株、不動産を記事にしましたので、債券もやりたいと思います。
機関
ほとんどの個人投資家は債券投資をしませんし、私もあまりお勧めしません。理由はかなり複雑なので、リスク、リターンを完全に理解するのが、売り出し機関が有利になるようにあえて複雑にしている感さえあります。売っている営業すらどこまで理解しているか謎です。本当に理解しているのは金融商品開発している専門家だけなんじゃないでしょうか?
その為、機関同士が債券によってリスクヘッジをしていて、本当に美味しい商品が個人投資家に回って来ないし、来るにしても、二桁億の資産を持つ大口顧客向けのプライベートバンキングがほとんど消化してしまうのでしょう。証券会社にも自己売買部門があるので、安全に儲けられるなら、そのまま自己保有していりゃいいのに、なんで、他人に売るの?、て話です。
不動産なんかと同じで、美味しい物件は自社物件にして、販売せず、リスクの高い、利回りがイマイチな物件をあの手この手で、販売してしまうのは商売として当然だと思います。マンションデベロッパーのテレアポ営業なんかはそんなに儲かるなら、自分でやって、独立してしまえば良いのに、そんなキツイ仕事をやっている意味ないだろう?、という疑問と同じです。
システム
すごく簡単に言えば、発行元である国、自治体、会社が破綻しない限りは金利がつくので、お金を寝かせているより、できるだけ安全に回したいので、債券を買う、ということで、日本の銀行は運用に困って、日本国債を買いまくるので、ほとんど金利がない状態になっていますし、外資勢が一時避難場所として、円建て債券が買われるので、日本円高になるのでしょう。
それが仕組債になると、金利を出す条件が複雑になってきて、インデックス連動、株価連動で、決められた価格を割り込んだり、突き抜けると、償還されるので、こうなると、条件によってはインデックス投資、個別株投資をした方がわかりやすいとすら感じます。あえて、複雑な条件を満たして、将来予測をするより、単にその国、その会社が将来どうなるか?、の予想をしている方がシンプルです。
自己消化
日銀のヘリコプターマネーが話題になってますが、これは市場にお金をばらまくためにひたすら自己消化しているようなもので、日本円の発行元の日銀が日本国債を買うなんて、普通に考えれば、意味のわからないことをしているように見えます。
更にETFという形でインデックス投資を始めて、日本を代表する大企業の実質筆頭株主が日銀になっているのは私の頭では理解できないハチャメチャなバラマキだと思いますし、更に社債まで買うと言ってますので、何が何だかわからない状況です。
私の足りない脳みそで考えると、行き着く先はゼロクーポン永久債の発行まで突っ走り、振り子が凄まじい勢いで、逆に振り戻され、ハイパーインフレ、ハイパー円安になるんじゃないのか?、と思います。それ以外にこれほどまで増えた借金を返せる目処もありません。
と言っても、日本が持つドル建の対外債権はどうなるの?、疑問もありますが、アメリカというジャイアンに踏み倒されるんじゃないの?、という気もします。日本の借金なんて、アメリカ国債を売れば、それでおしまいなのに、それは絶対しないんだから、ヤクザに貸したお金みたいなもので、数字上残っているだけで、意味ないのだろうと思います。
まとめ
私自身は債券を買ったことがないので、理解が間違っていたら、教えて下さい。むしろ、詳しい読者さんがいたから、噛み砕いて、説明して欲しいくらいです。安全な債券はインフレ程度の利回りでしかなく、ある程度の利回りを狙うと、様々か条件がついてきます。個人投資家には何が旨味なの?、ということです。
なんか、金融の世界って、金融商品開発で飯を食っているクオンツにしか理解できないような複雑な計算式で組成された商品をリア充営業があの手この手で情弱に売りさばいているようにしか感じられない今日この頃で、もっとシンプルに投資を捉えないと、狐につままれたように資金を巻き上げられるような気がします。
