徴兵制について記事にして欲しいとの依頼があり、考えてみたいと思います。憲法改正問題が次期衆議院総選挙のテーマになりそうですし、いい機会です。
義務
古来、徴兵って市民権に対する義務として存在しており、その国、コミュニティーの一員として平和、安全に暮らす為の社会貢献として納税みたいに労働力を提供していたといっていいでしょう。だから、市民とみなされていない人たちには徴兵の義務はありませんでした。
ただし、お金持ちはお金を変わりに払うことで義務の免除をされる、というパターンがいつの時代もあります。今の時代、多くの国では市民は納税によって徴兵を回避しているといっていいだろうと思います。
紛争解決手段である戦争が肉弾戦でなくなったのは最近の話であり、第二次世界大戦までは「数こそ力」だと思われていた為、太平洋戦争末期では明らかに新兵として相応しくない30代、40代の家族持ちまで赤紙において強制採用していたわけです。
この時代のイメージを引きずって、日本が憲法改正したら、徴兵制の復活がされるのではないか?という人は多いですが、いつも言いますが、そんなのは野球未経験者がドラフトにかかることを想定するくらいバカな話です。
単純兵器がほとんど消滅して、取り扱いに高度な技術を必要とする時代にやる気のない素人を集めて訓練するなんていうのは明らかに浪費であり、そんなことを日本がすることはありえないでしょう。日常的に戦争を意識しているアメリカですら、徴兵制の復活を検討してません。
管理
戦力としてはまったく意味のない素人を強制的に集めて訓練している国はなぜなのか?という話ですが、これは「危機を促す」という意識作りに過ぎません。だから、徴兵制を維持している国は不安定な土壌に成立しており、国民にそれを常日頃から認識させたいわけです。
シンガポールのケースを見ると、徴兵制が廃止できないのは国の成立自体がマレーシアとの喧嘩別れであり、国内にも三人種が混在し、お互いに距離を置いている為、何かしらの手段において一致団結する機会を作らないと、有事の際に分裂の可能性があるからです。
実際、シンガポールのNS(兵役をこう呼ぶ)経験者はその話題をしだすと長いですし、何かしらの事情で経験しなかった人と少し心理的に距離を起きます。そして、NSによって他人種のシンガポール人と始めてまともに接した、と言う人も珍しくありません。(普段の生活では完全に分かれていて、お互いにほとんど相手にしません。)
予備役になった後に時折呼び出しがあるのも、この危機管理が理由です。ただし、政府は呼び出しに対して勤務先に補填義務があるため、呼び出されるのは30歳以上、高給取りは呼ばれることが少なく、新卒の仕事をし始めたアンちゃんがほとんどです。腹の出たオッサンを呼ぶ意味もないですしね。
他の国を見ると、韓国(北朝鮮)、イスラエル(周辺国すべて)、スイス、オーストラリア(永世中立国なので)という理由で徴兵制度を維持しており、敵国がはっきりと見えていたり、国是で維持しているのでないなら、たいていはボランティアなどの代替で回避可能になってきています。
平和
利害関係が異なる複数の個人、集団が対立した場合、平和へ導く手段は牽制、屈服しかありません。「酒を酌み交わして分かり合うw」とか言うお花畑発想が成立したことは古今東西1件もありません。独立を維持するには何かしらの形で他集団に牽制する必要があります。
どの国も戦争をしたいわけではないのです。ミサイルを乱発している北朝鮮ですら、積極的に戦争したいわけではないですし、好戦的だと思われているアメリカも同じことです。それでは、なぜ彼らが軍事行動に出るか?という話ですが、交渉を有利に導いて持っている利権を守りたいからです。
北朝鮮は交渉材料になるような資源、資金、技術などが何もありませんので、軍事武装して、牽制力を強めて政権を握る金一族の利権を守ろうとしているわけです。それが守りきれなくなりつつあるので、さらに牽制の為にミサイルを発射しているわけで、アメリカを交渉のテーブルに着かせる為のポーズなんですよね。
つまり、どの国でも交渉材料として軍事力は100%いるだけで、自衛隊を敵視する人は仮に日本が蹂躙されて、家族が皆殺しにされ、奴隷として生き地獄を経験することになっても納得するので、自衛隊解体を望むのでしょうか?そんな覚悟を持たずにきれいごとを言っているだけだと思います。
