じゃあ、技術と営業

基本的に技術、営業はセットになっており、どちらだけでも成立しません。技術がなければ、営業をするしかなく、営業できなければ、技術を身につけるしかありません。どちらもできなければ、低賃金労働に甘んじる他になくなります。ただし、技術を身につけてから営業を身につけることはできても、その逆は不可能でないにしろ難易度が高くなります。

営業

何かしらの製品、サービスがあっても、顧客を見つけてこないとビジネスとして成立しません。そして、新規開拓営業ほど難しいものはありません。商材が一般的であるほど、選択肢が多いほど、新規開拓は困難であり、何もないところから顧客を見つけて来るのはある種の才能といって良いと思います。

経営者は営業です。投資家、金主を口説きお金を引っ張って来るだけでなく、自分の手足になってくる有能な人材を見つけて口説いて来る必要があります。実家が大富豪だろうが、自分の技術が天才的であろうが、不眠不休でできる強靭な体力を持っていようが、自分だけで出来ることは限られています。出来るだけ多くの人間を口説き落として自分の進む道に引き込む必要があります。

新規営業より簡単なルート営業ですら特定の人間と長く上手く付き合っていくだけの営業力が必要です。家族でもない、友達でもない、お金で結びついた人間関係をなんとかこなして行くのはそれほど簡単なことはありません。洞察力、忍耐力がなければ、関係継続はできません。

内勤事務職だって同じことです。社内営業なしに周りと上手くやることはできません。相手が顧客でない分だけ、一緒にいる時間が長い分だけ、難しい部分があります。相手の立場をよく見た上で立ち回らないと、その組織に居られなくなります。誰でもできて、やりたい人が多い仕事ほど、その立場を維持するのは大変です。

営業活動なんて誰もがしていることである分、その競争は激しく、突き抜けた営業力を持っている人なんて滅多に居ません。逆に言うと、営業力が突き抜けていれば、他に何もできなくても出世することが可能でしょう。自分ができないことは営業力によって誰かにやらせて仕舞えば良いです。

技術

需要、希少性がある技術を持っていれば、営業力がなくて良いのか?と言う話ではありませんが、営業力がなくとも目を瞑ってもらえる可能性が高くなります。私が見る限りでも、技術がなければ、とっくの昔に解雇されているだろう人でも、なんとなく生き残っていることは少なくありません。

流れの職人みたいに気分のままに職を転々としても、なんとなく生活できてしまうのは、その技術に希少性があり、多少の粗は目を瞑ってもらえるのでフラフラしていても、雇いたい人が登場するからでしょう。逆に技術がない人が同じことをすれば、野垂れ死にコースです。

技術力があって営業力があるなら、営業をすれば良いだけでのことです。技術と言うベースがあり、営業力があるなら人の上に立つことも難しくありません。技術がある人間を見極めることもできるし、上手く動かすこともできるからです。ただ、営業力がない、と言うだけでのことでしょう。

完全に突き抜けた技術力があれば、営業力なくても出世可能ですが、それはそれでかなり困難です。GAFAの役員待遇研究者、みたいな人たちはトップスクールでテニュア取れるくらいは当たり前、ノーベル賞取っても不思議でない人たちです。

専門職

AIによって専門職、と言う概念が崩れつつあります。一定のルールが決まったことは、そのルールに従ってAIが自動的に進めていってしまう時代になりました。一昔前まで会計職は専門職として認識されていましたが、今はほとんどの会計業務が単純作業になりつつあります。

今、会計業務で専門職として残っているのは、営業的な仕事です。相手の状況に合わせて資産管理方法を提案したり、税法の抜け穴を見つけてきたり、買収、上場と言うような大型案件を進める旗振り役をする役割はA Iにはできません。CFOなんかは営業の一種だと思います。営業相手が金融機関、投資家というだけです。

技術職である設計なんかも例外ではありません。あらかじめ設定されたダッシュボードをいじっているだけで簡単なプログラミングは誰でもできるようになりました。社内クライアントの意図を汲み取ってお金になるように調整する作業がなければ、人間がやらなくてもよくなったんですね。

純粋な専門職なんていうのは姿を消していき、専門がベースになった営業職になって行くのでしょう。難しい顔して机と睨めっこしていられるのは研究職くらいでしょうか?研究職ですら、営業的な要素がどんどん増えてきて、組織内外に売り込むだけの営業活動が重きを占めるようになったようにも見受けられます。

まとめ

これだけ技術革新が進むと、CPUにできないこと以外は価格崩壊してきます。最後に残っているのが、人間感情に関わるものなのでしょう。こればかりは自分自身ですら感情を正確に理解が難しいので、CPUにはできない仕事でしょうね。Googleが感情を理解するAIを開発したという噂もありますが、それは無理じゃないかな?と、私は思いますね。

ただ、何かがベースになってその上に営業力が加わり、お金になるということを考えると、そもそもベースにならない需要のない、ほとんどない趣味的なことを一生懸命やっていても、評価されるのは難しいし、自分の人生を生きづらくするだけですね。自分の中の技術、営業という要素を見直してみると良いと思います。

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dw
1 year ago

「社内営業」という言葉にピンときました。その通りです。
コミュニケーションみたいなものですが、ちゃんとやり取りできる人じゃないと仕事ができても評価されなかったりしますね。まぁ、そのあたりもちゃんとできることも含めて「仕事ができる」なんでしょうけど。

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