久しぶりにソフトバンクについて書こうか?と思います。テーマは孫正義氏が次期アリババだと惚れ込む、WeWorkです。
コンセプト
WeWorkのコンセプトは単純です。オフィスを借り上げてオシャレにリノベーションして貸し付けるだけの不動産デベロッパーに過ぎません。目新しくはまったくないし、誰でも真似できる変哲も無いビジネスモデルだと言っていいでしょう。
確かに世の中の働き方は変わってきて、必要な時に必要なだけ事務所を借りて、必要なくなれば、さっと出ていくようなやり方は時代にマッチしているでしょう。フリーランスは増えてきたし、サラリーマンでフリーランス的な人は多いです。
アメリカのホワイトワーカーはフリーランスに近いです。多くが契約社員であり、契約以上のことは何も守られません。だから、雇う方、雇われる方も必死に条件闘争をします。銭闘民族なんですね。齟齬をきたすと、即辞めていくのでブラック企業は成立しません。
そして、プロジェクトごとの契約になりがちです。グーグルも実質的にプロジェクトがあり、ほとんどの社員はプロジェクト所属で、そのプロジェクトが破綻すると、社内転職が必要になり、評価が低いと、引き取るプロジェクトがなく、実質的にクビになります。
そうなると、コワーキングスペースって、便利です。必要な時に必要なだけ借りて、上手くいけば、もっと借りて、上手くいかなければ減らしたり、撤退すればいいからです。借り手としては何も文句のないコンセプトだろうと思います。
リスク
事業としてはリスクだらけで、ソフトバンクの役員会議では孫正義氏以外は追加出資に全員反対したそうです。誰でもできる上、不動産業という古くて面倒な事業をしており、景気が逆を吹くと、長期契約が仇になり、ノリノリになると、適正価格で借りるのが難しくなります。
事実、WeWorkの多くの契約がリーマン後に格安でしたものであり、この更新がかなり困難だと言われています。かと言って、自社物件にすると、従来の不動産業と大して変わらなくなるので、どうしたものなの?という意見が上がったようです。
しかし、WeWorkの事務所敷地面積はマンハッタンで最大になり、もはや、彼らが破綻すると、マンハッタンの不動産業がぶっ壊れるほど、激しい勢いで膨れ上がっています。これは孫正義一流の借りまくると、借り手の方が偉くなる、というやり方と同じですねw
だから、WeWorkに貸すしか選択肢がないくらいに大きくなって仕舞えばいいわけで、その為の資金をビジョンファンドからジャバジャバ流し込んでいるのです。やがて、外野からごちゃごちゃ言われるのが嫌で、ソフトバンクが過半数買って、自分のものにしてしまう、というのが今の流れです。
SNS
コワーキングスペースって、ある種のSNSと思います。特に技術力はいらないけど、デファクトスタンダードを取った人が勝ちであり、同じジャンルの他は撤退を余儀なくされる勝者総取りビジネスです。そして、人の集まるところには何かしらの収益法がある、という話です。
ソフトバンクはグループ会社をWeWorkにねじ込んでいるので、グループ会社は多かれ少なかれ交流するし、そこからシナジーが産まれて新しい価値創造が出来る、ということを孫正義氏は考えているのでしょう。
そうなると、単なる居住空間を提供するだけでなく、人との繋がりを求めてWeWorkに入居するようになり、高くても来るようになり、その割増分はすべて利益になる、と言えます。WeWorkの目指している最終形態はリアルFacebookなんでしょう。現実社会のイベントがWeWorkを通して行われ、人と人が繋がり、お金になるということです。
事実、これだけネット社会になっても、展示会がなくなることはなく、新しい情報、繋がりを求めて人が集まり、そこで名刺交換をして、お互いに興味があれば、後日、改めてミーティングを行う、という原始的なやり方はなくなることはないでしょう。
また、ビジョンファンドは不動産関連のプラットホームを爆買いしているのですが、「住」という基本中の基本は人間にとって抗えない必要要素であり、それが所有、賃貸、短期、長期、という違いがあっても、やはり極めて重要だと言えるでしょう。ネットだけでは足りないのです。
まとめ
ぼんやりとですが、WeWorkがやりたいことが見えてきた気がします。しかし、普段から孫正義氏と接する側近すら反対するアイディアを赤の他人の私が理解しているのかは自信がありません。
でも、人間は弱くて、人との繋がりをリアルに求め、ネットで繋がろうが、最終的にはオフラインで会うことは多いですし、ビジネス空間の共有を通じて新しい価値創造をする、というのは夢想ではないのかもしれません。
WeWorkが壮大にこけるかもしれませんけどねw
ソフトバンクグループは他の通信キャリアと異なり、単独でもやっていける会社が多いですね。
古い日本企業だと、在宅勤務をさせずに、リモートワーク用拠点を作る流れがあります。
例としては、東京本社だが、埼玉在住者が多いので、大宮に拠点を作り、そこで東京と電話会議をします。
シンさんの経済記事は、面白いですね。
ソフトバンクは、現在の自社事業の枠に囚われない投資をされているのですね。それならば、孫さんの目利きを信じられるか否かが、ソフトバンクの将来性の、主要な判断材料になるのかなと思います。
不勉強で、孫さんの素晴らしさを十分に理解出来ていないのですが、孫さんが信用できる方だと思う一番の決め手はどこでしょうか?
