配当生活に関して記事リクエストがありましたので、書きます。
配当
株式の場合、配当とは利益の一部を一時金として株主に還元することであり、配当を出さなければ、理屈上、株価はその分だけ、上がることになります。その為、新興企業は配当に回すお金があるなら、もっと投資して、株価を上げる努力をします、と言って、黒字でも配当を出さない会社もあります。
逆に半国営企業なら、株価の乱高下を避け、安定株主を増やすために配当を増やそうとします。投資家心理、特に個人投資家はいくら含み益が出ても、利確しないと、それは絵に描いた餅であり、一時金をもらわないと、精神的に長期保有は難しいからです。だから、個の場合、配当は個人投資家を引き付ける撒き餌にしているのです。
つまり、配当は利確の先払い、と言えますから、精神的メリットはあっても、経済的メリットはありません。キャピタルゲインで利益を受け取るか、インカムゲイン-手数料で受け取るか、なので、手数料分だけ損です。お金を無料で動かすことは出来ないので、一時金を出すには色んな経費が必要です。
早期リタイア
この記事の依頼主さんは早期リタイアに絡めて、配当生活の記事をご所望で、配当という一時金を受け取りながら、労働収入なしで、生活したい、と言うことを検討されているのだと想像します。そこに留意して、考えてみます。
私は労働収入がないなら、減らさない努力はしても、増やす努力は積極的にすべきではない、と思っています。つまり、純資産が自分の想定する寿命、生活コストを上回り、インフレヘッジ、リスク分散のためのポートフォリオを形成すべきでしょう。リバースモーゲージなんかもありますし、残りの人生の方が短いと思う人は死ぬまで、お金があれば、それでいい、と考えましょう。
キャピタルゲインを収入として見込んでいるなら、アクティブインベスター、配当収入の範囲内で暮らしていくなら、ディフェンシブインベスターというところでしょうか?つまり、配当生活は元金はそのままにしておきたい、ということです。
でも、通貨は基本的にインフレをしていくので、配当収入で生活する、ということは元金を徐々に食って言っているのと同じですから、結果的には減らしづらくする、というスタンスになります。(日本ではデフレしていたので、この原則を忘れがちですが、通貨は現物で持っていると、1秒ごとに価値が落ちていっているのです。)
勝負
どんなことでも、物事には上下があり、労働収入があるなら、最悪の時も労働収入で生活しながら、経済的、精神的安定を得られますし、余裕があれば、追加投資できるので、ギリギリの勝負をしなくてもいいです。
危険を承知で投資するのは早期リタイアの前の段階であり、失うものがない独身時がもっともリスクを取れるのだと思います。だから、起業、株価投資などは二十代から始めるのが一番だと思います。四十超えたら、多くの人は守るものがあり、責任もあるので、ガツンといけません。
そういったガツンと行く時期を終えて、減る速度を落としていく、というのが早期リタイアに求められるわけで、尖がった考えを持っていたり、人と比べたり、身の丈にあわない贅沢をしたい人には早期リタイア、配当生活は向かないでしょう。
勝負はもういいし、自分のスタイルは定まったから、のんびりと自分のペースで暮らしたい人が早期リタイアをすべきで、そこが固まってない人は余計な勝負をして、身持ちを崩す人も多いです。FXなんかは早期リタイアと最悪に相性が悪いです。
まとめ
早期リタイアは勝ち逃げて、リスクヘッジの為にアセットアロケーションすべきで、配当は精神安定剤みたいなものだと思います。税制上、手数料的にも不利です。毎月配当型の投資信託なんて、詐欺みたいなものだと思いますよ。管理手数料が高過ぎます。
最後にともかく死ぬまでに資産がマイナスじゃなければ、それでいいわけで、いくらあれば安心というわけでもなく、年齢、生活スタイル、などで必要な早期リタイア資金は違います。配当で資産が増えることをあてにしているなら、早期リタイアはしないほうがいいです。
1年半ぐらい前、日経平均が1万9000円ぐらいのときに、配当狙いで株を買った人がいて、
その後ずるずると株価が下落していくと、毎日チャートとにらめっことなり、
段々と笑顔が消えていき家族がとても心配していましたね。
そして「株を買うタイミングがわからない」と言ったそうです。
恐らくは短期間で配当換算して何年分も株価が下がってしまったのだろうと思います。
株式のリターンは、インカムゲインの配当とキャピタルゲインの株価のトータルで考えるべきでしょうね。
そして、そして損する可能性があるというリスクを取るからこそ、国債や定期預金などの利回りよりリターンを狙えるということを
忘れてはならないですね。
株式を長期保有し、日々の株価変動に対して心中穏やかでないなら、リスクを取り過ぎているかもしれません。
そんな人は株式のリターンだけで生活するというのは向いていないかもしれませんね。
リスクマネジメント出来ない人は投資などせず、現金、自宅だけ持ってる他に精神的安定を得られないんですが、実はそれも気づかないだけで消極的な投資なんですよね。
シン
記事どうもありがとうございました。
確かに利確の先払いといえ、資産形成世代にはあまりメリットがないのかもしれません。
ただ、ある程度資産を形成し終えて、守りに入った段階では自分が働く代わりに「資本」
に働いてもらって配当を得るのは良いのではないかと思っています。配当株やREITは一応、毎月分配型投資信託よりは毎年の管理手数料がない分プラスのはず。
私も独身であり、リスクを自分の責任で取ることができるから資本をある程度まで増やせたと考えています。その果実をふいにしたくないので、今は分散投資で守りに入っているつもりですが、配当が貰えるから(給与・年金代わりの)心の安定につながります。キャピタルゲインを当てにしたリタイア生活は正気の沙汰じゃないと思います。
リクエストありがとうございました。
リスクをとる時期を終えて、一定の資産を得た人が資産の減る速度を落とす、と言う意識で資本に働いてもらう、というイメージで取り組み、結果的に資産が増えているなら、良いことです。しかし、最初から増やすことを念頭に置いたバランスにすると、危ないだろうと思います。
シン
ここ最近はセミリタイアで、生活費の半分を配当で賄い、残り半分を事業所得かバイト等の給与所得で賄おうと考える方が多いように思います。
完全に配当に依存するより緩く働いた方が安全ですからね。減配、無配リスクもありますし、適当に金銭を媒体して社会と関わる方が情報も取れます。
シン