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不動産は物件毎に色々と特徴があり、リスクとリターンの関係のひずみがおきるかもしれませんが、債券や株式は市場に流通しているような商品であればほぼ規格化され、リスクとリターンの関係は価格で調整されています。幹事証券会社が全額保有したくなるような、確実な「低リスク・ハイリターン」みたいなおいしい債券が発行されることは今の市場の原理からするとなかなかあり得ないと思えます。例外としては私募債など流動性の低いものを投資家に販売した後、投資家側の事情で(市場では売れないため)数年後に証券会社が買い戻しに応じるといったことがありますが、このときはそれなりにディスカウントして買い取ることもあるのでそれは「おいしい」といえるかもしれません。しかしその分流動性のリスクもありますし、受け身なのでやそのとき欲していない信用リスクや市場リスクもとることを余儀なくされます。
なので、証券会社が儲かるような債券を自分でもち、儲からないものを他を売っているということはあまりないでしょう。
ちなみに、最近は規制が厳しくなり、証券会社や投資銀行は儲ける目的で投資をすることは基本できなくなっています。
たてつてとしては、マーケットメーカーや仲介業務として必要な在庫・ポジションを持つことができるだけです。なのでヘッジファンドと違い、第3者に仲介することが主目的で、おいしい商品じゃないから自分でもたず、ほかの人に売っているわけではないです。なので余計そういったことはできなくなってます
投資の際に債券は大きく4つの種類に分けて考えるといいと思います。
1.円建て国債
2.円建て社債
3.外貨建て国債・社債
4.仕組債
円建て国債(つまり日本国債)はほぼ現金や銀行の預金と考えて問題ありません。リスクはかなり少ないですが、インフレ分をカバーする程度の効果しなかないです。
円建て社債は株式のリスクほど大きく取りたくないが、そこそこのリスクを取りたい人向けです。倒産しない限り元本がほぼ保証されるので株よりリスクは少ないです。
外貨建て国債・社債はFX投資とほぼ同義です。正確には信用リスクも負っているので、新興国の国債ややばい会社の社債はFX投資よりさらに高いリスクがあります。その分利率も高いですが、新興国などのものは手数料も高めです(下の仕組債よりはややまし)。通貨スワップがかなりドル有利、円不利になっているので、ドル建て日本国債(ドルを通貨スワップで日本円に変えて日本国債に投資する債券)といった債券などは利率が米国債よりいいです。日本人からみたら信用リスクの相手先が日本国なので、信用リスクも(気分的に)すくないです。機関投資家向けの商品なので、リテールでやってるかは知りませんが・・・。ここでいう機関投資家向けというのはおいしい商品だから機関投資家向けでリテールに来ていないわけではなく、ただ単にニーズの問題だけだと思います。ドルさえあれば、理屈上、日本国債+通貨スワップで簡単にコピーできる債券です。
仕組債は利率などは一見、非常に魅力的に見えますし、広告でも非常に魅力的なアピールを書いてありますが、円建てだろうが外貨建てだろうが絶対やってはいけません。仕組みを複雑にすればするほどシステム投資やクオンツ等人材投資、リスクヘッジのコストが非常に高まるので、その分のバカにならないマージンが商品に上乗せされています。だからといって儲かる期待値が高まるかというとそれもありません。期待値は通常の商品の組み合わせの期待値とほぼ同じです(手数料は考慮外とする)。手数料がかなり高いため、トータルの期待値は低いです。
DDDさん、
上手くまとめてくださってありがとうございます。勉強になりました。
リーマンショック以降、投資銀行も激しいギャンブル的な投資は規制された、と言いますが、ドイツ銀行の巨額含み損はなんなんでしょうか? 結局はお金がよくなければ、楽しい仕事ではないので、あれこれ言いながら、ギャンブルに手を出し、儲かれば懐、損すれば国から破綻を狙うのが銀行員なんだと思います。
シン
「ドイツ銀行の巨額含み損」というのはアメリカ司法省による巨額の制裁金のことでしょうか?
