以前要望があったUSCPAについて記事にします。
難易度
英語ネイティブにとっては簿記一級くらいの難易度であると思います。地道に勉強して2年もあれば取得できます。難易度がそれほど高くないので、USCPAを持っているから、というだけでは何の意味もありません。徐々に簡単になってきたといえ、日本の公認会計士試験とは比べ物にならないくらい簡単です。
日本人は英語という弱点があるので、それを乗り越えるのが厳しいですが、決められた範囲内、専門用語以外には覚える必要がないので、それほど高い英語力が必要というわけではなく、ほどほどに英語力があって、きちんと時間をかければ誰でも取れます。
コスパ
コスパはそこそこいいと思います。ロースクールのようにフルタイムの学校に通うのが前提ではないので、多額の投資も要りません。自習するか、予備校に通って、試験のときだけ時間を取ってアメリカに受験しに行くだけです。
USCPAを持っているからといって絶対的な立場を得られるわけではないですが、MBAのようにただの学位ではなく、独占業務のある公的資格ですので、どこで取った、どんな経緯でとったか、ということがうるさく問われることもなく、持っているだけでもプラスになります。
生かし方
難易度がそれほど高くないので、実務経験なしで合格してもまったく意味がありません。例えば、30過ぎのオッサン、オバサンが経理の経験すらない状態で「USCPAを取りました!」と意気込んだところで、採用してくれる大手はないでしょう。会計士への登竜門であるビック4は中堅大学以上の新卒、経験者でもなければ採用はしてくれないでしょう。
しかし、中堅以下の海外拠点を持つ会社なら経歴次第で未経験でも採用してくれる可能性は高いと思います。そういう会社は英文会計が出来る人間自体が不足し手いることが多いからです。未経験でも30くらいまでなら、USCPAを取ったポテンシャルを買ってくれるでしょう。もちろん、別分野での職歴がきちんとあればの話ですけど。
つまり、元々経理として最低でも3-5年くらいの経験がある人がUSCPAを取得して「国際会計へと業務の幅を広げたい!」という場合には有効だと思いますが、経理未経験者がUSCPAを取って「人生逆転してやろう!」、と考えても意味はないです。
現在、人生を逆転したい人が狙える資格は医師免許だけです。司法試験、会計士試験の制度が変わり、その経歴が厳しく問われるようになったからです。司法試験合格しただけでは大手弁護士事務所に入所できないし、会計士試験を合格したかではビック4に入れません。USCPAは日本では独占業務がないので、尚更意味がありません。
まとめ
USCPAはMBAを取るよりは意味がありますが、未経験者がとっても意味がないです。USCPAを取りたいなら、まずは海外子会社を持っている会社で経理職を3-5年くらい経験し、経理事務ではなく、財務、会計業務をさせてもらうことです。その上でUSCPAが取得できれば、市場価値はぐっと上がります。
日本人なら、日本の資格を取ってから、海外資格にチャレンジするのがもっとも有効で、国際弁護士と格好をつけている人も日本の弁護士資格にアメリカの弁護士資格を足すことで日本人向けに仕事をしているに過ぎません。英語が少々出来ても、英語ネイティブ向けの担当者をやることは無理だからです。細かいニュアンスまで汲み取ることが出来ませんから。
会計士も同様です。ただし、会計士は弁護士と違って書類でやり取りが出来るので、英語ネイティブなくとも、英語で業務を遂行できます。その点では弁護士よりは活躍の場が多く、法務部がなくとも経理部のない会社はないので、受け入れ先も桁違いに多いです。
独占業務がついてる資格+関連した業務経験は強いですね。ぬるり的には、何らかの専門分野×USCPAで業務分析コンサル目指すのもアリなのかなと思いました。
日本はアメリカの制度を真似て資格をローカライズしていますが、ローカルでしか通用しない資格をもっていてもコスパ悪いなと思いました。
ぬるり的にはいくつかの段階に分けてキャリア形成するといいと思います。大分類として専門があり、中分類として独占資格、さらに細かい専門、小分類としてニッチ分野、と年齢を重ねるごとに深耕していくと、何かしらの異変が生じた時に2、3の転職先のアテが出来ているだろうと思います。
例えば、大学で機電を勉強し、公認会計士を取り、メーカーの業務分析コンサルとかするなら、他人と差別化が出来ます。技術的なこともベースは理解しつつ、コスト管理、納期管理などに繋げて、目に見える効果を狙う、とかです。
まぁ、コンサルは根本的にコミュ力、プレゼン力がずば抜けてないと、出来ないので、誰にでも勧めませんけどね。
単にUSCPAだけ取っても仕方ないので、今までの経験をベースにして、更に他人と差別化をしていくと為の手段にすると面白いと思います。
シン
キャリア論としても応用できる素晴らしい考え方だと思います。私もぬるり的考えで、キャリア形成していきたいと思います。
しかし、日本で幅広く独占業務を持ち、応用が効きそうなのは弁護士資格しか存じません(医師はあえて除きます。)。司法試験は為政者の思惑一つで合否が変わるのでリスクが大きく、コストに見合わず、ペイできないと考えます。要は自分の専門次第ですが、大項目と中項目を入れ間違えないようにキャリア設計しなければならないと考えます。資格がなくても立派にやられてる方は、大項目がしっかりしているように思います。
そうですね。
大前提である大項目がまったく他人と差別化できないと、中項目に相当難易度の高いことを入れる必要が出てきて、小項目まで行き着かない。そうなると、中高年になった時、若さという武器を失っているのに、代わりとなる何の武器もなく、苦しむことになります。
何をするのも同じで、時間とともに絞り込みを出来るようにせず、ジェネラリストという曖昧な立場になり、特定の組織から離れると、まったく評価されないキャリアになってしまいます。
理想的には四十過ぎて中高年になったら、いざという時に使える技術、経験、コネがあり、ある程度の価値で売れる具体的な売り先が想定できてないと、キャリア形成は失敗だと言えるでしょう。
キャリア形成に失敗しているなら、何かしらのバックアップとして副業、資産が用意できてないと、精神的にしんどいと思います。
シン