じゃあ、引き際

ベンチャー企業で勝負する検討をしている読者さんから、引き際についてリクエストをもらいましたので、記事にしたいと思います。

勝負

何かしら一般より大きなお金、権力、名声を手にしたいなら、大きくリスクをとって勝負する他にありません。お金によって数字化して、Fuck you money、三億円を手にしたいなら、サラリーマンやるのはナンセンスです。

始めた時からずば抜けていて、あっという間にトップに立つような天才であっても、多少なりのリスクを負っていますし、天才と呼ばれ、トップを走り続けながら、怪我や小さな挫折からどん底に落ちる人も珍しくありません。

とは言っても、大勝負をかけるのは生涯で3回くらいのもので、それ以上になると、単なるリスク中毒になり、失敗するまで延々とリスクを取り続けることになります。そうすれば、どこかの時点で失敗することになります。

一か八かの勝負ですから、3回続けて勝つのは2割切っているわけで、成功の見込みが一割以下しかないなら、1回でも勝てれば御の字だと思います。2回目に勝ったら、とんでもない幸運の持ち主だし、3回目に勝てば、歴史に名が残るでしょう。

三年

世間一般では「石の上にも三年」と言いますし、私も三年全力で走って、目に見える成果が出ないなら、もうその先はないだろうと思います。人間の集中力の限界がそれくらいであり、それ以上は止めるに止められず、意地になって続けるだけです。

仮に度重なる挑戦で、ようやく目的を達しても、その道の一流になれることはなく、三流としてやって行くことになるでしょう。例えば、多浪医学部入学で、医者として一流になった人っていますか?三振スレスレで司法試験受かって、弁護士として一流になれますか?、という話です。

逆に言うと、3年を全力で走りきることすら難しく、拙作のぬるりと生きる。ですら、第2版は1年過ぎた頃から失速しだして、3年を迎える頃には読者さんに指摘されて、ようやく管理人の私が気づくくらい意欲を失っていました。もし、3年の全力疾走ができたら、新しい景色が見えると思います。

だから、対象が何であれ、試行錯誤を繰り返して、ちょっとでも前進する為にもがきながら、三年を完走できれば、何かが見えてくるだろうと思います。試験なら、適性があれば合格しているし、ビジネスなら、方向性が間違っていなければ、目に見えて経済規模が大きくなるはずです。

保険

勝負かけるなら、どうしようもない場合を除けば、何かしらの保険をかけてから勝負に踏み切るべきで、芸事、ビジネスでも、元から裕福な家庭出身の人が有利なのはその家庭教育ではなく、保険があるので、思い切って勝負出来るからだろうと思います。

何か大きなことを成し遂げたいなら、人に教えてもらって出来るようなことは何もなく、自分の頭で考えて、それを完遂するしかありません。ハーバードビジネススクールに行けば、とか、有名トレーナーにつけば、とか考える時点で三流確定なんですよ。

前に自費でMBA取って起業したい、とかいう相談をもらったことがありますが、かなり辛らつな回答になりました。はっきり言って、頭おかしいと思います。その費用を運転資金にした方が明らかに成功率が上がる。人目を気にした意識高い系wがお金をかけた真剣勝負に勝てるわけないでしょう?と言いました。

そういうブランドイメージを利用して、その先にある目標に近づける、という明確な手段でないなら、手段が目的化した時点で、失敗はほぼ確定したと言っていいだろうと思います。有名になりたい、チヤホヤされたいとブログを始めても、根本的に文章が好きでないなら、続けられるわけないのと同じです。

独占的な資格を取るなり、家業に関係する職歴を積んでおいて、勝負に失敗した場合のセーフティーネットを張っておくなら、思いっきりやり切る為の良いかもしれませんが、勝敗を分ける要因に直接的に関係ないこと、コスパの悪いことに手を出しても、成功率が下がるだけです。

引き際

全力で走れてない、と自覚したら、その場で撤退した方がいいです。サンクコストを意識して、延々とやり続けても傷口が広がるだけです。時間、お金は有限なので、撤退が遅くなれば、なるほど、再出発が難しくなります。

株式投資でも当初の予測から大きく外れて、回復の見込みが想定できないなら、損切りして、一旦、頭を冷やすべきで、根拠もなく、その銘柄にこだわって心中するのはオーナーだけで十分です。単なる株主なら、痛みを我慢して、切り上げましょう。

