資本主義の権化であるアメリカで、上場企業数が減少しているのをご存知ですか?その為、小型株を買うのが難しくなり、どんどん指数採用銘柄中心のモメンタムトレードになっていき傾向があり、バリュー株の泰斗、バフェット氏でもインデックスを勧めるようになっています。
PE
すでに第二のアマゾンを見つけるのは困難になったと言われますが、これはPE投資会社(Private Equity Firm)と呼ばれる非上場会社株を扱うファンドの数、タイプ、スキームがどんどん増えて、面白そうなアイディアがあれば、資金を公開市場からでなくても、比較的簡単に調達出来るようになったからです。
日本ではあまりPE投資会社はそれほどメジャーではないですが、アメリカではどんどん影響力を持って来ています。日本だとソフトバンクがPE投資会社みたいになって来ています。孫正義人脈でファンドも作りましたしね。彼の最も有名かつ、大成功を収めた事例がアリババの初期段階での出資で、本業を支える原資となっています。
メリットは限られた投資家だけに入ってもらうことで、短期的な収益を上げるのでなく、シェアの拡大、市場占拠を目標にして、赤字を垂れ流しながらでも、突っ走ることが可能になり、短期間で怪物みたいな時価総額にすることが出来ます。
既に世界の最重要人物の一人となったフェイスブック、ザッカーバーグ氏はまだ三十半ばの若者ですが、圧倒的な影響力を手にしました。これを可能にしたのがギリギリまでIPOせず、市場占拠して、競合を完全に蹴り出したからだからだ、と言えるでしょう。
条件
前に山一證券破綻の記事を書きましたが、ほんの20年前くらいまで、証券会社なんて山師そのものであり、今、同じことをやったら、確実に逮捕されるようなことを平気でやっている詐欺師集団みたいな存在でした。
10年前ですら、粉飾のオンパレードで、如何に監査法人、東証が信用出来ない組織だったんですが、徐々に厳しくなりつつあります。四半期決算ですら、始まったのは15年前くらいのものであり、それまでは決算までにメチャクチャを整理しておけば、なんでもありだったんです。
IT革命で、情報が圧倒的な勢いで伝わる為、粉飾は徐々に難しくなりつつありますが、東芝を見るように粉飾はどんどん複雑なスキームになり、やる会社はやるので、完全に撲滅するのは不可能だろうと思います。大企業だからしっかりしている、ということはなく、人がやるのことなので、不正は付きまといます。
それとともにIR(Ivestor Relation)と呼ばれる投資家向け広報活動、情報開示が重要になり、小さな会社には負担が大きすぎて、上場を維持できなくなりつつあります。管理部全体で10人くらいしか社員がいない会社で、2-3人がつきっきりで、IR対策するとなると、コスパが悪すぎます。そうなると、上場メリットがデメリットを凌がなくなって来て、小さな会社は上場廃止にしたり、上場を目指さなくなって来ています。
寡占
もう一つが市場の寡占化で、一つのプラットフォームが市場を占拠すると、他は完全に死に絶えて、別のセクターのプラットフォームと仕事を奪い合うようになってきており、フェイスブックのライバルはグーグル、と言うようにコンセプトの違う会社が戦うわけです。
と言っても、企業がかける広告費が増えて、市場全体が大きくなっているわけでもなく、限られたパイを支配的なプレーヤーが小さなプレーヤーから奪っています。中小の広告代理店なんて、どうにもならないくらい仕事を奪われています。
だから、昔みたいに多種多様な会社が混在して、その内のいくつかが大きくなって上場する、と言うことにはならないので、上場企業数が減っていくことになります。また、支配的なプレイヤーが競合になりそうな会社を買ってしまって、傘下に入れてしまうこともあります。
野球で言うヤンキース、巨人みたいなもので、他に取られて、活躍されたらイヤだから、チーム内での使い方はわからないけど、取るだけ取って飼い殺し、というパターンもよく見受けられるようになり、世界全体的に金余りになってきているので、起業したい人よりも投資したい人のほうが多いようにも感じます。
まとめ
世の中がどんどん競争になり、少数の支配的プレーヤーがいて、それ以外を選べないような時代になってきています。そうなると、既得権益を持つアングロサクソンの天下になり、日本人はつらいなぁ、と思います。すでに市場を支配するのは無理だから、ニッチ路線を突き進むしかないのだろうと思いますね。だから、日本企業もどんどん縮小するのでしょう。
