まだまだ続く、ソフトバンク記事です。いくら書いてもクレームが来ませんしねw
さて、今回はソフトバンクの適正時価総額について考えてみたいと思います。まぁ、市場は常に正しいが、バイアスがかかっているわけで、バイアスがかからないなら、どのくらいの価値があるんでしょうか?
通信事業
日本の通信事業、ソフトバンク単体の評価は6-7兆円あると見積もられております。2018/5時点で同業のドコモが10兆、KDDIが8兆くらい、ソフトバンクはKDDIの売上、利益はすぐ下くらいなので、まぁ、そんなものでしょう。
ソフトバンクと違って、ドコモ、KDDIに業績に大きな影響を与える子会社はなく、ドコモは海外で税金を垂れ流した無残な投資はありますが、インドのタタドコモを見るように世界中で食い物にされて血税を流して来てきました。
シンガポールのスターハブ、という通信会社二番手はドコモが出資していて、ドコモ派遣の取締役もいますね。損してはないが、得もしてない、シナジーなんてあるわけもないですが、大損はしてないだけましです。
話が逸れましたが、孫正義氏が2兆円払ってボーダフォンから旧日本テレコム事業を買った時はバカ、ドンキホーテ、ハゲ、と誹謗中傷を受けましたが、10年で評価が3倍以上になっているのは誰がなんと言おうと明らかに素晴らしいですね。
ヤフー
米ヤフーは死んでしまいましたが、日本ヤフーは好調そのもので、単体で売上1兆円企業に迫る勢いで順調に成長しています。なんだかんだで、日本人はヤフーをホームページにしているので、PVがハンパないですし、ヤフオクも人気ありますね。
ソフトバンクの日本ヤフー持分は1兆円くらいで、過半数は持ってません。孫正義氏は米ヤフーから買い取る計画もあるらしいですが、実質的な支配権は確保しているし、最優先ではないのでしょう。米ヤフーの存続会社、アルタバが頭下げて来るまで放置しておけば良ってことかもしれません。
スプリント
スプリントはアメリカの通信事業です。元々、T-mobileとの弱者連合で戦うつもりで買ったのに、なかなか合併ができず、経営改善に必死になってきましたが、ようやく慢性赤字が止まり、事業は黒字になって来ました。
先ごろ、T-Mobile との合併が合意し、あとはトランプ政権がどう判断するか?と言うところですが、この会社の時価総額は日本円換算すると2兆円少々です。これが合併成功して、第三極になるなら、倍以上の価値になると思いますが、今の段階では2兆円少々かな?というところですね。
その他
流通関係でアスクル、ブライトスター、ソフトのベクター、ソフトバンク・テクノロジーとか、投資ファンドのフォートレス、細々とした事業もありますが、全部足して数千億円くらいでの価値でしょうかね?
そうすると、この時点でソフトバンクグループの時価総額に近いくらいの価値になってます。Y2018のソフトバンクは9-10兆円くらいをウロチョロしているので、あとは市場に評価されてない、となります。
Arm
孫正義氏の肝いりで、買ったんですが、これも高すぎる!という声のオンパレードであり、日本電産、永守氏は実際の価値は十分の一くらいでしょう?と言い切ってます。売上は一千億円くらいのもので、大したことはなく、今は孫正義氏の指示で、人材、設備投資をしており、赤字を垂れ流してます。
再上場するまでは赤字を垂れ流して、成長をし、良い頃合いで上場して一気に赤字を取り返す、というスタートアップみたいなことを老舗でしているので、評価は謎です。仮に数年後に倍の価値がつくなら6兆ということになりますが、今の時点ではわかりません。
アリババ
すでに時価総額、50兆円クラスのモンスターになっていて、ソフトバンクの持分は3割弱、14兆円くらいの価値があります。しかし、前に書きましが、そう簡単に売れないし、売り間違えで、大損しているので、含み益はあくまで予定であり、確定してない、という典型例です。
このアリババの価値がそのまま有利子負債になっている感があり、最悪はアリババにケツ持たす、という説明で、そこら中からお金を借りまくっている、と言っても良いと思います。アリババは順調過ぎて怖いくらいに、順調なので、今のところは特に問題ないと思います。
アリババがどんどん大きくなり、利益計上しても、有利子負債に対する五千億円もの利払いがそれを食っていく、ということなので、ソフトバンクがこけたら、有利子負債がアリババに向かうことになるので、馬雲氏も気が気ではないが、過去の経緯で面と向かって意見も出来ないのだと思います。
