じゃあ、在米元メジャーリーガー

日本人元メジャーリーガーって、現役引退しても日本に帰ってきませんよね?これは欧州メインで活躍するサッカー選手には見られない傾向です。なぜでしょうか?

家族

建前として言うのが、30歳前後で渡米、4−5年一線で働くと、子供が中等教育に差し掛かっており、日本の教育を受けることが困難になる、と言うことです。子供がいるので、最低でも妻はアメリカに残っている他になく、家を残しておくと言うことです。

アメリカは当然英語圏ですし、英語だったら親(ほとんど母親、選手である父親はほとんど理解していない)が理解できるし、世界語である。お金があるから子供は一流の学校にも通わせられる。XXXの息子、娘と言うプレッシャーなく、のびのびと良い環境で教育が受けられる、と言うことです。

他には、メジャーリーガーとして活躍するほどの人間なら、日本では気軽にであることは出来ず、どこに行っても騒ぎになってしまうが、アメリカなら日本ほど知られていないし、一般人としての生活ができるのが良い、と言うことも言います。

これらの理由は嘘ではないと思います。本音として、アメリカはお金さえあれば、なんでも出来てしまいますし、魅力的な国なので、そのまま住み着きます。日本にはたまに帰っていれば充分で、今はオンラインもあるので、アメリカにいながら日本の仕事もできますから、さほどの問題はないです。

本当にアメリカが大好きで帰らないだけなら、なぜ、何年経ってもろくに英語も話せないの?と言う話です。もちろん、人によります。アメリカ大好きな長谷川滋利氏のように英語を熱心に勉強する人もいます。でも、殆どの人がアメリカ球界で成功しているのだから、英語が話せれば、色んな可能性があるにもかかわらず、在米歴に全く見合わないような拙い英語しか話せません。

節税

ただ、1番の本音は節税だと思います。アメリカは裕福になると、かなり脱税に近いようなやり方で節税することが認められています。杓子定規に税金をかけてくる日本とは大きく違います。国内にタックスヘイブン、デラウェア州がありますから、法の穴をついたような際どい節税も可能です。

大富豪である、トランプ元大統領がほとんど税金を払っていない、と言うのはよく知られていますし、退任した途端に付け狙われているのもよく知られています。権力側に近く、上手くやっているうちはグレーゾーンは許されてしまうが、権力から落ちると狙われる、と言うのは中国なんかの人治国家と似た側面があるわけです。

億単位、最近では10億単位の年棒をもらっているメジャーリーガーは当然、際どい節税テクを駆使して実入を増やしきてきました。日本で奪い取られていた割合からすると、びっくりするくらい低いことに驚いたことでしょう。これなら日本に戻りたくなくなるのも当然だと言えます。

また、すでに手元にある資産を家族に移そうにも、日本だと多大な税金を取られますが、アメリカなら相続税の免税範囲が広い上、個人財団を作って資産を移してしまうなど、怪しいテクニックでほとんど税金を払わずに家族に相続させることが可能になります。

アメリカの大富豪が財団に寄付した、とかいう記事に対して、アメリカ人の寄付文化は素晴らしい、とか言う日本人がいますが、アホか?と言う感じです。税金を払わないために、家族、親しい友人がが理事を務める財団法人に資産を移して、自分の死後も家族がお金に困らないように準備しているだけのことです。

出国税

そして、忘れてはならないのは、出国税です。アメリカは自由の国であり、外国人にもチャンスがあります。移民一世だろうが、世界一のお金持ちになれる国です。(イーロンマスク氏は南ア移民一世)結果さえ出すなら、限度、ルールはあるにしても、誰にだって夢が見られる国です。

その恩恵に与ったのが、日本人元メジャーリーガーと言うわけですが、彼らがアメリカにいるなら、国税は何にも言ってきません。際どい節税を指摘するくらいはしてくるでしょうが、それも交渉が入るだけで本気で潰しに来るようなことはありません。

ただし、アメリカで作った資産を本国に持っていこうとすると、本気で潰しにきます。残酷に出国税を課税してきます。2 Mil USDが目安のようですが、この程度だと、今のアメリカならサラリーマンですら引退時には持っているような額です。海岸部の比較的便利な場所ににローンのない家を持っているだけでも1 Mil USDは当たり前です。

出国時に売ったとみなしてキャピタルゲインを課すし、日本にある資産なども綿密に調査されて、あれこれ難癖をつけられるでしょう。アメリカから送金した履歴がないのか?アメリカが起因となった資産ではないのか?など、ありとあらゆる理由で課税対象にします。

