アメリカの移動率が下がってきているという記事を見て思うところがあったので書き記します。田舎から都会に移動しようにも身がすくむ、という記事でいくつかの要因で取り残されているんです。
不動産
アメリカって都市部、特に東西海岸の不動産価格は高騰してとんでもないことになっており、一般的な無産者が頑張っても手が届かない水準に到達しています。そこそこの物件でUSD1ミリオンとかなら、どうにもこうにもなりません。
それに対して田舎の不動産は放置された状態で整理しても、ほとんどお金にならないため手持ちの資産を動かして都市部に引越ししてしまうことが出来ないんですよ。それこそ、田舎の不動産を売っても、都市部の小さなアパートの頭金にもならないレベルです。
一昔前より都市、田舎の不動産価格に差が出て、田舎の人が都市に移動するのが難しくなったということです。田舎は製造業で経済を支えていたんですが、アメリカの製造業は特殊なものを除いて死んできているので、現金収入を得る手段が減って価格が落ち、逆に都会は移民、ブラック、グレーマネーの流入で価格が上がったということです。
学費
アメリカの大学は学費がどんどん高騰してアメリカ人ですら苦しんでいます。州立大学に州民が行くのでも、1万ドル/年はかかります。だから、外国人を積極的に受け入れて外国人料金を取ったり、お金持ちに寄付を募る代わりに枠を差し出しながら綱渡りの経営をしています。
だから、田舎の人はその学費が払えないので近場のコミュニティーカレッジに通うのがせいぜい、そこから先がなくなってしまいます。仮に借金でなんとか二流、三流の大学に入っても、特に文系なら借金を返すことすら出来ず、身動きが取れなくなります。
かといって、アメリカで大学を出ていないとやれる仕事が極めて限られている上、大卒、高卒の賃金格差も大きいので、貧乏人も無理して大学進学してしまうがそれに見合った仕事がない、という悪循環になっています。
仕事
アメリカは景気がいいといっても、IT系新興企業が中心の動きをしているので、単純労働者を必要とはしていません。IT系じゃなくても、ボーイングなどの航空系企業は熟練工を必要とするので単純労働者は要りません。
そして、IT系はアジア系移民が根こそぎ奪っていくし、機械系はラテン系が奪っていくので、手に職がないアメリカ人は移住しても仕事が見つからないし、見つかっても物価に対して低賃金過ぎて生活が成り立たないのです。単純労働は不法移民が激安でやりますしね。
平均的アメリカ人はあまり理系科目が得意な人たちではないですし、田舎の高校を出ていても、きちんと流行の情報系に入って卒業できるほどの学力もないわけですし、アジア系トップ層がしのぎを削る分野でまともに戦えもしません。
まとめ
これって、日本にも波及しないでしょうか?
東京の不動産も都心部は一般サラリーマンが買えないレベルに上がりつつありますし、東京郊外に住むにしても、通勤を考えると便利な場所である必要があり、以前のように夫のシングルインカムだから成立した長距離通勤も共働きならかなりの負担になります。
国立大学の学費もどんどん上がって、私立と大差なくなりつつありますし、少子化で定員を維持できなくなるとどんどん値上げするしかないのではないでしょうか?大した戦略もなく借金で大学進学してもろくな就職先はなく、借金で手足を縛られます。実際、「奨学金」という名の学資ローンは未納率が上がり続けています。
都心部に行きたくても、その物価に見合った仕事はない。IT系の仕事は外国人がガンガン入ってきたり、オフショア外注でどんどんアジアに流れていったり、優秀層が日本に流入してきます。一物一価になりますからね。単純労働は外国人との奪い合いで物価に対して安すぎる。
日本はアメリカみたいに移民がガンガン来ないのでまだマシですが、そろそろ産業構造が変わったことを意識して、田舎から引き払う準備をしたほうがいいのかもしれないな、と思いました。まだまだ、他の先進国と比べると東京を始めとした都市部の不動産は格安ですし、今なら出て来れます。
だから、手ごろな東京都心部の物件は買い時なのかもしれないな?と思っています。ワンルーム、築年数の経った建物自体はほとんど価値のない不動産を一棟買いできるなら、地方からの出稼ぎ、退路を断った移住者に保証会社を噛ましたうえで貸していて元が取れた時点で改築はありかもしれません。問題はテナント保護の強すぎる法律なので、そこをすり抜けるスキームを持っている必要があります。