個人レベルですら、男性はスポーツ、特に格闘技をかじっておくほうがいいですし、筋トレをして身体を鍛えておくほうがいいです。これは実際に殴り合いを想定したものではなく、牽制の意味で重要だからです。屈強なゴリマッチョですら、嫌いな人を殴ったら逮捕されますし、警察の拳銃に敵いません。でも、ゴリマッチョに因縁つける人は滅多にいないでしょう。
まとめ
ともかく、日本で徴兵制の復活を恐れている人はまったくその可能性がないので、心配する必要はありません。そんなことを心配するくらいなら日本の経済的衰退が確実になった今、どうやって身を守るかを考えているほうがいいです。
北朝鮮が日本領土にミサイルを撃ってきたらどうしよう?と心配しても、個人レベルではどうできることでもありませんし、東京に撃ち込まれたら世界経済が破綻してしまうので北斗の拳の世界に突入です。
だから、徴兵におびえる暇があったら、身体を鍛えて個人レベルの牽制を周りにしておくのがいいと思います。体力は尽くし、テストステロンが漲ってくると精力的になってくるので仕事も上手く行くかもしれないし、異性にもモテるかもしれません。鍛えて損はないです。
秀吉の戦争のやり方みたいに戦争が始まる前に兵糧攻めにすれば普通の国ならばそれで降伏するでしょう。
北朝鮮なんかは、レーダーを動かす電力すら危ないのだから。
戦争になれば貧乏人の息子も金持ちの息子も特権階級の息子も(たとえ天皇の子供ですら)等しく前線に送られ、一切の例外なし、という社会を築けたら戦争はしにくくなるでしょうね。
大日本帝国ではえらいさんや金持ち、特権階級の子息は前線で死んだりしませんし、自分らは大して危なくなかったですからね、さぞかし戦争も楽しいと思います。
しかし、赤の他人の貧乏人の倅が死ぬ分には、戦争大賛成な方々も、自分の子供が死ぬかもとなればさすがに反対でしょう。
だから、私は平和のためにこそ、徴兵制が必要なのではと思います。
そういう意味合いで徴兵制を維持している側面もあるでしょう。戦争にしないために将来を担う若者に軍隊とは?戦争とは?と自分の身になって考えてもらいたいです。
シン
おばんです。今回も勉強になりました。俺はちょっと後悔していて、高校卒業して自衛官として2年間過ごせばよかったなと思ったりします。
「軍隊経験」のあるなしで、ちょっとした優越感に浸れるような気がします。元グリーンベレーじゃないですが、マッチョ優越と同じような感じでしょうか。
その後、貯めた金でアメリカのコミュニティガレッジに潜り込んで、UC辺りに編入してれば、今頃こんな人生歩まなかっただろうと時々思いますw
アメリカでは大学に行くお金がない人が軍隊でお金をもらいながら学ぶなどはよくあるので、体を鍛え、ハッタリもきくし、学位ももらえると考えると美味しい話ではありますね。万が一の場合も訓練不足の初年兵が戦争に行くことはないでしょうしね。
シン
> 訓練不足の初年兵が戦争に行くことはないでしょうしね。
これはあるみたいですよ。
特にMarine (海兵隊) や Army は。
それに最近では文系大卒者が、専攻分野での仕事が見つからずMilitary に入隊することも少なくないようです。
それもOfficer (仕官) ではなく。。。
私の知人の息子さんが UC系Law School を卒業後、California Bar Exam にもパスしたのに、就職先がないということでNavy に入隊しました。
自分でオフィスをたちあげる程の資金力も人脈もない新卒者にとっては、弁護士事務所で雇われ弁護士として働くのは狭き門になっているようです。
他の分野でもITで駆逐された職種へしか行けないような学部卒も同じのようです。
それ故、最近は軍も、Enlist でも高卒以上なら誰でも入れるという感じではなく、人を選んできているようです。
こうなってくるとますます格差社会が広がるのではないかと懸念しています。
しかし、確かに米軍にはいろんな特典があって良いですね。
全部ではありませんが、特定の大学の学費免除制度、住宅ローン米軍特別枠等があります。
自身もアメリカ国籍でもう少し若ければ、民間人枠IT技術者として働きたかったなと思っています。
初年兵が行くこともあるんですね。激戦地ではないでしょうが、志願兵である以上、最悪は覚悟は必要ですね。
