どれほど嫌がられようが、私は続けますよw さて、今回はソフトバンクの複雑さについて書きたいと思います。
持分
多くの人は売上高を見て、その会社の規模を測ると思うんですが、ソフトバンクの売上って、ソフトバンクグループが連結している会社しかP/Lに現れてこないので、売上高によってどのくらいの規模の会社なのか、把握することが難しいです。
そして、ソフトバンクは持分法適用会社の規模が桁違いに大きいです。アリババ、統合後のT-Mobilの売上、時価総額はソフトバンクグループの全体の連結よりも大きいです。今後、スプリント、T-mobile mの統合が完了すると、ソフトバンクグループの連結売上から3-4兆円ゴボッと抜けます。
でも、連結でなくとも、その価値がなくなるということではない、変わらないので、詳細は説明されず、最終の数字にゴボッと付け足されることになります。売上は激減しているのに、利益だけは増えていることになるので、騙されているような気分になる、ということです。
会計法の仕訳に過ぎないし、会計法も完璧ではなく、どんどん変わっているので、徐々にわかりやすくなるのかもしれませんが、今のやり方ではソフトバンクみたいな会社の全体像はP/Lみてもさっぱりわからないし、B/Sはかなり省略しても、複雑すぎて、読む気が失せるくらいになります。
本体
多くの人はソフトバンクは日本の通信会社だと認識してますが、日本のの通信事業としての規模はすでに半分以下になっています。これが本体ではなく、本体はソフトバンクグループという親会社なんですよ。その本体は投資会社なので、ややこしく、よくわからなくしています。
皆さんはグーグルは上場してないって、知っていますか?グーグルは親会社のアルファベット、という会社の傘下企業の一つに過ぎず、他にも細かな事業は沢山あります。また、持分法適用会社もあります。ポケモンGOのナンヤンテックもその一つです。
ただ、グーグルの事業がアルファベットの中で突出して大きいし、傘下企業は上場してないので、さほど面倒でもない、という事です。アルファベットはグーグルだと言っても、特に認識上の明らかな間違いでは無いのです。
しかし、持ち株会社、ソフトバンクグループは親子上場をしており、スプリントもアメリカで上場してますし、Yahoo! JAPANも日本で上場しています。更に通信事業のソフトバンクも上場予定、イギリス、Armも再上場予定なので、もうグッチャグチャ、という訳ですね。
ファンド
日本ではソフトバンクは通信会社として認識されてますが、海外では金融業、投資会社だと認識されており、ソフトバンクは次のバークシャーハサウェイになれるか?というような記事を見ます。ソフトバンクの説明で通信会社だという記述を英語記事で見たことがありません。
ソフトバンクがバークシャーハサウェイよりも複雑なのは投資先が未上場株メインで、評価に誰も責任なんて持ってないので、任意で適当につけているだけでしかない、非常に曖昧な資産なんですよね。だれが、赤字を垂れ流しているUberの評価額を決めたの?責任取れるの?と言う感じです。
更にソフトバンクは一か所で投資せず、ソフトバンクグループ、ビジョンファンド、デルタファンド、フォートレス、に分けていて、きちんと公表もしてないので、持っている、という噂だけで、それを公文書にしていないことがザラにあります。
ライドシェアでも、米Uberはビジョンファンド、中DiDiはデルタファンド、印Ola、星Grabはソフトバンクグループ本体、米Lyftはフォートレス、アリババからの間接保持、と訳がわからないことになっており、怪しさがプンプンします。独占禁止法を避けるためらしいですが、一般投資家の理解は得られないでしょう。
まとめ
これだけ私がソフトバンクの記事を書いても、ソフトバンク株を買った読者さんどころか、有報を読み込んだ人もほとんどいないと思います。投資に興味を持っている人でも、簡略版のプレゼン資料がせいぜい、有報は数ページで挫折しているだろうと思います。
だから、個人投資家はソフトバンクからどんどん逃げていて、どんどん数が減っていきます。同じ大企業ならトヨタの方が信頼できるし、やっていることも分かりやすいですからね。トヨタの関連会社は本業と直接関係するものがほとんどで、騙されている感もありません。
それでも、私は予測します。徐々にソフトバンクの投資が日本に上陸し、まったくソフトバンクの実像を理解していない人たちが持て囃し始めて、ろくに調べずに株を買う時代がもう一回来ることはある、と思います。
私はソフトバンクの記事を楽しみにしていますよ。