>不勉強で、孫さんの素晴らしさを十分に理解出来ていないのですが、孫さんが信用できる方だと思う一番の決め手はどこでしょうか?
吹いてきたホラの7、8割を実現してきた。その有言実行ぶりだと思います。実際、大まかに彼の大言壮語は事実になりました。
シン
理解が間違っていたら申し訳ないですが、有言実行を自社事業で成し遂げたのではなく、他社を口説き落として、その元手でまた口説いてと、カリスマ的わらしべ長者のイメージです。
そんなこと、他の人が真似しても到底上手く行きそうに無いのに、孫さんは成し遂げてしまったから、結果信じるに値するということなのでしょうか?
結果論ではなく、どういったプロセスを踏んで成功したのか、シンさんのおかげで、孫さんのことをもっと知りたくなりました。
ビジネスとはお金を用意して、何かに放り込み、回収して、再投資することです。自社事業にこだわる必要なんてまったくないと思います。それと同様に自分でやる必要もなく、出来る他人を探してこればいいです。
ジョブズ氏を「実業家」として崇拝する人はいますが、彼のエンジニアとしてのスキルは無いに等しく、彼の成功はウォズ氏を見出したことにあります。実業、実業と煩い洋服屋のお爺さんも彼が縫製技術を持っているわけでも、接客スキルを持っているわけでもなく、息子たちにも現場に立たせてません。
テスラだって、マスクは創業者ではなく、エンジェル投資家として参画してます。マスク氏はオンライン決済技術は知っていても自動車技術など、ほとんど知らず、知っている人を集めて、自分のしたい方向に突き進んでいます。実業ですか?虚業に見えませんか?お金を用意して、技術のある他人を集めているだけです。
つまり、何が実業で、虚業なのかを決める必要などどこにもありません。あるのは結果だけです。どんな方法でお金を増やしてもいいんです。
孫正義氏の才能は才能のある他人、有望な事業を見つけてきて、躊躇なくお金を放り込むことです。というか、バフェット氏にしろ、ソロス氏にしろ、投資家とはそういう職業ですね。そして、起業家も多かれ少なかれ投資家です。
シン
とてもわかりやすく教えてくださり、ありがとうございます。
印象だけで、実業・虚業の区別をしていましたが、それは間違っていますね。孫さんのことを理解するために、大事な観点を教えてもらいました。
孫さんの思考を学べば、これからの世界のこと、少しわかりそうな気がして、面白そうです。
どう致しまして。
私はそもそも実業、虚業という区別すら無意味だと思っています。強いて言うなら「利益を追求しない」と断言するNPOなんかが虚業だと思います。どんな形でも税金で運営しないなら利益が必要で、お金が回らないと何も出来ません。逆に言うと、ともかくお金さえ回れば、ルールを無視してない限りは一定の社会貢献になります。
シン
ここまで噛み砕いて話してくれる人いませんよ。わかりやすい説明です。水が高いところから低い所へ流れるように、お金も持たない者から持つ者に遷移します。世は弱肉強食の世界。
私はソフトバンクGができる以前にSB社に勤務していた者で、その縁あって株を保有しておりました。スプリント社買収から懐疑的な意見になりましたが、一連のWeWork騒動で全株手放しました。
組織に所属し、分け前をもらう時代から、個人で稼ぐ時代をむかえつつあり、そのプラットフォームとしてWeWorkを選定する戦略は大いに理解できますが、稼げる人はわざわざあって飯のネタを探さないのでは?と思いました。(結果から言うのは誰でもできるので、多くを言いたくないですが)少なくとも日本人はシャイなので”Say Hello”なんて廊下で知らない人とすれ違っても言わないですよね。
しかし、WeWorkの錬金術(自社物件を自社にリース)はやんちゃ坊主ですね笑
参考までにですが、孫さん、世界のCEOトップ100に選ばれてましたね〜
https://www.google.co.jp/amp/s/sustainablejapan.jp/2018/10/25/hbr-best-ceo100-2018/35132%3famp=1