じゃあ、損害保険

リクエストをもらって、損害保険について記事にします。私はこの業界に全然詳しいわけでもなんでもないので、一般的な内容になると思います。間違っていたら、詳しい人は教えてください。

保険

一般的に保険とはリスクを横のつながりで共有するシステムであり、一人、一社でリスクを取りきれない場合にみんなで分散して取る、というやり方です。何もなければ、払うだけ損ですが、何かあれば、損失を保険によってカバーできます。(ちなみに縦のつながりでリスクを共有するのがねずみ講です。)

保険会社もそのリスクを取りきれない場合は再保険会社にリスク分散するので、社会全体でリスクをカバーする人間社会の相互扶助であり、その仲介、保証範囲の取り決め、掛け金設定、資金をプールして運用するのを生業とするのが保険会社です。

その中でも損害保険は海上保険を除くと、個人向けであり、事故が起こった場合、個人でリスクをとりきれないなら保険に入ることになります。逆に言えば、個人でリスクを負えるなら、保険に入る必要はなく、大金持ちなら、自動車保険にすら法律で加入が義務付けられた強制保険以外は入る必要がありません。

営業

日本人は保険が大好きで、明らかに必要もない保険に入りまっていますが、これは習慣的に社会人になると、会社が提携する保険に半ば強制に入れたり、出入りの保険のオバちゃんに押し切られる、親戚などへの義理で内容がわからず入っていることが多いです。

「ほけんの窓口」みたいに複数の保険会社が提供する保険を噛み砕いて説明して、顧客に一番合ったものを勧める、という商売もあり、保険の内容をしっかり把握するのはかなり困難だということです。この辺は銀行、証券会社が提供するデリバティブみたいなもので、素人にはまったくわからないわけです。

保険会社に就職する人のほとんどが保険計算の仕方を知らない人達で、アクチュアリーを仕事をしている人は極少数です。アクチュアリーは数学科、関連学科出身でもなければ、理解すら出来ない分野ですし、需要がほとんどないので、あえて目指すものでもありません。

ちなみにシンガポールにはアクチュアリー学科がありますが、数学センスが必要なので、図抜けた能力ない人は経理なり、財務なりに就職することになります。どちらかと言うと、コンピューターサイエンスのFintechを専攻していた人がアクチュアリーになることが多いです。

つまり、保険業界は売っている本人すら計算の仕方がわからない商品をもっとわからない人に売りつけている業界と言っても良いです。凄腕の保険のオバちゃん、麗しい若い女性が言葉巧みに売りつけるものであり、本当に社会のためになっているのか疑問です。

Fintech

保険業は他の金融業と同様にITによって大きく変わっていくのではないかと思います。オンラインで自分の条件を入れていくと、AIが最適な保険を導いていき、人間が営業することはなくなるのではないだろうか?、と思います。今ですら、その手のシステムはありますし、どんどん洗練されていくでしょう。

保険自体はほとんどの人にとって必要なものですが、合っていない保険を買ってしまっている人は本当に多いです。日本人はお金の教育をほとんど受けていないし、それを悪いことみたいに思っている節があるので、よくわからないままに契約してしまうのです。

私個人の意見ですが、独身者なら、自分の葬式代があれば、保険なんて何にも入らなくて良いと思います。仮に若年性の癌になったら、あっという間に死ぬので、そんなにお金が要りません。ローンを抱えていたり、子供がいるなら、何かしらの保険に入って不慮の事態に備えるべきです。

だから、Fintechによって無駄な事務員、営業を減らして、保証内容が上がり、AIによって客観的な分析、アドバイスが受けられるようになれば、契約する側には非常に好ましい状況であり、どんどんFintechが進んで欲しいと思います。そして、保険業界は銀行と同じようにエンジニアの職場になって行き、システム構築が仕事になっていくのだろうと思います。

まとめ

こんな記事を書きましたが、私は保険を一度も自主的に契約したことがなく、強制、半強制の保険を契約したことしかありませんので、保険のことを理解していませんし、保険についてろくに考えたことがありません。だから、この記事をかなり苦労して書いていますし、リクエストが来た時は嫌だな、と思ったくらいです。

でも、なんで保険のオバちゃんみたいな保険計算もわからない人の言うこと聞いて契約するのか理解できませんでしたし、営業をされても数秒で断っています。それよりも不慮の事態に自分の資産で対応できる努力をしてきましたので、そういう何がなんだかわからない商品は絶対に契約しないことを決めてきました。

海上保険のように商売上のリスクに関しては何かしらのヘッジはかけるべきですし、その意味で先物も安定した経営に欠かせない金融商品だとは理解していますし、リスク分散がもっと進めば、さまざまな挑戦がしやすくなり、社会全体が潤うだろうとも思います。

だから、銀行と同じようにシステム構築に徹して欲しいです。ファミレスでお涙頂戴のストーリーで口説き落とすオバちゃんだって生活のためにやっているのでしょうが、そんなことが本当に契約者のためになっているとは思えないし、社会のためにやっているのかも疑問です。

