じゃあ、投資循環

世の中のほとんどの行為が投資にあたり、それは他人から学ぶことはできず、持って生まれた才能、本人の意識的な努力によってしか開花しない芸のようなものだと思います。そのフレームを整理したいと思います。

調達

ともかく、種銭がないと話にならないので、何かしらの形で資金調達をすることになります。英語でもシードラウンドもいう言い方をしますが、まずは家族、友達からやりたいことを説明して理解を得て資金を得るわけです。家族なら無償で援助してくれるかもしれませんが、友達なら一定の株を分けることで出資してもらうことになります。

フェイスブックでも、ザーカーバーグ氏は三人の同級生から出資を受けています。彼らは元々アッパーミドル以上の出身で小遣いをザーカーバーグ氏に出資して、アッパークラスになりました。はっきりしたことはわかりませんが、学生にとっては大金、一万ドルくらいを与えたんでしょう。

そして、次にIT投資家のピーターティール氏が五千万円くらいだして、10パーセントの株を買ってます。これがエンジェルラウンド、にあたり、外部投資家として資金、ノウハウを与えて、そのビジネスが大きな実になるように活動してくれるわけです。今でもピーターティール氏はフェイスブックの取締役です。

資金を引っ張ってこれる才能は誰でも持っているいるものではなく、借金大魔王、ヒモなんかは起業家の才能がある、と言ってもいいのかもしれませんw その資金を何かしらの芽が出そうなことに放り込まず、飲む打つ買うの三点セットに使うし、出資に対する株式も渡さないので詐欺師になってしまうんです。

ともかく、経営の才能は詐欺師とも共通する点があり、ベシャリでお金を巻き上げてくることが必要です。実家が金持ちの人も親から資金を巻き上げなければなりませんし、同じことだと言えます。自分の子供が可愛いにしても、無駄遣いはしたくないし、家業に関わることを番頭をつけてやらせるならともかく、関係ないことはなかなかさせません。

投入

さて、種銭を何に投入するか?というのが次の段階で、本当に何でもいいです。新しいプラットフォームを作りたいでもいいし、その資金をスタートアップに放り込むもいい、ラーメン屋をするも、カフェをするも、この方向性を決められるのが起業家の醍醐味です。

集めた資金で不動産を借りたり、設備を買ったり、人を雇ったり、種の使い方は自由であり、この配分のうまさが経営者の才能だと言っていいでしょう。経営者は自分で動く必要もなく、出来る人を探してきてもいいので、具体的な指示をして寝ていても構いません。

サラリーマン社長、二代目社長は自分でこれをやったことがないので、たまたま才能がある場合を除くと、グダグダになりがちです。実務と指揮は違うので、実務が一流の人が指揮官として一流とは限らず、多くがそうではないです。そうなると、責任の丸投げになり、「良きに計らえ」の連発で現場は混乱します。

数字として出やすいスポーツでも、両方で一流という人は少なく、特に欧州サッカーのように実務、指揮が分業化されてくると、実務で一流の人も下部チームから実績を作って、徐々に一部リーグの指揮官に成長するスタイルになります。日本は一流選手が花道として監督を用意され、コーチ経験すらなく監督をすることがありますが、これは上手くいくことが少ないです。

実務で実績があったり、指揮官として一度でも実績を作っているなら、信用があるので、資金調達はしやすいのですが、それをどういう風に割り振っていくか?は別の才能があるので、サッカー、日本代表監督で実績を出した岡田武史氏がプロサッカーチームの経営者をすれば、資金調達は出来て、最悪は自分で監督しても、そのチームが利益を産めるか?は別問題です。この場合、監督が実務、経営が指揮になります。

回収

投入はまったく難しくことではなく、潤沢なフリーキャッシュフローがあるなら、あれこれ放り込みまくればいいし、人間は慣れてくるので、一億投入にビビっていた人が、十億にビビらなくなるのは時間の問題で、感覚を麻痺させて、手持ち資金をぶん投げることは誰でも出来ます。

明らかに浪費でしかないバカなことでも、本人が投資だと言い切って、すぐに不良債権にしてしまうくらいは誰でも出来ます。単に自由にお金を使える環境がそうさせるだけです。あれこれ言い訳して感情的にお金を使うことは本当に簡単ですからね。

でも、きちんと回収できるのか?は別問題で、ほとんどの人は回収出来ないので投資の才能がない、ということになります。誰でも少額から気軽に出来る株式投資でも、10年経ってきちんとプラスになっている人は1割以下というのは当たり前で、大勝ちしているのは1パーセント以下くらいのものでしょう。

これが孫正義氏のようなバカ勝ち出来るのは天才、天運の持ち主としか言いようがなく、永守重信氏のように常に勝つもの同じことです。滅多にいない種類の人間ということになります。プロ経営者と呼ばれるサラリーマンたちは半々、という感じで、全くの投資素人よりは才能がありそうですが、運で一回勝った、二回勝っただけに見受けられる人も珍しくないです。

投資が回収が出来なきゃ、時間の問題で経営にとって血液にあたるお金が循環しなくなり、そのビジネスは死に至る、ということになります。目に見える形で成長なり、資産がないところに新しい資金調達は無理なので、輸血が出来ず、出血多量で心臓が回らなくなるってことですね。

でも、すでにある程度の規模に成長したビジネスは有形無形の資産があるので、新しい資産を産まず、過去の資産を食いつぶしていれば、10年くらいは粘ってられるので、二代目バカ社長が率いる会社も簡単には潰れないし、無能サラリーマン社長が責任回避をひたすら繰り返しても、任期を全うくらいは出来てしまうわけです。

そうして10年くらいバカなことをし続けると、組織、財務が目に見えて疲弊してきて、そのあたりから大騒ぎしますが、そうなってから立て直すのはかなり困難であり、相当な強権で大手術をしないと復活はできなくなります。例えば、日産は復活の為にリストラしまくりましたし、ほとんど別会社になりました。

まとめ

何の根拠もなく、自分には管理、経営の才能がある、というようなことを言う人は少なくないです。なら、サラリーマンするなよ、と言いたくなります。サラリーマンなんて、経営者として結果を出す為にほとんど役に立たず、せいぜいコネ作りに役立つことがあるだけです。そのコネだって、サラリーマンしないと得られないものではありません。

サラリーマン経営者には経営能力でなく、政治力が必要で、特にウォーターフォールを堅持する日本企業では個々の能力は可視化しづらく、ミスをせず、ミスを他人に押し付け、成功を他人から奪う能力が要求されます。

まぁ、規模はともかく起業して10年生き残ったら、それは才能だし、大手で経営したいなら自分の会社を売って役員になればいいです。他人と関わるのが嫌いだが、投資能力がある、と言うなら株式投資でもして、10年勝って個人ファンドでも作ればいいと思います。数字だけの世界です。

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