日本人の英語力って、世界的に見ると、かなり低いので、昔ほどでないにしろ、英語ができるだけで得をすることが多いです。なので、日本では下手くそな英語で、自信満々な人は多いです。
例えば、TOEFL80くらいだと、国際水準では英語のできない人ですが、日本ではトップクラスだと認識されます。日本ではTOEICが一般的ですが、この試験は日本人、韓国人ぐらいしか受けていません。換算するとTOEFL80で、TOEIC850くらいだろうか?、と思います。
日本
日本人は日常生活での英語の必要性がなく、英語圏への移住も一般的ではなく、海外大学への進学者も多くはありません。衰えが激しくとも、それだけ豊かな国であり、母語だけで生活できる、国内大学の水準が高いって、素晴らしいことです。
国際水準に全く到達しないTOEFL80くらいですら、日本の大学受験は英語特化方式で、私立文系に進学できますし、東大英語ですら、十分に合格レベルに達するって、異常事態ですけど、当たり前にまかり通っています。
就活、転職でも、TOEIC800もあれば、評価されるし、英語ができる人扱いを受けるって、凄いことだと思いませんか?国際水準ではなんとか意思疎通が出来る最低レベルだと評価されているんですよ。
一昔前は多少英語が出来るだけで飯が食っていけるほど希少なスキルとして認識されてましたし、徐々に改善されてきている、とは言え、国際水準からかけ離れた英語力しかないのが日本なのです。
シンガポール
準英語圏のシンガポールでは英語力=教育水準、とみなされるので、必死になって英語の勉強をします。エリートの英語力は発音はともかく、ネイティブ並だと言っていいですし、どんなに英語の苦手な人でも、国立大卒なら、TOEFL100を割る人はまずいないでしょう。
日本人がTOEIC800ぐらいでシンガポール駐在しても、シンガポール人からすると、日本人なのに、少し英語ができる、という程度の反応で、きちんとビジネス英語が出来る人だとは思わないでしょう。中卒レベルのシンガポール人以下の英語力です。
でも、シンガポールが楽なのはシンガポール人同士でも、英語力に差があるので、片方、もしくは双方の英語力不足で、なかなか通じないことが珍しくない為、下手くそな英語力にかなり忍耐力があります。
アメリカ
当たり前ですけど、英語圏では英語が得意、という概念はなく、英作文が得意だとか、語彙力が高い、というネイティブ内での英語力が評価されても、ノンネイティブという時点で、ほとんど勝負になりません。
移民国家であっても、アメリカでは英語がまともにできない人っていうのは「可哀想な人」という扱いで、子供相手をしているように扱われます。同情的な人はゆっくり子供を諭すように話してきますし、そうでない人は一度普通に話して、通じないなら、相手にしません。
だから、移民国家では別れて生活するのが当たり前で、同じ人種、言語を使うグループが共同生活をするように同じ地域に固まって生活します。移民の多い地域だと、移民二世であっても、英語しか話せないが、怪しい英語を話す人も珍しくありません。
こういう環境だと、TOEFLを受けなければならない時点ですでにハンデであり、SATをネイティブと同じくらい取れて、初めて同じ土俵とは言わないまでも、競争になる、と言って構いません。だから、そのハンデ克服に非言語スキルは必須なのです。
TOEFL80くらいだと、全入のコミュニティカレッジなり、Fラン大にしか受け入れてもらえません。周りの教員、クラスメイトの言っていることもさっぱりわからず、同じ国の人間とだけつるんで、なんとか単位を揃えて、帰国、となります。
こんな環境なら、始める前から負けてるも同然です。一昔前はアメリカに外国人は留学生がさほど多くなかったので、受け入れ態勢もマシでしたが、今は商売で受け入れるので、お金だけむしり取って、叩き出します。
まとめ
帰国子女などの英語自慢って、英語力がアイデンティティになってしまっている人って多くて、それだと、最初から国際的に活躍できなくなってしまいます。どれだけ英語力が高くとも、ノンネイティブはノンネイティブだからで、ネイティブの相手にはなりません。
日本の子供はもっと英語の勉強をすべきですが、それ以上に国際水準を意識して、何を学べば、価値の高い非言語スキルとなるかをよく考えながら、取り組むといいだろうと思います。いくら英語だけ頑張っても、国際的には活躍できないことは大人が教えてあげるべきです。
いつも楽しく読ませていただいています。
先日、新聞記事で人工知能の専門家(東大特任准教授)が「10年程度で人工知能を使った自動翻訳が実用化される可能性がある。」とコメントしていました。
①機械通訳(音声)②機械翻訳(文字)それぞれの実現可能性をどう思われますか?
