じゃあ、ソフトバンク-11

いつものようにソフトバンクの話でもしましょう。今回はArmについてです。

流れ

元々、Armはアップルからのスピンオフ会社で、設計を生業とし特許収入で事業を成り立たせています。つまり、ソフトの会社であり、ハードの会社を援助する地味な存在であり、その圧倒的な実力にも関わらず、業界以外では知られていませんでした。

その実力を評価していた孫正義氏はずっと前から欲しがっており、ようやく手にした宝物だ、と言っています。だから、買値は日本企業の買収額では歴史に残る巨額なものになり、高掴みだ、と散々言われました。Armは上場していたので、市場価格に50%近くのプレミアムをつけて約3兆円買ったんです。

それにしても、売上が2000億円に満たない程度の会社が時価総額2兆円の市場評価を受けていたわけですから、まさにイギリスの至宝と呼ばれるのは当たり前と言えば、当たり前ですし、Armの売却はイギリス国内でも非難の声が上がりました。

イギリスの産業は過去の遺産を使った金融サービスに偏り、技術を誇る企業はほとんどなくなってしまったので、Armが外資に下ることを嫌がる人が多くいましたし、わけのわからないアジア人、孫正義氏に札束で頬を叩かれて売ったというイメージになりました。

事業

Armは半導体ファブレスですが、自社ブランドで半導体販売をしていない、と言うのが、売上がイマイチ伸びて来ない原因で、これは元がアップルの一部だった為、設計から抜け出すことができず、その技術に見合った報酬を受け取れていないようです。

例えば、スマホのCPUもArmの特許なしには成立しないそうなので、スマホの市場規模からすると、売上2000億円以下っていうのはやっすいなぁ、と思います。孫正義氏はこの現状を割安と見たのだろうと想像します。彼は携帯電話のマーケティングを自らやっていたくらいなので、なんで、Armはこんなに安いの?と思ったんでしょうね。

そして、日本企業が脱落してしまったものの、世界の半導体生産個数は右肩上がりに伸びて、Armがそこに欠かせない技術を持っているなら、自分の傘下企業、パートナー企業とのシナジーで爆発的に飛躍できると確信したんでしょう。だから、リスクをとったんですね。

転換

さて、今後のArmはどんな展開になっていくのでしょうか?孫正義氏もスマホでの飛躍には期待してないと思います。スマホの普及しきって伸び代が少なくなり、買い替えサイクルも長くなりつつあるので、今までほどの爆発力は期待できません。もはや、生活必需品の成熟産業ですね。

また、業界の慣習としてArmは特許収入しか取らないのだから、それを変えるのはアップル、サムソンという巨人に噛み付くことになり、喧嘩になってしまいます。せいぜい、格安の特許料を上げることは可能だと思いますが、良い顔はされないでしょう。

だから、IoTに使われるであろうデファクトスタンダードチップの開発をしたいのでしょう。その上でファンドリーにArm製として作らせて、Armで販売すれば、爆発的な伸び方をするのは間違いないです。

孫正義氏はArmにはその力があり、盟友、ホンハイ、ゴー氏に製造してもらえるだけのコネがあり、使用先は通信会社、自動運転、ロボットなど、IoT関連企業を傘下に持っている、と考えているので、その筋道は見えた、と考えているのでしょう。

仮にArmがNVIDIA規模に成長すれば、時価総額は15兆円、買値の5倍くらいまでなりますので、大勝利を収めることができるだけでなく、次世代のデファクトスタンダードを握ることになるので、世界有数の支配力を持つ会社になります。孫正義氏曰く、Armはグーグル以上になり得る、とのことです。

まとめ

先頃、Arm中国の過半数株式を中国政府御用達のファンドに格安でありましたが、今までは小規模だったので放置されてきましたが、大手と同様にみかじめ料を払って中国市場で生き残る、という意思表示であり、製造に転換していくには中国政府と上手くやるしかない、と言うことなのでしょう。

電子機器製造で、シャオミ、ファーウェイという中国国産メーカーの影響力が強まっているだけでなく、ホンハイの主力も中国にあり、代替え地としてインド、ブラジルが急激に進んでいるわけでもないので、やはり中国政府とは仲良くするのがセオリーなんでしょう。

アメリカ、中国の二大強国に挟まれて、上手く世渡りするには両方にみかじめ料を払いつつ、良いところどりをして、締め出されないようにしなければなりませんね。ArmがNvidia と並ぶ規模になりたいなら、避けては通らない道です。

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