じゃあ、法学部

要望があったものの、長らく封印していた学部批評を再公開していきたいと思います。ようやく、折り合えるラインが見えた来た、という感触があり、私の意図と真逆のコメントであふれたり、荒れたりしないだろうと思っています。まあ、荒れたら、そのときはそのとき考えますよw

さて、法学部からスタートします。

日本の法学部、司法試験制度は異常です。法律とは論理学のはずなのですが、司法試験制度自体が何の論理性も感じない欠陥制度です。利権が絡んだ思惑に左右されて、新司法試験に移行する前から、本当に運用できるのかを疑問視されており、すでに破綻しています。

イギリス型

日本では上位互換で弁護士、司法書士、行政書士、と受け持ち分担が資格の種類でわかれて、序列がありますが、イギリス型の司法試験システムはシンプルで、法学部は医学部のような存在で、定員が少なく、きちんと勉強さえしていれば、全員が弁護士資格をもらえます。

イギリス型には序列はなく、資格は同じなのですが、学歴、実力、適正で、法廷弁護士、渉外弁護士、書類弁護士、サラリーマン弁護士となるのです。非常に効率がいいと思います。需要の分だけ学生を取り、全員に同じ資格を与え、資質によって、役割分担が決まっていきます。市場の原理に任せていると言うことでしょう。

学費がものすごく高いと言うこともなく、一般的な文系の学費と同様ですので、卒業したら、とんでもない額の学資ローンが肩にのしかかる、と言うこともないです。逆に言うと、資格を取っただけでは高給は確保されておらず、最低限保証はあるが、そこからは自分次第ってことになります。

アメリカ型

法学部がなく、学部を終えたあと、大学院のロースクールからスタートします。2年間のカリキュラムが終わった後、州ごとのBar Examを合格できれば、ほとんどが弁護士資格を取れます。一部、取れない人もいますが、きちんとやって取りこぼすことはないでしょう。

日本の新司法試験はアメリカを手本にしていますが、日本、アメリカでは状況が余りにも違い、そのまま手本にするのは余りにも無謀です。アメリカでは名門といえないような大学にもロースクールがあり、ノンエリート弁護士はたくさんいますが、それはアメリカが訴訟社会であり、弁護士の需要が日本と桁違いに多く、英語ネイティブなので海外需要もあり、また外国人学生も入学するのです。だから、学校、学生ともに損はしません。

多くの学生が多額の学資ローンを背負い込んでスタートしますが、白人英語ネイティブなら資格が取れてさえいれば、一流の弁護士にならなくても、きちんと探せば高給で雇ってくれる会社があります。そのため、学費を返すくらいのことはできてしまうわけです。それでも、アメリカの学資ローンは苦しいみたいで、文句を言うアメリカ人は多いです。

失敗の原因

日本の新司法試験の失敗は色々あります。

A. 需要を見極めずに、合格者(供給)だけ増やした。
B. 旧司法試験合格者がほとんどいない大学にもロースクール設置を認めた。
C. ロースクールを設置したにもかかわらず、法学部を廃止しなかった。

こんなことは設置委員会のメンバーも理解していたでしょう。なぜ、失敗の見えていたやり方を進めてしまったのでしょうか?それは利権です。どんなことでもそうなんですけど、誰が見てもおかしなことが強行されるときには利権が絡んでおり、特に日本では上が決定すると、下はおかしいと思いながらも突き進みます。

あまり知られていませんが、法学部の教授は弁護士資格を通常のやり方で手にしていません。法学部教授枠という裏口で手にしているので、実務の経験がなく、実務形式の授業担当は出来ないどころか、実務なんかやったこともないので、大学教員の椅子を失うと、完全無職になります。

次に大学の存続が危ぶまれている私立大学がロースクール設置をどうしても望み、ロビー活動をしたと思われます。少子化を無策で放置すれば、廃校になるのが目に見えている大学が起死回生の一発逆転の手段としてロースクールを望んだのです。ロースクールがあれば、ブランド力が上がりますし、助成金ももらえます。これは一時の大学院設置バブルに似ています。

そして、ロースクールスタートから、10年が経ち、半数程度が受け入れ停止をしています。開始前から、誰もが見えていた失敗をしてしまうのは日本の様式美といってもよく、得をしたのは利権者だけで、血税は失われ、学生は借金を抱えました。ともかく、旧司法試験ではとても合格できなかった人で司法試験に合格できた人はともかく、三振した人は人生をほとんど終了させたといって良いでしょう。

