さて、孫正義氏の話をしましたけど、次はアリババの話を中心にしたいと思います。
投資
ミレニアムの頃、IT第一波が世界を襲い、とんでもない勢いで世の中が変わって行きます。その荒波の中心的立場として名を挙げていた孫正義氏は合弁会社を持っているヤフー、ジェリーヤン氏に一人の中国人男性を紹介されます。
それが馬雲氏、元々は一介の英語教師に過ぎず、アメリカに行った時にインターネットの衝撃を受け、ネットビジネスをすることを決めてアリババを起業します。中国市場、アリババの可能性を面白いと思い、ebayが買収の提案をしますが、ヤフー、ジェリーヤン氏からの出資を選択し、ジェリーヤン氏は友人の孫正義氏にも紹介します。
孫正義氏は馬雲氏の面構えが気に入った、と出会って5分で投資を決めて、押し付けるようにお金はいくらあっても困らないから、と必要以上の資金提供をして、アリババ株、33%を手にします。これがいまでもソフトバンクで最も価値のある資産です。
天才は天才を知る、と言うか、目つきが気に入った、とか言う理由で、今後、どうなるかもさっぱりわからないスタートアップに億単位のお金を放り込むなんて、わけわからないですよ。しかも、勝ったのはこの一回だけではありません。
上場
アリババは香港にB2B事業だけを上場することになり、その価格は急上昇、名だたる投資家も参入を決めます。そこにはジョージソロス氏、ジムロジャース氏もいます。そして、馬雲氏は一部を利確して巨額のお小遣いをゲットして勝ちを確定させると、あとは上場ゴールになって行きます。
アリババって、タオバオ、アリペイなどの一般消費者向けのビジネスが有望視されており、アリババはそうでもなかったんです。つまり、名前だけはアリババだけど、価値があるのは親会社のアリババホールディングスであり、子会社のアリババは大したことはありません。
しかし、そのうち全部上場するんじゃないの?そして、アリババ単体に載っけるんじゃないの?という予測があり、弱小投資家、温利も参入を決め、雌伏の時を過ごします。でも、全然株価は振るわず、ナンピンもしてます。さすがの馬雲氏だって、このままアリババを放置して全部上場なんてできないでしょう?と思ったわけです。
結果、アリババは香港での上場廃止を決め、IPO価格での買い戻しを決めます。ソロス氏、ロジャース氏は馬雲氏にカモられましたが、温利は多少の利確を出来ました。単に結果論ですし、思っていた展開ではなかったので、痛み分け、とも言えると思います。
さて、馬雲氏が全部上場に選んだ市場はニューヨークで、ADRを選択しました。これもなかなか複雑な事情があり、中国政府の介入を避けるために本土、香港を避け、アリババ株を預かる会社をケイマン諸島に登記さて、その会社をニューヨーク上場させたんですよ。
現在
そのアリババホールディングスの時価総額は2018年4月時点で約50兆円、ソフトバンクの時価総額は約9兆円、ソフトバンクのアリババ持ち分は約14兆円と意味のわからないことになっており、さらに言うならソフトバンクの有利子負債は約14兆円で、これは破綻国家と言われているベネゼイラ並みの負債です。
だから、アリババ売れば、ソフトバンクの借金なんてどうとでもなるぜ!と言うことですが、ソフトバンク、孫正義氏が持っているのはADRではなく、市場で捌くことも出来ず、かなり慎重に売らないと、共倒れになってしまうんです。アリババ株が暴落したら、アリババは嫌だし、ソフトバンクも困ります。少し前に少し売りましたが、デリバティブで売って損失計上してます。
アリババは堅調に株価を上げています。投資もうまく行って、アリペイを持っているアント、と言う会社の評価額はゴールドマンサックスを超える規模の金融機関になり、上にはバークシャー、ビザ、マスター、国策金融機関しかないくらい膨張もしているので売るのはバカ、と孫正義氏は言うわけです。
少し前に売ったのは跡継ぎ、と言うことで連れてきた、ニケシュアローラ氏が利確しないと、投資じゃないぜ、と強く勧めたので、孫正義氏が折れる形で売却しただけで、積極的な判断ではないなかったのです。孫正義氏は買うのは天才ですが、売るのはそこまで上手くない、と本人も認めてます。ガンホーは売り場を逃してますしね。
まとめ
と言うわけで、ハゲ、在日、と言っているバカッターどもは孫正義氏の壮大さを知って言っているんでしょうか?日本人がここまで中心人物として世界経済を動かし、世界の名だたる巨人たちと五分の付き合いをしていることを誇りに思えないのでしょうか?
