じゃあ、獣医学部

加計学園問題で揺れる獣医学部についてリクエストがありましたので、記事にします。

市場

そもそも、獣医って、そんなにたくさん必要なのでしょうか?、日本は農業国家ではなく、北海道は別にして、他の地域は公務員、動物病院、研究職くらいしか、大した需要はないのではないか?、と思います。歯医者みたいにほとんどの人が行くものではありません。

だから、元々獣医学部はそんなにありません。東京を別にすれば、各地域に二校、と言うのが暗黙の了解みたいです。中国、四国地方には獣医学部がないから、新規で作りたい、と言うのが今回、加計学園が目指しているだそうですが、四国にないと困るものなんでしょうか?

でも、高校生で獣医になりたい人は少なくないのではないか?、と思います。女性は動物が好きな人が多いですし、物理、数学が苦手でも、それほど問題ないし、医学部ほど入試のハードルが高くないので、獣医学部の定員が増えれば、人気化すると思います。

つまり、獣医学部の「需要」を二つに分けると、受け入れ先の需要はほとんど一定なので、教育機関の供給は絞られているし、増やす意味はあまりないが、なりたい人が多いという需要はある程度ありそう、というのが現状です。今回は後者の需要のほうが優先されてしまっているわけです。

出口を無視した過剰供給で市場が壊れた似た例を挙げると、心理系学部、管理栄養学部で、確かに高ストレス社会で、カウンセラー、栄養管理の需要は増えているのでしょうが、出口を増やす前に勢いで、供給を増やして、完全になりたい人で溢れかえっているのです。

出口

獣医学部を卒業して、臨床医になるのは半数以下で、残りは公務員、研究職など、営利組織に進むわけではなく、公共性の強いことをすることになります。だからこそ、国がきちっと管理してきたわけで、いきなり供給を増やされても、出口である受け入れ先がありません。

ペットブームと言うか、少子高齢化に伴う継続したペット需要はあるのですが、それは爆発的に増えているわけでもなく、動物病院をガンガン作っても、特殊なやり方をしないと、ビジネスとして成り立たないでしょう。お金にならないなら、獣医を増やす意味はありません。

民間で収益化は出来ないので、国が公務員を増員して、引き取ります、というわけには行かない時代です。明確に説明のできない公務員増加は国民の納得が得られないので、需要を無理やり作ることもできません。

獣医学部は歴史的に農学部の一部ですから、農学部を見るとわかるように、一定の需要はあるが汎用性はなく、うまく専門が活かせる進路が見つからないと、文系と同じ扱いになります。獣医学部が農学部と同じように過剰供給になれば、進路は焼け野原になるでしょう。

ともかく、仕事を増やすには何らかの方法で収益化する必要があり、その目処が立っていないなら、なりたい人が多い、と言うだけで、教育機関を作っても、喜ぶのは役人、学校法人経営者だけで、学生、業界には迷惑になるのは何でも同じです。

利権

日本の教育機関は多かれ少なかれ税金によって運営されており、天下りを受け入れながら、役人とズブズブになってやってきました。だから、出口需要を無視したロースクール、歯学部、薬学部が乱立されたのです。

日本が衰退期に入り、IT革命に追随できない企業、人が脱落していくようになると、人は「資格」に救いを求めるようになります。二言目には「資格」と言い出す人がいるように、国が認定した資格があれば、他人と差別化できると思い込むわけです。

実際は資格なんて、独占業務がなければ、自己啓発を目的としたものでないなら、ほとんど意味はないし、独占業務があっても、その需要が供給を上回っていなければ、何の価値もありません。

医者が踏ん反り返っていられるのは独占業務が無数にあり、需要を常に不足に持っていく為に地道なロビー活動をしているからであり、国の方針が変われば、他の資格と同様に一部の凄腕以外は値崩れするでしょう。今のところ、その見通しがないだけの話です。

そこで、獣医に目をつけたのが加計学園で、そこにストップをかけたのが獣医業界です。供給を制限することで、守っていた市場が一校許可すれば、雪崩式に他にも新設許可が出て、手がつけられなくなることを恐れているのでしょう。

また、加計学園の予定定員は既存の全獣医学部定員の2割に当たるような膨大な定員であり、こんな無茶な供給をすれば、出口市場がメチャクチャになるのは最初から見えた特攻で、多くの若者から多大なお金と時間を奪ったロースクールと同じくらいメチャクチャです。

まとめ

加計学園問題は一連の新設学部ラッシュの一端でしかなく、特に特殊なことではないと思います。声優専門学校だとか、漫画家専門学校みたいなものと同じで、社会の為にはならないモラトリアムでしかありません。

