じゃあ、李家三代

シンガポールは独裁国家です。その独裁政治で数字が出ているので暗部が隠れているだけで、かなり際どいこともしています。数字さえ出てれば、多かれ少なかれ、みんなハッピーなんでよね。そんな、李家の人々を描きたいと思います。

初代

初代、リークワンユー氏はシンガポールの国父といっても差し支えない人物で、彼の業績、貢献なしに今日のシンガポールの繁栄はあり得ず、他界しても絶大な人気を誇るスーパースターです。その彼は元々弁護士であったことがシンガポールのあり方を示している気がします。

罰金国家といえるくらいルールだらけの国ですが、法によってルールを決めないと、華人は言うことを聞かない。罰則がなければ、ルールは存在しないことと変わらない、ということを強く意識して、国づくりをしたため、ガムの持ち込み罰金、落書きは鞭打ち、というルールになります。

逆に言うと、法律なんてルールメーカーがいくらでも作り変えられる曖昧なものであり、万能なものではなく、場合に応じて、どんどん変えていくものだと考えているため、ダメだ、と判断したら、矢継ぎ早にルールを変えていきます。だから、シンガポールのルールなんて信じ込んでいても、明日変わるかも?とシンガポール人は思ってます。

二代目

リークワンユー氏を継いだ、リーシェンロン氏は現首相です。彼もおじいさんなので、そろそろ後継者問題が発生してますが、おそらくは現内閣の大臣から中継ぎ首相が選ばれるだろう、と想定されています。二代目として十分な仕事をして、次に繋いで行こう、ということです。

彼は父親の命令によって軍にいました。軍籍を得てから、ケンブリッジ大学に軍の奨学金で進学し、コンピューターサイエンスの学位を取り、ハーバードのケネディスクールで政治家、官僚としての素養を身につけています。おそらく、リークワンユー氏が軍の物理的暴力を掌握するのが政権維持の基本だと考えたからでしょう。三十路過ぎには准将になり、政界入り、財務大臣、首相になっています。

彼には弟がおり、リーシェンヤンと言います。彼は政府系通信会社のSingtelに勤めており、少し前まで社長をしていました。つまり、リークワンユー氏は軍事力、情報通信を抑えれることを優先させて、自分が学んだ法律など、学ぶ価値もない、と考えたようです。実用主義者として法律は絶対的なものではない、と思ったのでしょう。

ちなみに妹は医者になっており、李家では政界、財界に関わらない人は医者になる習慣で、それは他の有力政治家も同じ選択をするようです。医学はリスクなく稼げる、やりがいも得られる有益な学問だ、と理解されているようです。その為、シンガポールの医学部入試はかなり不透明だと言われます。

三代目

良くも悪くも三代目、リーホンギー氏は一家の命運をかける存在になりがちですが、本家の嫡男は軍籍、奨学金を得てからMITで経済統計、ハーバードで修士を取って、グーグルで少し働いてから帰国したそうです。この人は兵役中に兵卒でありながら意見書を出して物議を醸しており、軍には戻れず、情報局で働いています。三十路過ぎだそうで、今後が注目されます。

彼の従兄弟、リーシェンウー氏も経済系専攻を選んでいるそうで、スタンフォードで博士、今はハーバードでポスドクをしています。この道がシンガポール官僚のトレンドと言って良いのかもしません。専攻的には情報、統計と言う数学に近いもので、コンピュータサイエンスよりも、アカポス狙う人が専攻するような類の純研究のようです。

この世代は運営が困難だろうなぁ、と思います。李家はすでに揉めており、リークワンユー氏の自宅の処理を巡って、第二世代の息子娘が喧嘩になり、傍系のリーシェンヤン氏と息子、シェンウー氏が亡命騒ぎを起こしています。カリスマ亡き後に内輪揉めするのは世の習いです。

第三世代のホンギー氏、シェンウー氏は二人とも王子として生まれた為、かなり強気な人物で、自分の特権的立場を当たり前だと考えている節があり、他人に頭を下げることが出来ない人物に見受けられます。特に本家のホンギー氏は正に王子です。そういう人は突き抜けて有能でないと、組織にとって害になります。

まとめ

一昔前まで法律を学ぶことが立身出世の手段でしたが、そういう時代でもなくなり、やはり、情報通信を握る人間が強いのだな、と思います。敵の弱みを握れますからね。そして、最後の最後は物理的暴力に敵うものはなく、有無言わさず、制圧されたら勝てば官軍です。そういうことをシンガポールの王族に近い人たちの立ち回りで感じました。どの大学、どの学部でも行ける特権階級の李家の誰一人、法律専攻者はいません。

これからを背負う子供は適正があるならコンピュータサイエンスをやっておくのが無難であり、かつては奇人の変人の巣窟だった純粋数学に近いようなことでも、それを活かす方法は多くなりました。淡々と自分のやりたいことを優先させるなら自営業の医者がよく、それが無理ならしばらく自衛隊にでも入ってフィジカル、メンタルを鍛えておけば、大抵のことは耐えられるのでしょう。実用的ですね。

9+

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、李家三代」への6件のフィードバック

  1. 李家というと、香港の李嘉誠一族も居ますね。私はそちらを思い出しましたよ。

    シンさんは李嘉誠とリークワンユーのどちらが偉大だと考えますか?

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    1. 分野が違うので比較は難しいですが、イギリス統治下というプラットフォームがあった分だけ、李嘉誠氏は楽だったのかもしれません。リークワンユー氏はマレーシアから蹴り出されるところからスタートです。

      シン

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  2. 李両氏は年齢も近いし、香港とシンガポールの置かれた立場も似てるし、息子が2人いてそれぞれ要職に就いているところも似ています。
    また、両氏ともに若い頃に日本軍による占領を経験し、それにより学業を中断して商売を始めたところなど、どっちがどっちか分からなくなるくらいです。

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    1. 下流出身、無学に近い所からのし上がった李嘉誠氏に対して、リークワンユー氏は中流、植民地官僚になる為に国費留学生になっています。のし上がるきっかけも前者が造花工場、後者が左翼運動の弁護という違いもあります。息子さん二人は割と似た感じで、親ほどの突出した人物ではないが、優秀な人物でしっかりしてます。

      スタート地点を考えるなら李嘉誠氏に軍配が上がりますね。

      シン

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      1. リークアンユーがもともと左派弁護士だったのは面白いです。
        確かに、人民行動党という政党名も左翼っぽいですし。

        今は左翼を弾圧しているイメージですから、変われば変わるものです。

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        1. 元々、反共なので、左派と言っても中産階級を代表する左派という中途半端な立ち位置でスタートしてます。彼の人生は共産主義者との戦いです。

          シン

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