じゃあ、適正価格

適正価格、という記事リクエストをもらいました。なかなか色んなことを考えさせられる材料です。

さて、ここでは芸の値段について考えます。芸を売る人はどのように価格をつけて良いのかわからないと思うのですが、価格をつけなければ始まりません。私の記事、相談は各五百円ですが、これはココナラの最低価格が五百円だからというだけで、じっくりと考えて決めたわけではありません。

原価積算

例えば、私が一時間かけて記事を書けるとするなら、その原価は最低でも千円という話になり、そうじゃないならマックでバイトしろよ、という話になります。つまり、バイト以下の対価にしかならないなら、それは仕事ではないです。

これが食えるレベルとなると、底辺サラリーマンですら、トータルで考えて時給二千円を切る人は滅多にいません。更にサラリーマンが受け取る社保、退職金などの福利厚生までつけると時給三千円くらい要ります。それも一日7-8時間分ですよ!

正直言って、時給三千円も取れる芸人はそう簡単にいません。売れない芸人は私を含めて手弁当みたいなもので、形だけ無料ではない、というレベルに過ぎません。実質的にはやればやるほど損を出しているというレベルです。売れない吉本若手芸人は営業の交通費以下の報酬で芸を披露しているそうです。

どんな商品も原価ありきの価格をつけても相手にされません。買う人間からすると、原価なんて関係なく、その払う価格に見合った価値があるかどうかだけです。特に芸の類は購入材料はほとんどなく、パソコン、ソフトくらいあれば、出来ることがほとんどです。

市場需給

原価積算ではとても買い手が現れないので、買い手がつくレベルを探ると市場需給によって価格をつけることになります。それ以上をつけても、何かしらのプレミアムがつかないなら開店休業状態になるからです。

ココナラのように無名の素人しかいない市場なら、他の素人と大体同じ値段をつけるしかありません。突き抜けて良いものだと断言できるようなものでないなら、安いものを選ぶのは当たり前です。後はオプションで価格を上げるくらいでしょう。

例えば、私が受けられる記事の供給限界が月に10件なので、それを明らかに越える需要があるなら、千円に上げることが出来ます。千円でも頼みたい人しか来なくなるため需要が減るのでバランスが取れます。

逆に五百円で閑古鳥がなくなら、百円にしなければならないのでしょうが、プラットフォームであるココナラが耐えられないので、五百円ですら売れないものはお金を取れる価値がない、ということでしょう。

私の記事にお金を払う人がいるのは何年もブログに来ているからであって、そこに信頼関係が構築されているからです。全く知らない人にお金を払って文章を書いてもらうなんて、そうあることではないでしょう。だから、その信頼を裏切れば、依頼は減ります。それが市場です。

損得度外視

芸を売る人は好きだからやっているわけで、損得度外視にしています。今は大御所であっても、下積み時代は明らかに割りの悪い仕事をしながら、実力をつけて仕事の単価、収入を上げていったわけです。

私も損得度外視でやってますし、収支を合わせる気すらありません。書くことは趣味であり、ライフワークなので、そこに金銭的価値を見出しておらず、単に燃料としてお金を介在させているだけです。

私みたいな人がいるので、芸の分野は投売りに溢れていて、Huffpostは無償で記事を書かせます。主催者は大儲けしてるのに少しも払わないのは残念だ、とは思います。でも、ぬるりに寄稿してくれる読者さんも無償です。本当は少しで良いので対価を払いたいです。そうじゃないと公平ではありません。

そして、無償でやっていて、それを有償化して、一本立ち出来ることはほとんどないです。だから、主婦の趣味が芸として独立するようなことはないのでしょう。有償でやって、市場に散々叩かれたり、プレッシャーと戦わないと伸びないからです。それがお金をもらうということだし、その単価、収入を上げていくという覚悟です。

私の芸は文芸なので、単価を上げるよりも同じものをより多くの人に見てもらうことで収入を増やす、というスタンスになります。それが行き着くのが村上春樹さんだとか、赤川次郎さんだとかって話です。彼らとて、単行本一冊を数万円で売っているわけではありません。

イラストを書いている人は単価を上げていく、という手段しか収入を上げていくことができません。だから、イラストの方が単価が高いし、無名でも多少の仕事が付きます。それこと、ピカソの絵は一億円以上、というような話で、単価が凄いことになっていきます。

まとめ

もっと対価が欲しいなら、努力を積み上げていくしかないし、賞を取るなりして実績をと作るしかないです。例えば、ブロガーでメシを食いたいなら、最低でも月PVが百万以上必要ですし、それは失うものも大きいです。

