じゃあ、人民元

我々日本人には認めたくない事実ですが、中国の影響力は日本を越えつつあり、アジアの中心は時間の問題で中国に移るでしょう。その前の課題として人民元の開放、国際化を行う必要があり、かなりの混乱を伴うのではないだろうか?と思います。

閉鎖

毛沢東、中国共産党が内戦を勝ち抜いて、社会主義国として第二次大戦後の中国はスタートすることになりました。それとともに、半ば鎖国状態で計画経済を形成していくことになり、人民元は政府厳重管理のドルペグ、通貨バスケットとして一定に保たれていました。

そうなると、政府希望のレート、市場レートが食い違うことになります。そうすると、海外の華僑が持ち込む外貨が市場レートで取引され、二重レートが当たり前に成ってきます。今では減ってきましたが、闇両替というシステムで、政府の意向を無視して市場の原理が働いてレートが勝手に決まるわけです。

私は数年前に鎖国していたミャンマーに行った時に闇両替を経験しましたが、現地人は誰も現地通貨のチャットを信用せず、政府が決めたレートを無視して米ドル、ユーロを欲しがっていました。持ち運びに便利な高額紙幣、新札が好まれていましたね。ちょっとした汚れも原点対象です。お金持ちの隠し財産になるのでしょう。

私も政府レートで換えるのが嫌だったので、英語ガイドに連れられて、怪しげな民家みたいな建物に入って、手持ちの米ドル札を差し出して、悪そうな顔した兄ちゃんが念入りに確認すると、とんでもない札束が返ってきて大金持ちになったような気がしました。

たしか、一ドル分がチャット最高紙幣だったので、300ドル換えたらすごいことになったと記憶しています。過去の中国も同じだったのだと思います。今でも人民元は100元が最高額紙幣ですし、まとまった額を両替すると札束になります。

さて、こういう闇両替が当たり前になると、兌換券という外国人専用通貨が政府によって発行されて、何とか闇両替を管理しようとしますが、次は兌換券が高額レートで取引されるようになる、といういたちごっこです。

今でも北朝鮮は外国人専用通貨があったはずです。つまり、どんなに政府が強権によって市場レートを管理しようとしても、市場は需給によってレートが決まってしまうので無駄だということです。仕方ないから黙認状態で放置することになります。

改革

中国人は日本人より資本主義的であり、政府管理の社会主義が長く続けられるわけもなく、次第に開放政策で資本主義導入をしていくことになります。そして、日本のあとを追うようにして成長をしているので、日本の軌跡を辿ると中国が進む道が見えるのかもしれません。

海外メディアが日本との共通点を指摘すると、中国首脳は血相を変えて頑なに否定しますが、中国経済は明らかにバブルに入っており、不動産は庶民の手に届かないレベルになって久しく、海外で管理も出来ない資産を爆買いを続ける様子はかつての日本を見るようです。

中国人は交渉上手で、本音と建前の使い分けが上手いです。まずは社会主義を事実上捨て、外資の受け入れ、資本主義に移行します。すると、広大な領土、膨大な人口を持つ中国は巨大なマーケットとして魅力的なため外資はこぞって参入します。それを合弁を強いるなどして、国内企業にコピーさせながら、技術を盗んでいきます。

そうなると、安かろう、悪かろうの中国製品が市場に投売りされ、溢れてくるようになります。それでも、数を作っていくうちに徐々に品質は良くなってきますし、新しいアイディアも生まれてきます。レノボ、シャオミーなど汎用品メーカーとして中国勢はそんなに悪いものを作っているわけではなくなってきました。

その過程で輸出に有利すぎる為替は是正が求められて、中国は2005年に固定相場制から管理変動相場制、通貨バスケット制に移行しており、これが日本のプラザ合意に当たるでしょう。実際、中国は2005年からバブルが始まり、2007年には最高潮を迎えています。

日本との違いはプラザ合意は完全変動相場制だったのに対して、中国は管理変動相場制を選んで、ちょくちょく政府が大きく介入をしているので、そこまで激しく為替が動かないようにしています。これをアメリカに文句をつけられているので、さてどうなるか?とう状態です。

中国首脳曰く、中国は日本の歴史を学んでいるので大丈夫だということらしいですし、実際にプラザ合意85年に対して、バブル崩壊が92年なので、中国は良く耐えていると言っていいのだろうと思います。やばい場面は強制売却停止などで切り抜けてきました。でも、市場経済を支配できるんでしょうかね?

将来

ここからは私の想像となります。人民元の変動相場制移行をすれば、誰もが予想するのは人民元高に振れて行き、中国は輸出競争力を徐々に失っていくでしょう。実際、中国都市部は不動産の狂い上げによってすでに先進国並みの物価であり、安い国ではありません。

日本のプラザ合意にあたるイベントは既に消化しており、国内の資産バブルを起こしているので、次のイベントはバブル崩壊、失われた10年、20年ということになるので、中国首脳は日本と同じ道には行かないと必死になって否定するわけです。

中国は日本と違って国内問題も抱えており、チベット、ウイグルなど少数民族に対する虐殺行為は有名ですが、地方在住の同じ漢民族に対しても奴隷扱いをしており、搾取を重ねている為、小さな暴動は日常茶飯事だとの情報もあります。(絶対に中国メディアは報道しませんが。)

中国が輸出で競争していけるのは「都市戸籍、地方戸籍」という実質的な一級市民、二級市民という区分けをして、地方戸籍しか持たない二級市民を奴隷として扱うことで人件費を下げていることも理由です。世界第二位の経済規模を誇る国が自国民の移動の自由と言う基本的人権を無視しているのは恐ろしい話です。