まとめ

もともと、法律はエリート、お金持ちにしか関係ありません。一般人はむしろ法曹のお世話に出来るだけならないほうが良いでしょう。せいぜい、不動産登記くらいにしていくのがいいと思います。にもかかわらず、一般人が法学部に平気で進むので、何の技術もないノンエリート文系が大量に吐き出されます。まあ、今までは事務屋にでもなればよかったので、それもいいでしょう。

はっきり言いますが、一般人は法律なんて勉強する必要ありません。そんなことしなくても、きちんと証拠、記録をつける癖をつけておけば、困ったときにきちんと対応できますし、素人に手が終えないケースに巻き込まれたら、法テラスなどの公共機関でタダで相談に乗ってもらえますから、自分でお金を払って、大学で学ぶ必要はありません。

後記

実はこの記事を書いたのは2012年のことで、それを少し編集しましたが、5年後、2017年にはやはりもっとひどいことになっており、Fラン大学どころか、中堅大学すらロースクールを廃止しています。旧司法試験なら、挑戦しようとすら考えなかった人たちに甘い夢を見せ、大切なお金、時間を奪った文部科学省、法学部教授は万死に値すると思います。

 

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、法学部” への 19 件のフィードバック

  1. 元法学部です。この記事は法曹の世界の実態を正確に表しております。

    新司法試験の受験資格は、ロースクール卒もしくは予備試験合格です。しかし、ほとんどのロースクールは存在価値がないです。司法試験の合格率は常に予備試合格者が他のロースクール出身者を抑えて1位です(いくら予備試合格者の母数が少ないとはいえひどい有様です)
    つまり、大学院で2年間学んだ人より、独学で予備校に通って予備試験を合格した人の方が優秀であると証明されてしまっているのです。ロースクールなんて20代の2年間という貴重な時間と多額の学費を払ってまで行く価値は全くないです。というか、合格率数%の予備試験受からない人はそもそも法律のセンスがないので、法曹の世界に入っても苦労するだけなので早めに見切りをつけるべきです。
    実際に、法律事務所も予備試験合格者限定のセミナーを開いて青田買いしています。単なるロースクール卒司法試験合格者は初めから用無しです。

    そして弁護士のお給料ですが、国税局が公表しているデータでは、所得70万円以下が25%くらいいます。この25%のほとんどが20代の弁護士です。弁護士になれるくらい優秀なら官僚や優良な民間企業に行けるのでは?と思います。わざわざ茨の道を突き進む必要ないのでは?と思います。頭のいい人でも木を見て森を見ないんだな〜と感じます。

    長くなりましたが、これが弁護士の実態です。私はこの現実を見て法曹は諦めました。全く後悔してないです。若い人たちが法曹の道を諦めて、利権にしがみつくロースクールが潰れて旧来の司法試験制度に戻ることを切に願います。

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    1. 若い人がオヤジに食い潰されるのを見ると、遣る瀬無い気持ちになります。期限を区切って、予備試験で受からない人は弁護士を諦めるべきです。

      シン

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  2. 自身が学生であった2000年代に既にロースクールに怪しさを感じていました。何故ならば、進学を盛んに扇動しておきながら、出口について全く論じられていなかったからです。当時は新試験の特徴は実務に即した授業を通じて真のリーガルマインドを養成するという謳い文句が闊歩してましたが、今振り返るとリーガルマインドっていう抽象的な言葉がそもそも残念な結果を暗示していたと思います。なりたい自分になろう的なキャッチフレーズと何ら変わりありません。メリットを数字で明示できない時点でダメなんですよ。
    また、なんでもかんでもアメリカ式を取り入れることにも違和感を感じていました。アメリカ式だから良いと無批判に取り入れるって危険だと思います。2000年代は会社の役員をCEO、だったりCOOだったり良くわからない言葉で呼ぶようになった会社も散見されてきました。行き詰った末にとりあえずアメリカ式で時間稼ぎをしたかったんでしょう。
    それにしてもこれだけ弁護士が増えたら、司法書士や行政書士が主に担当していた業務に弁護士が侵食していき、結果的に弁護士の下位資格は業界から押し出されて食べていけなくなるでしょうね。(すでに一般的な弁護士も食べて行くのに精いっぱいの人も多いです)今さら司法書士を必死に勉強している人って一体何なんだろうって思います。それならば、電気工事士や鍼灸師の資格を取った方がマシなのではないでしょうか?

