ヤフージャパンをダラダラと見ていたら、あのビルゲイツが若者に向けて、アドバイスをしたそうなので、ぬるり読者の若い人たちに向けて、ぬるり流の解釈を加えながら、記事にしたいと思います。
I would explain that smartness is not single dimensional and not quite as important as I thought it was back then. I would say you might explore the developing world before you get into your forties. I wasn’t very good socially back then, but I am not sure there is advice that would fix that — maybe I had to be awkward and just grow up…
ぬるり訳
多少の意訳はしますので、異議のある人はコメントください。
今振り返ると、僕が思っていたほど、賢いってことは重要でもなければ、一元的なものでもないって言いたい。40代に入る前にもっと発展途上国を見て回ったら良いんじゃないか、と思う。僕はそんなに社交的でもなかったけどね。でも、若いころの自分自身にそう言ったとしても、戸惑って、変わることなく、そのまま成長したんじゃないかな?
このブログにもくる序列主義者、特に偏差値病、学歴中毒の人って、言い換えると若いってことであり、ハーバード大の学生である自分は人より賢いだとか、エリートだとかって、ゲイツ氏ほどの卓越した人でも、若い頃に思っていたことをさらっと告白しているのではないかと思います。若気の至り、というか、誰でも通るステージなのでしょうし、私、温利にも覚えがあります。
そこをさっさと乗り越えて、「賢さ」というものはいろんな種類があり、学力が高いということが「賢い」ということではないし、それぞれが自分の得意な分野で「賢さ」を追求すべきだ、ということではないでしょうか?それが私の言う「ニッチを狙え!」ということで、局地でいいので、勝てるステージを見つけて、そこで生き残る努力をするのが本当の努力だと思います。
翻訳:梅本了平氏
「“賢さ”の定義は1つだけではないし、当時の自分が思うほど重要ではないと言うだろう。40代になる前に発展途上国をもっと旅して回るべきだと言うかもしれない。当時のわたしはそこまで社交的ではなかったし、それを克服できるようなアドバイスも思い当たらないな。もしかしたら、変わり者としてそのまま育っていけばよかったのかもしれない…… 」
正直に言うと、梅本さん訳はかなり変だと思いました。
違い
当たり前ですけど、ゲイツ氏はアメリカ人なので、英語で答えていて、その発言を日本語訳にすると、翻訳者の捉え方で解釈が変わってきます。梅本さんという人を知らないのですが、私との解釈の違いは「Awkward」という単語の訳し方です。「変わり者」と訳した梅本さんにたいして、私は「戸惑い」と訳しています。
私は「Awkward」を「変わり者」と訳すのはかなり強引で、通常、そんな意味ありません。そうではなく、年長者に老婆心で何かを言われたときに若者が感じるのは「戸惑い」であり、誰かに何かを言われたから、といって、そんなに簡単に変わらない、とゲイツ氏は言いたいのだと思います。
ゲイツ氏の意図にどちらが近いのかを争うつもりはなく、どうでもいいのですが、ここで言いたいのは原語で読めないと、翻訳を鵜呑みにすることになり、自分なりの解釈も出来ません。世界で一番通用度の高い英語ですら、満足に扱えないと、常に二次情報に接する必要があり、精度が高い情報に触れづらくなりますので、英語はどんな仕事する人も多かれ少なかれ取り組むべきだと助言します。
まとめ
成功者って、上から目線で説教くさいことをいうものですけど、ゲイツ氏が率直に語るので、真の成功者はすごいな、と思って記事にしました。誰にでも若気の至りはあり、老婆心で年長者からアドバイスをもらっても、それを生かすことも難しい。だから、いろんなことを経験して、いろんな人にあって、自分の中で消化して、成長していくしかないんだよ、と言っているのでしょう。
私もまったく同じことを思っていて、この記事を読んでも、若い人に響かないことのほうが多いでしょうが、何かしらの疑問を持っていて、答えをほしがっている状態になっている若い人がたまたまこの記事を読んだら、響くかもしれませんから、書きました。最終的には自分が変わろう、としていない人に何を言っても無駄だと思います。素直じゃない人、意固地な人は損をするし、成長しない、ということです。
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“変わり者として育っていったんじゃないかなぁ”と、理解していました。なので、”育っていけば良かったのかもしれない”という訳に違和感を感じましたね。それでは、ゲイツ氏が後悔していて、意味合いが変わってしまうと感じました。
