じゃあ、商売と不動産

今までの商売って、多かれ少なかれ不動産をベースとして店舗なり、工場なりがあって初めて商売になっていました。ITがこれを変えつつあるのですが、どういう構造になっていたのでしょうか?

店舗

従来型の商売には店舗が必須で、その店舗が自社所有なのか、賃貸なのか?、で商売のしやすさが全く違うものになっていました。例えば、戦後の混乱期に東京都心部の土地を買いあさって、成長した森ビルのオーナー一族はバブル期に世界的な資産家になりましたが、これは世の中が変わり、商売の仕方が変わっても、貸し先を変えるだけで、定収入を得て、その土地の価格が上がっていく、という一石二鳥を得られたからです。

今でも東京の問屋から発した専門商社は商売自体が右肩下がりになっても、財務体質は万全なのは自社の土地にビルを建て、使用できる面積を増やし、自社で使う分以外は他社に貸付けて、家賃が得られるので、本業がほどほどなら、どうにかなってしまいます。自社ビルの評価額で、信用が得られるので、融資も楽な低金利で得られるため、投資も楽に出来ます。

逆に言うと、不動産を手にせず、賃貸物件で商売をして来た企業は商売がうまく行っていても、地主、家主の為に働いている状態になり、いつまで経っても、資金繰りが楽になっていきません。これはどの国、都市でも同じで、シンガポールが高度成長に入る前に参入した人も、商売はうまく行っていても、家賃に利益を潰される状態になり、廃業するケースが見受けられます。

工場

店舗よりも、工場の方が不動産の影響を受けやすく、都市近郊に土地を買って、製造していると、その国が成長していくに従い、都市の拡大が始まるので、近郊の安い土地だった工場が住宅地になったり、運が良ければ、近くに駅ができて商業地になったりします。そうなれば、本業が完全にダメでも、土地を売って清算すればお釣りが来る、というやり方が通用します。

今、話題の築地移転問題の豊洲も元は東京ガスの工場ですし、タワマンが建ち並ぶ東京湾沿岸は元は倉庫会社なり、造船業で使っていた土地で、工場を移転させて、不動産デベロッパーに売ってしまえば、本業がダメダメでも、社員を養っていくことができます。ボンボンが実家の財産減らしながら、遊んで暮らしているようなものです。

そういう意味では社畜希望者は財閥系など、不動産で隠れ含み益を大量に持っている会社に行けば、社内向けの全く意味ない書類でも作って、仕事してるふりでお金をもらう社内ニートをしていられます。いつまでか?、はわかりませんけど、この手の会社は動きが鈍いので、システム化、外注化をせず、社内政治に明け暮れていることが多いので、内向きに実質権力者に擦り寄りながら、生きて行けばいいです。

無店舗

ITの発展で、無店舗型の商売が幅を効かせるようになりましたが、これは当たり前のことで、資本で劣る新興企業が老舗企業と戦うなら、同じことをしたら負けです。店舗型の商売もヨドバシのように、オンラインに主軸を移し、店舗はショールームであり、統計を取るだけのアンテナショップになっていくでしょう。

つまり、旧来の商売は固定資産、不動産をどれだけ充実させるか?、が成功の鍵だったんですが、これからの商売はいかに固定資産を省略するのか?、が鍵になるので、固定費をできるだけ費用で落として、状況が変わった時、切り捨てて、生き残りを図る必要があります。スタートアップなんて、10年もやってりゃ、老舗企業なので、不動産なんか持っていても、資金効率が悪くなるだけで、意味ありません。

IT時代では思いついたら、即行動し、全速力で走り、IPO、バイアウトまでたどり着くために必死になるって言うのが標準的な運営になるので、小さなことからコツコツと、という日本人が好きな考え方は通用しないし、時間をかけて、本業に取り組んでいくうちに不動産が含み益で財務体質を強化している、というモデルは当てはまりません。

まとめ

国はコンパクトシティを推奨していて、都市に集中してインフラ整備を行おうとしていますし、日本では首都圏に人口がどんどん移っていく一方で、田舎の売り込みをする人も増え、実際に田舎に拠点を移していく人も出てきています。ネット界の有名人は過疎地に拠点を持ってたりします。

どちらが今後の趨勢になるか?、はわかりませんけど、不動産に依存した経営は人口オーナスを迎えた日本では通用しないことは確かで、本当に便利な場所だとは言えない中途半端な地方都市の土地は優良資産ではない、というのは間違いないと思います。地方都市の市街地なんて、再開発しても、郊外のショッピングモールの方が便利ですから、人は戻って来ません。

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