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    1. 出口を議論せずにフワフワしたキャッチフレーズでやり出したことがメチャクチャになるのは当たり前で、このブログでも出口を決めて動くことの大事さを繰り返し説明しています。

      表面だけアメリカ式にするの執行役員なんかと同じです。単なる役職増やしに使われて、権限のはっきりしない役員が増えただけでした。オヤジのポジション確保に使われるんですよね。

      シン

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  3. 今の時代、弁護士は稼げないとして、検察官や裁判官は稼げるのでしょうか?
    また、官僚などの公務員になるのに、法学部は他の文系学部と比べて優位性はありますか?
    今は、歯学部は親が歯医者の開業医しかこない事が多いらしいと聞きますが、法学部も親が法律事務所を持ってる人しかこないようになると思います。

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    1. ranさん
      大学生のうちに司法試験に合格できる、または仕事しながら受験勉強ができる優秀な人ならいいと思いますけど司法試験は難しいので会社を辞めるや受験勉強で履歴書に空白ができるのが問題だと思います。

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    2. 検察官、裁判官は公務員なので、稼げるわけではありません。官僚くらいでは?

      法学部の講義が公務員試験の内容に重なる部分があるので、少しは有利になりますが、あくまで試験を突破する、という目的なら、その道のプロである予備校に行った方がいいでしょうから、大きなメリットではありません。

      例外的に官僚は東大文一信仰があり、今はあまりいませんが、他の東大文系学部を出た後、わざわざ法学部に入り直す人もいました。この場合、実利でなく、ブランドの為です。

      弁護士、司法書士も事務所持ちは親の地盤を受け継がず、一から自分でやって行くのは相当困難で、普通に起業しても、成功できるぐらいの営業力が必要です。

      シン

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      1. 検察官は、普通の公務員の範疇のようです。
        さすがに、裁判官は責任が大きいので、公務員としては破格の給料のようです。
        ただ、司法試験で上位合格しないと裁判官にはなれないようなので、弁護士になるより明らかに難しいですね。
        山口真由さんは、東大法学部首席ですが、官僚を辞めたあとは弁護士になりその後はタレントになり、と迷走しているような気がします。
        勤勉で暗記は得意だが、数学などのセンスはなく、特にやりたいことがなく正解主義な方は、医学部にいくべきだと思います。
        医学部は、入試では数学が必要ですが、入ってからは暗記地獄なので、上記のような方が向いていると思います。
        田舎の駅弁医学部は、センター重視で、二次試験も数学と英語だけです。
        数学が難しすぎて差がつかず、英語で決まる事もあるようなので。

        1+

        1. 裁判官は自由を制限される報酬で割高ですが、裁判官からアッパーミドルになるのは無理だろうと思います。

          確かに山口さんは勤勉だとは思いますが、独創的ではないので、研究者には向かなさそうですし、自己承認欲が強いので裏方の官僚にも不向きです。そして、メンタルが弱そうなので弁護士、タレントとしても大成はしないでしょう。ライターとしても、ありがちなタイプでキャラ立ちもしておらず、一本立ちは難しそうです。

          そうなると、この手の人は医者をしながら、ちょこちょことタレント活動をしているのがいいのかもしれません。

          シン

          1+

          1. 勉強の才能だけあっても、意外と人生うまくいかないものですね。
            予備校講師は、こういったタイプが多い気がします。
            自分は、予備校講師は高学歴で難しい事教えてるので、待遇はいいと思っていましたが、非正規で不安定なうえ平均年収では、並みのサラリーマンより低くて、驚きました。
            拘束時間も長く、離職率も高く、少子化で斜陽産業になりそうです。
            もちろん、林修さんクラスになれば安泰ですが、そのレベルになるには勉強以外の才能が必要ですね。

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          2. 勉強の才能は過大評価されがちですが、人生で重要な能力の一つに過ぎず、他の能力とうまく組み合わさらないと、さほどの効果が期待できません。

            林修さんは東大ブランドがあり、ベシャリ能力がかなり高いので、予備校講師、タレントとして芽が出たわけで、東大ブランドだけで、どうにかなるほど人気商売は甘くはないと思います。東大には一学年に三千人もいるので、そこまでレアでありませんからね。

            シン

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  4. ranさん

    司法試験に合格し、実務研修を受けて最後に二回試験と呼ばれるものを合格した人たちの中で成績順に弁護士、検察官、裁判官のどれになるか決めることになります。検察、裁判官になれる人の数は旧新司法試験に関わらず一定なので、質・待遇は担保されます。優秀な人が検察官、裁判官になり、残りが弁護士になるというのが現状です。新任弁護士のうち4,5割は資格取得の時点で就職先は決まってないです。仮に就職しても、世の中には、ブラック企業顔負けの劣悪な労働環境の事務所が跋扈しております。個人事務所なんで労働法なんて守ってたら潰れちゃいますしね。昔は弁護士1年目年収600万が相場だったみたいですけど、今は4〜500万だそうです。福利厚生も考えたら優良な民間企業に就職した方が経済的メリットは高いと思います。

