今まで記事中で日本の「なんちゃってIT企業」について触れたんですが、これはどういうことなのかな?と改めて考えたいと思います。
経営者
ほぼ理系、コンピューターサイエンス出身者で固められたアメリカのIT起業家に対して、日本のIT起業家はほぼ文系であり、これはなんでかな?っと思っていたんですが、これは日本のIT企業は「なんちゃって」であって新しいことをやる会社ではないことがほとんどだからです。
アメリカですでに有望視されているものをパクって日本風に現地化するだけなので技術的に難しいわけではなく、経験者を雇えば十分です。本人はご本尊として広告塔、資金集めをし続けるだけなので技術力は要らないわけです。
それに対してアメリカのIT企業はまったく新しい概念でやろうとするので、本人が技術に理解があり、これはできる、できない、需要がある、ない、ということを肌で感じないと推進できないからだろうと思います。
アメリカにも広告塔的な起業家もいますが、一時期多かったコンサル、外銀、マスコミ出身の文系起業家はどんどん減りつつあります。特に女性起業家はほとんど広告塔の役割をして技術的なことは英語ネイティブでない、マイノリティーの見た目をしている男性に代わってフロントマンをしているような形が多いです。
流れ
何の技術力もないが、見た目、口が上手く、社交的な人がアメリカ事情を研究して、アメリカで有望視されているビジネスを絞り込みます。そして、日本にそのサービスはないが、ある程度の需要があることを見つけてきます。
次に資金繰りを考えて、誰にどのくらい出させようか?と計画をして、身近にお金を出してくれそうな人がいないなら、起業コンクールにでも出て出資者を探します。そうでないなら、コンサル、投資銀行にいったん就職してお金をだぶつかせているエンジェル投資家を探します。
後は技術力はあり内向的でフロントは出来ないけど、起業に興味がある理系をつれて来てあれこれ言いながら、気分を乗せてほとんどタダ働きさせていきます。株は自分がほとんどを支配しつつ、ほんの少しだけ分け与えます。
そうして、売上、シェアが上がってきたら、海千山千の自分でIPO経験した人を見つけてきて出資をしてもらいます。そうすると、CFOを紹介してくれるので、どんな手段でもいいのでIPOまで漕ぎ着けるためにゴリゴリの無理を重ねて上場ゴールするわけです。
現状
一昔前までこの手法で成功する人が多かったのですが、これが通用しなくなってきているのは日本人がネット社会で「アングロサクソン流」に慣れ初めて、日本風のパチモノに興味を持たなくなってきたのであまり流通しなくなったのです。
ミレニアム前後起業世代がこの単純な手法で成功できた最後の世代であり、それ以降の「なんちゃってIT起業家」で大きな成功を収めた人たちは思い浮かびませんし、今後も出てこないのではないか?と思います。
日本のスタートアップ唯一のユニコーン(評価時価総額1000億円越え)と目されるメルカリはそこそこ面白いかもしれませんが、その先の展開があまり思い浮かばないので巨大企業になる気はしません。プラットフォームとして強力なのでアイディア次第ではやれることもあるとは思いますがね。
私自身も日本流に以前より固執しなくなったことを実感しますし、本物志向になってきている気がします。試してみたいな、と思うのはオリジナルであり、ローカライズしたサービス、製品じゃないんですよ。情報化社会だからこそ、そのアイディアを尊重するのかもしれません。
まとめ
アメリカの模倣はどこの国でも同じで、シンガポールでも似たような「なんちゃってIT起業家」がたくさんいます。意外にもコピー大国の中国でアメリカの丸パクリではない新しいビジネスが生まれてきていますので、市場規模って言うのはすごいものだな?と思います。
逆に市場が小さい国はアングロサクソンに支配されていて、つたない英語でコミュニケーションを取り、英語版でサービスを受け、英語圏で教育を受けることを夢見て努力をして、英語圏国籍と取得するのが夢みたいになっているのを見ると、なんともいえない切なさを覚えます。
衰えたとは言え、まだまだ日本は出来ることがあると思うので、「なんちゃってIT起業」でなく、本物のIT起業をする人を応援したいな、と思います。バイオでは「そーせい」が本物を目指して取り組んでいますし、出来ないことではないはずです。その為には口先だけで技術を知らない人を前に出さないように理系が頑張るべきだと思います。
大学でもなんちゃって情報学部ってのがたくさんできましたね。
一応、会社にもよりますが、理工学部や工学部の分類でなければ理系扱いしてくれないことがあるのでキチンとコンピュータサイエンスを勉強しても技術者を志望しても専攻と違う就職をしたり、派遣になったりしてる人もいます。
文系の学部であれば少しでも技術的なことを勉強できるのであればなんちゃって情報学部でもいいと思いますけど、理系なら理工学部や工学部に所属している情報学部を選ぶほうがいいでしょう。
オペレーションズリサーチはちんぷんかんぷんでも、簡単なプログラミング言語を学ぶコースがあってもいいとおもうんですが、その辺のすみわけが上手くできておらず、無駄に難しい、理系扱いされない、とか大学のIT社会への対応ができていない感はありますね。
シン
シンさん
