じゃあ、極小住宅

極小住宅って、色んな意味で嫌だなぁ、と思います。

使用

都心部、近郊のある程度ブランド力のある地区だと、坪単価で200万円を超えてくるので、敷地面積を20坪以下に抑えて、安い上物で我慢して6000万円以内にする、という感じなのかな?、と思います。

これだと、戸建ての良さはほとんどありません。当然、庭なんてないし、駐車場を確保する為に一階部分をギリギリまでえぐって、玄関だけ、せいぜい一部屋だけにして、二階にリビング、三階に二部屋という感じになるでしょう。

家でバーベキューするとか、庭いじりするとか、子供を水遊びさせるとか、アパートでは出来ない楽しみは一切できないんです。だったら、アパートでいいでしょう?と言いたくなります。

戸建ての良さを感じたいなら最低50坪くらいは欲しいですし、住宅に1億円以上をかけるつもりがないなら、都心部に戸建てなんて馬鹿馬鹿しい話です。住宅費のほとんどが土地ですからね。

転用

この手の極小住宅の問題点は後々になって現れます。狭い敷地面積をカバーしてする為にギリギリの動線でレイアウトをしているため、バリアフリーとは程遠い仕様になっているため、歳をとってから困るのです。

売ろうにも、極小住宅は売りづらく、再開発計画に引っかかって、地上げ対象になれば、ラッキーですが、そうでない限り、なかなか売れないんですよ。アパートとしては土地が狭すぎるので、極小住宅は極小住宅としてしか使えないのです。

貸すにも、戸建ては個人の好みが反映されてるので、そのコスト分を市場価格として認められることは少ないです。よほどセンスのある人とか、ブランド力のある人なら、個人の好みがお金になるんでしょうけど、レアケースです。

戸建ては古くなって上物に価値がなくなっても、土地に価値がある、というのは極小住宅だと、適応されづらいです。年寄りに住みづらい家、土地の固定資産税は高い、売りづらいを抱えて途方にくれる可能性があります。

利点

ほとんど利点のなさそうな極小住宅の唯一の利点は店舗利用です。人気のある商業地に店舗を構え、上に自宅を持つケースなら、売りやすい、貸しやすい、価値が上がる可能性がある、と言えます。

実際、世田谷の新興住宅街の駅前商店街に店舗兼住宅を持っていた人は商売を辞めても貸すことをできますし、その場所に未練がなければ、売っぱらって故郷に戻るなり、もっと落ち着いた郊外に引っ越すこともできます。

だから、店舗型の自営業をしているなら不動産を買って、そこを自己使用するというのは、商売がうまく行っている限りはリスクの少ない投資と言えるのですが、ビジネス、プライベートがごっちゃになり、嫌な人は少なくないだろうと思います。

まぁ、ある程度商売がうまく行ったら、住居部も商業利用して、自宅を移してもいいですし、そもそも、自営業を始めるなら、ビジネス、プライベートの区別なく不眠不休でやるくらいの覚悟がなくては成功はまずしませんから、丁度いいのかもしれません。

まとめ

不動産はなかなか奥深く、考えさせれることが多いです。東京ほど、極小住宅が多い大都市は他にないのではないか?と思います。パリ、ニューヨークなんかは戸建てはほとんどなく、戸建ては郊外にしかありません。シンガポールも戸建ては本当に限られています。

便利さを求めるならアパートの方がいいし、自分用のカスタムをしたいなら一定以上の敷地面積は必要で、郊外に住む方がいいです。その分の不便は我慢するしかないでしょう。どちらも嫌なら、成功して都心にまとまった土地を手にするしかないでしょう。

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ニコ
5 years ago

前に招待された家のことだと思いました。
新婚で不便な場所に家を購入した友人が極小住宅でしたね。そんなに安くはないですがそれなりに安いと言ってたのは上記の理由なんですね。表面的にはわからないデメリットだらけですね。
しかも、極小住宅でも交通の便が良ければいいかなとか思いますがいい場所だと安くないですからね。

1+
ニコ
Reply to  シン
5 years ago

シンさん
友人の家ですが、マイナーな私鉄の無人駅から歩いて30分近くかかる立地で35年ローンは嫌だなと思いました。
しかも夜は道が暗くて私は溝に落ちましたね…

1+
たま
5 years ago

本当にそのとおりだと思います。マイホーム信仰なのかなんだかわかりませんが、元は1軒だった所を3分割して同じような狭小住宅が3軒たっているのを見たりすると、将来的にもう1つには戻せないし建替えもできないしメンテナンスも相続も大変だろうなと思います。相続時に分割して現金化した土地の成れの果てですかね。

1+
dw
5 years ago

極小住宅についてよく考えたことが無かったので興味深い記事でした。ありがとうございます。
明確な定義はないらしいですが、一般的に建坪15坪の土地を指すようです。東京では「ここに家が建つの?」というようなスペースに上手に家を建てるので、関心してしまいますw

極小住宅にするくらいならアパート・マンションのほうがよっぽどいいですね。
不動産屋は「極小住宅のメリット」として固定資産税の安さを挙げていますが、「いやいや・・」と思いますw
建築コストはむしろ割高になるようですし、考えれば考えるほどメリットはないですね。参考になりました。

1+
いつき
5 years ago

私は以前、「狭い家に住むのがコスパが良い」
と書き込ませて頂いたことがあります。
この場合の「狭い家」とは、アパート・マンション・
寮等の集合住宅を想定していました。
一戸建ての狭小住宅は、シン様ご分析の通り、
メリットがありませんね。

