じゃあ、理系修士

理系に進むと、修士までが必須なので、6年必要だ、と、言い切る人がいますが、本当にそうだろうか?、と思います。私はあくまでオプションだと思っており、必要に応じて進学するものであり、最初から6年制の医学部、薬学部などを除けば、必要不可欠ではないのではないかと思います。

一般化

上位大学では8割くらいが修士に進むので、理系は医学部、薬学部だけでなく、実質的に6年制大学になりつつある、と言っていいでしょう。色んな理由があると思うのですが、技術革新により、最低限やらなければならない範囲が広がって、4年では基礎だけしかできず、何かしらの専門を持つところまでやりたければ、もう2年ないとやりきれない、というところだと思います。

例えば、東大は入学時点では大まかな分類しか決まっておらず、3年次の進振りで学科が確定します。そうなると、一年もしないうちに就活が始まってしまい、まともに専門を学ぶ時間が取れないというのもあるでしょう。最初から学科が決まっている学科でも、1,2年は一般教養中心のカリキュラムを組んでいる大学も多いですから、時間が足らない、となります。

また、受け入れ先の企業も修士で専門をある程度絞り込んでから、来てもらったほうが配属先を決めやすいって言うのもあるのかもしれません。また、日本企業も育てる余裕がなくなってきて、まっさらな人材よりも、少しでも専門性が高く、即戦力性が高い人材を欲しがることもあるでしょう。

逆に言うと、修士を持っていることに優位性がなくなっているともいえますので、本当に必要なのか?、をしっかり考えて、このオプションを選択すべきです。一般的に研究、開発部門は修士以上を必須としますが、そういった部署に配属されるのは一定ランク以上の大卒に限られるので、研究、開発を望んでいない場合はとの必要もないかと思います。

学歴ロンダ

理系修士が一般化してくると、学部と違う大学の修士に進むことも検討できます。ちなみにアメリカでは修士で違う大学に行くだけでなく、学部での編入すらさほど珍しくなく、ロンダは努力の証拠であり、見下されるようなものではないのですが、日本では「学歴ロンダw」っと言われます。これは日本の入試システムが学部入学に偏っており、修士で、難関大学に入り込むのも難しくないからでしょう。アメリカでは学部入学もAOシステムなので、変わりません。

実際に東大生ですら「学部入試より簡単な修士入試に落ちるなんてバカ、内部進学は中間テストみたいなもの!」っといいますので、日本でのロンダ組は違う高校の中間テストを受けに行くような感じだと言っていいのでしょう。ちなみに東大は内部進学者が有利ではあるが、ロンダ組みを明らかに差別して選考するわけではないです。だから、しっかり専門の準備をすれば、学部がどこであれ、東大修士を目指すことは可能です。

私は「だったら、ロンダすればいいじゃん?」っと思います。ロンダ組が企業から特定大学への求人に応募出来ないわけでもないし、応募しているなら、履歴書にロンダであることは書いてあるので、ロンダが嫌なら、面接に呼ばないでしょう。ロンダであることを理解して、面接に呼んでくれる企業に行けばいいです。

修士の段階だと、専攻のマッチ、指導教授との関係などは厳しくは問われず、大学名が最初に見られることが大半です。まあ、博士まで行くと、どこまで企業の求める人材と専攻がマッチしているか? 指導教授のその分野での影響力なんかが効いてくるので、安易に大学名だけで選ばないほうがいいでしょう。

専攻ロンダ

理系でも就職しづらい専攻があり、このままでは文系就職せざるを得ない、と言うなら、修士で専攻を変えることも可能です。例えば、学部で選択したバイオ系の就職しづらい専攻を修士で化学系に変えることで、理系ならではの専門性を生かした就職先を見つける助けにもなります。理系なら修士に進むことは何も変ではないので軌道修正がききます。

文系だと学部からやり直さない限りは何の専門性もない文系だという十字架を背負って生きていくことになります。「社会学部は就職に不利だから、経済学部修士に行きました!」っとか傍目から見れば、どちらも何の専門にもならないので、少しでも若い方が有利であり、学部の時点で就職するのが最善、という結論になります。文系は学校で勉強することが社会で一切生きないからです。