具体的には二級市民は都市部に出稼ぎに来ても住民登録できず、不動産は買えない、子供を学校に通わせられないので、家族を呼び寄せて移住することを不可能にしているのです。そのため、単身で悪い条件を甘受して奴隷労働するしかなく、雇用者に少しで文句をつければ地方に叩き返されます。

一流大学卒、軍籍者など、国に貢献できると認められた二級市民は申請によって一級市民になることもできますが、エリートだけの特権であり、一般二級市民は申請しても即却下されます。そのため、二級市民は親戚で一番出来のいい子供に狂ったように勉強させ、地方からの脱出を図るのです。

人民元の変動相場制を認めて、輸出で競争力が失われてくると、過剰に生産能力を抱えた中国はモノで溢れてしまい、お金が回らなくなってしまいます。そして、お金が回らなくなってくると、沿岸地域から先に豊かになって、徐々に地方に富がいきわたるよ!という政府のスローガンは完全に破綻します。

日本は単なるロスジェネという空白期間になっただけですが、中国は内乱が起こってもおかしくありません。国に対して忠誠心がなく、家族とお金しか信用しない人たちにお金が回らなくなれば、暴動、内乱という繰り返された歴史があります。今、共産党がかろうじて政権を維持できているのは経済成長しているからです。

まとめ

アジアの主役を奪った中国が我が物顔で日本を皮肉ってバカにしたように笑う場面が増えましたが、これも「Japan as No.1」というお世辞に酔って、アメリカを飲み込んでやるぜ!世界一だぜw!と調子に乗って、この世の栄華を極めていたかつての日本と重なります。

このブログで何度も言っていますが、アメリカは自国の立場が揺れると、ルールを変えてしまう国です。アメリカになだれ込んでくる中国製に迷惑してきても、中国が米国債さえ消化するならスルーするでしょうが、もう少し調子に乗ってきたら、人民元の完全変動相場制を強いて、アメリカ市場から排除してしまうでしょうね。

そして、中国は「人口多いは七難隠す」を一人っ子政策によって失って、強烈な高齢社会が待っている身でもあるので、日本より激しい老人国家になるのでしょう。そうすると、優秀な中国人は海外移住してしまうのでしょう。これも繰り返された歴史です。その時に彼らは日本を笑っていられるでしょうか?

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、人民元” への 9 件のフィードバック

  1. 韓国に負けるのは絶対認めたくないですが、中国に負けるのは仕方ないと多くの日本人は思っていますよ。日本文化の多くは中国起源なのは明らかですし。
    中国は大国なのは明らかなのだから、もっと堂々として、国も閉じず、先進国の制度をもっと取り入れ、先進大国として相応しい態度を取ってほしいです。

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    1. >韓国に負けるのは絶対認めたくないですが、中国に負けるのは仕方ないと多くの日本人は思っていますよ。
      →同意します。
      小国の身の程を弁えずに猛進したのがシナ事変からの先の大戦ですからね。

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      1. まあ、日本は小国ではないと思いますけどね。
        イギリス、フランス、ドイツ並みには大国です。日本が小国なら、イギリスやフランスも小国になってしまいますよ。
        でも、中国はもっと大国なのは紛れもない事実なので、侵略は出過ぎた行為だったと思います。

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        1. 結果的に負けたので「侵略」といいますが、富国強兵の過程で欧米列強に対抗するには彼らと同様に中国に打って出るしかなく、満州を手にしたところまではイギリスにおけるアメリカになりえたと思います。そこで止められなかったのが膨張なんだろうと思います。

          シン

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  2. 中国は日本を学んでいる、といいますが、少子高齢化の破壊力は学んでなかったみたいですよね。
    少子高齢化の破壊力はバブル崩壊なんて遥かに超えてると思います。
    日本にとっては、バブル崩壊やリーマンショックの破壊力がダイナマイトなら、少子高齢化の破壊力は水爆ですわ。
    中国も老いてゆくのは確定なので、あと20年もすればそこかしこで問題が起きるのでしょう。いびつな一人っ子政策のせいで、その破壊力は日本を遥かに超えるはずです。中国にとっては反物質爆弾のように感じるでしょう。
    とはいえ、中国は老人をそこらで死ねよとあっさり切り捨てることで解決しそうな気もしますね。これは日本ではできないですからね。

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    1. 学んだところで、上手くやれるものでもないんですよね。特に中国ほどの大国で複雑な政治背景を持った国がシンガポールみたいな合理的政策に徹することは無理だと思います。

      シン

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  3. 貿易黒字の分、人民元を発行することで意図的に通貨安に持っていったわけですが、
    経済が成長している間は人民元を発行しインフレとなっても問題はありませんが、
    成長が鈍化すると、行き場のなくなった人民元が不動産へと流れ込んでバブルとなっているのでしょうね。

    バブルが続いている間は誰もが不動産投資に夢中となり、まじめに働くのが馬鹿らしくなってしまうので、
    バブルは早々に崩壊させないと、国内の産業が育たなくなるという弊害がありますね。

    政府による人民元の管理が共産党の維持の肝のため、この先、完全変動相場制への移行は拒否するのではないかと思っています。
    アメリカも中国のバブル崩壊は世界経済の影響力が大きすぎて、あまり口出しできなくなっているのではと思います。
    トランプ大統領も、選挙期間中に中国の輸出に高い関税を掛けると言っていましたが、あれはどうなったのでしょうね。

    私はまだまだ先のことだと思っていますが、それでもいつかはバブルは崩壊するので、その日が来るのが恐ろしいですね。
    振り子の原理からいくと、バブルを引き伸ばすほど、その反動がすさまじいことになりそうです。

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    1. 一般的に言って、無理に市場管理をすると、振り子が大きく振り下ろされることになるので、中国ほどの大国に大きな反動が来たら、世界経済全体がとんでもないことに成るだろうと思います。

      シン

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