じゃあ、日本で不動産投資

日本で不動産投資するって、かなり分の悪い勝負だなぁ、と思います。

人口

基本的に人口オーナスに入った国で投資すること自体が危険であり、人口減で経済成長したケースは歴史上、一度もありません。今後、技術革新で歴史が破られる可能性がない、とは言いませんが、過去の例を見るとかなり危険と言わざるを得ません。

さらに言うと、日本は移民国家ではなく、言語も特殊で独立しているだけでなく、独自の商習慣、労働環境である為、外国人にとって魅力的な生活環境ではありません。かつてはその経済規模が魅力でしたが、それも相対的に萎んできています。

つまり、単なる順張りで勝てる可能性はほぼあり得ません。隙をついたり、ニッチを狙ったり、タイミングを見計らって張らないと勝てないわけです。広義の逆張りでないと勝てないわけですから、順張りである日本株インデックス投資、日本市場リートは日銀が買い支えているくらいです。

事実、株価インデックスが30年近く前の最高値を抜いてないのと同様に、不動産価格もバブル期を抜いていません。つまり、30年もの塩漬けをしても勝てない市場なのです。こんな衰退市場は世界で唯一であり、稀有の勝てない場と見做されています。

需給

日本の相続税は酷すぎます。都心部、郊外にまとまった土地を持っているだけで、相続者は売らないと相続税を払えません。よほど準備しないと用意できないくらい酷い税率です。そして、まとまった土地を一人では買えないので、分割されて醜い極小住宅が立ち並ぶ、と言うわけです。

バブル期前に不動産を相続、購入した層は70、80代になり、彼らの持っている不動産が市場になだれ込んでくるタイミングになってきています。子供世代は核家族化により、不動産を別に持っており、必要ないことが多いし、相続税、分与分を払ってまで自分のものにしません。

日本の他に例がないような酷い相続税法を根拠にして、相続税対策、と恐怖心を煽り、安易な不動産投資を煽る業者は横行してますから、ますます需要の乏しい郊外のアパートは増え続け、需給バランスは悪くなり続けます。

すでにアクセスの悪い郊外物件はタダ同然で投げ捨てられていますが、そろそろ都心部まで通勤するのに、一時間以上の物件は確実にダブついてくるだろうと思います。そうすると、連れ下がりで不人気地域の都心近郊物件も下がってくるでしょう。

買い手がいないんですよ。バブル期以降に成長した世代は長く続いた不景気により、現金がなく、経済移民の単純労働者が買うわけでもない。そうなると、ダブついて低所得者層がフルローンで買えるくらいまで下がらないと需給バランスが良くなりません。

東京沿岸部タワマンが危険なのは相続税対策で買った資本家が法律改正で撤退し、小金持った見栄張りサラリーマンが一通り買い、割安感で買っていた新興国のグレーマネーが利回りの悪さで見切りをつけてくる時期であり、並みのリーマンには買えません。

日本政府がお金をジャバジャバ使って膨らんできた価格が維持できない時期に来ており、一度下がりだすと、買い支える層が見当たらないので、並みのリーマンに買えるレベルまで落ちるまで止まらないでしょう。

デフレ

日本人が不動産を買いたがらないのはデフレだから、だと言えます。不動産はインフレに強く、金利以上の利回りが期待できるなら、キャピタルゲインを取れる可能性が高いので、自己使用不動産はリスクの低めな投資であるわけです。

常にインフレしている先進国、アメリカでは頭金、クレジットヒストリーがあれば、不動産を買うのが当たり前で、多少の無理はどうとでもなることが多いです。それが行き過ぎるとリーマンショックになりますけど、基本的には酷い無茶をしなきゃ、助かります。

アメリカで無茶がまかり通るのノンリコースローンなので、ローンが払えなくて物件さえ手放せば、ローン残額と評価額に差があっても借金を背負うことがないからです。さらに言うなら、無理なら無理で居直ってギリギリまでローンを払わず住み続け、他州に逃げてしまうことすら堂々とする国民性だからです。