ノンエリート理論系学部生は積極的に考えたらどうでしょうか?トップスクール出身のエリートですら、農学部、環境系修士と進んだものの、専攻を生かす道が上手く見つからず、専攻が少し生かせる医療系SEを大手子会社でやっているケースを知っています。これを修士で化学系にしていれば、親会社に入れた可能性が高いです。大手に行くことが絶対だとも思いませんが、大学でやった専攻がほとんど生きない職場はお勧めしませんね。

海外

理系の学生なら「英語圏に行けばいいじゃん?」っと思います。通常、英語圏では修士をすっ飛ばして、博士課程に進み、その際に何かしらのプロジェクトに参加して、奨学金を得て、プロ学生として勉強します。英語圏での修士は専攻の方向性をちょっと変えたい、パートタイム、博士課程で脱落した、とか言うケースが多く、学部と同じ専攻に進むなら、修士をすっ飛ばして博士に行きます。

お金もらえるし、PhDっていう名前に日本人は弱いので、アカポスも得やすいし、英語力も上がる、海外でポスドクしたり、現地で就職したっていいし、永住権のポイント加算にもなる、といいことだらけです。ただ、どマイナーな仕事を見つけづらい専攻を博士でやらず、ある程度汎用性が高いことをしたほうがいいでしょう。

理系こそ海外に行ったほうがいいと思いますよ。損することはほとんどないので、TOEFLだけ規定点に乗せて、きちんと志望動機を書いて、送れば、興味を示すところは結構あるものです。トップスクールに行きたいとなると、色んなテクニックを駆使しないと入れませんが、中堅大学くらいなら、相応の志望動機さえあれば、奨学金を支給してくれます。

まとめ

理系の場合は学部がすべてではないので、積極的にロンダ、海外留学を検討すべきだと思います。きちんとした専門があるなら、就職先は日本企業、日本関連に限らずに存在するので、まさに国際的に活躍することが可能です。もちろん、中国人、インド人のような異常な国内競争を勝ち抜いたエリートたちと渡り合うことになるので、相応の覚悟も要りますがね。

私が理系を勧めるのは選択肢の広さが文系の比ではないからです。文系修士なんて「現実逃避」っと揶揄されますし、海外留学したくても奨学金が下りる可能性はほぼゼロです。また、海外大学を卒業しても、現地就職することは困難です。せいぜい、現地日系企業、日本人担当者、くらいの何の将来性もないデットエンドポジションになります。

学部が駅弁理系、修士が東大、博士がMITとかいう藁しべ長者みたいな人も存在します。大学入試は得意でなくとも、その専門ではずば抜けた実績を出せる人間も存在するのです。だから、自分の力を試したいなら、出身学部の殻に閉じこもらず、東大だろうが、京大だろうがロンダ修士受験してやればいいです。ダメで元々です。

また、やりたいことが決まっていないなら、学部で就職しておくのがいいでしょう。修士、博士は就職してからでも、問題なく戻れるので、一度就職して、環境を変えて、お金を貰う、という観点から、自分の方向性を定めて、それが修士、博士にあると思うなら戻ればいいのです。だから、漠然と進学するのでなく、投資する価値があるのかを慎重に見極めながら、踏み出すべきでしょう。

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、理系修士” への 25 件のフィードバック

  1. 私は、学部の専攻が経営工学だったので銀行や商社や派遣SEばかりだったので大学院は理論系ですが工学部にしました。中身はなかったし研究も微妙でしたが就職するためのネタ作りで進学しました。
    その後、ブログにもありますが文系と違って選択肢が多いとあるのはそう感じます。技術者の入社の場合は、いろいろ会社のほうが適性に応じて配置転換や配属を考えて、できない人に指導者をつけるとかギリギリまでフォローされる場合がありますが事務職だといらなくなるとリストラですね。
    理系のが配属が多いってのもありますが

    1. 合わなければ修正可能な理系に対して、合わなくても修正が極めて難しい文系、というところですね。

      シン

  2. 東大理Iは、2年生の夏休みに進振り先が確定し専門の講義が始まるので、就活まで2年あります。
    工学部内部生がほとんど院に進むのは、周囲に流されて楽な方に進むという場合も多いのではないかと。
    外部から応募してくる学生は専門試験対策はガリ勉すれば何とかなりますが、英語で失点して不人気研究室への配属になるケースが多いようです。そもそも内部事情を知らないと、どこがブラックなラボか判断しにくいのが不利益な点といえます。
    文科相のピントずれた大学院拡充政策と教授らの無賃労働者確保の思惑が重なり、院に下位の成績で滑り込むこと自体は東大工学系でも簡単です。不人気学科なら文系出身でも入れるのでは。無事修了出来るかは分かりませんが。