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dw
6 years ago

保険によると思いますが、ガン保険はポンと出してくれることもあり、大手は信用できると思います。

信用できないのが売掛債権の保険で、財務諸表で悪い数字が出ると、昨日与信を取り下げしてきます(東芝の時なんか、ひどかったです)。

保険は一度使わないと分からないですよね。ちなみにダイレクトの自動車保険はサービスが悪いと聞いていましたが、事故して使ってみたところ業界大手と変わらないかそれより良いレベルでした。結局は、電話対応ですからね。

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カッペ
6 years ago

損害保険と言えば、一般には自動車保険と火災保険でしょう。
うちの業界では、弱小代理店が、業務上の損害保険を地域業界で一手に引き受けてましたね。当時年間二千万円ほどでしょうか。
これが好評で他地域にも波及していきました。

弱小代理店にも、目のつけどころ次第でまだまだチャンスはあるのかもしれませんね。

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ミリー
6 years ago

今ホットな損害保険は自転車保険じゃないでしょうか。
ここ数年、自転車事故の加害者に高額な賠償金を命じる判決が出されています。自転車で人をはねた小学生の親に約9500万円の賠償命令が出た事例が有名ですね。
最近では、自転車保険の加入を義務付ける自治体や学校が出てきたので、需要が拡大しています。
この市場に狙いをつけた会社は多いようで、自転車保険で検索すると、セブンイレブン、ドコモ、au、DeNAなど、損保会社以外の名前の商品が乱立します。(多くは大手損保会社との提携ですが。)競争が加速した為か、最近は保険料が年4000円前後(家族パックで年7000円前後)と、随分下がりました。

とは言え、それでも安くありません。以前加入を検討して補償内容を見ましたが、被害者への賠償金だけでなく、自分の怪我等の補償も含まれていました。自分の怪我は医療保険でカバーできるので、補償の重複はもったいないです。
その為、我が家は自転車保険の代わりに自動車保険に個人賠償責任特約をつけました。年600円程ですが、家族全員の自転車事故を含む損害賠償に対応しています。
自転車保険と違って自分の怪我の面倒はみてくれないし、賠償額も1億と低めですが、無駄な保険料を少しでも払いたくない人には良いかもしれません。

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くろねこ
Reply to  シン
6 years ago

自転車保険に関していえば、他の火災保険などの付属で賠償責任保険に入っていれば改めて加入する必要は無いですね。
あわててだぶって加入してる人も少なからず居そうですが・・・
私個人的には健康保険があるので生命保険は不必要、自動車保険も車両は不必要、火災保険も補償額を計算して最低限の範囲で入っております。
まぁ営業なんて情弱を言葉巧みに騙して不必要なものを割高で売りつけるもんなんで、消費者自身が賢くならないと、ですね。

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ミリー
Reply to  シン
6 years ago

自転車保険は昔の海外旅行保険と似ているかもしれませんね。
(昔はクレジットカードに保険が付帯している事を知らず、旅行会社に勧められるがまま、割高な海外旅行保険に加入する人が少なくなかったそうです。)
損保会社が自転車保険の販路拡大に勤しんでいるのは、慌てて加入する人が多い今のうちに、少しでも契約者を増やそうとしているのでしょうか。自治体もそれを後押ししているようで、なんだかなぁと思います。

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CI
6 years ago

確かに日本人は個人で保険に入りすぎていますね。

私が個人で保険に入る基準として、
発生確率は低いけれども、発生した場合に多大な損失額となる場合のみ入るようにしています。

社会に出てすぐ無知なため、うっかり入院保険に入ってしまいましたが、今の基準と真逆の位置にある商品と思っています。

日本では国民皆保険制度の健康保険があり、保険適応であれば、入院しても3割負担で、さらに高額療養費制度があるため、手術をしても、月額の上限が決まっています。

健康保険だけでかなりカバーされており、自由に使えるお金が100万円ぐらいあれば、わざわざ入院保険に加入する必要もないと思い、解約しました。
月々数千円でも、何十年も支払えば、数百万になりますからね。
また、保険はお金に目的を付ける行為なので、入院だけに限定しない、あらゆるリスクに対応できる現金100万円の方が使い勝手がよいとも思います。

いざ解約するとき、明日入院したらどうしようと、防衛本能が少し邪魔をしましたけどねw
不要な保険を整理して、今は必要最小限にして、ほとんど入っていないですね。

あと、ほとんどの保険は物価変動が考慮されないので、終身保険も少し疑問です。
もし、入院確立がもっとも高くなるであろう老後に物価が倍になっていて、保険で下りる金で足りませんでは、シャレになりません。

必要な保障金額を必要な期間に限定して入るのが適切と思います。

必ずしもインフレになるとは限りませんが、円の価値がずっと変わらないというのも極端だと思います。
そんなに保険に入りたいなら、インフレにこそ何か対策なり保険なりを掛けるべきではないでしょうか。

ただし、金融機関にインフレ対策を~と相談しにいくのは、いいカモになってしますので、まずは自分の頭で考えて、適切なマネーリテラシーを身に着けることが大事かと思います。

