じゃあ、自動車業界の将来

WSJを読んでいて「やっぱりな」と思ったんですが、自動車メーカーって、好決算に対してPERがかなり低いところで放置されており、我らがトヨタ自動車すら10程度で放置されてます。これってかなり低いレベルなんですけど、割安だとはいえない、というWSJは言っています。

景気

自動車は景気に売上を左右されやすい製品であり、すでに先進国の販売はピークに達しており、これ以上売れることは考えづらく、山を越えてしまうと後は下がっていくしかありません。自動車メーカー自身も今期の減益予想をしており、良くなることはないと思っているわけです。

一般的に言って、自動車の原価率は高くそれほど儲かる商売ではありません。あくまでマスメリットによって大量に販売することで利益を出しているだけでなく、固定費の多い業界なので販売額が下がると利益額が一気に圧迫されます。

発展途上国での購買欲は高くとも、売れ線は低価格モデルです。自動車で儲かるのは先進国向けの高級ラインで、トヨタにとってはレクサスが売れないことにはそれほどの利益は稼げません。

先進国の消費者は車を「コモデティー」と捉えて、特別視しなくなってきており、コスパの良さを追求するようになっただけでなく、車を持たない生活を好む人も徐々に増えてきているので車をガンガン売って行くことが難しくなりつつある時代です。車を持っていても、きちんとメンテをすれば20年くらい乗れてしまうだけの耐久性があるので、新車を買うメリットが薄れつつあります。

新興

一般自動車がEVになっていくことはほぼ確定しており、それとともに業界の再編が行われることは間違いありません。今のところ、中国勢を除けば、テスラ以外に驚異的な新興メーカーはないのですが、勢力図は変わっていくでしょう。

バフェット氏が将来性を見込んでいる中国勢、BYDはすでに欧州メーカーとの協業を始めており、飛躍的に成長しています。「中国車(笑)」というイメージは過去のものになりつつあり、EV時代には最重要メーカーの一つになっている可能性は高いです。

トヨタを初めとして従来の自動車メーカーもぼけっとしているわけではなく、着々とEV時代を見据えた動きをしているのですが、最終的にはバッテリー革命をどこが起こせるか?と言う話になるでしょう。トヨタがすごいバッテリーを作った!っというニュースを見ましたが、性能もそうですが、価格も市場価格まで落とせないとブレークスルーとは言えませんから、まだまだなんともいえません。

部品

EVになることで、自動車の部品点数が減るので、かなりの部品メーカーが淘汰されてしまうでしょう。エンジンがなくなるということは関連部品を作っている会社は死滅するということですし、排気もしないので、排気システムもなくなります。これは日本にとってかなり危険なことです。雇用が一気になくなります。

従来、家電をメインに作っていたパナソニックが自動車部品製造業になりつつあるのはテスラ向け、トヨタ向けのバッテリー供給をメインで担っているからであり、これが復活の最後の望みだといっていいだろうと思います。

すでにパナソニックの自動車部品事業は2兆円規模になり、これは純自動車部品メーカーでは日本最大手、デンソーを凌ぐくらい大きいです。うまく競争力を失った事業を切り離して、将来のある事業に特化すれば復活するかもしれません。

つまり、自動車部品メーカーは入れ替わりの時期に来ており、EVになることで死滅する会社が多数出る一方、従来、自動車部品メーカーでなかった会社が自動車部品供給を担うようになってきているわけです。

IT

自動車のプラットフォームをIT企業に奪われるのでは?という懸念も投資家はしています。創業者CEOのセクハラ問題による退任、止まらない赤字でメチャクチャになっているUBERなどの配車プラットフォームプロバイダーも虎視眈々と基幹を奪うために研究開発しています。元エクスペディアの社長を迎えて反撃体制でしょうか?

グーグル、アップルは諦めたとか、いう話もありますが、本当のところはよくわかりません。どのIT企業も自動車のプラットフォームを押さえて、一番美味しいところを根こそぎ奪いたいのは当然だからです。iTunes Google playを見るように一番美味しいのは元締め、寺銭をもらうことですからね。

ここに噛んでいるのが投資の天才、孫正義氏です。日本人でアメリカ人ビジネスマンの興味を引く経営者はこの男しかいない、と言っていいくらいやり手で配車サービス会社の株を買いあさっています。東南アジアで成長するGRABだけでなく、UBERにも出資を検討しているみたいで、お得意の目利きでプラットフォームを奪おうとしています。

日本のIT企業がここに絡めないのは残念だな、と思いますが、日本では配車サービスは規制で出来ませんし、力のあるIT企業もないんですよね。アメリカのパクリをしている猿真似、なんちゃってIT企業がメインです。どっか、アメリカに殴りこみかけられる日本のIT企業を知っている人がいたら教えてください。投資したいです。

まとめ

完成車メーカーだけでなく、部品メーカーも含めた大嵐の前日であり、各社、色んな思惑で取り組んでいるんだと思います。それに投資家はじっと静観しているのでPERは冴えない状態です。私も勝ち馬には乗りたいけど、どこが勝ち馬になるかの想像ができていません。天才、孫さんは見えているのかもしれませんが、凡才、温利には見えてません。

凡才の私が言えるのは今まで日本を支えてきた自動車業界は縮小することが確定しており、生産台数を今までどおりに維持しても、部品点数自体が激減するので業界全体の規模が縮小します。それに伴って新しいプレイヤーが登場するのですが、日本企業で基幹を奪うような先進性のある企業は見当たりませんから、雇用は激減するのだろうと思います。

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