じゃあ、任天堂

日本にソフトの会社ってあるの?ってくらいソフトに弱いです。国内勢は税金にたかってつまらないものを作るだけのダメ会社だったり、アメリカのパクリでしかないように思います。逆にアメリカに殴りこめるようなソフト屋はいないの?、という答えになるのは任天堂くらいだろう、と思います。ソフトバンクは投資会社であり、ソフト屋ではありませんしね。

ファブレス

先進国で物作りをするならファブレスが最適解です。設計、調達だけを行って、製造は特殊なものに限定し、量産品の製造を専門とした会社に委託し、その代わりに集中すべきです。そうすることで固定資産を極力持たず、半完成品の在庫を減らし、高い利益率を確保できます。

これの最高峰がアップルだと言えますし、半導体ではNvidia、ARMがそれに当たります。圧倒的な技術力、ブランド力で突き抜けて、きちんとサプライヤー管理を出来て初めてファブレスは成り立ちます。中途半端なファブレスは真似されてお終いです。

任天堂は古くからファブレスであり、自社工場は持ってません。製造を神聖視する傾向のある日本企業としては珍しく、ソフトに集中してハードは代わりに集中する体制に慣れています。逆に言うと、ソフトさえ良ければ、ハードはほどほどでも売れます。

ソニーは元は製造会社であったため、スペック偏重で攻めるのに対し、任天堂は既存の部品を組み合わせるだけなので、ソフトが良くないと囲い込みは出来ません。そのソフトにキラーコンテンツがあり、戦えるということになります。

知的財産

ハイテク企業の追徴課税が相次ぎますが、現在の税法は不動産など、目に見える有形資産に対して課税することを前提としており、目に見えない無形資産に対する課税にはうまく適応していません。その為、知的財産権をタックスヘイブンに移して、節税と言う名の脱税が簡単に出来ます。

先に挙げたApple Nvidia ARMがカリフォルニアだったり、ロンドン近郊だったりの物価の高い地域に拠点を構えてられるのは付加価値の高い仕事しかしないからです。そういうことはどこでしても、やれる人が限られている為、人件費は高くつきます。

さて、ビジネスが大きくなると、無形資産はアイルランド、オランダあたりに移して管理しだすのが基本ですし、ケイマン諸島だ、デラウェア州だ、と住民よりも、会社登記数の方が多いような地域が存在するのはこの手の節税行為によるものです。

これを日本人は悪いことだと考えがちなんですが、白人達はルールに従っているのならギリギリまで利益を追求するのは当たり前の感覚として撤退します。経営とは経営資源を最大限に活用して最大限の利益を得る為に活動することです。

この辺は任天堂とて上手いとは言えず、キラーコンテンツのマリオをうまく活かすことも出来ず、長らく低迷していました。逆に言えば、任天堂はキャラという財産を持っているので、その管理、運営だけで食って行くことが可能であるだけではなく、その権利を動かすことも可能であり、無限の可能性がある、と言えます。

マリオたちをオランダに引っ越しさせて、アメリカにマリオランドを作ってVR ARパークを作って出稼ぎさせることも可能で、そうすれば、日本の高い法人税を出来るだけ回避しながら利益を追求することが可能です。

アメリカ

世界で通用する、とはアメリカで通用することです。世界一の市場、デファクトスタンダードとして他国にその流行が伝わる国で勝ってこそ、グローバル企業であり、アメリカで相手にされてない時点でローカル企業だと言っていいでしょう。

任天堂のソフトはアメリカで通用しており、売上構成の最大市場はアメリカにあります。これをソフト分野で出来ている日本企業は任天堂しかないと言っていいでしょう。ハードであるならトヨタであり、かつてのソニーもそうでしょう。

ポテンシャルはディズニーに匹敵すると言って過言ではない、と思います。ディズニーの時価総額は19年1月現在、15兆円くらいなので、3倍くらいになってもおかしくないと思います。ゲームというキラーコンテンツがあるので、もっと上になるポテンシャルはあります。