ビジョン、デルタ
この二つのファンドの価値もよくわからず、ほとんど未上場株なので、価値があるのか、ないのか、孫正義氏にしかわからないような買い方をした投資案件で溢れています。4-5兆円分はソフトバンクの出資です。
ライドシェア、中国DiDiがY2018に上場予定なので、これの成果が一つの評価材料になるかな?と思います。上手く7-8兆円の時価総額がついて、ソフトバンクの勝ちが1兆円以上につくなら、弾みがつきます。Uber、Olaと繋げていき、ネクストアリペイ、PayTMがきちんとした評価で上場すれば、含み益はすごいことになります。
まとめ
私の見立てだと、Arm、ファンド分くらいは時価総額に加わっても良いはずなので、現段階の評価でも現在値の1.5倍(15兆円)くらいはついても変ではないと思います。ただ、この二つの評価がしづらいので、市場は買い控えているわけです。すでに計画は進んでいるので、数年後には結果が出るんだろうと思います。上手くいけば、時価総額日本一を奪還できるでしょう。
逆にArmがうまく伸びず、ファンドがこけたら、信用は崩壊するので有利子負債の借り換えができなくなるでしょうから、株価は叩き売りになるのかもしれませんが、アリババがあるし、順調に利益を出している事業があるので、一定のところで止まるんじゃないか?と思います。
米ヤフーは検索エンジン、プラットフォーム価値がなくなってしまったので、持っている株しか評価されない会社になってしまいましたが、ソフトバンクは国内通信事業、日本ヤフーに関しては価値があるので、この価値以下にはならないと思います。逆に言うと、それ以下になったら買いだと思います。
さすがに孫正義氏目標の時価総額200兆円は近い将来ではなく、第二のアリババが登場し、傘下企業のシナジーで帝国化しないと無理でしょうね。
通信事業の事しか分かりませんが、ソフトバンクは検証の簡素化、世界に先駆けてのNFV、さらに中華製装置の利用により、導入・運用コストがかなり低いです。
docomoは仕様書にぴったり合うようにカスタマイズさせ、狂気染みた検証をしています。非関税障壁として日系企業を守っているのかも知れませんが…
KDDIはその中間です。
その為、通信事業は今後ソフトバンクが押していくのではないかと考えています。
まあ、回線単独で売る時代でもありませんが…。
貴重なご意見ありがとうございます。
やはり、イメージ通り、ドコモは役人みたいで、ソフトバンクは合理的に進めるんですね。孫正義氏はハードが国内製しか嫌だ!、検証は前例通りでないと合格させない!とか言うわけないので、同じことしてもコストが違いますね。
いずれにしても、孫正義氏は国内通信事業にさほど興味はなく、市場規模しれているし、人口は減って衰退は間違いなく、ここからシェアをさらにあげるために必死になっても、コスパが悪いと思っているでしょうね。切り離し上場でイグジット、副官、宮内さんに完全に任せて、孫正義氏はほとんどタッチしなくなると思います。
シン
巨額の有利子負債があるためリスクが高いとよく言われていますね。
有利子負債15兆円の利払い5千億円と金額だけ聞くと、とんでもない額ですが、
利回りにすると3%ですので、割と低い金利で調達できているように思います。
スプリントの3%台の負債の利回りも、日本の銀行の1%台に借り換えるという記事がありましたが、
そのとおりであれば、まだ利回りが下がる余地があることになります。
日本の万年デフレ、日銀の金融緩和から低金利となっている日本の銀行から資金を調達し、世界中に巨額投資するという、日本ならではの環境を有効活用していますね。
巨額であっても低金利であれば、言うほどリスクは高くないのではと思いましたね。
アメリカで資金調達するとなると、アメリカ国債の長期金利は3%で、それよりも高い利回りが要求されるわけですから、同じことをするのは難しいのではと思います。
日本の銀行に支払う利払いは国内を循環し経済を支えるわけですから、日本全体にとっても良いことだと思います。
私もそれを思います。本国でタダみたいな金利で調達できるなら、借りたもの勝ちなんですよね。日本では貸したい銀行、個人ばかりです。
ただ、買っているものが日本の会社ではないので、円安はそのまま割高な買い物に繋がるので、好ましくないとは思います。まぁ、国外の会社からの支払いを円転換しなきゃ、為替上の数字でしかなく、関係ない、と言えば、関係ないですね。円高を生かしてスプリントを買った頃より、国外関連会社の割合は著しく上がってますしね。