顔出し、本名でやって中途半端に知られると、サラリーマンするのがきつくなります。確実にいじられるでしょうが、上手く受け流して笑いに持っていくのも、それなりに強い精神力、高い話術が入りますよ。それでも退路を断ってやりたい人がやるものです。

多かれ少なかれ芸とはそんなもので、天才でもなければ下積みは長いし、報われるとも限らない世界です。そんなレッドオーシャンを覚悟してもやりたい人が本気で取り組んだら良いと思います。

だから、最低保証のある芸能人、アナウンサーが激烈な競争倍率になるの当然でしょうね。地道に激安の業界紙ものを書くとか、フリーランスで買い叩きにあうよりも大手マスコミ勤務でチャンスを狙った方が安全だから当たり前です。

もっと多くの人が好きなことで生きていけるようにするなら、ベーシックインカム制度が普及して、価値のないことでも続けていけるようにするしかないでしょう。残念ですけど、ほとんどの人が無料ですら見たくもない芸しかないからです。

私も若干のマネタイズをする時に葛藤がありましたが、私ごときの芸にお金を払う人がいるのか?ということと、それに対するプレッシャーに耐えられるか?を考えました。この記事もリクエストですから、つまらなければ、そこで信頼関係はなくなりかねません。そういう真剣勝負をたった五百円でやっているんですよね。

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、適正価格」への19件のフィードバック

  1. リクエストありがとうございます。

    考えみたら芸事って自分の趣味と、言葉悪いですが自己顕示欲みたいなものに人様をつき合わせるわけで、さらにそれでお金まで貰うのはなかなか都合の良い話ですw そりゃレッドオーシャンになるだろうなと思います。

    >書くことは趣味であり、ライフワークなので、そこに金銭的価値を見出しておらず、単に燃料としてお金を介在させているだけです。

    私もこれです。一人で黙々とやるより誰かとあれこれ話して仕上げていく方が楽しいし、喜んでもらえるとモチベーションが上がります。
    先日久々にココナラでイラストが一件売れました。それで試しに時給を計算してみたら、なんと250円でした w

    同じ表現を売る人でも下記に大別されるかと思います。

    ①表現者側主体で創作してそれに価値がつくもの(芸術家タイプ)
    ・画家、作家、写真家 など
    ②クライアントからの依頼された制作物を売るもの(職人タイプ)
    ・イラスレーター、ライター、カメラマンなど

    ①はまず先にある程度名前を売れていないと収益化は難しいですが、②は技術とまともなコミュ力があれば無名でも多少の収益化のチャンスはあるように思います。
    技術は経験で磨けるので普通の人の芸事はやっぱり継続なんだと思います。
    でもこの手の業界は労働環境がかなりひどいのでいきなり業界に飛び込むと捨てるものも多いです。体や精神を壊すと結局継続できません。
    それでもやりたい覚悟があるなら別ですが、
    そこまでいかない凡人の芸事は趣味プラス多少の収益化が継続するのにちょうど良い温度だと思います。

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  2. 追記です。
    上記の①②の方向性は同じ好きなことでもその好きさの趣向にもよると思います。

    私は絵を描くという「作業」が好きなので②のベクトルですが、どうしても書きたいものがあり自分の表現を全面に押し出して行きたい場合は①のベクトルになると思います。

    その場合は収益化の前段階の露出が重要になってきますので、有償無償とわずひたすら数多くネットに上げ続けるのを優先した方が良い気がします。これも結局継続する必要があります。

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    1. リクエストありがとうございました。

      いずれにしても天才以外は継続しかなく、凡人で芸で食えるようになった人の継続性は図抜けています。10年単位で毎日続け、切磋琢磨の末に突き抜けてます。

      ②のパターンなら、ひたすらやっていれば、熱意に対して応援してくれる人が出てきて、その信頼関係で仕事がもらえるようになり、細々とやっていけますが、①のパターンは不特定多数が圧倒されるレベルが必要なので本当に突き抜けないと飯は食えませんね。

      貧乏人、養ってくれる人がいない人が芸を専業でやるなら、心身共に狂うのを覚悟で取り組むことでプロにならなきゃ野垂れ死することになります。

      シン

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      1. デザイン関係で食っている人を何人か知っていますがすべて②です。
        ②でさらに独立して食っている人は広告代理店やデザイン事務所などで何年も勤めて、独立前の職場から下請け仕事を貰っているケースが多いです。これも継続した結果の信頼関係ですね。
        しかもこういう人達ってバイタリティが凄くて、深夜まで仕事してそのまま飲みにいくような生活を難なくこなしています。
        過酷な環境に耐えられるというのも、才能の一つだと思います。