情報系って習得するのにある程度基礎学力がいることと適性がものをいう世界なんですよね。
中には、情報系の学科に来ても生理的にプログラミングはやれない人もいます。
実務レベルの話なら数学ができればいいということではなさそうです。
情報産業しかないとなかなかついていくのが厳しい世界になりそうです。
アメリカでは情報系ばかりが高給になり、大統領が「ITエンジニアの報酬は高すぎる!」とか言うくらいになっています。従来、文系がメインだった金融でも情報系の職場に変わりつつあり、どの程度か別にしてプログラミングできない、と言うのは圧倒的不利な状況にありますね。
数学が圧倒的に得意な理論系研究者も自分の考えた理論でプログラミングを組むエンジニア不足に悩まされて立場が逆転しつつあります。研究者様がやれといったら、やればいいんだよ、というような需給ではないです。そうなると、研究者でも自分でプログラミングできる人でないと成果をあげづらくなります。
アメリカでは数学が得意でない子供が将来を悲観する、ということが増えてきているそうです。そして、数学が得意でもプログラミングは苦手、ということもあります。
シン
シンさん
上記のコメントにあるように、情報系の学科にある傾向ですが、理系というより適性がものをいう世界なので就活のときにITの技術系を避ける人が多い気がします。
技術営業だったり、商社を目指したり、数学教師を目指す人が出てきます。
全く関係ない信金や旅行会社や公務員とかもいました。やってる仕事は理系枠らしいですが。
女子学生ならはじめは事務職を希望してたんだけど就活がきついのでITに就職したという人もいました。
そうなってくると、中等教育で適性判断できるようにしておいたほうがいいのでしょうね。
シン
アメリカの田舎ってほとんどがガチの田舎で、日本でいうところの北海道の原野みたいなところですよね。
農業には最適ですが、それ以外の使い道はないと思います。
そのアメリカ人から見たら日本の田舎のほとんどはアメリカの街レベルであり、東京から福岡にかけての太平洋ベルト地帯は都会ということになると思います。
何せ、カリフォルニア州と同じくらいの国土に1億人以上が住んでいるわけですから。
そうなると、太平洋ベルトに投資を集中させて、そこに人を集めるべきなんでしょうね。高度経済成長時代の無理なインフラ整備で山奥までトンネル掘って繋げてしまったんですけど、今や維持費も出せないことになるだろうと思います。アメリカの田舎と違って農業にすら向かない集落のインフラ整備なんて無駄ですからね。
シン
日本って元々人がかなり集まっていますよ。
何せ、国土の7割が山なため人が住めませんし、3割しかない平地部分に1億2千万人のほとんどが住んでいるのが日本です。
可住地の割合でいうと日本は3割強、一方で欧米は7~8割にもなり、人口密度からいっても欧米の方が遥かに散らばって住んでいるのは明らかです。
元々数少ない平地に固まって住んでいたものが、今や東京一極集中で更に集中していますし、東京以外にも大阪や名古屋、福岡といった都市にも人が集まっているので、アメリカのような身のすくみは起きていないと考えるのが自然です。
欧米のショッピングモールやテーマパークなどに行っても混雑していることが余りありませんが、日本ではしょっちゅうです。渋谷のスクランブル交差点の人の多さを見ると欧米人はびっくりするらしいです。もちろん私の体感でしかありませんが、そういったことも日本の方が人が集まっていることを裏付けているのかと思います。
戦前の日本の様子を描いた本を読むと、田舎の人が都市部に引っ越すのは人生を賭けた大勝負だと言うことが読み取れます。今も中国、東南アジアでは同じです。それが日本列島改造論によって税金をジャバジャバ使って田舎を都市部に近づけたし、奨学金という名の学資ローンをほとんど無制限に貸しあたえたので、田舎の子供も気軽に都市部に遊びに行ったり、都市部の大学に進学するようになりました。
今、そういう時代ではなくなりつつあり、過去に作ったインフラの維持費も払えなくなってきて、田舎を支えると日本が持たなくなりつつあります。限界集落なんて税金で支えています。
今ならなんとかなるけど、そのうち国が支えきれなくなり、田舎が都市部と切り離されるようになると、アメリカみたいに身がすくむようになるかもしれないと思います。
シン
家を早く買わなきゃいけないような焦燥感に駆られる記事でした。
これから日本の平均給与は上がる気配がないですが、それでも不動産価格は上がるとみていますか?