世の中は格差社会になってますね。ITに駆逐される業界だと真面目に頑張ってきた人がろくな仕事がなくなりつつあります。UCでBarも取って就職もできないなんて恐ろしい時代です。
軍隊入りはお金のないローアーミドルが這い上がるキッカケになりますが、やはり、アメリカだと戦地に行く覚悟はいりますね。
シン
スウェーデンでは来年、徴兵制が復活するそうですね。
さすが男女平等が進んだ国だけあって、今度からは女性も対象のようです。
日本の女性でしたら、到底受け入れられないとなると思いますが、
スウェーデンの女性はすんなりと受け入れられるのでしょうか。
ジェンダー差を究極までなくすと何が起こるのか興味深いですね。
スウェーデンはロシアからの圧迫に苦しんできましたからね。スウェーデン式は全体の2割以下、志願兵が大半なので、任官を拒否したら、事実上はそれ以上の追求はしないだろうと思います。嫌がる人間を入れても単に面倒ですからね。
本気でジェンダー差をなくして女性に男性の義務を負わせるとどうなるんでしょうね?イスラエルも女性に兵役がありますが、完全に男性と同じことをさせているわけではないようです。ジェンダー差を拒否して困るのは女性だと思うんですけどね。
シン
徴兵制について、徴兵制=国民皆兵という誤解が生じていると思います。
一般の日本人が思い浮かべる徴兵制は、韓国や第二次大戦中の日本の様な、
適齢期の健常な男子が全員軍に入れられる、という制度でしょう。
しかし実際の徴兵制は、求められたら兵役に就く義務があるだけで、
兵役義務はあるが軍隊に入らない男子の方が大多数です。
戦前の日本も、日中戦争が激化する前は、
甲種合格した者を優秀な順に入隊させる、という状態で、
実際に入隊するのは2割程度だったそうです。
韓国や戦時中の日本のような男子根こそぎ動員を行うのは、
国の人口に対して多い割合で下っ端の兵数が要る、という場合のみです。
その点、韓国は首都のすぐ近くに陸続きの敵国がありますし、
戦時中の日本は兵隊を使い捨てにするような戦法を採っていたので、
大量の兵隊が必要だったのです。
現代の日本は、少子化とはいえ、まだまだ人口大国の部類に属し、
島国なので陸続きに敵軍が押し寄せてくる心配もありません。
日本の防衛に必要なのは、陸上の歩兵の頭数ではなく、
高度な専門技術を持った海上・航空の戦力です。
この為、実際に日本で徴兵制が導入されたとしても、
徴兵検査で優秀だった者の中から、優待条件と引き換えに
志願者を募って入隊させる、それ以外の者は数週間程度の
基本的な教練にのみ参加させる、という状態になると思います。
徴兵が嫌だとほざいているサヨク共が入隊させられる心配はまずないでしょう。
そして盲目的に徴兵制万歳しているネトウヨが入隊することもないでしょう。
過去の事例を見ても、かなり特殊な場合を除けば、不適格の男子の方が圧倒的に多いですし、現代だともっと不適格の男子の方が多いでしょうね。
>徴兵が嫌だとほざいているサヨク共が入隊させられる心配はまずないでしょう。そして盲目的に徴兵制万歳しているネトウヨが入隊することもないでしょう。
まったくですねw
シン
徴兵制ではないですが、日本人全員が若いときに2年程度、社会奉仕的な仕事に従事する義務を設けても良いのではないかと思うことがあります。もちろん男性だけでなく、女性も対象です。
社会にとってどうしても必要だけど、給料が低くてなり手が来ないような仕事に、日本人の全員に一度は就いてもらうのです。
国防もそうですが、消防、介護、福祉、農林漁業、地域のパトロールや清掃、民生委員などのソーシャルワークのどれかに従事すればお互いを思いやる気持ちが生まれ、社会経験にもなり、結果として国民としての団結につながるのではないかと思います。
実現する可能性が低いですが、実現してくれたらいいと思いますね。
あまり長いとブランクがハンデになるので、最低半年くらいはギャップイヤーみたいなイベントが人生にあってもいいと思いますね。
シン
こんにちは。
>社会にとってどうしても必要だけど、給料が低くてなり手が来ないような仕事に、日本人の全員に一度は就いてもらうのです。
社会にとって必要だったらそんなことより通貨増発して高級出しましょうよ。
と思いました。
通貨流通量を増やしても単純作業の賃金は上がりませんよ。
シン