多額の出国税を払って本帰国したとしても、数年は税申告対象になります。在日アメリカ人と同様に日本のアメリカ大使館に確定申告に行く必要があります。何か漏れがあれば、即指摘されるだろうし、日本国内資産だろうが、即差押対象になります。だから、世界中で銀行、証券口座を開くときにアメリカ人、永住権保持者、在住者ですか?と言う質問に答える必要があります。

ここまで国税に付け狙われるなら、本帰国は止めましょう、となるのが普通ですよ。日本で大半の時間を過ごすにしても、アメリカに家を残してハウスキーパーでも雇っておき、年に何回か別荘がわりに帰ってゆっくりすればいいじゃないですか?なぜ、アメリカから引き払う必要があるんですか?、と言う話です。

もちろん、鬼のアメリカ国税だろうが、お金がないところからは取れないので、メジャー挑戦が失敗した人を狙うことはないです。だから、失敗はしたけど、アメリカに住んでいます、みたいな元メジャーリーガーはいないはずです。アメリカに住所を残しておくメリットがありません。

まとめ

ほとんどの人は歳をとると里心がついて、帰国したがるものですが、元メジャーリーガーだけは意地でも帰国しない人が多いのは、税金問題ですよ。その証拠にコロナ禍が収束して行き来が活発になると、ほとんどの在米元メジャーリーガーは日本で積極的に活動するようになりました。税金問題がなければ、いまだに通訳が無いと話せないような人でなく、母語でチヤホヤしてくれる人と付き合いたいでしょうよ。

アメリカで育った子供は、親のコネを使って英語、野球関係の仕事をみつけるくらいのことはできます。きちんと資産があれば、無理することもありません。野茂氏の息子は通訳、大塚氏の息子はスカウトだったと思います。レジェンドの野茂氏はともかく、大塚氏の資産はわかりませんが、コネはありますからね。

日本でプレッシャーに晒されながら育っていくより、アメリカで伸び伸びと育つ方がすくすくと育つ可能性も高いですし、英語は世界語です。仮に日本語がほとんど話せなくとも、英語さえ話せれば、日本でもなんとか暮らしていけるでしょう。多少おかしくとも、サラリーマンするわけじゃないし、通じればいいでしょう。

不思議なのはサッカーだと、英語どころか、ドイツ語、イタリア語ですから、まずまずに会話可能で、独自コネクションを持って引退後も活動するようなタイプの人が存在しますが、野球だと英語すら満足に話せないのが一般的です。競技の特徴もあるのでしょう。

アメリカ株インデックス、老後の話が続いて、こんな記事を思いつきました。何事も地獄の沙汰も金次第、と言うことでしょう。多少不便だろうが、不愉快だろうが、お金が多く残せる方が選ぶのが人間ですよ。

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The Lone Wolf
1 year ago

悲観的な言い方ですが、つまるところ、これでは日本国籍で生まれた人間の多数に明るい未来を見出せません。
日本に明るい未来があるかという問いは、すでに答えが出ていると思われます。一方で、渡米して成功して資産形成した日本国籍の人間が、日本に戻りたくなる話は聞きます。理由はいろいろあろうかと思いますが、1つには、それぞれの労働者が各々の仕事をいい加減に仕上げることで生まれるトラブルに、渡米者が耐えきれないのかもしれません。
Pax Americanaが成り立った一因が、ほかの先進国と比べて、アメリカの平均年齢が低いことからだとは言います。しかし残念ながら、統計上、若い人間が減る現象はアメリカでも例外ではありません。今後は日本と同じ経路をアメリカの国家財政がたどるならば、生産年齢の人口減少から、国家歳入確保に税金がより苛烈に収奪される未来が予見されます。「野茂って誰?」程度に野球を私は知りませんが、その時にこの野球選手はどういう行動をとるのでしょうかね?
他国でも活躍できる優秀な人の一部は、それ以外の国に移動するほうがマシになっているかもしれません。

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かあちゃん
1 year ago

シンさんが云うところのExpatriot Taxはその通りなんですが、私は彼らがそこまで考えているのかどうかとい事がいまいちぴんと来ないです。私の感覚だと、文化面の影響が大きい様な気がしています。成功者ですからお金は持っているでしょうから、アメリカでも普通の庶民が遭遇するようなちまちました問題とは無縁かもしれません。それに5~10年位の滞在期間というのは、その滞在国のいいところが最もよく見える時期でもあるので、アメリカの場合移民の国特有の表面的な懐の深さみたいなのがかなり影響しているかにも思えます。シンさんはご存じですから言わずもがなですが、白人なんて裏表が激しすぎて、ハーイなんて言っていても、裏で何やっているかわかりませんからね。そういう事もひょっとしたら見えていないのかもしれません。また一応元メジャーリーガーですから、アメリカ人はそういうヒーロー的な人に弱いので、普通に嫌なことに遭遇するという経験もあまりないのかもしれません。そんな感覚で日本と比べると、やはりしがらみや変な同調圧力がなくて、すごく魅力的な国にうつるんじゃないでしょうか。この点は一般人でもそうだとは思います。何となくですが、私はそういう風に感じます。