    1. 本当はやりたい事がないなら、一度就職して世の中のことを少し経験してから、修士に進学した方がいいのかもしれません。社会に出てから初めて見えることも多いです。

      他大学の大学院に行くとなると、院生を無料労働力だと思っているブラック研究室を引き当てる可能性が上がるのは仕方ないですね。出来るだけ内部に知り合い作って、聞き回るしかないですね。他大学に行くのが珍しくないアメリカではかなり綿密に下調べします。

      理屈的には東大工学部大学院の募集要項に関連学部を卒業、卒業見込みであることは記載されてないので、文系でも合格可能です。ただ、相当難しいでしょうし、修了はもっと難しいでしょう。私は実例を見たことありません。まずは学部に編入からが現実的だと思います。

      シン

      1. 仰る通り流されて進学するのは良くないし、流されかねない凡人は社会経験積んだ後の方が社会で必要とされる技術が何か見極めやすいでしょう。
        シンさんが良く仰られる逆張りが正解なのはここでも真で、東大理系であえて院進学せず(大学での成績優秀にも関らず)学部卒だと希少人材なので逆に就活有利です。さらに官公庁や大手企業が海外大学院に派遣留学させる場合2年が限度なことが多く、PhDは取りづらくMasterになるので無駄な重複学位にならずに済みます。
        東大院の理系でも入試の倍率1割ることがあるので、入るのは本当に簡単です。文系でついていけないと入った後に惨めな思いをすることが想定されますが、女子で紅一点なら教官・先輩の至れり尽くせりで自分で何もしなくても修了でき(東大はそこまで露骨な不正はしにくいですが、地方なら監視が緩いので何でもありです)、就活もその後のキャリアでも理系女子扱いになり優遇されるので、学部文系の女子こそオススメかもしれません。実例は知りません。

        1. ぬるり的には「みんながやるからやる」のは下の下で、むしろ「みんながやらないからあえてやる」が正しいです。みんなが修士まで行くのをあえて就職したり、文系女子が理系大学院に行くのはありだと思います。後者は色んな努力をしないと達成困難ですが、人生が大きく開ける可能性があります。

          シン

  3. 理系の場合は、流されるまま大学院でもいいと思います。研究に適性があるかは少なくともわかります。それで、進路を決めてもいいと思います。
    あと、知財関係の資格ですと修士だけで一次試験がなくなるとかあります。

    文理融合の情報学部から理系の経営工学ですが大学院に進学してきちんと就職した知り合いもいますので理系の修士ってのはある程度意味があると思います。

    私自身、部署をたらい回しに合いましたがロンダで取った修士のおかげで今の部署にいます。

    1. 修士はオプションなので、流されて取るのはお勧めはしませんが、文系と違って、理系は経歴のダメージにはならないのはいいと思います。

      シン

  4. 理系から文系就職も運なんですが配属が良かったりもします。
    友人に機械工学で留年して、メーカーにいきたくなくて文系就職した人がいるのですが本社勤務だったり、広報部だったりだそうです。
    周りにも工学部での勉強についていけないからとかいるみたいです。
    社内のコンピューター関係の仕事をやらせる目的で理系の人を採用したがる受容もあるそうですね。

  5. できるなら積極的に院ロンダするべきだ、と書いてありましたが、僕の駅弁大の教授のなかでも、駅弁や私大から院ロンダして旧帝大院にいった人と、
    駅弁や私大で院ロンダせずオール自大院の人が半々くらいです。
    前者は、超高額な設備が必要で産業応用よりアカデミックな専攻の人です。
    具体的にはプラズマなど。
    後者は、コンピュータや自動車など比較的金のかからない設備で、バリバリの産業応用の専攻の人に多いです。
    機械工学や情報工学など。

    ちなみに僕は、電気系のプラズマの研究に興味を持ったのですが、本格的にプラズマの研究がやりたいなら、金沢大か名古屋大の院にいけ、といわれました。
    駅弁や私大の工学部は、すぐ役に立つ研究しかしないとも、言っていました。
    逆にいえば、すぐ役に立つ研究は駅弁や私大でも十分だということかもしれません。

