じゃあ、販売代理店

販売代理店についてリクエストがありましたので、記事にしたいと思います。

流通

従来、小売業ではメーカーが消費者に直売することは少なく、卸売業者に販売して、それを小売業者に再販し、消費者に到達することが当たり前でした。これのメリットはすでに確立された販売網を使用することで、メーカーが自社で販売網を確立する必要がなく、すぐに売上を確保できることです。

それに対して、デメリットは足が長くなることで、経由する人間が増えるほど、そこに管理コストがかかっていくので、一般消費者に届くまで、かなりの間接費用がかかっていきます。そのため、従来型の社会ではモノを持っている人間がきわめて強く、売ってやる、という姿勢ですらありました。

それがモータリゼーション、IT革命と流通がどんどん進化する中で「中抜き商売」が当たり前に成りつつあり、一般消費財メーカーでもメーカー直販サイトを持っていることも当たり前に成ってきましたし、一部の巨大な販売網を構築した独占企業が数を背景にして、大量に仕入れて、安売りするようになりました。

プラットフォーム

今後の流通は「プラットフォーム」というキーワードで進めて行くことになります。メーカーが直販して、完全に「中抜き」しても、そのサイトがマイナーなものなら、利益率は確保できても、売上が確保できないので、巨大な販売網を持ち、市場を支配するプラットフォームに依存せざるをえません。

「物販ビジネス」について記事で話題にしましたが、アマゾン、アリババという巨大なプラットフォームが世の中の流通を支配しつつあるのは当然といえば、当然で、いくら安くても、欲しいものが見つけられない、本当に届くかわからない、パチモノだったらどうしよう、決済が面倒、という理由で多少の割高なら、メジャーな経路から買いたくなるのが人情です。

じゃあ、物販ビジネス
物販ビジネスについての記事リクエストがあり、これを考えたい、と思います。 アマゾン 私もアマゾンさんにはお世話になっており、本当に驚異的な会社だなぁ、と思っています。アマゾンさんの凄いことって、膨大な規模である小売業を一社で制圧する勢い...

このプラットフォームはどんなものにでも広がっていて、旅行に行きたいなら、プラットフォームで航空券、ホテルなどを比較するのは当たり前ですし、保険を買いたいなら、プラットフォームで条件を入れて、それによって見比べるのは当たり前になっていきます。

B2Bの専門商社なんかもその分野でプラットフォームを目指せるところ以外は消滅してしまうのでしょう。何度か話題にしていますが、ミスミという会社のようにプラットフォームプロバイダーになれないなら、独占販売権でも持っていないと、その会社から買う意味がなくなってしまいます。

今のところ、日本企業は過去の慣習を優先させて、意味もなく商社経由で商売をしている会社が多く、私が一時期、ハマッていた黒田電気なんかもこれにあたります。シャープ製品が欲しければ、理屈でなく黒田電気を通す必要がありました。(今後はどうなるかわかりません。)でも、黒田電気が何かしらの付加価値をユーザーに提供できないなら、ホンハイは契約破棄をするでしょう。

じゃあ、黒田電気
ちょっと前から注目しているんですけど、黒田電気って面白い会社で、シャープの液晶パネル特約店として、ホンハイのシャープ買収に巻き込まれ、村上ファンドの娘からも狙われています。地味な電子材料商社がこんなに注目されるなんて、珍しいことです。 歴...

黒田電気もこの状況を予測できなかったわけではなく、付加価値をつけるために組み付け工場をユーザーのすぐそこに作ってたり、必要な部品を集中購買として、一箇所に集め、需要に対応して、必要量を入れられる体制でプラットフォームを構築しているのですが、それは黒田である必要もありません。ホンハイは自社(資本入れた子会社)でやりますから、あえて、資本関係のない黒田に頼む意味を見出せないでしょう。

メンテ

最終的にはメンテが必要なモノ、サービスでないなら、実店舗から買う意味がなくなり、ほとんどがオンラインになるでしょう。いくら安くても、実店舗のない会社から車を買う人はほとんどいないでしょう?半年に一度はメンテしなければならないし、車、家を持つと何かとトラブルがあるので、相談に乗ってくれる人が必要だからです。

