じゃあ、金正男氏

北朝鮮、首領、金正恩氏の兄である金正男氏がマレーシアで命を落とした、と言うニュースがあり、安否を気にしています。以前からのぬるり読者さんは知っていると思いますが、私は北朝鮮フリークで、正男氏にも注目していました。

誕生

金正男氏は北朝鮮、2代目、金正日氏の長男として生まれているのですが、その誕生は祝福されたものではなく、母親は韓国生まれで、北朝鮮に渡ってきた女優で夫、子供がいる人妻だったからです。

映画好きで知られる金正日氏が人妻を気に入って、略奪し、自分のものにしてしまった為、初代、金日成氏は腹を立て、その関係を認めなかったようです。誰がどう見ても、世間体が悪いし、後継として相応しい生まれではありません。

北朝鮮の後継者問題がなかなか収束しなかったのは儒教思想において、長男は絶対であるものの、正男氏は公にしづらい存在であったため、次男、三男のどちらに後継させるか?、を正日氏は亡くなる直前まで、決めあぐねたようです。

結局、三男、正恩氏が後継しますが、その理由として、次男、正哲氏が海外メディアに撮影されるなど、軽率行動が目立った上、三男、正恩氏の方が初代、日成氏に見た目が似ていたから、だと言われています。

成長

北朝鮮、金家の子弟はスイスのインターナショナルスクールに進学し、高校までを過ごし、ロシアで高等教育を受けるのが一般的なので、金正男氏も同様の育ち方をしたそうです。

金正男氏はITに興味があり、学校を卒業してから、北朝鮮のITインフラを整備する仕事をしていたことがあるそうですが、やはり、存在を公に出来ず、海外に隔離されるようになったようです。

海外暮らしが長い為、リベラルな考え方をするひとらしく、北朝鮮の独裁体制に対して批判的なことをインタビューで言ったりして、距離を置くような態度を取り続けました。

彼が鮮烈なデビューを果たすのは日本に偽造パスポートで入国し、東京ディズニーランドを楽しもうとする姿が王子とは見えない庶民的な姿、農協のおっさんのような正男さんに私のような北朝鮮フリークを虜にしました。

まず、名前が「まさお」と読めるので、日本人みたいですし、昔、ラモス瑠偉氏が宣伝していたJリーグカレーの小太りで愛らしいまさお君をイメージさせて、なんとも言えないギャップ萌えをしたわけです。

近況

マカオを拠点において、アジアを動き回っていたようですが、具体的に何をしていたのかわかりません。シンガポールにも来てたようで、私には挨拶がありませんでしたが、マリーナベイサンズホテルにも長期逗留したそうです。

ちなみに次弟の金正哲氏もシンガポールに来ていたことがあり、大好きなエリッククラプトン氏のコンサートを見に来たそうで、これもまた私には挨拶がありませんでしたので、私はテレビ番組の報道で後から知りました。

どうも、シンガポールは北朝鮮パスポートでも、簡単に入国を認めるらしく、それで来るみたいです。お金を持った人は来るもの拒まず、という姿勢の国ですから、よくわらかない国籍の人も沢山いる国です。

ともかく、正男氏はアジアを動き回って何かをしていたみたいで、その原資は北朝鮮から出て来たのか?、中国から出ていたのか?、はわかりませんが、色んな思惑が錯綜して、面倒になって来て、北朝鮮は消す、という選択をしたのかもしれません。

ハンソル氏

私の心を鷲掴みにしたのが正男氏の息子、ハンソクル氏で、マカオのインターナショナルスクールから、世界各地にある名門のUnited World College のボスニア校に進学し、その時に元国連の女性からインタビューを受けたので、早速見ました。

韓流メガネを掛けた正男氏に似た少年は父親の影響を受けたリベラルな思想を語り、国家権力の世襲、独裁について否定的なことを述べました。後は特に面白くはなく、恵まれたボンボンにありがちな抽象的な自分の将来像を語っていただけです。

自分の存在を公にすることで、叔父の正恩氏を牽制したかったのでしょうが、それにしても思い切った行動に出たと思います。このネット社会ではクラスメイトの誰が情報を出すかわからないし、自分で出した方が得なのかもしれません。

その後、パリ政治学院の外国人コースに進学、卒業し、オックスフォードの院から入学許可が出たものの、進学、しなかった、との情報がありますが、真偽はわからず、行方が知らなくなりました。

儒教思想からすれば、彼は長男の長男で、正当後継者になりますので、本来、分家である正恩氏からすると、面倒な存在であるのは間違いありませんし、どういう立ち回りをするのか?、が注目されます。おそらく、アメリカに亡命、国連あたりでマスコットするのではないか?、と思います。

まとめ

昨日、北朝鮮フリークとして、正男氏ファンとしては心中穏やかではないニュースが飛び込んで来て、誤報であることを祈りつつ、若干不謹慎であるかもしれないと思いつつ、より多くの人とこの問題について考えたいと思い、記事を書くことにしました。

彼の存在が緩衝材になっていた可能性もあり、良いにしろ、悪いにしろ、大きな転換期になるのかもしれません。北朝鮮の体制、中国との関係、日本との関係に多かれ少なかれ影響を持っていたことは事実ですので、歴史的事件だろうとは思います。

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ニコ
7 years ago

私も正男ファンの一人であったため暗殺は残念です。
そこで、そろそろ体制がホントに潰れるのではないかとも思いますね。

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ゼロカロリー
7 years ago

ワシに挨拶がない!
(笑)

