じゃあ、専門商社

今後、ほとんど消えていくであろう専門商社について書こうと思います。

IT

今後、卸業は巨大なプラットフォーマーに集約されていき、後は消滅する運命にあるだろうと思います。既にB2Cはそうなりつつあり、二番手までしか生き残れずに消えていっていますが、B2Bも同じようになるだろうと思います。

日本の製造業って、高いだけで大して品質すら良くない、というイメージがつきつつありますが、その商習慣もあるよなぁ、と思います。訳わからないくらい事務系がいるだけでなく、量産品以外は御用聞きと配送員を兼ねた泥臭い専門商社営業が意味もないコストを乗せて売るんだから高くなるに決まってます。

そんな日本の製造業すら、プラットフォーマーのミスミ、モノタロウなんかが市場需要を満たしつつあり、ほとんど技術を知らない購買がリストラされると共に、用事もなく顔を見せに来る専門商社営業も職を失うだろうと思います。

プラットフォーマーとして後発で入ろうとすると、強烈な赤字を垂れ流しながらデファクトスタンダードを取るしかないので、強烈な力技で第三極になり、二番手を脅かす存在になるまで、あの手この手でリスクを限界まで背負って突き進むことになります。

技術

そうなると、勝ち残る専門商社はエンジニアリング会社になるしかなく、企画、開発、設計、保守点検をして、フルパッケージで売り込むことで、付加価値を付けるしかありません。単に物を右から左に流すなら、プラットフォーマーに頼めば済みます。

突き抜けてしまえば、キーエンスのように自社ブランドをファブレスで作らせる、というところまで行きますが、それはかなりハードルが高いです。ある意味、アップル、Ndiviaと同じことをするわけですから、誰にでも出来ることではありません。

このスタイルだと、技術を持つ人以外はよほどのコミュ力、根性、精神力のある人しか必要がありません。キーエンス営業なんかはコミュ力お化け、メンタルモンスターでないと、続けられるような社風ではありません。分刻みのスケジュール管理をされますし、数字が出ない時の詰めはエグいそうです。

ファブレスで生き残るのは並大抵ではないので、実際のサービスを提供しながら、付属する物を販売するこもを目指すのが現実的だろうと思います。保守点検とかが、最も無難ですね。中途半端な商社がファブレスで物を作って、自社ブランドで販売しても、ほとんど見向きもされないのが普通です。

下請け

前に黒田電気を記事にしましたが、気軽に出来る付加価値は物流、組立の下請けです。リスクを取れば、客先近くに倉庫を借りて、在庫を持ち、組み立てて定期便で送るだけなので、大した技術ば要りません。ただ、これは大手専門商社はほぼ全てが手を出しているレッドオーシャンです。

結局、下請けするなら、ホンハイのように巨大な規模になり、元請けとガチンコで交渉できるくらいの立場にならなければ、旨味はほとんどない安い使い捨てになります。要は派遣社員と同じ立場であり、景気が悪くなり、要らなくなれば、切り捨てられます。

そんな派遣社員みたいな下請けすら出来ない零細専門商社は時間の問題で淘汰されるでしょう。付加価値が何もなく、義理人情、習慣で中に入れてもらっているだけなんだから、買う方が切羽詰まれば切られるでしょうよ。

存在自体が悪みたいな企業で、未だに年間休日100日やそこらで、有給は滅多に使えず、有給消化義務の法改正は土曜出勤の計画年休ならまだいい方、就業規則の変更で、自由に取らせないような反社会的企業が殆どだろうと思いますから、さっさと消えて欲しいです。

まとめ

メーカーの事務系リストラは年中行事になりつつありますが、そこにくっついて、奴隷のように媚びるようにして飯を食っていた専門商社も淘汰されつつあります。つまり、ますます文系の居場所がなくなってきています。

部品、部材購買は理系が直接選定して、発注かけ、AIが処理すれば良い時代になっていますし、量産品購買となると、ある程度の技術力がないと、適切に査定できませんから理系がすべきです。

まず、より消費者に近い食料品、衣服などの商社が淘汰され、機械、電気へと流れてきて、公共性の高い医療機器、製薬なんかにも時間の問題で到達するのでしょう。そうなれば、単なる御用聞き営業なんて、世の中から消えます。

技術がないなら、キーエンス営業ばりのコミュ力、根性、手際の良さがないなら、お金を払う意味がありません。単に言われたことだけするなら、AIで良いです。安いし、間違えないし、長時間労働にも文句も言いません。

