じゃあ、ロシア

久しぶりの国シリーズをリクエストいただき、ロシアについて書きたいと思います。私自身は行ったことはあっても、さほどの興味はなく、あまり調査をしたことがなく、新鮮でした。

田舎

ロシアって、欧州の中では田舎扱いされており、ピョートル1世による躍進までは欧州史でほとんど登場しない僻地でした。寒いので、攻められ難いけど、攻め辛いので、硬直した状態にあったといえます。後年、ナポレオン、ヒトラーが冬将軍にやられたように寒くなれば、陸の孤島になります。

そのピョートル1世の躍進でバルト海を制圧し、欧州中央への進出ルートが確保できたことから、経済、文化が発展して行き、我々が知るロシア文学、音楽が登場するようになります。特にキリル文字が登場し、国民の識字率が上がり、ようやく発展の糸口が見えるようになります。ロシア語は言語的にスラブ語派になり、周辺国の東欧と同じ部類です。

民族的には良くも悪くも田舎っぽい人たちで、大酒飲んで、ギャーギャー本音を言いながら、泥酔するまで飲みます。西欧人はお酒はたしなむ程度で、気障っぽく飲みますし、本音をあまり言いたがらない傾向があり、我々、日本人が想像する「白人」とは大きく違います。がさつで「ガハハ」と笑うような田舎の人です。

過去の歴史、領土問題もあるので、ロシア人が親日ということはないと思いますが、そこまで相性の悪い相手ではなく、何を考えているかわからない人たちではないので、うまく対処すれば、仲良くできるんじゃないか、と思います。

我々は大作家のドストエフスキー、大作曲家のチャイコフスキーなんかがいる偉大な文化大国を想像しますが、歴史の中の一時期、素晴らしい芸術が花開いたというだけで、欧州全体からすると、それほど中心的な立場を担って、文化輸出をしたわけではありません。

共産化

ツァーリズムが国を支配し、農奴に対する搾取体制が続くと、ロシアの政治体制はどんどん揺らぎ、共産化が進んできます。マルクス、エンゲルスの国、ドイツでは共産化は一定範囲で留まりますが、ロシアではレーニンの登場によって大きく進み、ロシア帝国の基盤は不安定になりました。

我々、日本人にとっては「日露戦争」がお馴染みです。内戦であるロシア革命で、ロシア帝国は日本を相手にしているどころの騒ぎではなくなり、戦争の続行不可能となったことで終結したため、日本にとっては笛にすくわれたような形で一応勝ったことになります。国際的には勝ったみなされているかは微妙なところで、中立であるはずの英語ですら、「Russo-Japanese-war」と言われるので、主体はロシアです。

単にラッキー、神風が吹いたわけではなく、明石元二郎大将がレーニンに工作費を渡して、内乱に燃料を撒いてもいますが、元はと言うと、ロシアの国内事情で終戦しただけなのに、日本はここで調子に乗りすぎてしまいます。政府が国民に事情を説明していなかったのも大きいです。

ともかく、帝国を倒したレーニンによって赤化したロシアは周辺諸国を飲み込んで、ソビエト連邦として強大な国へ成長します。社会主義国の特徴として、強権的に物事が進められるので、どんどん膨張していき、色んな紛争に介入し、ソ連は冷戦、東側の盟主としてアメリカと対立するようになります。

社会主義

軍事力、研究開発力は社会主義でもいいのでしょうし、実際、ソ連の国力はアメリカに対抗できていたのですが、経済発展の観点からすると、社会主義って機能しません。やっても、やらなくても同じ程度の報酬しか得られないなら、やらなくなるのが人間だし、競争しないと、新しいものが生まれないからです。

徐々に変わりつつありますが、旧社会主義国のサービス精神は皆無であり、雑誌を読みながら接客、お釣りを投げるなど、顧客をなめきった態度をしても、その組織内でコネを持っていれば、許されてしまうので、自浄作用が一切働かず、停滞するのです。社会主義国はどこもひどいコネ社会で、実力主義とは程遠いです。

私がロシアにあまり良いイメージを持っていないのは10年位前にロシアビザを取りに行った大使館で強烈な嫌がらせを受けました。全部話すと長くなるので、少しだけを話すと、ビザ係りのおばちゃんは雑誌を読みながら、レジの数字を指して、支払額を示すと、無言で私のパスポートを受け取って、受取証にスタンプを押して、私に投げつけましたw だから、ソ連時代はどれくらいひどかったのだろうか?、と思います。

そんなことやっていれば、お金は回らず、経済は死んでしまうので、応急処置で適当にごまかしていたものが堰を切ったように一気に流れ出して、崩壊してしまうわけです。ベルリンの壁も同じですが、どんなことも無理続けていると、些細なキッカケで崩壊します。

崩壊

ゴルバチョフ書記長からエリツィン大統領に移管されたロシアは連合を解体して、周辺諸国に独立を許可します。全部許可したわけではないので、ロシアでは未だに民族紛争があり、ごだごだしていますが、これは大国の宿命であり、中国も同じようなものです。