さて上で表裏が激しいという話をしましたが、どうして日本人って自分たちが表裏が激しいと思い込んでいるんですかね。私に言わせればそんなのは京都人位で、後の日本人は白人に比べれば可愛いもんだと思いますけどね。

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かあちゃん
Reply to  シン
1 year ago

>彼ら自身がどこまで理解しているか?、は謎ですが、彼が雇っている会計士は理解しているでしょう。細かいことは理解できないが、日本に帰国すると大金せしめられるので、少なくとも住所はアメリカに置いておきませんか?、という説得に応じているのだと思います。

そういう事はあるでしょうね。戸籍、国籍のところでパスポート更新の事を書きましたが、老後は日本でという事も検討したりもしました。ある程度静かな所がいいと思ったので、田舎でもしがらみの多い集落ではなくて、別荘地に家を建てようとも思いました。しかし軽井沢の超一等地でもない限り、自分が死んだ時にまず売れないし、在米の子供が日本の民法に基づいて相続放棄でもしない限り(この場合すべての相続放棄、一部はダメ)、子供に限りなく迷惑がかかります。それに日本の建設業界がいい加減で、セラミックとポーセレインタイルの違いも知らない、またアメリカに比べると特に床材のタイルの選択の余が限りなくゼロに近い、スタッコとモルタルの違いが判らない(モルタルのスタッコ仕上げなどという変な概念がる)、ツーバイフォー工法で白い柔材のSPF材と使ってるとマジで信じているので、その木材で日本では建築しているなど、調べれば調べる程、日本の建築業界の後進国ぶりが露呈してきました。そして家を建てたまではまだ良いにしても、不動産取得税という課税根拠がよくわからない課税があり、しかも不動産取引に消費税までかかり、とれるところからは取れるだけ搾取しようという島国根性みたいなものを感じ、日本帰国案は白紙に戻しました。こうした所得税以外の税という観点でも、日本は非常に住みにくいし、元来日本人である臣民に対しても、もう住まんで宜しいと言っているかの様な国だなと思った次第です。

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かあちゃん
Reply to  シン
1 year ago

アメリカだと国土が広いので、東海岸やテキサス、デコタなどの様に日本以上に温度差、湿度差が激しい地域が存在しますよね。住宅市場が発展しているので、ちょこちょこリモデル(リフォームは和製英語)して、売却時にCapital Gainを稼ぐという風潮を差し引いても、やはり諸先進国に比べれば、日本の住宅は建材の品質が悪すぎるんだと思います。実際すぐ住宅が劣化しますから。木の温もりを取り入れたなんて言う謳い文句をよく耳にしますが、新築時にはよくても明らかに材質が安普請で、2~3年後は結構劣化してみすぼらしくなるんだろうなとよく思います。

ソーラーパネルについてはアメリカも同じで、会計的な機会損失を計算できない、理解できない人たちが結構騙されている様な気がします。数万ドルソーラーに投資しないことによってFuture Value of present Investmentはいかほど変わるのか、ソーラーのメンテ費及びその出費の将来価値Future Value of Ordinary Annuityを考慮しているのかなど、殆どの人は考慮していないです。また最近ではカリフォルニアのPG&Eが電気の買取価格をを下げたので、本当にソーラー取り付ける意味なんかあるのかなと思います。PG&Eの場合も勿論独占企業なので州のEnergy Commissionが買取価格の認可をする訳ですが、悪代官と越後屋的な構図になっているので全くコントロールできていません。”リサイクル不可能な”という意味ではEVの電池なんかどうなんですかね。EV充電する為に遠くの火力で発電して、送電ロスして充電して、劣化した電池どこに捨てるんでしょうか。San Franciscoなんか確か2025だったか2030年だったか詳しくは忘れましたが、EV以外乗り入れ禁止と馬鹿な市長が言ってた様な気がします。そこまでEV信者だったらEVの劣化電池はすべてSan Franciscoに捨てられるようにして欲しいもんです。

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