DDDさん、
アメリカ向け以外にも中国、PIIGS向けの不良債権を抱えているとのことですが、これはリスク無視してギャンブル取引の結果ではないのでしょうか? どの程度危険だと思っていますか? 見解をお聞かせ頂けると大変参考になります。
シン
DDDさん、
きちんと調べずに発言してしました。
ドイツ銀行の含み損、はアメリカ、PIIGS、中国向けのデリバティブを意図していたんですが、これはリーマンショック前からある大量破壊兵器みたいなもので、きちんと処理せず、うやむやになって放置していたものですね。リーマンショック以降、ギャンブル投資は許されていない、と言うか、できる状態にない、と言うことですね。
ドイツ銀行についての見解をお聞かせ頂けると参考になります。
シン
ドイツ銀行はもし破たんに近くなればなんだかんだ言ってメルケルが助けるってのがメインシナリオでしょうね。
メルケル(および政府・与党)は難民やブリクジットなど色々と問題を抱えていて支持率が落ちてきてるので現段階で助けないと三味線弾いてますが、いざとなったらToo big too failになると思います(国民の反発次第でもありますが・・・)。
制裁の理由はtoxic bondの販売、つまり、リーマンショック以前に組み入れ基準を満たさない住宅ローンを組み込んでMBSとして販売したせいらしいですね。これは不正なので、この件だけ言えば、銀行のギャンブル的なトレーディングによる失敗とか、債券の商品自体の問題というより、自動車業界による燃費不正のように、業界の体質の問題な気がします。投資というギャンブルで負けたというよりギャンブルでいかさましたのが胴元にばれて身ぐるみはがされたといった感じでしょうか。
なお通常の債券と仕組債、および住宅ローン証券は見た目はどれも「債券」に見えますが、中身は全然違います。あくまで私の一見解ですが、仕組債と呼ばれている債券はFXオプションや株式オプションのリスクと同じような商品が相当数あり、通常の「債券」のリスクではないです。またそれを買いたい投資家のために安全な発行体を使って発行するのが常で、発行体自体が資金調達の手段として使っているわけではないですしFXや株式のリスクをとるので信用リスクのない安全な発行体を使うことが多いです。通常の債券投資は発行体が資金調達の手段として債券を発行しており、発行体の信用リスク(場合によっては為替リスクも)をとるというシンプルなリスクで、破たんしない限り発行通貨で元本保証なので株式やレバレッジのFX取引よりも低リスクになるものがほとんどです。厳密な定義はないですが一般的に「債券投資」といえばこの通常の場合をさすのかなと思います(立場、会社が違えば違うかもしれません)。住宅ローン証券も一般的に「債券」といった場合には該当しないと思います。
なので通常の債券投資であれば複雑でもなく、それほどアコギな商品ではないです。
仕組債についてはシンさんのおっしゃる通り複雑な仕組み(情報の非対称性)を利用して高収益(高い手数料を組み込める)を上げることが可能で、今でも存在しています。シンさんのブログは主にこっちの方を言っていると読み直してあらためて気づきました。
ただ不動産のように「おいしいから自社で保有してお客に売らない」といった債券はほぼないです。むしろ「お客に全部売り切れなかったから仕方なくリスクを取って自社で保有」でしょう。
リーマン前でもトレーダーの見解で、もし上がりそうだと思えばその債券を(株投資のように)トレーディング目的で持つだけです。その債券を銀行が保有してても、不動産と違い同じものがいくつも存在するためお客(投資家)が買いたければ同じ商品を買うことができます。そのため「安全で確実に儲けられる」こともありませんし、通常の投資家同様、場合によっては多大な損失を出します。
DDDさん、
あなたのようなインテリがこのブログに来てくれることを嬉しく思います。
ドイツ銀行の今後については私も同じように思います。結局、デカすぎて潰さない、となるでしょうね。リーマンショックは韓国のKDBが救う、と言いながら、土壇場で手のひら返したからで、倒産してしまったからで、ドイツ銀行はそんなことはないでしょう。アメリカの制裁はイカサマして、胴元に身ぐるみ剥がされた、というVWと同じだという説明はすごくわかりやすいてます。PIIGS、中国にはどういう形で噛んでいるのでしょうか?
私の仕組み債への不信感は人のいいお爺さん、お婆さんが理解できないような複雑なシステムで、リスクを隠して、投資家に押し付けることが可能なので、それが嫌いです。仕組み債を元本保証みたいな言い方で売る証券マンは詐欺師ですし、売らせる証券会社は鬼畜です。
証券会社にとって、債券は売ってナンボで、あえて自社で保有するようなものではないし、そんな旨味は設定されていない、というのは納得しました。
本当に勉強になるので、DDD さんにコメントもらう為に投資の記事を書こうと思います。前の株主優待のコメントもかなり勉強になりましたしね。ブログ続けて良かったと思う瞬間は読者さんとの交流で勉強させてもらえた時です。
シン