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美和
7 years ago

ディズニーランドに行くために日本への入国を試みた正男氏は「胖熊(太った熊)」という偽名を使っていたそうです。ネット上では「ゆるキャラ」とも表現されていましたが、親しみやすい雰囲気の方で日本にも一緒に焼き鳥を食べながらお酒を飲むような友人もいらしたようですね。

テレビでも様々な情報が流れていますが、なぜマレーシアで?という素朴な疑問が浮上、ネットで調べてみた結果、納得でした。マレーシアに定期的に通っていた正男氏の行動パターンを北朝鮮側は把握していたようです。暗殺に関わった女性2人が工作員だとは断定されていませんが、狙われていた命だとはいえ、大切な男性を女に殺された残された女性たちの気持ちを思うと…悲しすぎます。

私はシンさんのブログを読むようになって1ヶ月ですが、内容が多岐にわたり、面白いですね。この記事に皆さんがどのようなコメントをされるのかに興味があり、眺めていました。主婦が感じるままにコメントしていますので、不適切な表現があれば教えていただきたいと思っています。他の方のコメントも楽しみにしています。

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ニコ
7 years ago

豊臣政権時の秀次事件のように濡れ衣で正男が殺されてしまいましたね。
中国やアメリカが匿ってなにか使いようがあったのでは?と思いますね。

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Y
7 years ago

この事件をきっかけに北朝鮮の動向はどのように行くのか注視したいです。日本の安っぽいニュース番組は視聴率稼ぎのために安易に北朝鮮をスケープゴートします(もちろんミサイルの発射や拉致問題などは許されるべきではないです)。しかし旧西側諸国と旧東側諸国の大局的な観点で考えるとちょうど韓国(西側)と中国(東側)の緩衝国家としての機能を果たしており、そう簡単にはつぶせないというのが本音でしょう。あの国を通して、日本やアメリカが中国やロシアの動向を伺っている事実もある訳です。そうしたことが無くなると腹の探り合いがラジカルな方向に行ってしまわないか心配です。

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7 years ago

こんにちは シンさん

私自身は、何故あの空港で金正男さんが暗殺されたのかが疑問ですね。
私が想像する暗殺って誰も注目しないところで密かに殺すというイメージが有るからでしょうか?
「なんで空港という目立つところで殺す?」と疑問だらけなんですよね。
金正恩は自分の兄を殺すことで幹部たちに俺を侮辱する奴らは許さない・殺すという圧力をかけるつもりだったんでしょうか?
でも、自分の兄を殺すようなやつに忠誠を誓う人間っているんでしょうか?
恐怖政治という感じがしないでもないし、いつか彼が殺される、暗殺される立場になるのでは?と思うのですが・・・

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美和
7 years ago

「夕日を見にいく」と言って出かけたまま消息不明になった拉致被害者。その現場は星空も綺麗な美しい海岸、キャンプ場もあり、私自身も子どもの頃、キャンプをした場所。なんだか拉致問題を他人事とは思えず、北朝鮮=怖い国というイメージだけ。正男氏のディズニーランド騒ぎの時までは、北朝鮮関係のニュースは何となく避けてきました。
今回の報道、正男氏がぐったりしている姿など見たくないようなシーンが突然テレビに出てきたり、マレーシア紙の一面にきたり、個人的にはショックを受けていますが、マレーシア警察側の毅然とした対応に驚いています。私は正男氏の遺体を引き渡すようにという北朝鮮側の要望にマレーシア側はすぐに応じ、有耶無耶になるのだろうと思っていました。

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kazu
7 years ago

初めまして、初にコメントします。kazuと言います。コメントしようかどうか迷たんですが、気になってる事なので、投稿する事にしました。
 金正男暗殺事件から既に10日が過ぎようとしていますが、連日のように報道されていますが、北朝鮮と国交もあり友好国と思われいたマレーシアが、今では、北朝鮮の大使館閉鎖、国交断絶かと言われるまでに険悪な関係になってる様です。
 北朝鮮の今までの工作員のやり方とは、異なっており北朝鮮の関りを感じさせない様にして、友好国である事を良い事に取引をして、有耶無耶に済ませるつもりだったのかも知れないですね。
 北朝鮮人が多数関与してるとマレーシア警察当局は発表していますが、それぞれが、どう関わったていたかは報道されていますが、どれだけの根拠があって、どうして発覚したのかがもう一つハッキリしませんのでよく分かりません。
 まして、2等書記官の関与については、今回の事件の黒幕と言われていますが、何をもって黒幕なのか、証拠が出されていないので、マレーシアの北朝鮮大使は全くのでっち上げだと否定してるのでしょう。証拠があっても否定するしか無いのかも分かりませんが、これも、いつもの様に根拠の無い発表に過ぎません。
 マレーシア政府も、これだけ世界から注目を集めれば、引くに引けず、良い加減な対応で有耶無耶に済ませたのでは、国の威信に関わる問題なので、簡単に終わらせる訳にはいかなくなって来てるのも事実ではないでしょうか。
 先の北朝鮮労働党委員長の金正日氏は、儒教の戒律に背いて長男ではなく3男の正恩氏に国を託した訳ですが、まさか、ここまでするとは、思わなかったと思いますね。
 国内では、長男、正男氏が暗殺されたなんて事は、一切、ニュースになっていませんが、もし、国民が何らの方法で知り、黙っておられ無くなった時は、韓国やマレーシアの何者かよって殺されたと発表するでしょう。
 そうなれば、北朝鮮の世界における立場は、益々厳しいものとなり、より一層孤立を深めて行きいつ暴発してもおかしく無ないと言われています。
 もし、そんな事になれば、日本も無傷で済むとは思われません。そんな時が来ない事を切に願っています。

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