日本の不動産で契約更改時に値上げすることなどごく少なく、ほとんどが減価償却分を値下げ交渉を迫られます。極一部の人気ある商業物件はともかく、郊外の賃貸住宅なんかは値下げしないと、築年数の古くなるほどに入居者に困ります。

よく言われるのは二巡目が終わった10年目以降に借り手が少なくなり、リノベーションしたり、設備を変えたりとまとまった再投資が必要になり、それでも借り手が付かなければ、赤字物件になります。そして、不動産は持っているだけで固定資産税が発生しますから泣きっ面に蜂、となりますね。

こういう状況だと、転居をする予定のない人が自己使用物件として買って、デフレの反動でキツメのインフレが来るのを待つくらいしか日本の不動産で安全に勝ちが見込める展開はありません。

転勤、転居の可能性があるのに日本で不動産を買うのはバカのすることであり、よほど運が良くないと赤字になります。そして、不動産の含み益など、何の意味もないことです。相対取引である為、評価額で売れるとは限らないし、税金、収入印紙代、仲介コミッションなど、様々に売買コストが加わります。

まとめ

こう言う観点からすると、転勤が伴う仕事はかなり割高なパッケージが付いてない限りはリスクでしかありません。転勤を伴う仕事であるなら賃貸住宅で暮らすのは必須条件であり、住宅補助は当然貰うべきです。そうでないなら、よほどのやり甲斐なり、将来性がないならすべきではありません。

更に終身雇用制度なんて保証されない時代に一人馬力で家計を支える必要があり、まともに経済力のない妻と離婚になれば、経済力のない元妻を養うことになります。そして、必要なくなった購入した自宅を手放せば、差額を借金で背負いますし、人生はメチャクチャになります。

家賃払うより、みんな買ってるから、かっこいいから、とかで、日本の不動産を買う人間は明らかに危険な勝負をする自殺志願者みたいなものであり、その勝負は運良く助かっても、その軽率さでいずれは危機に陥るだろうと思います。

12+

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、日本で不動産投資」への19件のフィードバック

  1. >転勤、転居の可能性があるのに日本で不動産を買うのはバカのすることであり

    →本当にその通りだと思います。仮に転勤が通える範囲だとしても、通勤時間が長いとストレスになります。
    また、住居は周りの影響を強く受けます。隣や下の部屋のベランダでタバコを毎日吸われたり、近所にドン○ホーテが出来たりしたら、我慢せずに引っ越したいです。
    不動産購入を勧めてくるのは、日系企業で転職無しの人が多いですね。何故か転勤経験者も勧めてきます。
    買えば最終的に自分の物になると言っても、その頃には古くなってますし、家族構成も変わっている可能性が高いです。

    余談ですが僕の友人は、結婚した際に嫁のバイト先に近いという理由で割高の賃貸を借りさせられました。離婚して一年以上経つのに、更新料を払ったから、頭金が無いから、勤務地が変わるかも知れないからと引っ越しを後回しにし続けています。
    そういう人が付け込まれるんだなあ、と思いました。

    4+
  2. 他にリスクを上げるとすれば、地震で破産するリスクが最強に怖いな、と思います。
    火災や水害は損害保険で焼け太る事も可能ですが、地震は最大で半額までしか保障されない上に料率も高いので割が悪いですし。

    逆にメリットをあげるならば、子供や孫に家賃のかからない住居を残してやれる点、ですかね。
    そこそこの都市圏内に家賃のかからない家に生まれ落ちるメリットは、かなり大きいですからね。
    そう考えると未婚者や子無しが日本で不動産を入手するメリットは見栄以外には思いつかないですね。

    1+
    1. くろねこさん
      >地震で破産するリスクが最強に怖い
      →仮に壊れなかったとしても、地震のあった地域の物件だと買い叩かれそうです。地震の影響は後からも来ますしね。

      >都市圏内に家賃のかからない家に生まれ落ちるメリット
      →余裕があれば良いですが、貯金がローンに変わるなら、微妙だなあと思います。家を買ったから学費は出せない、というのは良く聞く話です。