人がやらないことをしたり、好きなことを突き抜けていく、とか戦略的に動かないと、単純作業員化してしまう時代で、従来、エリート扱いされていた弁護士、会計士も大半が単純作業員化しているのを見ると、とんでもない時代になったなぁ、と思います。
ソフトバンクがアメリカの四足歩行ロボットの会社を買収したと聞いて、夢があるなと思いました。
日本でも面白いロボットや乗り物を作るベンチャー企業がどんどん出てくればいいなと思いますが、福祉用ロボットを作ってるサイバーダインって、今ひとつパッとしてませんよね。
色々と日本国内の規制も足かせとなってるのかもしれませんが。
そういう先進性ではアメリカに並ぶ国はないです。ソフトならイスラエルもいけていると思います。日本はハードで先進性がないと、売るものがなくなってしまいますね。
シン
単純作業員化の流れには、皆が危機感を感じているようで、ザ・セカンド・マシン・エイジ等々、関連書籍はベストセラーとなっています。
きゃりーぱみゅぱみゅさん戦略のように、日本人の感性から生まれたもので、日本ブランドを海外に根付かせるためには、数を打つのも大切だなと思います。その点、ぬるりブログは、コメントがついてもつかなくても、毎日淡々と発信し続けており凄いですね。他人からの評価は、自分が忘れた頃に、遅れてやってきますよね。
とにかく、継続することで、新しいものが見えてくることが多く、寡作で評価されようと思うなら、一作ごとの分量、質がずば抜けている必要があります。それは難しいので、毎日やる、数をこなす方が手軽だと思います。
他人にどう思われるのかがほとんど気にならなくなるほど、自然にやり続けられる頃に評価されるものかもしれません。
シン
ゴッホなんか、評価されたこと、本人は知りませんからね。他人からの評価を気にしても、大分と遅れてやってくるので、仕方ないと思います。コメントがつかない記事は、人々が議論できる下地のない、先進的な記事ということで、後に評価される可能性が高いと思います。
確かにゴッホはそうですね。
自分自身で読んでわりと面白い事を書いているな、と思うのですが、ほとんど何の反響もない過去記事がありますね。そういう記事の積み重ねで、新しい記事が書けることもあります。
シン
最近の何かの記事の関連記事で、「じゃあ、説教する人」というコメント無しの記事がリンクされていましたが、
「この手の説教は受け流して、その人が自分をどう評価しているのかだけを確認すれば十分」
「上司ならともかく、友人、知り合いで説教をしてくる、ということはあなたに対して優越感を持っている、ということです。」というところ、自分的に刺さってきた洞察でした。
感情のままに説教する=無意識に思っている自分への評価の発露 ということで
上司なら、評価を上げるよう考えるしかないし、変わらないなら、別の方法を考えるなどで対応するしかないですね。
周りから自分の評価を聞くことはあまり無い一方で、反発心しかわかない説教という現象すら、自分の利にしていく考え方に、勉強になりました。
確かにその記事はなかなか良く書けていると思っているのですが、何の議論にもならず、放置されています。こういう人間生活の基本的なことで議論をしたい気持ちがありますね。
シン
108さん
それでは「じゃあ、説教する人」について私なりに1コメント述べさせていただきます。もし感ずるものがあれば議論を深めて行きましょう。
個人的には、上場のメリットは初期の資金調達だけであり、その後は煩雑になるなどデメリットの方が大きいと思ってます。
株価が上がっても、決算書上は数字が良くなりますが実際に利益が増えるわけではありません(利益の定義が難しいですね)
それどころか、RoCEなどを重視しすぎて、利益よりも株価上昇を目的としてしまってる会社もあり、手段と目的がごっちゃになってるなぁという感じがします。
あくまで資金調達が目的ならば、非上場で調達できるに越したことはありませんもんね。
そうです。
数字上の「利益」なら、いくらでも作ることは出来ます。将来への投資を削って、必要経費を使わなければ、いくらでもひねり出すことが出来て、短期筋はそれを望み、長期的にはそれをしたらもう終わりです。株主の中で意見が割れたり、株価だけで評価されたり、上場すると面倒なことが一杯です。だったら、初期段階は起業家のやりたいことを理解してくれるVCだけを選んで出資してもらい、ある程度をやりきって、上場によってVCに利益を渡すのが最も効率が良いです。
株をオーナー、関係者だけで握って、資金繰りできるなら、ずっと非上場を貫いた方が明らかにやりたいことを貫けます。
シン