有利子負債が多すぎるから危険、というのは納得できず、むしろ、よく考えて最善の手を取っているように見受けられます。日本でインフレが始まって、資金調達が困難になれば、この手法はやめるしかないですね。
シン
アメリカの銀行が高く日本の銀行が安いのではなく、ドルで借りると利率が高く、円で借りると低いのではないでしょうか。邦銀でも、ドルを1%で借りるのは難しいと思います。
ならばドル負債を円転して円を借りればいいかというと、為替リスクがあるので簡単にできないのでしょうね。
その通りです。ソフトバンクの社債がシンガポールで売ってますが、ドル、ユーロと利回りが違いますし、円レベルでは発行してません。
公定歩合に対して金利が付いているので、邦銀、外銀に大した差はありません。借りたお金を外貨転換するのは危険なので、まずやらない手法です。最初から外貨で借りますね。
ただ、日本の事業の為に外貨収入を円転換せず、日本円は借り入れで回していけばいいので、ソフトバンク通信会社、ヤフージャパンの運転資金は借り入れで賄えばいいですね。
シン
少し勘違いしていました。
スプリントやARMの買収資金を、円建てで短期の繋ぎ融資で3%台で借りてたのを、長期の1%前半に借り替えたので、元々円建てでドル負債を円転したわけではなかったですね。
確かに短期金利差を考慮すると、円建て、USドル建てのどちらが得ということはありませんが、日本は金融緩和中ですので、少し円建ての方が有利と思います。
何せ数兆円を1%前半で借りられるわけですから。
将来、日本がインフレになって邦銀からこれ以上投資資金を調達できなくなったとしても、今度はビジョンファンドで調達することもできますし、いろんな選択肢があるということですよね。
話が整理されてきました。私も勘違いをしていた、というか、理解不足でした。
武田のシャイアー買収で円安に振れているところを見ると、実際の調達法は別にして兆単位のお金が外貨に何かしらの形で変わることは心理的プレッシャーになる、ということなんでしょうね。
そして、スプリント、Arm、共に円高のタイミングを狙って買収しています。スプリントは歴史的円高でしたし、Armは120円まで行ったドル相場が100円前半まで戻したタイミングで踏み込んでます。となると、孫正義氏は為替を見ていたのかもしれません。少なくともスプリントに関しては予め先物取引でドルを予約して買ったそうです。
>今度はビジョンファンドで調達することもできますし、いろんな選択肢があるということですよね。
今後、買収を増やすには為替を見て買う、という手間をなくしたいし、為替のためにタイミングを逃したくないので、ビジョンファンドのソフトバンク出資分は過去の投資を移すことで、現物出資にして、他の出資者からはドルキャッシュを出させることで、次々と新しい案件を買う資金にする、という荒業なんでしょう。Armはすでに一部を移してます。次はビジョンファンド2にデルタで買ったDiDiも移し、本体で買ったOlaも移し、という形でソフトバンクのキャッシュを使わず、ファンドを増やしていくんでしょうね。とんでもない荒業を使いますw
シン
確かに円高のタイミングを見計らって買うなんていってたら、1~2年待たされる可能性もありますね。
ビジョンファンドの出資にオイルマネーを取り込むなんて、もはやマンガのような展開になっていますw
資金の心配がなくなればソフトバンクは投資や事業に専念できますし、さらなる加速が期待できますね。
ソフトバンクグループ (9984)が、ダウより日経との連動度が高いのは、株の売買しているのはほとんど日本人ということなのでしょうか。
資産の多くが海外なら、平均的な日本企業よりも日本経済の影響を受けにくいのではないかと思ったのですが。
それは私も疑問に思っていて、ソフトバンクの資産の半分以上が海外資産なのに、日経平均に連動します。コア30だし、日銀のETF買い上げに反応しているのでしょうが、為替、公定歩合に反応するのはわかりますが、日本の景気によって業績が大きく左右されないんですけどね。
ソフトバンク、という会社があのアリババの筆頭株主なの?Uberの筆頭株主なの?という外国人が大半であり、興味すら持ってないし、本国の日本人すら似たようなもので、感度の高いぬるり読者さんがそういう反応をするので、放置されてるのかな?と思います。
シン
りおさん
日経225に組み込まれてる、かつ寄与率が高いからじゃないですか?