私の経験ですが、カリキュラムや先生を変えていないのに理工学部の1学科に変えたら就職率が上がりました。
情報学部ってよくわからないってのが本音だと思います。
大学のブランドもあったと思いますが、リクルータや推薦がたくさんきて私らの今までの就活の苦労ってなに?って思いました。
採用側がどう扱っていいのかわからない学部はラベルをつけてあげるだけで解決したりします。
シン
ヨーロッパなんてまともなIT企業がほとんどなく、アメリカ系企業に市場を占拠されている状況ですよね。
なんちゃってでもいいので、IT企業があるだけ日本はマシではないでしょうか。
最も成功した日本のIT企業は、ヤフージャパンだと思います。元々は米国のサービスでしたが、日本に導入するときにソフトバンク傘下に入り、今では日本で日本人により運営されているので、完全な日系企業です。
意外にイスラエルは面白いIT企業がありますが、欧州はごく一部の巨大企業、とんがった企業を除くと米系に占拠されてますね。同じ白人なので感性も近く、ローカライズが出来ないからかもしれません。大国の英独仏がITでは大したことないのは不思議です。小国の北欧、バルト三国の方が面白いです。
ヤフージャパンは独自発展してセブンイレブンみたいになってますね。
シン
確かに、欧州のIT企業って聞いたことありませんし、関連する技術は見たことないですね。
そういえば、自動車メーカーはあるのですが、欧州メーカーの発明の関連した情報技術ってないですね。
中国で新しいITサービスが生まれているということですが、それって日本やアメリカでは規制があって出来ないサービスが、中国では規制が緩いため可能となっているということではないですか?
例えば先進国では金融に関して厳しい規制があり、それはバブルを防いだり不正取引を未然に防止したりするために必要なものなのですが、中国ではそこまで規制が厳しくないために可能となっているサービスがあるようです。
例えば個人単位でプロジェクトに出資することは日本では出資法違反になるため出来ませんが、中国ではそれを行えるITサービスがあり、盛んに行われています。
まあ、何でもありの国だな、と思います。
それはありますね。お祝いを電子マネーで払うとか、無人コンビニとかガンガンやってしまうのは規制のゆるさ、儲かるならなんでもありの国民性ですね。そういう無茶から新しいトレンドになるのでバカにはできませんね。
シン
ITスキルに関しては、文系か理系かより情報系かそれ以外かで決まると思います。
機械系や電気系などの機電系だと、プログラミングはC言語を講義で少しやるくらいで、
機電系以外だとおそらく全くやらないところも多いはずです。
機械・電気・情報を融合したメカトロニクス系の学科の情報系専攻で、メーカーの情報システム部門に就職した人の話によると、
「三分野もやるから当然情報系のプロとしてやっていくにはスキル不足で、就職してから一から勉強した」
と言っていました。
また、他のコメントでも言及されてますが、情報系は名前だけでは何をやるかわからないです。
情報系でも、コンピューターのハードウェアもやる電気系に近いところや、Wi-Fiなどのネットワークの通信系などは、技術者よりでITベンチャーを起こすのに、そこまで有利にならない気がします。
情報系というと、普通はOS理論、アルゴリズムなどのソフトウェアをやるものを想像しますが、
Eランク大学や専門学校だと、具体的なプログラミングの書き方をやるようです。
文系でも入れる文理融合の情報学部は、ほとんど後者だと思います。
採用する側ですらわかりにくいのに、高校生にわかるはずがなく、ソフトウェアだけやるつもりだったのに、ハードウェアもやらないといけない大学に入ってしまい、苦手な電気系に苦しめられている人が多いです。
ソフトウェアでもプログラミングや通信方面か数理系に分かれますが、それぞれ別の必要な才能がいるんですよね。
プログラミングが苦手で数理系にいく人もいますし、ソフトウェアの学科で基礎科目の数学の単位が取れない人がいます。
就職では、プログラミングのが有利なんですけどね。情報学科に来て数学に目覚める人もいます。
情報系以外でも、プログラミングだけなら独学でかなりできるようになるが、
流石に、ハード面や通信系、高度な情報理論は、独学では無理だろうと思います。
情報系でないホリエモンやひろゆきが、人工知能のチェス対戦マシーンについて語っていましたが、彼らが本当に人工知能についてわかっているのかは疑問です。
情報系で、数理系や高度な情報理論、通信系などプログラミング以外の専攻の人でも、就職してからの仕事内容は、プログラミングになる事が多い気がします。
例えば東大の情報系専攻には理学部情報科学科、理学部生物情報科学科、工学部機械情報工学科、工学部電子情報工学科の4学科があるのですが、どれを選ぶのが一番良いかということですよね。まあ、パソコンオタクの数を見ると、理学部情報科学科が最多になるのは間違いないですが。
でも、就職という観点で見れば工学部機械情報工学科、工学部電子情報工学科がよさそうな感じです。
アメリカの大学ではダブルメジャーが一般的になっているようですし、専攻を一つに決められない人はそういう融合系の学科に行った方がいいように思います。メカトロニクス系の学科の情報系専攻で、メーカーの情報システム部門に就職した人にしたって、就職に有利だったのは間違いないと思いますから。