税金が投入され、回収できず、血税が湯水のように使われるのは国益にならず、日本の衰退を加速させるでしょう。さすがにここまで騒がれたら、認可取り消しになるでしょうが、ここまで進んでしまったことが問題だと思います。

少子化でどこの教育機関も必死になって生き残りを図っており、学生の出口戦略を無視して、人気が出そうな専攻を乱発して、お金を回そうとしています。そういう中、高校生はしっかりと出口戦略を持った上で、立ち回らないと、貴重な時間とお金が奪われます。

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、獣医学部」への9件のフィードバック

  1. 記事ありがとうございました。
    獣医学部に行きたい人には面白い話にはならないけど非常にいい記事だと思います。

    あとは、動物が好きで獣医学部に行くのはオススメしません。むしろ、動物を殺すのが仕事になります。公務員や獣医の研究でも畜産や鳥インフルエンザの検疫が仕事になります。
    動物病院なんか始めると設備投資にお金がかかりすぎて爬虫類の病気でも治療できる腕前でないと元が取れないです。

    また、動物の解剖などができるために製薬会社の研究再発の需要もありますが、獣医学部が少ないために教育水準が高い、供給を絞るためだと考えられます。

    大学は、私立は学費が高い、国公立ならかなりレベル高いです。中には地方の医学部なみのレベルの高さです。

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  2. ペットってすごく特殊な商材で、ユーザーにとっては「家族」なんですけど、業者にとっては「商品」です。
    賞味期限が近づくと処分するし、決算の前には在庫整理します。

    結局家畜みたいなものなんですけど、その現実とのギャップをユーザーから見えないようにひた隠しにしています。
    逆にそういうギャップがあるので高単価で売れるんでしょうけど、現実を知れば知るほどペットを飼う気が無くなります。

    人間みたいに医療費として国家予算が組まれるわけじゃないので、獣医で稼ぐのは難しいように思います。
    ペット関連はあくまで「商品」の負荷価値を上げてモノを売ることで儲ける業界だと思います。

    周囲にペットを家族同様に愛してやまない人って沢山いるので、とてもリアルでは言えませんが、ペットという存在に少し疑問を感じています。
    動物自体は可愛いくて好きなんですが…

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    1. ダーさん
      やはり、ペットという商材の特殊性なんでしょうね。
      私もなかなかペット飼えないです。

      まがいなりにも医学なので馬鹿みたいに設備投資も高いのと大学側も人気あるから文系学部みたいに乱立できない、教育水準を下げたくないのでしょう。
      高校生のときに、動物に関する大事な学部なんだから増やしてほしいとか言ってた女子がいましたがなかなか難しいですね。

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      1. 獣医資格の独占業務ってどこまでなんでしょう?この部分がよくわからないです。

        人間の治療なら明確ですが、商品としての動物の治療、メンテナンスってどのまで資格の保護範囲なんでしょうね。
        このあたりの曖昧さも気になります。
        仮にしっかり保護されていたとしても対象になる動物の範囲や内容が限られているので、人間の医療のような大きな市場になるとは思えないです。

        私もペットはなかなか飼えないです。
        高いと何十万もするようなものを購入して、その後の日常生活も制限されると考えると躊躇してしまいます。
        趣味って割り切ればそれまでなんですが、それでもやっぱり生きているので重く感じてしまいます。
        可愛いんですけどね。ペットショップで眺めているくらいで十分です。

        上のコメントでタイプミスしていました
        負荷価値ではなく付加価値でした。
        すみません。

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        1. ダーさん
          知人が獣医の公務員ですが独占業務は動物病院もありますが畜産関係の食の安全性に関することです。
          おそらく、世の中が動物病院しかイメージがないため獣医学部が人気なんだと思います。
          家畜の伝染病の調査や健康診断なら中国みたいに食の安全性を確保するために資格をもって独占業務を与えてやってもらっていいと思います。

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  3. この案件の背景は自由競争に反する補助金ビジネスが産まれやすい環境にあると思います。 (似たような話で保育園運営法人の副園長が補助金を着服) 大義名分(弱者救済、教育振興、老人福祉施設)を笠に着て不当な利益を得る者が後を絶たない環境は先進国では日本独自でしょうか? 諸先進国(東アジア以外では欧米)はどうでしょうか?

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    1. 私が知る限りでは補助金ビジネスは多かれ少なかれどこにでもあり、もっともらしいお題目を掲げて、税金をもぎ取っています。NPO、NGOと呼ばれる組織にも、かなり怪しいものが数多く存在します。人権、環境、教育など、それを盾にとって主張させると、否定が許されなくなるテーマで攻めるわけです。

      シン

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