こうなってくると、営業するのに学力はいらず、持って生まれた能力、若く柔軟な頃に徹底的に仕込まれるのが良いでしょう。大学なんて行かない方が良いくらいですが、ハッタリのために大卒を新卒で雇って、社風に染めてしまうのが良いのでしょう。

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人が嫌いな人
4 years ago

同感です。物流に限らず、お金でも、契約でも、無駄なマージンが多すぎますこの国は。こんな無駄なことをしておいて人手不足だと声高に叫ぶもんですから呆れてしまいます。最終的には、自ら価値を生み出せない人間のほとんどは淘汰されていくしょうね。マージンハイエナの歯車ごっこはもう終わりにしましょう。

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ニコ
4 years ago

私の会社で一緒に仕事をする商社は、研究開発部署ならエンジニアの求めるアイデアを設計する提案ができる、同業他社の実績を紹介してくれるところと取引してますね。
また、生産技術であれば一緒に工場に入り込み生産準備に必要な提案をしてくれる、忙しいときなんかはプロパーより高い金額で助っ人で派遣してもらうって仕事のやり方になりますね。
ついでにその商社の商品を買わされる。

メーカーの営業で詰められて悩んでいた友人に上記の話をしたら怒られたので誰でもできないことなんだと思います。

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ニコ
4 years ago

ガムテープを商社から買ったら商社の係長クラスが汗だくで配達にきたのでもっと生産的なことやろうぜと思いましたね。
一応、先輩は電話したらピザ屋みたいに運んでくれるからその業者に文房具などを頼んでるそうですがそれ以外の商品を頼んでる人は見たことないです。

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ニコ
4 years ago

キーエンスの営業と仕事したことがありますけど奴らはコミュ力お化けですね。
まず、部署の人間関係を調べることから始まり、デモ機を必ず持って営業に来ます。
具体的な提案まで持って営業に来ますので、なんだか良いものを紹介されているような感覚になります。

生産技術でしか関わったことないですがキーエンスの商品って性能はいいけど値段が高いので現場からは設備の導入で嫌がられます。
また、高性能だが操作がめんどくさい、電子機器なので現場で修理できないため安全に関わるような設備以外は導入しようとすると現場のおっちゃんが不機嫌になります。

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dw
4 years ago

そういえば、一人一揆の主人公も専門商社の営業でしたね!

「付加価値」は本当に難しいです。文系新卒の子が付加価値なんか付けられるわけないです。本人たちも最初はわかってるんですけど、そのうち小手先のテクニックを身につけて、さも付加価値があるように見せるようにしていくんですよね。(バレバレですが
大手からモノを卸して、消費会社向けに商品を小分けして発送手配するだけでも十分な付加価値と見なされます。そんなの、大手に見放されたら終わりじゃないか?と思います。

また、既得権益と持っている商流にしがみついているイメージもあります。

終わりの始まりはいつだろう?と様々な専門商社を観察していますが、まだ来ないようです。資金体力をしっかりつけているのか、なかなかしぶといですね。令和10〜20年くらいまでは持つんでしょうか。

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りお
4 years ago

製薬はエムスリーがありますよ。そこの企画の人たちは必ずしも技術系ではないようですが。

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4 years ago

今後専門商社が生き残るなら、貿易部門でしょう。
通関とか検疫、当局対応といった業務をITによって効率化するのは非常に難しく、EC最大手のアマゾンですら手を出していません。輸送費・輸送にかかる時間も手段によって様々で、どれが効率的かをその場その場に応じて対応するのはプロでないと無理です。また、きちんとした輸送手段を択ばないと、着いた先では壊れていた・腐っていたということが頻繁に起こります。

また、食品、薬品、機械といった商品にかかる規制は国によって様々で、規制内容も刻々と変わります。
アメリカ政府もテロ対策などの名目で規制を強めていますので、こういう貿易関係の専門商社の仕事は今後もなくならないと思います。

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ぬるりと生きたい
Reply to  でら
4 years ago

貿易関係の各国規制対応の仕事は、物流会社や専門コンサル会社が既に手がけており、製造業との合弁会社・製造業を顧客に取り込んでいますが、それらと住み分けはできるのでしょうか?

商社の本道はそのような「サービス」ではなく、「価値」を「求める顧客」に提案し、顧客から売上を回収することだと思います。

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