そういえば、東大文系に首席合格した文科一類の2年生が、工学部計数工学科に内定したらしいです。
計数工学科は、パッと調べただけでは何をするところかよくわからないですが、情報系のようです。
学科名に、情報とついてなくても情報系の学科ということは珍しくないので、探せば4学科よりもっと多くあると思います。
ひと昔前は法学部へいき、官僚になるのが典型的なコースだったようですが、彼は当初から法学部でなく経済学部にいくつもりだ、と言っていましたが、
まさか理転して計数工学科にいくとは思わなかったです。
首席合格で入学後の成績もいいとはいえ、理転は困難な道だろうに、あえて選択するのはやりたいことを重視したんだ、と思いました。
東大の情報系専攻だと、他には教養学部の総合情報学コースもあります。1-2年の時はよく知られているように全学生がほとんどの授業を駒場で受けますが、必修の情報処理の授業は駒場の情報棟で受けることになり、教養学部の情報系の教官が担当します。教養学部の総合情報学コースに進むには進振りで教養学部を選ぶことになるので、本郷には行けません。w
理学部の生物情報科学科についてでらさんが言及されていますが、農学部生物情報工学研究室と同様に「バイオインフォマティクス」をやっていて、世間がイメージするいわゆるITというよりも生物学が本業です。情報という名前が付くならば、薬学部にも細胞情報学教室があります。しかしやっていることは分子生物学や生化学や細胞生物学といった内容です。
大学院では情報理工学研究科がありますし、柏キャンパスには複雑理工学専攻があります。これからの時代、IT系でも院では柏でやっているような新領域創生系の学際的な学科に行くと面白いんじゃないかと私は思います(理学部の生物情報科学ももちろん学際的ではあります)。院では他大学からも優秀な学生を積極的に集めているようです。分野は違いますが梶田先生も学部は他大学でその後大きな功績を残されているので、やりたいことがある学生はどんどん来るべきだと思います。
東大の計数工学科というのはオペレーションズリサーチの数学の理論を研究する分野で凡人が行くと何を勉強したのかわからないような世界だと思いますよ。
技術としては、Googleの検索エンジンの数理計画だったりです。
東大を首席で合格できる人物だから選択したのでしょう。
私もオペレーションズリサーチを仕事で使いますが、研究となると異次元の難しさになるのでやりたくないです。
ナイジェリア人と短距離を勝負するみたいな感覚です。
某ルーピー首相が東大の計数工学科を卒業してスタンフォード大学でオペレーションズリサーチの分野でPh.Dを取得し、大学助教授まで勤めましたね。彼は今では散々な言われようですが、実は天才だったのかもしれません。
オペレーションズリサーチって理論が主で実学ではないので、研究やるにはいいかもしれませんが就職には向いていないように思います。理学部数学科・物理学科と同じ匂いを感じますね。
実際のところ就職状況ってどんな感じなんだろうと思ったので、ちょっと調べてみました。
計数工学科:http://www.keisu.t.u-tokyo.ac.jp/life/state/index.html
物理学科:http://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/graduates/
数学科:http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/kyoumu/sinro.html
計数工学科は学部と院の進路実績を昭和28年からまるっとまとめてあるので大雑把ですが、結構良さそうです。電気、情報、金融といった自然な就職先だと思います。
物理学科は学部はほぼ全員が修士進学、修士は6~7割が博士進学、博士は3~5割がポスドク等アカデミックに残っています。アカデミックに残ると競争がかなり厳しそうですが、民間を選べばしっかりとした就職ができているようです。物理が分かっていれば後は企業で育てられるということかなと思います。もしくは実験物理学をしていると、企業から見れば工学専攻のような扱いになるのかもしれません。
数学科は「その他」の進路が多いですね。金融と教職が多いのも印象的です。思ったよりも就職は悪くなさそうですが、博士まで行くと数割は「その他」になってしまうようです。人数の差分を見ると、博士修了そのものはほとんどの方が3年でできているようです。物理学科同様に、やはり本当に向いていない限り早いうちから民間就職を選んだ方が吉のような気がします。
そういえば、就活のときにソフトウェア系の学科の知り合いが就活の面接に臨んだとき、その人はプログラミング言語そのものを勉強してたので研究テーマを聞かれたときに話をしてそれほんとに理系の学科なの?って言われて場の空気が悪くなったそうです。
実験がなく電気の基礎もやらない学科なので、ものを作った経験もないため何も答えられないそうでした。
人によってはコンピュータ、数学は理系じゃないという考え方があるのでしょうか?
実際に製造しないと、ものつくりだと認めない人もいますからね。古い考え方だと思います。
シン