害因子か見極める必要があります。

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