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    2. >そう考えると未婚者や子無しが日本で不動産を入手するメリットは見栄以外には思いつかないですね。

      高齢者の一人暮らしは賃貸物件を借りにくい(孤独死などあるので不動産会社が嫌がる)ので、持ち家のほうがメリットありますね。

      3+
      1. >高齢者の一人暮らしは賃貸物件を借りにくい(孤独死などあるので不動産会社が嫌がる)ので、持ち家のほうがメリットありますね。

        そのメリットはほとんどないと思います。

        高齢者の一人暮らしなら持ち家で暮らすよりも、老人ホームに入った方が精神衛生上、利便性で良いです。老人ホームで群れるのが嫌いなら、高齢者一人暮らしになってから買っても良いかもしれません。かかりつけの医者、趣味の溜まり場に公共交通機関で行ける場所になり、需要は現役時代とは違うので、持ち家を用意しておくメリットはありません。むしろ、処分に困ります。

        シン

        1+
      2. >高齢者の一人暮らしは賃貸物件を借りにくい
        →高齢者になる前に借りて、住み続ければ良いと思います。
        個人的には、現役のうちは賃貸にして、退職金でシルバーマンションを買うのも良いなと思います。
        数十年後の住環境や、高齢者になった自分に必要なインフラは、その時にならないと分かりませんので。

        2+
    3. >そこそこの都市圏内に家賃のかからない家に生まれ落ちるメリットは、かなり大きいですからね。

      家賃がなくとも固定資産税は必須、マンションなら管理費はかかりますし、いずれは建て替えも必要でしょう。一戸建てでも20年に一度くらいは大掛かりなリフォームが必要なので、無料で住めるわけではありません。そして、相続税は高いです。

      シン

      2+
  3. ローンで新築の家を購入するより利便性の高い場所で空き家をリフォームするのも手かなと思います。
    特に、名古屋だと非常に安上がりです。

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    1. 新築はご祝儀価格込みなので、すでに土地を持っている人以外にはあまり勧めませんね。それを言い出すと、都市のくせに車社会の名古屋はコスパが悪いですねw

      シン

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      1. >都市のくせに車社会の名古屋はコスパが悪い

        ⇀本当にその通りです。
        道路建設に携わる者が、自動車産業の御膝元の
        名古屋を悪く言ってはいけないんですが、
        車社会だし名古屋人は排他的だし、
        見栄っ張りな寄生虫体質の女が多いとも聞きます。

        住み良いのは大阪か福岡ですね。
        期間限定なら札幌・仙台・那覇も面白そうですが、
        交通が便利で気候が厳しくない事を考えると、
        終の棲家とするにはやはり大阪か福岡です。

        3+
  4. ろくに貯金もしたことがないのに、ほとんど頭金なしで住宅を購入する人がいますが、さすがにリスクが高すぎると思いますね。
    銀行も自宅を手放すのは最後の最後と分かっているので、貸出審査甘くなりがちなことを理解すべきです。

    35年ローンが当たり前というのも疑問ですが、フラット50など半世紀ローンが出てきて、もはや国債の最長返還期間を超えていることに驚きです。
    親子リレー返済という、親子2世代で返済するプランもあり、そこまでして住宅を買わなければならないものかと思いますね。

    1+
  5. 私の周りにも結婚して35年ローンで家を購入した話を聞くのですが、支払いが少なくない借金を35年するのは嫌だなと思いましたね。
    これで子供の学費とか考えたくなくなりますね。
    私は、入社時に自動車のローンですら嫌なのに。

    2+
  6. 一般的な手法ではありませんが、完成直前に施主がパンクして裁判所に流れた”新築”競売物件は、市価よりも非常に安く、お得感が有ります。吟味の上で安く買って賃貸収入を得れば小遣いを稼げます。