前に「鶏肋」の故事を記事にしましたが、どんなものでも捨てるには惜しいけど、保持するほどの旨みはない、と判断したら、その場で引くのが正しいのです。しかし、乱世の奸雄、孫子の解釈本である孟徳新書を出すほどの軍略家、曹操でも引き際は難しいのです。

じゃあ、鶏肋
さて、三国志の故事を取り上げます。やはり、名作と呼ばれ、長く読まれている作品には味がありますよね。 あらまし 三国志の曹操が漢中で劉備を攻めていて、どうもうまくいかなかったんです。その時、食事に鶏肋(鳥の骨)のスープが出てきて、...

だから、凡人は常に気を張って、自分が全力で走れているのか?、ゴールはきちんと設定され、そこに着実に進んでいるのか、を頭の片隅で確認する作業をすべきで、日記を書くといいのかもしれません。一行日記でも、その日を振り返るとプラスになります。

まぁ、引く必要もないくらいリスクのないことなら、ダラダラでも進んだらいいのかもしれませんが、それは副業だったり、趣味の話なので、ベンチャー企業に転職する人には通じない話です。本業をダラダラ続けるくらいなら、寄らば大樹の陰に徹した方がいいでしょう。それでも保険はいると思います。

まとめ

依頼者さんにエールとして記事を書きましたが、鉄則的なことなので、私を含めたすべての人が引き際については真剣に考えるべきだと思います。時間、お金は有限なので、無為に費やせば、取り返すことが不可能になることも多いです。そして、最低限の尊厳も守れなくなったら、相当しんどいです。

大きなリスクを好きでたまらないのではなく、他人の目を気にしたファッションで取ってしまい、案の定、上手くいかなくなれば、後悔しかないでしょう。保険があったり、まだ、やり直せる年齢なら良いですが、失敗したら、それで底辺に突き落とされるなら、よくよく考えるべきです。

それでも、人生は一度きりで、やらない後悔より、やった後悔のほうがマシですし、他人の目を気にしたり、つまらないものを守るためにどうしてもしたいことを我慢しなくても良いと思います。最終的には他人に迷惑さえかからない範囲なら、何をするのも本人の自由だと思います。

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T
7 years ago

社内ではよくasis(現状)とtobe(あるべき姿)を分析して差分が何か(なぜ生じるのか)、解決策は何かというフレームで議論されるのですが、これは人生においても応用可能な考え方だなと思います。

特にベンチャー企業で勝負をするというのは、失敗すれば職を失いかけるほどのギャンブルです。

目的ゴールをしっかりと考えて、本当に勝負するべきなのか?勝負に勝った後のあるべき姿がしっかり描けているのか、何を以って勝敗を判断するのか、撤退ラインはどこか、勝つためには何が必要でそれをいつまでに揃えることができるのか?といった論点にしっかりと答えられなければ、丁か半かの博打になってしまいます。

プロギャンブラーは大勝負せず、トータルで勝つようにゲームを組み立てます。常に頭の中で上記のことを考えているのでしょう。勝つべくして勝ってると言えます。

私は常に勝敗は、運ではなく、事前の計画と戦略で決まると思っています。綿密に計画と戦略を立てて勝負に勝ってもらいたいものです。

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カッペ
7 years ago

いやあ、15年前に読みたかった。
ビジネス書も引き際については、あまりないんですよね。
バカだから読んでもダメだったろうけどw

引き際を誤らせるのは「夢」への思い入れでしょうね。
特に、世界にひとつだけの鼻、なんてものを目指した日には
前例も比較対象もないから、コレをやればナントカなんじゃないかとか
ドツボにハマりやすい。
そして、綿密な計画を立てられるモノは既存の例がある一方、
先行者や大資本とは勝負にならないんですよね。

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老うさぎ
1 year ago

>>人生は一度きりで、やらない後悔より、やった後悔のほうがマシですし、他人の目
を気にしたり、つまらないものを守るためにどうしてもしたいことを我慢しなくても
良いと思います

これを実践されている方の動画がありました。ジジイのような知恵もなく小心者とは
考えるスケールが違うので、圧倒されます。日本のエンジニアにも凄い方がいらっし
ゃるのですね。ぜひ成功して頂きたいです。

https://www.youtube.com/watch?v=UWMKAacC16o

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