ところで、個人的感想ですが、武蔵小杉は川崎市であり都心部でないのに大人気ですね。
都内に出るにも一旦渋谷に出なければいけないのに、東横線はどの駅も人気です。東急はブランド戦略に成功したなーと思います。女性に大人気ですw
日本の不動産は二極化するだろうと想像します。タダでも買い手が見つからない不動産、ジワジワと上がって行く不動産に別れて中途半端な物件は消滅するんじゃないか?、と思います。
武蔵小杉の人気は東急にブランド力があるのと、適度に下町っぽくて便利なので湾岸部のタワマンの無機質さや不便さが嫌な人に受けたんでしょう。都心、新築、ブランド力のある街は無産者には買えないっていうのもあるんだと思います。渋谷から歩ける距離で新築マンション買うなんてキツイですからね。
ブランドイメージだけで売りまくっている湾岸部のタワマンはよく見ると不便なので実態無視した上がり方をしていて危ないのかな?と思いますね。
高度経済成長時代は東京の西に家買っておけば、しばらくバスを使っていても時間の問題で駅ができて街が形成されたのでしょうが、今は新駅を郊外に作る、新路線を作るなんてありえませんからね。
どこでも良いから買っておけ!と言うことはなくキチンと選ぶ、自分の人生設計をしっかり考えないと資産価値にならない、単なる消費になりかねません。
シン
情報産業ってアメリカに向いた産業だなと思いますね。製造業みたいに先行投資や研究開発費用がないので利益率が高いと思います。
また、適性のある人しかできない仕事のため一部の人が利益を独占できます。
日本でも情報系の学科の大学が増えたのは機電系を混ぜなければ、コンピュータとネットワーク環境さえ揃えたら文系並の設備投資で学部を作れます。
自国人材教育も図抜けた人への全振りみたいなやり方しますし、他国からも図抜けた人が来るのでアメリカに合っているんでしょうね。
シン
アメリカの大都市では不動産が超高騰しているせいで、高収入の仕事にありついても生活の質では地方都市に圧倒的に劣っていることが多く、その反動傾向が最近になって見られるようになってきた気がします。統計データがあるわけではないので確たることは言えないのですが、完全な在宅勤務と必要に応じての出張を前提に居住地を全く問わず採用をしているIT企業が増えてきているようで、求められているスキルさえあれば、物価の安い米国の中規模都市に居ながらにして最先端のIT企業で働いているケースが身の回りでちらほら見られるようになっています。
これは以前にはなかった傾向で、最先端のIT企業の高収入を得ながら物価の安い地方都市で豊かな生活を送るといういいとこ取りの環境です。採用プロセスもこれまでの感覚からすると少々驚きで、例えばオハイオ州のコロンバス在住の取引先担当者の場合は、リンクドイン経由で突然西海岸のリクルーターから問い合わせがあり、テキサス州にベースがある最先端のIT企業へ応募するよう誘いがきたそうです。インタビューも全て電話とウェブキャムで済ませて採用になったそうです。実際のオフィスに行ったのは働き始めてから2年経過してからだそうで、普段は地元コロンバスで大都市では到底取得も維持も不可能な豪邸に住み、緑豊かな自然に囲まれて家族や古くからの友人とも離れずに暮らせているとのことで、大変羨ましく思いました。
このような一般的な傾向に逆らうような新しい動きが出てきたり、常に新陳代謝し変化し続けるダイナミズムを感じられるのはアメリカらしいな、と思います。
今後、リモートワーク可能な仕事が増えてくると思うので、そこの中で自分に合ってそうなこと、好きなことを探して市場価値を上げていくと人生満足度が上がりそうです。アメリカのオハイオ州コロンバスみたいな場所ってちょうどいいですね。日本だと静岡市って感じでしょうか?自然に溢れていてほどほどに必要なモノは揃い、従来の主産業は製造業って言うところは似ています。そこそこ近いミシガン州デトロイトみたいに豊田市にならないことを祈るのみです。
シン
アメリカは最近、ITに限らず、他の分野でもぐっとリモートワークが増えました。
自身もリモートワークで田舎に住む計画中です。
ただ、一つ問題なのは病院や医者の充実度です。
先日、息子が盲腸で緊急手術+入院しました。
その際に思ったのが大病した時、不慮の事故に遭遇した時、田舎だとすぐ近くに総合病院がないという不便さがあります。あったとしても車で1時間くらいの距離等。
すぐに適切な治療が受けられるのは都会ならでは。
しかし、それでも自然豊かな田舎暮らしも憧れます。
もう一つ問題は、田舎だと日本食の充実度が桁違いに下がるということです。
アメリカは都会では、グルメな人が多いので、美味しいいろいろな国の料理がありますが、田舎だとそうはいきません。
この2つが今のところの自分の懸念点です。
本物の田舎だとそう言うリスクがあるので、地方都市レベルがちょうど良さそうですね。
シン