社会主義体制が崩壊すると、一気に資本主義がなだれ込んできて、経済はもっと混乱し、昔のほうが良かった、というような時期が必ずありますが、ロシアもしばらくは停滞をして、メチャクチャになりました。目端の利く一部のやり手が混乱に乗じて一気に台頭して、富を独占してしまうので、全体は貧しくなります。(日本の戦後でも同じことがありました。)

未だにロシアを含む、旧ソ連各国は政治的、経済的に安定しているとは言いづらく、小国であったため、早い対応が可能だったバルト三国を除けば、どこも不安定な状況が続いており、チェルノブイリ事故が起こったウクライナは大統領が暗殺されるなど、大混乱が続いています。

話が逸れますが、私は日本の心配をしているのは社会主義的国家運営が通用しなくなり、長年の持病のようになったデフレがどこか一点で雪崩のように崩壊して、収拾がつかなくなることで、ソ連で起こったことが日本でも起こらないだろうか?、という王道的現象です。

適当に少しずつ変わっていけば、それほどダメージはないのですが、一気に変わってしまうと、極端な思想を持った集団が政権奪取し、政治経済がどうにもならないくらい大混乱する、というのは歴史で何度も行われています。そして、そこまで行くと、なかなか復活は出来ません。

新皇帝

ロシアの民主化は進んでいるとは言いづらく、大国をまとめる独裁者を必要としているため、エリツィン大統領から権力移譲を受けたのがプーチン大統領で、スパイであるKGB出身のタフガイである彼は混沌とした国のリーダーとして清濁を飲み込むことに成功し、経済の復興を進めます。

プーチン氏は大統領になる前から、資源によってロシアを復活させることを考えており、オルガヒ(新興財閥)の脱税を取り締まり、自分の傘下に入れてしまうことで膨大な権力、資金力を手にします。完全に新皇帝と言って良い聖域になり、そんなのありかよ?、といいたくなる超法規的措置で独裁を続けています。

プーチン大統領が今の状態で権力を手放しても、もっと混乱するだけなので、何かしらの手段で徐々に権限委譲を進めて、民主化に持っていくことが求められているのでしょうが、これは中国を民主化させるくらい難しい話です。欧州連合にしろ、アメリカ合衆国にしろ、ある種の分割統治をするしかないのかもしれません。

日本との関係を少し書くと、プーチン皇帝が君臨している間に北方領土問題を解決してしまうのが良いだろうと思います。彼はどちらかというと親日なので、とりあえず二島返還で、北方領土の日露共同開発、体制でロシア国内を納得させられるなら、そんなに悪い取引だとは思わないのですが、あまり進んでませんね。

まとめ

近くて遠い国であるロシアについて書いてみました。欧州の田舎で人類が夢見た「共産主義」という理想を追いかけて、やってみた結果、メチャクチャになってしまった国です。広大な領土に眠る資源を切り売りすることで、経済復興してきていますが、まだまだ、過去の傷を癒すまでには至らず、民主化することすら、ずっと先の話だろうと思います。

一時的に芸術の国になりましたが、今は文化どころではなく、一般庶民は食うに困った生活をしており、未だにロシア美女を輸出しているような状態ですから、文化先進国復活も時間がかかるだろうと思います。ある程度、全体が潤わないと、文化は発展しないものです。

私は寒い国がそんなに好きではないので、ロシアに入れ込むことはないと思いますから、ビザフリーで行けるようになっても、ロシアに行くことはないだろうと思います。せいぜい、北方領土が帰ってきたら、いきたいなと思うくらいです。それでも魅力的な国であり、ロシア好きな人は多いですし、目が離せない国であることは間違いないと思います。

追伸

依頼者さんから「チェルノブイリにおけるソ連の対応」について見解を書いて欲しいと依頼がありましたが、単に面倒だから、強制移住させただけで、ソ連お得意の強権的決定であり、国民のことを考えていたわけでも、安全を優先させたわけでもないだろうと思います。少数民族への強制移住は何度となく行われていて、政治的事情で感情を無視した結果でしょう。

依頼者さんは日本政府が福島へ人を返したいと思っているそうですが、私はそうは思っておらず、放棄できるなら、放棄してしまいたいが、そういうわけにも行かないので多額の税金をつぎ込んで、復興支援しているのだと思います。チェルノブイリでも勝手に帰ってしまった人たちがいるように、何が何でも故郷にこだわる人が一定数いるので、放棄できません。除染はしませんけど、自己責任で帰ってください、とかソ連なら言います。

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

“じゃあ、ロシア” への 2 件のフィードバック

  1. 19世紀末にトルストイ、ドストエフスキー、チェーホフなど世界的文豪が生まれていますが、彼らは貴族なので、経済力と芸術発展の相関性には納得です。恵まれない、貧しい中から生まれた芸術の方が、個人的には好きですが。

    現代、ロシア庶民の生活が苦しいとは知りませんでした。武力をちらつかせて、少ない資金でうまくやっているのかと思っていましたが、そうでもないのですね。

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    1. ほとんどの芸術家が貴族出身で、貧困から生まれた芸術なんてほとんどないので、ロシアの国力が上がったところで、芸術が花開いた、ということだと思います。

      ソ連崩壊の時はロシア美女輸出は凄かったらしいです。今でもあるので、ロシアが復活したわけではないでしょう。混乱状態を脱した、というくらいではないでしょうか?

      シン

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