良い指摘をありがとうございます。
Awkward を飛ばして「変わり者」を入れ、社交的ではなかった、という下りの対比にした意訳なら、まぁ、セーフですが、確かに「良かったのかもしれない」とすると、ゲイツ氏が後悔しているかのようになるので、それは意図から、完全に外れてますね。実際、ゲイツ氏は好きなこと、ギークを通して、成功して今に至るので、後悔する要素がありません。
シン
「19歳の頃の自分に向けて」ということなので、後半部分は
” あの頃の僕はちょいコミ障だったからね。でもそれをなんとかできるようなアドヴァイスがあるかどうかはわからないな...おそらく(なんらかのアドヴァイスをしたとしてもあの頃の僕はそれを)ウザがっただろうし、結局は自分が成長するしかなかったんじゃないかな。”
と解釈しました。
子育ては難しいですね。つい色々と先回りしたくなるのですが、『失敗なくして成長なし』『「失敗すること・失敗できること」は成長過程の子供の権利、親がそれを奪ってはいけない』と思いぐっとこらえています。結局のところ、親(大人)ができることはそれらの失敗が大傷・致命傷にならないようにだけ気をつけて子の成長を見守るだけなのでしょうか。
Just grow up を自分が成長する、と自主性を強調したわけですね。良い訳だと思います。
子育ては難しいですね。おっしゃるように致命傷にならない失敗はさせるべきだし、失敗が見えてきても、何も言わず、見守ることが大事ですが、ハラハラするのが親心です。親自身も成長しないとダメなんでしょう。
シン
お久しぶりです更紗です(覚えておいでではないかもしれませんが、数年前にメールでアドバイスを頂いた者です)。
元記事も読みましたが、シンさんの解釈が正しいと思いました。
ゲイツほどの賢者すらこう言っているので『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。』というのは幻想に過ぎないのかなあと思いました(程度の差はあると思いますけれども)。
結局、若い人は自ら失敗して学んで行くしかないのかもしれないですね。
お久しぶりです、覚えてますよ。懐かしい人達が戻ってきて嬉しいです。
ゲイツ氏が歴史から学ぶことができないなら、ほぼ全ての人類ができないのでしょう。だから、若者は悩みながら、失敗して学ぶしかないのでしょう。awkward ages で、思春期と訳すので、青春の苦しみは皆に必要だとゲイツ氏は考えているのではないでしょうか?
シン
確かに ぬるり的訳のほうがしっくりきますね。
梅本氏の訳には違和感を感じます。
映画や訳本などもそうですが、どうしてもこてこての日本訳だと凄い違和感を感じたり、そもそもの意味合いから外れてきたりするので、可能な限り無理に日本語訳しないで、そのまんまで捉えたほうがよりインプットされるものはあると思います。
ちなみにAwkward は「戸惑っていた」も間違いではないですが、私的には「不器用だった」と解釈するのが、この場合は一番シックリくるように思いました。
ちなみにビル・ゲイツ氏が出たので、スティーブジョブズ氏の生前のスタンフォード大学卒業式での若者に向けた演説も以下にリンクを記しておきます。YOUTUBE 日本語字幕付きです。
https://www.youtube.com/watch?v=XQB3H6I8t_4
この日本語字幕はまあまあOKだと思いましたが、あとは自己判断で。
私は彼のこの演説は好きで、息子にも見せました。
彼が言いたかったのは結局最後の 「愚かであれ、そして同じ場所にとどまるな」ってことです。
伝え方は違いますが、結局はゲイツ氏と同じ意味合いのメッセージを発しているように思います。
確かに「不器用」の方がしっくりくるかもしれません。要領の良いタイプでないから、アドバイスもらっても、うまく活かせることもなかったろうなぁ、という感じですね。
本文にも書きましたが、やはり、原文で聴く、読む、のが一番なので、何をするにも英語はコツコツやるべきだと思います。
実はそのジョブズ氏のスピーチは第1版で紹介していて、もう5-6年前になるのでしょうか?、まだ、ジョブズ氏が健在のころです。私も好きで、スピーチの練習に毎日聞いていました。名スピーチですが、あまりにも有名になり、意識高い系の人達が好むようになり、聴くのをやめましたw 自分の都合のいいように意訳して、良い年したおっさん、おばさんが何も考えずに、手当たり次第に手をつけては投げ出すのを肯定するような意味合いにするのには困惑しました。
人は自分が欲しい情報を恣意的に選んで、解釈するものなんだな、とここでも思いました。
シン
どのような文脈での言葉なのだろうと疑問に思ったので、原典を探してみました。するとredditという掲示板の、
If you could give 19 year old Bill Gates some advice, what would it be?