ソフトバンクグループの一見ばらばらに見えるIT企業が繋がり、新たな展開が見え始めると、世間の見方も変わりそうですね。
スプリントとT-mbileの統合などで成果が出始めれば、ソフトバンクと連結すれば勝ち組に入れるのではと考えるIT企業が世界中から一気に押し寄せ、巨大なIT連合が出来上がるのではと想像しています。
しかし、歯車が狂い始めたら一気に崩壊しそうで、いろんな意味でドキドキする展開が期待出来そうですねw
CIさんは経済に造詣が深いですからね。特に為替の話は面白く議論ができて感謝しております。
>しかし、歯車が狂い始めたら一気に崩壊しそうで、いろんな意味でドキドキする展開が期待出来そうですねw
どういう崩壊なのかな?というのもイマイチわからず、謎めいています。ソフトバンクはドットコムバブルの頃に時価総額日本一を達成していますが、あの時は完全にバブルであり、雰囲気だけで突き抜けてますが、今は数字も付いてきていています。
日本の通信会社だけでも、6-7兆円の時価総額はつきそうですし、楽天がまさかの第三極になり、ソフトバンクを食えば話は別ですが、シェアは上手く三等分されて、これ以上は大きく動かない感じで、きちんと利益を生める経営状態になっています。Yahoo! JAPANは盤石で、完全にプラットフォームを押さえて堅実に伸びてきます。これは上場していてソフトバンクの持ち分で一兆円くらいの価値があり、欲しい会社はいくらでもあるくらいあるので、売りたきゃ、楽に売れると思います。
ライドシェアに突っ込んだ10兆円近いお金が回収不可能になっても、再起不能になるほどのダメージではなく、ライドシェアにしても、まったくのバブルではなく、Uherは一兆円近くの売上が既にあるので、赤字とは言っても7兆円の評価も完全に狂ったレベルと言えません。テスラの方がよほど狂ってます。
参考になるとしたらYahoo!の例ですが、最後の方はアリババ、Yahoo! JAPANの株以外に価値がなくなり、捨て値でベライゾンに売りました。何をしたらそんな感じになるのでしょうか?それがよくわかりません。
シン
経済に造詣が深いなんて恐縮ですが、その日のインデックスや為替が動いた原因を、さまざま経済ニュースなどから自分なりに解釈するというのを、
毎日15分~30分くらい何年も続けると、それなりに理解が深まり、まったく無知なところから偉そうに語るぐらいの知識は身に付いたようです。
崩壊について何か根拠があるわけではありませんが、新しいやり方で挑みますので、それ相応のリスクもあるかなぐらいに思っています。
今後の展開にワクワクしますが、同時にどれくらいのリスクがあるものかとつい考えてしまいますね。
毎日何かを考えると、それなりに造詣が深くなるもので、それはなんでも一緒ですね。ブログも同じで毎日やると、相応には得るものがあります。
ソフトバンクの崩壊リスクはどこにあるのか?すらよくわからないので、ワクワクさせてくれますよ。多くの人は感覚的にこれだけぶん回しているんだから、相応のリスクもあるでしょう?と思っているのでしょうが、その感覚が逆に向かうと、狂い上げになるのかもしれませんね。
シン
ソフトバンクの企業形態は戦前の財閥やコンツェルンを世界規模で大々的に行っているようなものだと理解してよいでしょうか。すなわち孫財閥、孫コンツェルンです。戦後に財閥解体が行われて持株会社が禁止されましたが、20世紀末期に再び解禁されて復活した持株会社の最大の成功例といって差し支えないでしょう。
政治との関わりが深いところも戦前のコンツェルンにそっくりです。
戦前でいうと、安田善次郎が似たような存在ではないでしょうか。
やっている事は持ち株会社で傘下企業を増やし、つなげて行くIT財閥、というところなんでしょつが、極めて評価をしづらいことをしていて、現段階ではどう評価していのかわからないことに手を出してあるので、WSJのような経済紙にすら、よくわからない、と評されてますね。戦前の財閥は分かり易い事業、資源、素材、銀行、保険、重工、とか広げていっていたので、イメージはし易いですからね。
シン
私もSoftbank記事を楽しみにしてますよ。シンさんが惚れた会社をとことん調べ尽くす所に感動します。投資で儲けるにはここまでするんだと勉強させて頂いてます。ウォンテッドリーも人間模様をどうやって調べたのと思います。一寸いじれば企業小説が書けそうですね。
私からすると、この程度は調べた内には入らないくらいで、もっと気になる会社は会社見学会、社長に会いに行く、店舗を偵察に行く、従業員数の推移、福利厚生、離職率、士気の高さなどまで調べます。