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通りすがり
6 years ago

海上保険は全体の数%に過ぎないマイナー分野ですし、企業分野は火災と賠償責任などそれなりに高度な営業とリスク管理が必要な分野もあります。

ちゃんとした保険会社の企業営業やアンダーライターならある程度アクチュアリーとコミュニケーション取れるような能力(数理能力とまではいいませんが数理センス)は必要ですし、それこそリスク管理部門はアクチュアリーだらけです。

まだまだ生保に比べアクチュアリーの地位は弱いですが、生保と異なり簡単に数式に乗らない世界(自動車保険を除く)なので、本人の能力次第では面白い業界です。

営業の話のイメージはどちらかというと生保の営業だったり、しょっぱい?代理店ですね。損保的にはイメージと違います。

損保の保険料の大部分を占める自動車分野が自動運転によってリスクが全然変わっていき(運転リスクが減り保険料も減るでしょうし自動車保険よりリコール保険に近くなる?)、営業から事故査定まで膨大な人員をかかえている巨大産業なので、今後何らかのリストラが避けられないかなあと思います(もちろんIT化の進展の影響もあります)。

また、個人分野と企業分野両方ですが、自然災害リスクのリスク消化は世界的に不十分なので、近年世界的な金余りの中で再保険や証券化商品も含めかなり保険分野への資金流入が大きく拡大しつつあります。この分野は社会的な意義も大きく面白いです(私はこれ系の仕事をしています)。

逆に知りたいことがあれば聞いてください(いつもお世話になっているので)。

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通りすがり
6 years ago

保険は本当に自由にリスクと情報とお金が行きかう世の中、顧客もリテラシーが高く自己責任の原則が通用する世の中ならば、かなり非効率な仕組みですね。
なので極論を言ってしまえばおっしゃる通りです。
ただ、これらの前提は理想主義的であり、現時点満たしていないだけかと思います。

顧客に自己責任を押し付けられないからこそ金融庁の商品認可があり、監督規制があり、そのための色々なコストがあり契約者に転嫁され・・・という古臭い世界です。
森・金融庁長官はそこら辺を変えようとしている気概があるので面白いですね(地銀と生保代理店の改革が優先みたいですが)。

損保のアンダーライターの役割は幅広すぎてなんとも言えませんが、難しいリスクの引受判断ができるレベル、経営判断に近いような政治的判断ができるレベル(役職)、マーケティングや商品開発(アクチュアリーと一緒に)をする人を除けば、営業的・社内官僚的な仕事をしている部分も多く、効率化はできる部分と思います。
(すごく広義に言ってしまえば、代理店や営業にも引受権限を委譲している以上、アンダーライターといえるといえば言えます。なので保険の流通や販売チャネルの話とも一部重なります。狭義のアンダーライターは上に書いた付加価値を出しているレベルであり、高度な判断力がいるのでなかなか効率化は難しいです)

ここから先は流通の話をします。

個人分野では、日本の損保の代理店を間に挟んだ営業は、自由化後も既にマーケットの大部分を抑えてしまっているのでなかなか変わっていきません(基本的に損保会社の個人分野の保険を扱う社員は代理店に保険を売ってもらうためにまじめなことから馬鹿なことまで何でもする人たちです)。
現場では代理店も損保の営業もシェア争いをして勝った負けたとやっていますが、だからといってマーケットが健全な競争社会に向かっているかといえばNOですね。
外資系は開拓できるマーケットがないのでニッチ分野で頑張るしかなく、正直苦戦しています。

それでも個人分野では近年ダイレクト系損保がシェアを広げていますし(まだシェアは一桁台ですがいずれ20%くらいまではいくのでは)、特に若い層は余計な営業を挟まない保険の買い方を知っています。若い層は車を買う資力がないのが皮肉ですが・・・

いずれはブロックチェーン等の活用によって、いろいろな中間コスト(代理店も営業も)を排した顧客と保険会社が直接つながるシンプルなマーケットができるかなあとも思いますが、当分先でしょうね。
(ロイズとかだと一部実用化?しているものもありますが、ブロックチェーンにも現時点課題・制約があり、サプライチェーンを大きく変えるかについてはなんとも言えない部分があります。)

また、損保には事故査定の問題があるのでそこら辺をどう組み込むですかね。
定額保険の生保と違い(死んだら契約上の保険金額を払う)、契約上の責任額をそのまま払うわけにはいかないのが実損填補を前提とした損保です。
生保なら必要書類を前提にブロックチェーン上で引受審査から支払まで一気通貫したシステムを作れそうですが・・・

企業分野では、特に大企業案件では外資系のブローカーがシェアを広げつつありますが、企業分野は日本企業同士の社内官僚が暗躍する世界ですのですぐには変わらないと思います。
大企業ですら(一流企業は除く)社内の企業内保険代理店は本線から外れた仕事のいまいちな人の流れ着く先であり、Brokerが最先端のリスクソリューションを提供しようとしたところで、代理店にお金(手数料)を落としてくれることも含めて総合的に判断します。

なんだか散文的・悲観的になってしまいましたが、自由化後20年弱がたち、自由化直後の単に料率のダンピングをしていた時期を乗り越え、形だけのブローカー制度の導入時期も超え、ようやくここ5年くらい変わってきたような感じはします。

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