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        1. ②をするのは体力なり、経済力が図抜けてないととても持ちませんね。

          相続財産で飯を食えるから、ほとんどタダでもやりまっせ!っと言えるなら、継続できますが、そうでないなら、安い単価でとんでもない数こなしたり、身を削った人間関係の構築がいるので並の体力なら心身が崩壊します。それも才能ですね。

          シン

          1+

          1. 家賃も含めた借金と子供さえなければ趣味で仕事も可能です。
            知り合いの夫婦の経営してる美容師は、全然流行らないので夜にアルバイトしながら店やってます。
            腕はいいのと、静かなので良かったが。

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  3. 芸で食っていくには絶え間ない努力に加え、人から注目されるほどの光る何かがないと無理だと思います。

    音楽だったら、プロダクションから金を出すからデビューしないかと誘われるレベルにならないと、成功は覚束ないでしょう。
    プロ野球なら、ドラフトにかかるレベルにならないと成功は無理です。

    プロダクションやスカウトだって次世代のスターを必死になって探している訳なので、彼らが見逃すような才能はまず無いと考えるべきです。

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    1. 「華」と呼ばれる何かがない人は上手いだけでは芸で食っていけません。プロスカウトたちが才能をスルーすることはないわけではないですが、凄く少ないですね。日本のプロ野球を経由せず、メジャーに上がった人は特殊な理由で経由しなかっただけで、無視されていたわけではありません。

      シン

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    1. ニコさんの依頼された中国歴史記事はかなり勉強になりました。
      中国史は自分も好きなのですが、どうしてもよく取り上げられる殷~三国辺りに興味が限定されてしまうのでシンさんの記事がこの枠を広げるのに一役買ってくれた感があります。

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      1. ルルさん
        そう言っていただけると嬉しいです。

        もともと、三國志あたりだけ依頼するつもりでしたが、宋の時代の発展や明の時代からの漢民族のメンタリティに勉強するたびに知りたくなりました。

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  4. NHKのアサイチで紹介されてたのですが、薬局が広告などに使うイラストをココナラ経由で2500円で依頼して、それなりに満足のいくものができたと喜んでる様子を紹介していました。その後、イラストレーター達が「安すぎる!やめて!!」と非難してましたね。

    モノの価値って人が決めるものなので、このイラストレーターの人たちが決めるものではないです。何を勘違いしてるのかな?と思いましたね。

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    1. 価格は市場が決めるわけで、ココナラの素人と変わらないと思われている自分の芸が未熟だというだけですね。甘えんな!っと言いたくなります。

      シン

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  5. 芸といっても歌舞伎や狂言といった伝統芸能は事情が異なります。あの世界の役者は世襲がメインであり、競争原理がうまく働いていないように見えるからです。

    伝統芸能で特殊な舞台装置を必要とするため新規参入が容易でないこと、一子相伝でしか伝授しない技能が多々あると考えられること、古くからの支援者や公的団体と固く結びつき利権をしっかり握っていること、歌舞伎や狂言の家に生まれたら生涯役者しかやらないという突き抜けぶり、そういった要素が結びついてああなっていると思います。

    まあ、江戸時代まではどんな芸の世界も参入障壁が高く、そんな感じだったのだろうと思いますね。

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  6. どのスパンで切り取って見るかも肝要ですね。
    安売り店が、周りを軒並み潰したものの、撤退して、
    その後住民が買物難民で苦労した、とかは誰がどう織り込むんでしょうね。
    ま、面倒くさいんで自己責任ということにしときましょうかw

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    1. 市場の原理で生存者利益があるため、競合が減ってきた時点で徐々に値上げしていきます。そうでなくとも、価格を上げた新規参入があります。だから、そこに需要がある限り、供給がなくなることはありません。

      シン

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  7. 新規参入者の侵入を許さずに競争原理が働かなくなったものについては先攻者の既得権益を保護していく半面、何かの拍子に業界全体がそのまま地盤沈下を起こしていきそうですね。

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    1. 競争の原理がなくなると、新しく尖ったものが出てこなくなり、人目を引かなくなり、業界全体が相手にされなくなることはザラにありますからね。常に競争してないとダメなんでしょうね。

      シン

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