    1+

    1. 詳しい方のようなので質問しますが、学部の大学と別の大学の法科大学院に進む人がいますが、それは何かメリットがあるのですか?
      自分はあまり弁護士を知りませんが、知ってる範囲では、
      かなり昔の人ですが、高校時代に同級生を殺害して少年院を出たあと、慶応法学部から学習院の法科大学院にいって、弁護士になった人がいます。
      また、比較的最近の話で、2ちゃんねるの騒動に仕事で関与した結果、自分まで2ちゃんねるの人たちに殺害予告を受けるようになったK弁護士は、慶応sfcから早稲田の法科大学院です。

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  5. ロースクール制度の導入は本当に多くの不幸を生み出した愚策だと思います。
    実際に私の同窓生でロースクール入学とともに人生が狂ってしまった人がいます。司法試験に失敗して後戻りできなくなり、将来を悲観して鬱になり自殺してしまいました。更に身近なところで親戚で東大のロースクールに行った者がいますが、司法試験には合格したものの学費の借金がのしかかる中、弁護士としての性格的な適正にも問題があり鬱を発症して引きこもった後、通院治療後の今は中小企業で低賃金の事務員をしています。

    これ程までに多くの人の人生を狂わせておいて、未だに制度の抜本的な改正がされないのを見るにつけ、日本の政治に絶望してしまいます。法曹を目指す位なので彼らはそれなりに地頭は良かったはずで、それが愚かな政策のせいで他の付加価値を生む生産活動に携わる機会を奪われてしまったわけです。こんな生産人口の浪費をしていれば、一人当たりGDPで先進国最下位を伺うところまで国が傾くのも当然ですね。

    制度導入から10年強が経ったのですから、一度統計的に制度の結果を総決算をし、抜本的な見直しができないものでしょうか。利権がからむので困難なのはわかりますが、このままゾンビ制度を存続させれば更なる犠牲者が毎年量産されてしまいます。

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  6. メーカーの知財部にいますが、中途採用で弁護士を募集をみますと、
    研究開発、生産技術の技術者の経験が3年以上と知財業務の経験あり
    TOEIC800点以上
    弁護士資格あり
    という求人を出したら1人も応募がないです。
    そんな人おらんやろって気がします。

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    1. 日本企業って、新卒には甘いのに、中途には厳しすぎるハードルを課すことがいいのです。特に経歴の空白を嫌うので、司法浪人して、上手くいかないと、引き取り手がなくなる可能性が高いでしょうね。

      シン

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  7. ranさん

    >>学部の大学と別の大学の法科大学院に進む人がいますが、それは何かメリットがあるのですか?

    結論からいうと特にメリットはありません。合格率の高い一橋や東京の大学院に行くなら周りが優秀なので切磋琢磨できると思いますがその程度です。最近は学生確保のために院試の成績がよければ学費免除とか結構やってるので、複数受かった中で一番待遇がいいとこに行くか?って感じだと思います。

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  8. 法学部卒後に法科大学院受験に失敗してしまった友人がいます。出身大学と院が同じでも特に入試優遇はなかったようです。その後の状況は不明ですがおそらく弁護士資格は取得できておらず、貴重な二十代を喰われてしまったのだろうと思います。向いていないのに弁護士資格への憧れや惰性で法科大学院に進もうとするのは本当に危険だと思います。

    山口さんについてのコメントがありましたが、同じ学年で学内で見た記憶があります。何で文Iに入ったのか動機は不明ですが、御多分に洩れず文系の偏差値一位を目指したということかと思われ、そのためかあまり法学や弁護士業そのものに興味がないのでは?という印象です。YouTubeで最近の姿を見ましたが、喋りはあまり上手くないのでタレントとしては難しそうだと思いました。

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    1. なんでもそうなんですが、自分と向き合うのでなく、他人にどう思われるか、を主目的にして、努力をしても、幸せにはなれない、という典型例のように思えます。適性のないこと、興味ないことは成果が出づらいし、仮に努力でカバーして、成果が出ても、山口さんみたいになるのはどうかとも思います。私には彼女は何がしたいかわからないし、承認欲の塊になって、整形中毒者みたいな見た目になってしまいました。華やかな経歴を見世物にして、小銭かせでいる香具師のように見受けられます。少なくとも、ぬるりと生きる的には最悪の生き方です。

      シン

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