という質問に対する回答であることが分かったので、それを踏まえて訳してみました。(https://www.reddit.com/r/IAmA/comments/5whpqs/im_bill_gates_cochair_of_the_bill_melinda_gates/dea5v3x/?sh=8d357e39&st=IZON74HN)
「賢さは一元的なものではなく、私がその当時思っていたほど重要でもないということを(19歳の私自身に)説明したい。(当時の自分に)君自身40代になる前に発展途上国を見て回っても良いんじゃないかと言いたい。私は当時それほど社交的ではなかったけれど、それを解決するような助言があるかどうか分からない ― たぶん私は(社交性という点で)未熟であらざるを得なくともただそのまま成長していく他なかっただろうと思う。」
成長していく他なかったというのは、成長そのものを否定しているわけではなく、当時の自身の社交性が未熟であったのは仕様がないが、そんな自分の未熟さを包含しつつも結局は19歳当時のBill Gatesはそのままの自分で淡々と成長を続けただろうな、という意味合いであると思います。文法的にはhad toがbe awkwardとgrow upに掛かっていると解釈しています。梅本氏もそう解釈しているのでしょうが、それにしても「育っていけばよかった「のかもしれない」」というのは誤訳だという印象です。
上記訳文について追記です。
「賢さは一元的なものではなく、私がその当時思っていたほど重要でもないということを(19歳の私自身に)説明したい。」
「(当時の自分に)君自身40代になる前に発展途上国を見て回っても良いんじゃないかと言いたい。」
これらももうちょっと厳密に書けば、「説明したい」ではなく「説明しただろう」、「言いたい」ではなく「言っただろう」になりますね。元の質問でもwhat would it be?と聞かれていますし。なのでこれらを踏まえて書き直すと次のようになります。
「賢さは一元的なものではなく、私がその当時思っていたほど重要でもないということを(19歳の私自身に)説明しただろう。(当時の自分に)君自身40代になる前に発展途上国を見て回っても良いんじゃないかと言っただろう。私は当時それほど社交的ではなかったけれど、それを解決するような助言があるかどうか分からない ― たぶん私は(社交性という点で)未熟であらざるを得なくともただそのまま成長していく他なかっただろうと思う。」
人柄が出るような丁寧な訳で、翻訳とは人間性が垣間見得ますね。同じことを日本語で、日本人が聞いても、人柄によって感じ方が違うのだな、と思いました。
そのことは第2版からよく学んでいるのですが、人は自分の内面からの欲求にしか反応しないのだ、ということですね。
シン
シンさん
ジョブス氏の誤った解釈をして、迷走した上司には本当に困らされました。関連部署とのバランスや市場不具合などお構いなしで、ジョブス気取りで自分のやりたいことをやり散らかして滅茶苦茶にして、その後始末は部下に押し付けるというなんとも自分勝手な人でした。ジョブス氏も自分本位の人だったようですが、それ相応の実績なりカリスマ性があったから許されるのであって、日本国内の一企業のサラリーマンはやっぱり第三者の進言に謙虚に耳を貸し、愚直に誠実にモノ作りするしかないんじゃないでしょうかね。ジョブス氏の伝記やスピーチは劇薬で、本当に徳のある人以外は触れてはいけない気がします。(本人の為にも、会社の為にも)
若手エンジニアの皆さんへ
ジョブスにかぶれている上司がいたら要注意ですよ。(i phone,i macとかガシェット系をappleで統一している人とか)本当に人の忠言に耳を貸さないので、破滅するまで突っ走ることがありますからね。そういう人は言うこと聞くフリしてうまく逃げるんですよ。破滅した時の責任を押し付けられたら、たまったものじゃありません。
災難でしたね。
ジョブズ氏の誤解釈をする人って、関わると危険な人が多いです。結果のないジョブズ氏なんて、単なるサイコパスで、上司に持ったら、部下の精神状態はボロボロになるでしょう。結果がついて来るから耐えられるだけだと思います。
シン
私の今現在の直属の上司が ガジェット系すべてapple で統一しています。
確かにちょっとサイコかな?と思う節はありますね。
ジョブス氏の誤解釈で一番危険なのは、地道な努力をすっ飛ばして、表面的な派手さや名声を安直に手に入れるんだという欲望を喚起してしまうことだと思います。そうなると自分中心にならざるを得ないです。そうした気質は交渉にタフなアングロサクソンや中華系の気質にはマッチするかと思いますが、調和を重んじる日本人にはマッチしにくいと思います。前のコメントの通り、本人に結果の伴うとびぬけた実力が備わっている前提があれば話は別ですが・・・。あくまでも隣の芝生は青いくらいのスタンスで見るのが丁度良いと思います。
私自身はジョブス氏を全く尊敬していないわけではなく、日本中小企業を見て周り、日本の大手弱電が見向きもしなかったキラリと光る技術を取り入れる洞察力などは素晴らしいと感じています。エゴイスティックさと優秀な人や技術を発掘する審美眼を持つ一つのリーダー像としては一考に値すると思います。
そうですね。
ジョブズ氏は天才なので、基礎を飛ばして、いきなり応用から始めて成功してしまったので、凡人には参考にならないのです。
コンセプトがあり、それを達成するために他人から金、人、技術をかき集めて来て、やり遂げてしまいました。そのコンセプト、審美眼は素晴らしく、最も優れた発見は相棒のウォズ氏を見出したことで、彼を見つけられなければ、ジョブズ氏はよくいるホラ吹きで終わったでしょう。
凡人のジョブズ氏かぶれは地道な努力を嫌って、怒鳴り散らして、他人にさせようとするだけで、単なる迷惑な人になりがちです。まずはウォズ氏を見つけることから始めては?w、と言いたくなります。
シン