じゃあ、ソフトバンク-5

ソフトバンク子会社、スプリント、T-mobileが合併に向けて手続きを取ることを決めました。

条件

要するにスプリントがT-mobileの傘下に入ります。そして、親会社のソフトバンクは新会社の少数株主、27%を持つことになります。元々のターゲットは両社を合併して、新会社をソフトバンクが支配することだったので、孫正義氏の野望は半分叶えられた、という引き分けの形になったわけです。

T-mobileの親会社であるドイツテレコムも過半数割れしており、47%しか持たず、議決権ベースで連結にします。当然、新会社の主導権はドイツテレコムが握り、T-mobileを復活に導いた、カリスマ、ジョンレジャー氏が引き続き指揮をとることになり、孫正義氏、マルセロクラウレ氏は役員としては残るが、大きな影響力は持たないことになります。(ちなみに、ジョンレジャー氏はロン毛のちょいワルオヤジで、セクシーな雰囲気の人です。)

今回は流石の孫正義氏も驚愕のディールを決めることは出来ず、市場の想像の範囲内で決まり、地団駄を踏み、次の展開に備えているでしょう。おそらく、株の買い増し、買い上げなどの何かしらの特約はつけていると思うので、それを行使できるように動き回るんだろうと思います。

承認

あとはトランプ政権から承認を得られるのか?という話ですが、これは半々、という感じです。ポジティブ要素としては孫正義氏が大統領選前にトランプ氏と会って、口説いており、当選後も即アポしています。こういうロビー活動はアメリカでは極めて重要で、前振りがあるので、断れない、だろう?ということです。

ドイツテレコムも別方向からアメリカ政府に働きかけていたみたいで、トップが公式に大丈夫だろう、というような見解を見せており、多少揉めても、ひっくり返させることはないとの見通しで、2019年以内に承認の見込みです。次の大統領選までにケリをつけるよ、ということでしょう。

そして、反トラスト法と言っても、弱者連合であり、放置すると共倒れになる可能性のある二社ですし、むしろ、反トラスト法適応は二強の方だろう?という意見もあり、彼らは元々同じ会社で大株主も似たような構成で真剣に戦ってないだろう?という疑惑はずっと前からあり、第三極の大型化は好ましい、とも言えます。

ドイツテレコム、ソフトバンクは外資で、外資がアメリカで勝ちすぎると叩かれるので、合併しても、まだ第3位、というのがちょうど良いくらいで、これが第1位に躍り出るとなると、ほぼ間違いなく止められるでしょう。これはアメリカに限ったことではないでしょうけどね。

隣のカナダで通信業者の寡占で競争力がなくなり、通信料が大幅に上がってしまったこともあるので、消費者としては選択肢は多い方がいい、という意見が多く、私が見た限りでは多くのアメリカ人は合併を歓迎してません。まぁ、通信料が家計に占める割合は高いので仕方ないでしょうね。

格言

しかし、「噂で買って事実で売る」という株の格言は本当で、合併条件合意が確定的になると、4/28の時間外取引でスプリント株は急落し、4/30は大幅下落になりました。合併そのものは株主にとってプラスになるわけですが、色んな考えが交錯しました。

スプリント株主からすると、プレミアムはつかなかったので、これ以上買い上げる余地がなくなり、評価額が確定したことで、蓋を閉められた形になり、合併が破綻したら、下限はないので、持ち株を解消するのが安全だ、との見方だったみたいです。

開けて、5/1の日本市場、ソフトバンクからすれば、この合併は好材料にもかかわらず、一旦下げるものの、徐々に上げていき、小幅上げになりました。確定するにしても、2019年のことであり、まだまだ不透明感があるので、一気に買いは入らなかった、ということです。

合併のニュースを見てから短期で入っても、まず勝てなかったわけで、市場の思惑に右往左往する羽目になったでしょう。噂が出た段階で、小幅に上がったので、そこに乗っかり、話が具体的になって来たところでもう一段上がり、そこで利確しないと勝てないということになります。

まとめ

なかなか勉強になった合併話でした。通信インフラ、というものがどれだけの影響力を持ち、人々の生活に関わってくるのか?を改めて思い知りましたし、大きな利益の裏には巨額の債務があり、長期でないと取り組めないビジネスであり、個人が挑もうとすると、大成功した会社でないと無理です。

その点で楽天にはあまりにも荷が重すぎる、とは思いましたし、日本政府だってそう思っているけど、既存のプレーヤーに圧力をかけるために許可してしまう。楽天は値下げ、奇抜なサービスで挑むので、他三社はそれに乗っかってくる、最後は楽天がどこかを食うか?潰れるか?になります。

ソフトバンクは学ぶことの多い会社ですよ。

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