    1. 国立のメリットは設備の充実なので、設備がさほど影響しない専攻なら、私大でもいいし、私大の方が実践的だとも言えるでしょう。学生が就職できないと、評判が下がり、私大の方がダメージを受けます。

      シン

  6. 中韓の学生がこぞって欧米の大学で修士博士を取り始めた現状だと、全世界的な傾向として、現在では、修士卒イコール学部卒プラス2年の就業経験で、博士卒イコール修士卒プラス3年の就業経験と同等の経歴としか見なしてないようですね。
    日本企業だと昔からそうですが。
    理工系では、こと民間企業就職においては、修士博士の価値は暴落してると思います。
    アカポスに着くなら、博士卒が最低条件ですけどね。

    1. シンガポールでも、修士はほとんどプラスにはなりません。博士ですら、研究職でないなら、有利とは言えません。流されるように大学院に進んでも、時間、お金の無駄遣いになると思います。

      シン

  7. 時代が違うかもしれませんが、
    ノーベル化学賞の田中耕一さんは、東北大工学部の学部卒です。
    まあ、ノーベル賞をとる人にも、教授や国立研究所の研究者と、民間企業のエンジニアの2種類がいますから、民間企業なら、学部卒でも十分かもしれません。
    ちなみに、エンジニアでノーベル賞を貰ったのは、田中さんと中村さんくらいしかいないはずです。
    また、田中耕一さんの専攻は電子工学だったのに、貰ったのは化学賞というところも興味深いです。
    本人は、全く関係ない専攻をしていたから、とらわれない自由な発想ができたと語っています。

    1. 田中さんは単に運が良かったのだと思います。やっていたことがたまたま引用されて、ノーベル賞に当たった、と言う感じです。中村さんは純粋にエンジニアとして極めた結果がノーベル賞に至りました。エンジニアとノーベル賞の相性が悪いので、今後もあまり受賞例は出ないでしょう。実践重視なら、学部で就職して、専門に集中するのがいいのかもしれません。

      シン

  8. 私は工学部で学部就職しましたが、周りはやはり院生が多いです

    企業の方が、「今は、院生ばかりで学部生が欲しい」

    とおっしゃっていたのをよく覚えています

    理系なら院!という論調には疑問を感じます

    研究室は理系のコミュ障には結構きついところもありますよ

    確かに、給料も少し上がっていいことはあると思いますが・・・

    1. 2年の機会損失、学費は少々の初任給が高いことではカバーできないので、明確なメリットがないと修士は無駄かもしれません。

      シン

  9. 大学院に進学する人が多いのは、昔に比べて文系の就活に合わせて研究室に配属前に就活が始まるからではないかと思います。

    理系なら研究室にリクルーターや推薦があるケースが多いので4年から研究室配属になると推薦取ったりするタイミングが悪いと思います。

    結局、学部だと自由応募が中心になると修士にしようかなとか思うのかな?と思います。

    1. もうちょっと専門をやってから社会に入りたい、と言うのはあると思います。日本の就職活動システムは勉強に害です。

      シン

  10. なるほど。
    僕の大学にも、地元のメーカーが説明会にきましたが、説明者は
    自分の部署(開発)は修士卒も学部卒も半々くらいで、特に修士しかとらないという事はない。
    だけど、学部だと研究は一年しかできなくて自分はもっと研究したかったから院まで進んだ。
    と言っていました。
    純粋に研究したいなら院へ、就職したいだけなら学部卒で早く入って実践力をつけるのも悪くないという事ですね。

    1. 企業で修士が学士より明確に優遇されることはないのではないか?、と思いますので、研究、開発など、修士を持っていると配属で希望が通りやすい部署希望でないなら、メリットはほとんどなさそうですね。

      シン

  11. 私の時代の就活は、3年の10月からなので理系の学部ならまだ授業や実習、テストがたんまりある時期です。文系なら単位取り終わるころなのでリク○ートの馬鹿な文系官僚が大学は遊ぶとこだと見なして決めたのかな?と思います。
    大学の就活セミナーの文系の卒業生は大学は遊ぶこと自慢して就活うまくいった話しかしてませんでした。
    当時の場合、そのスケジュールに合わせるのはきつい日程だと感じてました。

    1. リクルートのビジネスは文系をターゲットにしていて、それに引きずられる形で理系が文系に合わせているので、理系が学部で就職すると、ほとんど専門ができなくなります。

      しかし、リクルートは儲かって仕方ないなぁ、と思います。

      シン

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