ただ、任天堂は商売の上手い会社ではなく、多角化もしてこなかったし、アメリカで真剣に戦って来たわけではなく、たまたま売れたので今に至る、という感じです。亡くなったオーナー、山内溥氏は飛行機嫌いでアメリカに行ったことはなかったくらいです。

ソフトを使ってアメリカで勝てている、というメリットをどうやって活かしていくのか?が再成長への鍵であり、世界的知名度を持つマリオ達をもっと有効活用するべきです。安倍首相を知らないけど、マリオは知っている人だっているでしょう。

知名度がある、というのは悪名ですらお金になります。世界中で子供から大人まで知っていて、良いイメージを持たれているキャラなんて最高の広告塔です。ブランド管理さえできれば、名前だけでお金にすることができます。

まとめ

任天堂って、商売下手です。現金を寝かせているだけでなく、知財も寝かせています。長期低迷にようやく奮起して知財を活かそうという機運が高まってきましたが、どこまで出来るでしょうか?日本のハードが通用しなくなり、ソフトを売ろうとするなら、やはり、ゲームの王様、マリオから出稼ぎに行ってもらうべきでしょうね。

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ichi
5 years ago

「日本にソフトの会社ってあるの?」とありますが、現時点のコンシューマーゲームソフトでは日本メーカーはまだまだ世界的に競争力があります。
「アメリカのパクリでしかない」とありますが、それは日本のコンシューマーゲームソフトの実態とは異なると感じました。
ただ、ここ数年は中国等日本以外の国の企業も育ってきて、このままではいずれ負けることになるかとは思いますが。

ハードに関して、アメリカではアメリカ人の思考を最も理解していると思われるMSのxboxですらそこまでうまくいってませんし、MSは北米以外では悲惨なことになっています。
「たまたま売れたので今に至る」とありますが、このような中で世界的にswitchを売った任天堂はたまたまではなくユーザーニーズの見極めがうまく競争力があったのだと思います。

またIPに関してはおっしゃるとおりもっと活用できるのではないかと思いますが、任天堂IPのソフトはみなそこそこの成績ですから、「寝かしている」はいいすぎではないかと感じます。

記事の中にない点では、任天堂の最も鍵となるポイントはプラットフォームがモバイルに移っていく中でどう対応していくかという点だと私は思っています。

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イワノフ
Reply to  シン
5 years ago

任天堂は旧来のコンシューマ路線にこだわり過ぎたとは思います。セガやコナミなどの他社はとうの昔に自社IPを投入したスマホゲームを開発していたのに、任天堂のスマホゲーム市場参入は2016年12月発表のスーパーマリオランからと、相当出遅れてのスタートでした。初動が鈍かったために、多くの利益を取り逃したことは否定できません。とはいえ、Switch発表以前の低迷はIPの活用不足よりも、WiiUの失敗に伴うソフト出荷本数の伸び悩みが主原因でしょう。

Switchに関しては、開発チームのインタビュー記事を読む限り、WiiUの反省を踏まえて地道に改善に取り組んでいたことが伺えます。ライト層の需要を取り込む戦略を継続し、遊びの要素を取り入れつつも、消費電力と製造コストを抑える設計にしたそうです。事実、自社開発のチップではなくデグレード版のTegra X1が採用され、RAMは4GBと抑えめのスペックです。

Switchは据え置き機としては物足りない性能ですが、携帯用として見れば3DSからはかなりの性能アップになっていますし、独自の遊び要素もあり、子供を含む消費者層の需要に上手くマッチしたのだと思います(とはいえ携帯しているとバッテリーは全然持ちませんが)。革新的なプラットフォームは、廉価な家庭用ゲーム機では無理だと思いますし、スペック競争になればPCが圧倒的に優位です。任天堂もそこを理解しているからこそ、現行の戦略を取っていると思います。