    3+
  7. 住宅で財産になるし、賃貸の家賃と支払いが同じだからと考えて住宅ローンを組む人が多いですね。
    後は、共働きで健康で働けることが前提条件で支払い計画を立てるのでちょっと人生計画が狂うと破綻しますよね。
    知り合いで公務員と看護師の夫婦が都内で6,000万円のマンションをローンで買って、子供は私立にお受験とか私には狂ってるとしか思えないです。

    3+
  8. 日本の住宅って負債でしかないんですよね。取得価格は高いのに、価値の下落は早いですから。

    住宅の購入・維持費用が賃貸と同じなわけないのに、持ち家信仰で思考停止している人が多すぎるように感じます。税金や修繕費や地震火災保険料を甘く見ているとしか思えません。

    僕は金利を払うのが嫌なのでローンは組まないつもりですし、壊れても構わないような安い中古を買うか、何なら自分で建てようかと考えています。

    4+
  9. 私も、首都圏近郊の王禅寺とか一応高級住宅街といわれているみたいですが、交通の便は、さほどよくなく、買っ70代、80代になっており、相続税対策とかであと、20年もたたずに一気に暴落するだろうなと思っていました。
    相続税対策以外にも、バブル前に住宅を買った人の子供はそんなに裕福でもないし、親が亡くなる前にでも、生活の糧にするために、住宅を売っていくだろうと思います。
    焦って、今住宅を買う必要性は全くないと思います。
    そうでなくても、先行き日本の将来自体に希望を持てない今、住宅を買うのは危険すぎます。
    買うなら、日本が落ちるとこまで落ちたときだと思いますが、そのときは私はもうこの世にいないと思います。
    若い人だったら、そのときに勝負するため資金をドルにでもして貯めておくのが良いのかもしれません。

    1+
  10. 大変興味深い記事で、私も不動産を検討するときはぬるりブログを、「界王拳」「東京vs.大阪」「身がすくむ」などのキーワードで探して勉強します。
    とはいえ、凡人が実需に基づくキャリア形成に失敗した後、現状にしがみつきながらぬるりと生きる為には資産形成を計画する必要があり
    投資であり、株式か不動産は避けては通れません。
    オヤジ近寄んなー息すんなー、
    対面座席にスカート来いーとか不毛なことばかり考えながら通勤時間を捨てているのに代え、
    勤務先本社徒歩数分の都心(例えば日本橋、大手町、溜池山王、赤坂、銀座、新橋など)に勤務先会社の年金提携信託銀行の低利住宅ローンでマンションを買い、
    節約生活しながら自分で住み、転勤辞令を逆張りして、転勤先では家賃補助を取り 住宅からはサブリースで賃料を取り、と考えています。
    地震保険ですが、地震を理由に勝負しないのも逃げ…ですし
    耐震基準はしっかりある中で、ジャッキアップ費を賄う程度が保障されれば良いと割切る考え方だそうです。

    0
    1. 東京都心の本社勤務で、原則転職、転勤がないなら徒歩圏内に小さめのアパートを買ってしまうのはアリだと思います。仮に転勤命令が出たら、帰る予定があるなら年数を決めて賃貸物件にして、帰る予定がないなら片道出向そのまま売る、貸す覚悟をしているなら勝てる可能性は高いと思います。定年まで逃げ切れたら、それも売る、貸すを選択して故郷に帰るなり、便利な郊外に移る、シルバーマンションを買い替える、と出来ます。ただ、これが使えるのは独身者、シングルインカム世帯だけです。共働きで二重生活になると大損害なので、是が非でも転勤を拒否するか、どちらかが資格、スキルがあり、転居しても仕事を続けることが可能、という条件付きで世帯ごと転居して、赴任手当、住宅補助を受けるのは良いと思います。

      地震に関しては昔からの中心部では地盤がしっかりしており、仮に起こっても被害はさほどでもない可能性が高いです。逆に最近になって住宅、都市に変わった場所は地盤が緩く、災害時に手がつけられないくらい被害を受ける可能性が高いです。人が住んでなかったのには大抵理由があるからです。

      シン

      22+

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