また、最近新しい技術が導入されたGoogle翻訳の性能はどうでしょう?少し使ってみたのですが、私はスゴイと思いました。
ブログ主様の見解を聞かせていただけたら幸いです。
自動運転が出来るのに、自動通訳、自動翻訳が出来ないわけないです。背景を知らないと訳せない特殊な分野以外の通訳、翻訳は全滅すると思います。
シン
自動翻訳が実用化されて普及すれば、語学力というものに対する評価が変わるでしょうね。既に現状の翻訳アプリでも、海外旅行、現地人と深い交流をしない滞在程度なら問題なくこなせています。その点では、自動翻訳は言葉の壁を取り払う画期的なツールです。
問題はビジネスや専門的な研究・教育の場面です。このような円滑なコミュニケーションや高度な言語表現が必要とされる場面では、やはり翻訳機械を介さず、人間自身が直接英語を理解する必要があると思います。
現状の世界がアングロサクソンの価値観・制度で動いている以上、日本という狭い輪の中から出るには、英語の習得が必須です。といより、英語こそが第一言語となり、日本語は英語を話せない下層階級との意思疎通の手段、という状態になるのが将来の日本の言語のあり方ではないでしょうか?
以前にシンさんは、シンガポールが母語の中国語を捨てて、英語を第一言語とする政策を試みたものの巧くいかなかった、という事例を書いておられました。日本での英語の普及の可能性はどうでしょうか?
極端な英語普及策を具体的に述べると、
・小中学校では、国語は最低限の読み書きを教えるのみとする。
・その分、英語を小学1年生から教え、留年を導入し、英語を習得しなければ義務教育を卒業できないようにする。
・高校以上の教育は全て英語で行う。
・授業のみならず、学校では英語の使用を徹底する。校内で日本語を話したり日本語の本を持ち込んだりした生徒には、罰則を科す。
・裁判や行政手続きなど、公の場面では必ず英語を使用し、日本語を公的な使用からは排除する。
勿論、人材の確保、予算、世論の反発などがあって、現実にこんな事は不可能でしょうが、仮に行ったとしたら、日本はどう変わるでしょうか?
今後、どんどん世界が英語化していくのは間違いないのですか、どの程度なのか?、というのは私にもわかりません。少なくとも高等教育、ビジネスは英語で行うようにはなるのではないでしょうか?
シンガポールは上手くいかなかった、と言うか、英語化を徹底することなく、英語重視、中国語重視、と時代で傾いて来て、完全に英語化もしてはいません。その結果、同じシンガポール人でも、世代、教育内容でかなりばらつきがあります。
この辺は改めて記事にしますよ。
シン
日本生まれの柔道が国際競技のJUDOになった時、ルールや評価基準に大きな変化がありました。
かつて、技の美しさが高く評価され、勝利優先の卑怯な振る舞いは人格が否定される位非難されました。今は技の美しさ自体は試合評価の対象外ですし、逃げ切る作戦でも試合終了時にポイントが上なら勝者です。現在は日本人選手がルール上特別有利な状況ではないと思います。
英語も国際化(ネイティブもノンネイティブも英語を使って交渉するという意味です。)するに従い、ノンネイティブが学習し易い表現に変更され、ルール変更によってネイティブ圧倒的有利な状況が変化するのでしょうか?それともアングロサクソンの政治力でネイティブが有利な状況が続いていくのでしょうか?
英語が国際語になったのだから、ノンネイティブがネイティブに近づく努力をするのが当然とされている現状より、ネイティブがノンネイティブの不完全な英語を非難せず理解する努力をするほうが好ましいと考えています。私は英語特有の美しさが損なわれたとしても、ノンネイティブが不利な状況が改善される事を希望しています。
Globalishとか、Simplified Englishなどと呼ばれる動きもあるので、ネイティブがノンネイティブに合わせる、という動きがないわけではないですが、主導権を握りたい場面で、合わせてくれると思いますか?英語ノンネイティブの私ですら、国際交渉で主導権を握りたい時は全速力で突っ走って、強引にねじ込む話し方をしますよ。当然、日本語でも同じです。少しでも有利になるようにやるに決まってます。
Judoは国際ルールに基づいて、ポイント化することが国際化する前提だったので、本来の柔道とは離れたのでしょうが、ビジネスなんかはルール無用のお金の奪い合い、と言うのが本質なので、無理でしょう。
シン
残念だけど、仰るとおりなんでしょうね。
でもあえて言わせて頂くと、特定のグループだけが有利になるルールはフェアじゃないです。
「お前はフェアじゃない、卑怯だ。」と公の場で非難されることをアメリカ人はとても恐れるのではないでしょうか?
フェアではないのが世の中です。
アメリカ人は非難されないためにキレイゴト、建前を言うだけで、フェアが好きなわけではありません。アメリカに公用語はないし、多くのアメリカ人はスペイン語を勉強している、とか話題を逸らしてくるだけです。それでも執拗に食い下がると、困った顔で、じゃあ、どうすればフェアだろうか?、とでも言って、質問してくるのでは?議論巧者だから、アングロサクソンは世界を制すことが出来たのです。
シン
自分が頭を下げる立場でなければ、「それって己の優位が少しでも損なわれる可能性のある議論はしないって意味ですよね。わかりました、これ以上話し合っても無駄です。この事は世界中に触れて回りますから。」って。交渉決裂ですね。
そういうことです。 自分が損しそうになると、友好的な顔から一変して、鬼の形相で牙を剥いてくるのがアングロサクソンなんですよ。
シン