じゃあ、永守流投資

日本人が白人から買い叩いているほとんど唯一といっていいくらいの日本電産、永守会長ですが、彼は戦国武将のような老獪な人で、真田昌幸ばりの煮ても焼いても食えない人だと思います。

高く買わないこと

彼の一番のいいところは高く買わないことです。狙っている案件もずっと待っていて、相手の足元見て買い叩いたり、円高になってきて、相対的に安くなるまで、悠然と待ち続けます。彼は白人とまともに殴り合っても、勝ち目がないことを理解しているので、勝てるタイミングまではリングに上がらないのです。

これがなかなか出来ないのです。個人投資家ですら、「株の儲けは我慢料」というQ師の教えがあるように、忍耐力なく、飛びついてしまうので、大やけどをするのであって、勝てるタイミングまでひたすら待ち続ける忍耐力さえあれば、才能なんてなくても、勝てるんです。そして、忍耐力も才能なのかもしれません。

サラリーマン経営者だと、時間がないのです。日本の大企業は持ち回りなので、数年の任期が決まっていて、経営が順調であっても、任期が来たら、それで退任する必要があります。だから、会長、相談役、という名前で、院政をしたがるのですが、そうすると、判断する人間が複数になって、意見がまとまらなくなるのです。

買収後の統合作業にトップ自らが強く関与すること

永守会長は個人資産も買収先の会社につぎ込んで、自分のリスクと受け止めて、真剣に考えます。オーナーなんだから、日本電産名義で買っても、永守重信名義で買っても、同じなんですが、自分自身へのプレッシャーのため、個人資産をつぎ込むのでしょう。

サラリーマン社長はそんなことはしません。会社の金=他人の金を放り込むだけで、上手く行ったら自分の手柄、上手く行かなければサヨウナラ、という無責任スタイルで投資に取り組みます。東芝、日本郵政の投資で批判を浴びる西室さんは個人資産を一円でも放り込んだでしょうか?

どんな人でも自分のお金を使うとなると、躊躇します。ぬるりと生きるファンです!っと言って、ぬるりサイコーって言う人ですら、有料記事になると、そう簡単にお金を払いません。そんなのは当たり前で、500円だろうが、自分のお金なら惜しいのが人間です。だから、サラリーマン経営者は真剣になりません。

それは外資でも同じことで、上手く行った買収はオーナー主導であることがほとんどで、そうでない場合は絶対的権力者になったサラリーマン経営者が主導して、上手く行けば、巨額報酬を受け取ります。日本企業では上手く行っても、三桁億円レベルの巨額報酬を受け取ることはありません。WHを6000億円くらいで買っているので、上手く行ったら、三桁億もらってもおかしくはないですよね。リスクを取っていないので、正当性は疑問ですけど。

シナジー効果を積極的に作り出すこと

当たり前ですけど、本業とのシナジーがでないことに投資しても意味はありません。だから、「のれん代」という概念があるわけで、簿価そのままで買収できることなんてないのです。何かしらの要因で目に見えないブランド力だったり、技術力だったりがそこに加わって、その値段がついているわけで、ブランドバックだって、原価は1割くらいのものでしょう。

投資することにあせっていると、投資すること自体が目的になってしまい、ともかく、眠っているキャッシュを使って、フロー収入を得たい、という気持ちになります。これは誰もが同じだと思うのですが、持ちなれない大金を手にすれば、失う恐怖から、よくわからないことに投資してしまい、すべてを失います。これが器に見合わないお金はそこにとどまらない、ということです。

東芝にとって、WHは同業であり、持っている原子力システムが違う上、アメリカ企業という世界標準を手にすることでシナジーを望めたのは事実なんですが、311の事故がすべてを変えてしまって、本当はその時点で即効逃げているべきだったのでしょうが、その決断は出来なかったということです。

日本郵政のトールは何がシナジーだと見込んでいたのか?、私にはわかりませんが、海外の同業を買って、規模が大きくなるぜ、という程度のことしか見込んでいなかったのではないかと思います。上場したことで手にしたキャッシュもたんまりあって、持ちなれないお金をなんとなく使ったのでは?

まとめ

当たり前のことが当たり前に出来れば、大きなことが出来る、ということです。永守重信という人がとんでもなく優秀であるのは疑う余地がありませんが、やっていること自体はきわめてシンプルで、誰でも真似することは出来ます。そして、徹底することが出来るなら、日本電産規模の会社は作れなくても、fuck you moneyくらいなら作れると思います。

それに対して、ソフトバンク、孫正義さんは常識を打ち破る人なので、凡人には真似が出来ません。危険と言われた投資の多くを成功させ、収支を合わせているので、天才的嗅覚を持つ相場師なのでしょう。この人の真似をしたら、あっという間に破産することを保証します。

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、永守流投資” への 4 件のフィードバック

  1. 東芝のWHの買収自体が叩かれてますが、どちらかというと3.11のせいで基準が厳しくなりコストが嵩んできたにも関わらず損切りしなかった撤退のタイミングが問題だと思っています。

    最近証券口座を開いてちびちび投資を始めましたが、一般ピーポーにとっては余計な勝負をしない・どのタイミングで撤退するか(損失を限りなく0にできるか)が重要なんじゃないかなと思います。

    1. 基本に忠実にやれるなら、勝てるんですけど、それができないから負けるんですよ。誰にとっても永遠の課題です。

      シン

  2. 私自身投資ではポジションを持ってないと不安に感じるので、投資しない、じっと待つ、簡単な事がなかなか出来ません。学ぶことが多い素晴らしい経営者ですね。

    1. 俗にいう「ポジポジ病」というやつで、我慢出来ず、特に確信があるわけでもないのにポジションを取ってしまうと、負ける可能性がガツンと上がります。

      永守さんに仕えるとしたら、サイコパスのキツイ人だと思いますが、外から見ているなら、非常に勉強になる人だとは思います。

      シン

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