狭い所を効率良く使って住む、
という発想自体は良いのですが、
一戸建て自体が効率の悪い代物なので、本末転倒です。
冷暖房の効きは悪いし、電気・水道・ガス・
ネット回線等のインフラを個別に引かなければなりません。
田舎で一次産業に従事しているか、
シン様ご提案のように住居が店舗・職場を
兼ねているのでもない限り、
一戸建ての家に住む意味はありません。

そしてそもそも、家を買って所有する、
という考え自体を改めるべきです。
「起きて半畳、寝て一畳」の格言があります。
我々は流石に修行僧ではないので、
そこまでストイックには行きませんが、
4畳程度のスペースがあれば、
ベッド・机・椅子・棚が置けるので
人一人が暮らすには十分です。
あとは共用のトイレ・洗面所・風呂・炊事場か、
潔癖でプライバシー重視な方はユニットバス・
キッチン付きの部屋にしても良いでしょう。
そうした必要最低限の居住空間を、仕事等の状況に応じて
臨機応変に借り替えて住むのが賢い生き方です。
わざわざ土地を買って家を建てるなんて、
全く非合理で理解不能です。
相続等で土地だけあるというなら、
売れる時に売って現金化した方が潰しが効くと思います。

一戸建て住宅には法外な税金を課し、
別荘のような「金持ちの道楽」とするべきです。
そこまでして金持ちが建てる家であれば、
それなりの文化的価値があるでしょう。
そうでない一般市民が無理してウサギ小屋を建てて、
自己満足の悦に浸るのは、土地と資源の無駄であり、
都市の文化的景観を損ねる愚行です。

4+
何処吹く風
5 years ago

前に乗っていたキャンピングカーの居住スペースは、わずか2畳ほどですが
大人二人が十分に生活できました。10日間ほどの旅なら、娘家族と
合計6人でも、さほど狭苦しさを感じることはありませんでした。
むろん、風呂とトイレは借りることになりますが、考え方を変えれば
温泉付き住宅のようなもので全国の有名温泉に入り放題です。トイレも
日中は郊外の大型店を始め、どこにでもありますし、夜は道の駅が
いたるところにあって、探し回る必要はありません。いざとなれば、
高速に一区間だけ乗ってパーキングエリアを利用すればいいので、事前に
綿密な計画を立てなくても宿泊場所の確保で苦労をしたことはありません。
しかし、一度だけ宿泊地としていた道の駅が、夜半になると暴走族系の
お兄ちゃん、お姉ちゃんが集まって来て、次の道の駅まで一時間ほど
かけて移動したことがあります。トラブルを恐れてというのではなくて、
夜中まで人の声がして安眠を妨げられるかも知れないと思ったからです。
トラブルや不法行為が気になれば、電話すると10分以内にパトカーが
パトロールに来てくれます。
キャンピングカー生活って庭付きですよ。日本国中の国立公園を含めた
景勝地がすべて、我が家の庭です。借景ですが。
ネット環境は、スポットWi-Fiが利用できる道の駅が増えてきたので
情報取り溜めしておいて、あとでゆっくり閲覧するみたいなことを
やってました。公衆無線LAN が整備された地方都市も徐々に増えて
きています。

前のキャンピングカーは売却してしまいましたが、現在、軽四ベースの
キャンピングカーを自作中です。災害や火災で家を失っても、土地は
残るのでトイレと風呂だけの三畳ばかりの小屋を建てれば、
キャンピングカーを横付けして生活できるよねと、女房と話しています。

……と、ここまでが前置き。ひとつのスペースをダイニングに使ったり
居間として使ったり寝室にしたりと生活シーンに合わせてシートを
組み替えることで小さなスペースを何倍にも使って狭さを克服できるのが
キャンピングカーです。キャンピングカーだけではなく、クルーザー
なんかも同様の考え方で小さなスペースを大きく使っています。
庭は広いですよね。太平洋全部とか、大西洋ひとつとか。

となると、狭小住宅の利用法っていうか、楽しむとすれば、大きな
プラモデルを作るような感覚で自分で作っちゃえば面白いでしょうね。
10㎡(3坪)以下なら確認申請が必要ないので、誰でも建てちゃう
ことができます。カーポートなど、建築面積に算入しなくても
いいものがあるので、3坪あれば、ロフトなどを利用して
かなりゆったりとした住居を建てることができます。

いやあ、さすがに家族4人なので無理っていう方は、建築士の
資格がなくても設計・工事監理することが可能な、100㎡(30坪)以下の
木造の建築物(二階以下)を建てればいいのです。10㎡(3坪)以下でも
都市部なら建築確認が必要なので、建築基準法とか CAD の使い方、
工事管理の方法などを知っておくといいでしょう。これに合わせて
自分で建築するには、木造軸組構法の知識は必須だし、工具の扱い方から
壁紙の貼り方の実習など建築に必要な知識や技術を身につけておくほうが
絶対にいいと思います。だいたい、6ヶ月で全般的な知識・技術を
身につけることができます。しかも、無料。場合によっては逆に
給付金までくれたりするところがあります。それは、ポリテクの
住宅リフォーム科。私が習ったところでは、実際に家一軒(といっても
6畳二間の平屋)を解体し、受講生達が作った土台、柱、梁、棟木などを
組み立てて、壁紙を貼り、土壁を塗り、一軒建ててしまうという実習を
受講します。

なんかの拍子に失職した方なんかは、給付金で生活しながら受講し、
1年くらいかけて、自宅を自作すれば、ちょっとした仕事の年収分に
匹敵する工賃が浮くんじゃないですかね。

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