孫正義氏が日本国籍を捨て、ソフトバンクの本社をタックスヘイブンに移し、たまに東京に遊びに来る人になったら、私は外国人の凄い人としてなんとも思わなくなるでしょうが、今の彼は日本人の意地を見せてくれているんですよ。雇用を生み出し、外国の富を勝ち取ってくれているんです。税金を使って生み出した利益を外国に落として来るドコモの純日本人のフサフサ半役人よりも明らかに立派だと思いますよ。
非常に面白い記事ですね。具体的な金額・数字も確認しての記事であり、趣味でここまで書くなんて、シンさんの性格が、よく記事に表れています。
>目つきが気に入った、とか言う理由で、今後、どうなるかもさっぱりわからないスタートアップに億単位のお金を放り込むなんて、わけわからないですよ。
→こういった、凡人には理屈で説明できない行動を、天才はとることがあり、面白いですね。頭の中、どうなってるのか気になります。
最近、ソフトバンクが好きで、ニュースを探しているくらいです。ほとんど毎日、世界中で買うかも、動くかも、みたいなニュースが出るので飽きません。世の中の新しい話に孫正義氏あり、という感じですね。
→こういった、凡人には理屈で説明できない行動を、天才はとることがあり、面白いですね。頭の中、どうなってるのか気になります。
面白いのが、毎回こういう感覚で買うわけではなく、大量の数字、資料を用意して幹部と延々と議論することもあるようなので、何が基準なのかまったくわかりません。
アリババと似たやり方で買ったレンレンは若干の含み損が出てますし、百発百中の神というわけでもありません。まだ、評価するには早いですけどね。
シン
孫さんのぶっ飛びぶりは世界中で伝説を残しており、世界で最も強欲で狡猾なウォール街のバンカーや、野心溢れる米国の起業家でさえも圧倒してしまう視野の広さは、もはや「狂気」と言ってもいいでしょう。
WeWorkへの投資にしても、アリババと似た様なエピソードを読みました。
WeWorkのNeuman氏が孫さんに投資をお願いしようとなんとかアポを取ったはいいが、孫さんは思いっきり遅刻してきて、到着するなり「あと12分しかないから」と宣言、到底予定していたプレゼンを会議室でやっている時間はないので、無理やり移動するタクシーに同乗させてもらい、その中でアイデアをざっくり説明。孫さんはタクシーの後部座席でiPadのスケッチに自分のサインをし、手書きで線を引きその隣にNeuman氏にサインさせたそうです。これでソフトバンクは30億ドルをWeWorkのグローバル展開に投資、ヴァリュエーションにしてWeWorkの起業価値は200億ドル!に。
Neuman氏はこれを「20 billion dollar taxi ride」と呼んで、「今思い出しても鳥肌が立つ」と回想しています。タクシー同乗中の孫さんとNeuman氏の会話で、この様なやりとりがあったそうです。
孫:In a fight, who wins – the smart guy or the crazy guy?
N : I say, crazy guy?
孫:Correct, but you guys are not crazy enough.
そう言って、孫さんはNeuman氏に投資計画を当初10倍にする様に指示。$20 billionなんて安い、これはその数十倍のヴァリュエーションになると言い放ったそうです。
本当の天才は狂気をはらんでいると思いますが、本人も自覚していやってるんですね。
世界的に有名な日本企業はたくさんありますが、企業家として個人名でここまで名を世界に轟かせてた
日本人は孫さんが初めてではないでしょうか。
我々日本人が孫正義、という巨人を最も過小評価していると思います。単なる無駄遣いなら、孫正義氏の真似事をするバカ経営者は腐るほどいます。しかし、孫正義氏ほどの巨大な規模、実際の数字を作る人間は世界で一人ですから、アラブの王族から実業界の巨人、新進気鋭の起業家まで彼に引き込まれ、大きな唸りを作って世界を変えますね。
WeWorkは単なる不動産屋、高すぎる評価という意見もありますが、時代を先取りするようなアイディアではあると思います。果たして、法人向け不動産屋賃貸業としてプラットフォームを握ってしまうような巨大な存在になるんでしょうかね?
ワクワクさせてくれます。
シン