シンさん
ということは、安直に考えると割安感があるということでしょうか。
くろねこさん
日経平均が欠陥指数ということだとしたら、前提が崩れてしまいますね。
記事にしたように単に簿価を積み上げていくと明らかに安すぎますが、買値が狂っていた、と判断されてもおかしくないような買い物が沢山ある、ということでしょうね。Armの価値すら現段階では検討もつきません。
シン
勉強不足ですが、ソフトバンクがしたいことは、世界の輸送・移動のプラットフォーム抑えということでしょうか?それとも、通信業での支配なのでしょうか?
記事は面白く読ませて頂きましたが、結局買収がどこに着地したいが為の仕込みなのか、まだよく理解できません。
また、英アーム社ひとつとっても、調べ出したらなかなか時間がかかりそうで、面白そうではありますが、難易度高めですね。
ソフトバンクは創業以来、IT帝国を目指しており、通信業はそのインフラを支える一つに過ぎません。だから、これ以上、通信会社を買うつもりなんてないでしょう。本国、ITの本拠地、世界最大の市場であるアメリカで抑えられていれば十分です。アメリカでデファクトスタンダードを取ったら、他の地域は向こうから頼んでくるでしょう。でも、なんで通信業と関係ないギャンブルみたいなことするの?と言われます。この認識の違いで孫正義氏はかつての盟友にすら理解されてない状態です。
IoTのIの部分はやはり通信業を自前で持ってインフラを整えることを目指しているわけで、日本でインターネット革命を起こしたように、世界でそれをしたいのでしょう。Tの部分はArmのチップが核になり、T同士を早く正確に繋ぎ合わせ、情報交換させるのにArmの技術がある不可欠だ、と考えています。
そして、傘下企業のシナジーによって、個別ではいいアイディアですね、で終わってしまい、採算に載せられないことをファミリー全体でやりたい、ということです。ライドシェアが典型例です。
私もしっかりと理解できているわけではないですが、ソフトバンクを通信業と見るのは明らかに間違っているし、孫正義氏は元から通信業をやりたかったわけではなく、通過点として通信業をしただけです。
シン
非常にわかりやすい解説、ありがとうございます。やりたいことは、IT帝国なんですね。モノを何でもかんでもネットワークに乗せて、ソフトバンク無しでは、日常生活が成り立たないように出来たら成功ということでしょうか。
そもそも、アーム社が、現在何で設計だけで上手くいっており、今後IoTを牛耳ることが出来る見立てが立つの?というところから腹落ちしておらず、もう少し調べてみたいと思います。
私の見立てだと、孫正義氏はそこを目指していると思います。
>そもそも、アーム社が、現在何で設計だけで上手くいっており、今後IoTを牛耳ることが出来る見立てが立つの?
私もよくわかりません。特許収入を飯の種にしている会社で、その特許がかなり核になるようなものらしいですが、だったら、なんで売上はそんなに小さいの?と聴きたくなります。競合のNvidiaの売上、時価総額は遥か彼方にあるのはなぜ?そこに辿り着く可能性はあるの?ということに答えがありません。もし、ArmがNvidia並みの価値になるなら、孫正義氏はどデカイ勝ちをもう一つ増やすことになり、天才伝説の継続になります。
ずっとテーマにして、あーでもない、こーでもない、と考えてますね。
シン