これもオンラインにしてしまうことも可能です。半年毎にメールが来て、予約すると、車のメンテを自宅でしてくれるなり、代車を用意して、設備のある場所まで持って行ってくれ、終わったら、届けてくれるなら、ディーラーは必要ありません。家のメンテはいずれにしても、自宅に来てもらう必要があります。

でも、買うものが高額であれば、あるほど、無店舗販売は敷居が高く、なかなかメンテナンスの必要なモノ、サービスが実店舗以外から買うのはすぐには実現しないでしょう。車のネットオークションも広がりを見せているとは思えず、実店舗がないと、売れないのが現実だと思います。

それでも、車がEVになり、メンテが簡単になったり、IKEAはオンラインオーダーでプレハブを売っているので、世の中が進化して行ったら、実店舗はショールームというだけの意味合いになり、注文はオンラインになるのかもしれません。実店舗が多ければ、多いほど、価格競争力が落ちます。

まとめ

日本企業の販売代理店契約はIT革命前どころか、モータリゼーション前に結ばれて、それが慣習でそのまま続いてきたことがあり、時代にそぐわなくなりつつあります。だから、実際のモノ、サービスを直接的に持っている会社でないなら、プラットフォームを構築するほかになく、それは寡占状態になります。

これも、物販ビジネスで書きましたが、日本は独自のプラットフォームで市場を占拠することが出来ず、プラットフォームをアメリカに奪われつつあり、徐々に植民地化されている現状であり、まずいことになってきたな、と思います。

以前はガラケー、Mixi、Yahoo Japanだとか、日本独自のサービスシステムがあったんですが、iPhoneでググッて、フェイスブック、ツイッターする時代になり、どんどんアメリカにやられてきています。楽天もこのままいければ、アマゾンにやられるのは時間の問題だろうな、と思います。アメリカ式の不親切さに日本人がどんどん慣れてきているのは恐ろしいことです。

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ひご
6 years ago

ミクロな例かもしれませんが、アマゾンと楽天では楽天がダントツ不親切
です。ヤフージャパンも不親切です。この二つは以前から印象悪いです。
Amazon は手取り足取りすぎるくらいで、ネット通販に不慣れな層を
全て掘り起こしてかっさらおうという徹底した本気を感じます。
 殆どの人がネット通販を使いこなせるようになったら、コルセン業務は
AIに置き換えるんでしょうかね。

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ナマケモノ
6 years ago

消費者は、日本製品が不親切だとすぐにクレームを付けますが、米国製品が不親切でも文句を言わないですよね。

品質が命に関わる、鉄道、飛行機、自動車や医療なども、職人芸が機械に置き換わったころから、日本製が格別優秀とも言えなくなってきており心配です。
ただ、プラットフォーム化は画一化と同じで、皆が似通った衣、食、住になってくると飽きてくる人も現れるので、個性的な取り組みに対しては、スポットライトがあたりやすくなるとも思います。優秀な人よりも、変わった人が重宝がられるかもしれません。

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ニコ
Reply to  シン
6 years ago

日本製品のメリットは不良品の対応が丁寧かなというところですかね。
スマホを購入してすぐに不良品だったことが判明して日本のメーカーはすぐに交換してくれましたが、アメリカはたらい回しにされてようやく交換してくれました。
なのでなるべく私はスマホは日本製品を選んでますが、パソコンや家電はコスパ重視ですね。

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どなるど
6 years ago

楽天は楽天経済圏と称して海外に重きを置いた経営にシフトしましたが、今まで蓄積した富を吐き出しています。
結局は、インターネットの登場により、情報の非対称性が無くなったため、ユーザアビリティが優れているかが問われた結果になりました。その点Amazonは凄いです。アフィやるにせよ、AmazonのUIは参考になります。
ちなみに、アメリカ式不親切とは何でしょうか?

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どなるど
Reply to  シン
6 years ago

わかりやすかったです。ありがとうございます!

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