今の所、失敗はあれど任天堂は一定の存在感を保っていますが、日本のゲーム業界全体がスマホゲー・キャラゲーに偏重し、開発力で海外勢に遅れを取ってきているのが気がかりです。

1+
つけもの
5 years ago

自分は20代ですが、小学生の頃から任天堂のソフトばかりやってます。
子供の頃から買ってたのでこれからも買い続けると思います
ゲームは昔は子供のものだったので、これからも20年くらい任天堂の売上は
伸びると思います

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くろねこ
5 years ago

商売下手、という点で思ったのは、
Switchは定価3万円位ですが発売当初はテンバイヤーが実勢4万円位で転売していたそうです。
これは上手くやっていれば定価4万で売り出していても行けていた?という勿体無い話だな、と思いました。
遊園地やライブのチケットのテンバイヤーの話題が上がると条件反射の様に怒り狂う日本人が多いですが、
これは本質的には価格設定の間違え、なんですよね。
本来ならば主催者が得るべき利益をテンバイヤーに掻っ攫われてるというあほうなお話。
定価だとかメーカー希望小売価格だとかに飼いならされた日本人の悲しい習性ですかね。

0
ニコ
5 years ago

中国がマリオの著作権違反の動画を上げたり、アメリカがディズニーと同じくらい任天堂のキャラクターが浸透してるのを見ると日本以上に影響があるんだなと思いました。
据置ゲーム機の売上が不振の中で国内外でポケモンとスマブラで売上を伸ばしてるなんて凄いです。

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かりりん
5 years ago

実は自分は昨年から、友人の勧めでPokemonGOを始めまして、今は結構ハマッています。
ポケGOを始めて、飛躍的にウォーキングのモチベーションが上がりました。
従来から日常的にウォーキングを行っている人も、ポケGOプレイ開始後、歩く距離が飛躍的に上がったというレポートがあり、ポケGOで健康的になろうというプロジェクトまであるようです。

さて、任天堂ですが、数か月前にSwitch の新ソフト、Let’s Go Pikachuu, Le’ts Go Eeevee を発売しました。
発売記念にポケGOの運営元Niantic とLet’s GO のコラボの新イベントがありました。
手持ちのポケモンとの交換を条件にBlueTooth で、Switch Let’s GO からしかもらえないアイテムがあったり。

任天堂はハード及びソフトの販売だけではなく、ネットで既に成功しているNiantic と共同で積極的にビジネスをやるという構図は、目のつけどころがなかなか良いなと思いました。

ちなみにNiantic のRevenue & Stats(https://expandedramblings.com/index.php/pokemon-go-statistics/)一部、アップデートされていないのもありますがゲームアプリ業界ではダントツですね。昨年から、新しい機能が続々と増え、一部去っていたユーザの取り戻しにも成功したようです。ポケ友(笑)のアメリカ人も、最初はただただポケモンを捕まえるだけで、飽きてやめていたけど、今は機能が増えて、面白くなったから戻ってきたと言ってました。

職業柄、ついついこの機能はこうやって開発しているんだなー 大変だなぁ、凄いなぁと思いつつ、楽しまさせてもらっています。任天堂もなかなか頑張っていると思います。Niantic とのコラボで、アメリカでのSwitch の売り上げは伸びたようです。ちょうどクリスマス戦線時期だったことも当たったようです。

アメリカではマリオよりも、ポケモンの方がダントツに人気が高いですね。
ポケGOプレイヤーは、ティーン、ミレニアム世代だけではなく、私のような中年世代、もっと上の世代まで幅広い人がアメリカではたくさんやっています。ある程度の年代以上は、やはり私のように健康のためにやっているという人がほとんどです。友達機能も充実してきて、アメリカ人の友人も増えました。

今後、任天堂がどう関わってくるのか楽しみです。任天堂米国本社のあるシアトルでは、最近大量のIT技術者募集がありました。何かを開発中なのだと思いますが、頑張ってほしいと思います。

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