ウォンテッドリーは仲さん達は全く持ち株を売らず、業績は振るわず、出来高は枯れ、ジワジワと下落してますね。
黒田電気は仕掛けていたんですが、我慢できずに小利撤退したところを新村上ファンドの勝利が決まり、悔しくて触れないようにしてきましたw 待てればキチンと取れたはずです。
そんな私の言える事は株とはメンタル勝負であり、気づく、調べる、はアホでもできますが、耐える事は突き抜けて賢い、突き抜けてアホでないと出来ないので私はどちらでもなく、悔しい思いばかりをさせられます。大賢は愚なるごとし、というのはまったくその通りで、私はバカだから、ジッとしてられないのでしょう。
シン
>それでも、私は予測します。
この姿勢、尊敬します。もしも当たらなくても、曖昧予測や後出しするより、よっぽど潔いです。恥をかくリスクを負って、具体予測や宣言をしていった方が、楽しく生きられる気がしますね。
思う事は言った方がいいです。間違っていたら、その理由を明らかにして間違っていたことを認めればいいと思います。間違いを恐れて、逃げ道を何重にも用意をする人の話なんて聞きたくもないです。
シン
社長にまで会うとは恐れ入ります。私の投資行動は日経の小舟に浮かんで上に下に揺られております。メンタルは強くなるというよりも、慣れてきたという感じです。経済記事は本当に為になるので、若い方程興味を持って読まれれば、中高年になった時にシンさんのブログの素晴らしさに気付けると思います。
ソフトバンクは流石に無理ですが、中堅クラスまでなら割と会えます。講演会だとか、社長参加イベントだとかで、出待ちするのもありですね。正気には株主総会の後の懇親会で隙を見て話しかけるとか、ですが、彼らも周りの目があるので邪険にはしづらいです。延々と調べ上げても、実際に会ってみて受けた印象の方が正確だと感じます。どんなにかっこいいことを言っても、小狡い印象を受ける人、偉そうな人などが率いる会社はタイミングを見て引き上げますね。
メンタルは本当に難しいです。船に例えるなら、柳生石舟斎は浮かばないことを号にしているわけで、何を言われようと、底に沈んでいるくらいのメンタルが道を極めるために必要だと思ったのでしょう。私は上下左右に揺れますがw
シン
ソフトバンク記事 楽しみにしております。毎回発見があり、勉強になります。
ありがとうございます。
とあるプロジェクトでSBと一緒に仕事させていただく機会がありました。
そこで、新卒で入った子と話してたんですがSBの入社式の時には孫さんの自伝本が配られると聞いて
あまり、良い印象をもっていませんでした。
しかし、シンさんがわかりやすく記事にしてくださったおかげで、孫さんの夢想を知り、
印象が変わりました。
ありがとうございます。
ソフトバンクもそんなことしているんですね。それは知りませんでした。
楽天が本当に酷くて、志望動機の一番最初に三木谷さんの本を読んだことあるか?が来て、オナニートークが連発しているエントリーシートを埋めないと応募できません。
シン
オーナー企業はそういう毛あると思います。楽天は新卒でうけたことあります。三木谷さんの本も読んだことがあります。その中で、これからは(目にみえない)第6の大陸で戦う必要がある。その大陸では英語とITが必要と書いてました。
良いこと書いてるなと思っていましたが、シンさんの記事にあるとおり先が見えている感がします。株価も先月に1000円を超えた後に700円代に落ちてます。携帯電話事業参入を冷ややかに見られているのですね。
英語公用語化のときも思ったのですが、ECで大成功したのに、なぜ足元を固めないのでしょうか。私のような凡人にはわかりません。孫さんみたいな壮大なテーマがあるのでしょうか。どちらにせよ、シュリンクしている日本のマーケットで携帯事業は悪手だと思います。
かてて加えて、回線はコモディティしているので安さ勝負のレッドオーシャンです。今こそ上にのせるサービス勝負で、ここは楽天の得意とするところなのに、リソース配分をミステイクしていると思いました。
孫正義氏は壮大なビジョンの為にリスクを取っているのがわかりますし、やると決めたら全力でぶつかっていくので清々しいですが、三木谷浩史氏はそれっぽいこと言うけど、中途半端なことしかしないので、それじゃ、つまらないよ、と言いたくなります。通信会社だって、孫正義氏は2兆円用意してスタート、三木谷浩史氏は二千億円、と桁が違う上、5Gに向けて、もっと投資がいるからスプリント、T-Mobil は合併するんだから、何を考えてそんな少額で踏み込むのか、全く理解できません。
シン