じゃあ、リベラルアーツカレッジ

アメリカのリベラルアールカレッジについて考える機会があったので、私なりの分析結果を記事にしたいと思います。ほとんどの日本人にとっては「何それ?」って言う感じでしょう。

教養大学

日本語にすると教養大学、ということになるそうです。日本ではICU、国際教養がアメリカのリベラルアーツカレッジに近いようです。少人数を郊外に集めて、集中的に教育することで効果を上げようとするわけです。全寮制であることも多いです。

今でも東大は入った時点では教養学部所属で学部は大まかに決まっているだけですが、これは旧制高校の流れを残しているのでしょう。その旧制高校はアメリカだとリベラルアーツカレッジに近い存在だったと思われます。イギリスだとジュニアカレッジでしょう。

学部で専門をほとんどしないので、卒業後は大学院に進むことを前提とするのがリベラルアーツカレッジの特徴です。ヒラリー・クリントン女史は女子リベラルアーツカレッジ出身で、エール大のロースクールを出た後、弁護士をしていました。イメージ的には津田塾みたいなものでしょうか? 古くは創設者の津田梅子女史も女子リベラルアーツカレッジ出身です。

津田塾に限らず、日本の女子大もほとんど実学をやらないので、リベラルアーツカレッジに近いといえば、近いのかもしれません。元々はアッパーミドル出身のお嬢さん向けの学校だったところも、リベラルアーツカレッジに近いです。違いは日本の女子大行った後に大学院に進む人はほとんどいないし、ほとんどメリットもないところでしょう。

レベル

リトル・スリー、リトル・アイビー、と呼ばれる名門校も存在して、リベラルアーツカレッジは一概にショボイって言うことではありません。中にはユニバーシティートップ10に匹敵する入学難易度、同窓生をもつカレッジも存在します。しかし、ヒラリー女史の時代では女性がユニバーシティーに行くなんてっていう考えがまだまだ残っていた時代でしょうし、今の子供は優秀なら、あえてリベラルアーツカレッジに行く子供はほとんどいないと思います。

実際に私が知る限りでもクリントン夫妻の娘もハーバードを出ていたはずですし、自分の子供をトップスクールにねじ込めるくらいの力を持った人があえてリベラルアーツカレッジに放り込むなんてことはありえないでしょう。時代遅れの過去の遺産みたいなもので、積極的に選択するようなものじゃないでしょう。

フルスカラーシップがもらえるとかでもなければ、トップユニバーシティーを蹴って、トップリベラルアーツカレッジに進む人はいないでしょう。特にアメリカ人以外にとっては名門リベラルアールカレッジでも国外では全然知られていないので損ですから。理解すべきは学費はトップユニバーシティー並みに高いことです。少人数であるため、何もかもが割高になるので、年間4万ドルっていうのが平均的な学費になります。コスパは相当悪いです。

旨み

少なくとも日本人が行く意味はありません。リトルアイビーくらいでもアメリカ人でもなければ、知っている人がいないので、日本に帰ったら、「どこのFランをでたの?」っという反応をされるでしょう。リトルアイビーにも引っかからないレベルなら、事実上は学費の鬼高いFランです。

ちなみにジョブズはリードカレッジというリベラルアーツカレッジを中退しています。リベラルアーツカレッジとしても名門という評価ではなく、ジョブズに関係なければ、現地のアメリカ人でも知らないほとんどFランに近いような学校だと思われます。

しかも、ジョブズはスカラーシップも受けていなかったようなので、養父母の貯金を食いつぶす自分に耐え切れずにやめたと言っています。学歴なんて凡人を測る指標に過ぎず、彼のような天才を測ることは馬鹿げていますが、学力はたいしたことがなかったのだと思われます。

親が裕福だったりして学費問題に目処が立ち、大学院進学を目的とするなら、少人数制のリベラルアーツカレッジは質の高い教育が受けられるのでいいのかもしれませんが、文系の場合は大学院でトップスクールに入学しない限り、評価されないのでハードルが一気に上がりますし、理系の場合はリベラルアーツカレッジで基礎しかやっていないのに、すでに特定の専門でそれなりの卒論を出している学生と競うのはかなりきついです。

学部が存在しないロースクール、メディカルスクールなら、さほどの差が付けられていることも無いでしょうが、例えば、数学、物理を教養レベルでやっていただけの人がコンピューターサイエンスで博士課程にいきなり進むのはまず無理で、まずは修士に行く必要があるでしょう。ユニバーシティーでやっていた人は最初から博士にフルスカラーシップ付き進学するのが基本なので不利を否めません。

まとめ

要するに色んな制限があるので、日本人があえて進学するような大学でないのは間違いないです。デメリットは一杯あるけど、メリットはほとんどないです。第二次世界大戦前はアッパーミドル出身の子供が進学して基礎を固め、その後に専門を受けるという、あくまでゆったりと教育を受けていける余裕のある人向けだったのが、時代にそぐわなくなってきて、徐々に役割を終えている状態なのでしょう。

リベラルアーツカレッジに限らず、アメリカの大学はとにかく学費が高いので、親が裕福なのか、フルスカラーシップが取れない限り、理系であっても、あえて進学することは無いのではないかと思います。幸いなことに我々は先進国の日本出身なので、駅弁国立で十分に専門を身につけられます。更にアメリカと言うもっと大きな舞台で戦いたいなら、お金をもらって勉強すればいいと思います。借金して進学するなら、理想はトップ10くらい、最低でも20くらいでないととても割に合わないなぁ、と思います。もっと有意義なお金の使い方はいくらでもあるでしょう。

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ニコ
7 years ago

東大は、置いておいて日本の場合は大学受験や高校教育がリベラルアーツじゃないかと思います。教科書レベルをキチンと理解すればそれなりに社会に出ても専門教育、仕事の基礎になると思います。
大学を留年したので文系の授業も受けて遊んでましたがそれなりに授業は面白かったですが難しさや厳しさを感じたことはないです。恐らく文系に関しては高校のが大変だと思います。
基礎をどのレベルで議論するかにもよりますけど。

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ニコ
Reply to  シン
7 years ago

聞いた話ですが、アメリカのコミュニティガレッジみたいなとこはマジで酷いらしいですね。
数学で二次方程式できたら凄いとか聞いたことあります。リベラルアーツがあるとか英米の学生はよく勉強するとか聞きますが教養やらないと大学教育ができないからでは?って思います。

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かりりん
Reply to  シン
7 years ago

なんかアメリカの基礎学力が低いというイメージがあるようですが、実際のところはそうでもないです。たぶん。。なのですがアメリカ国内は貧富の差もそうですが、いろんな意味で格差が非常に激しく、公立小・中学校は住んでいる地域の学校にかなりのレベルの差があります。2次方程式は中学校でやりますし、高校では基礎解析もやります。ただ、中学校くらいから普通の授業についていけない生徒は、低レベルクラスに落とされ、そのまま高校へ行くと高校でも高・中・低レベルのクラスで低から上へ行けない子がいるのも事実です。コミュニティカレッジは高校さえ卒業していれば誰でも行けるので中には高校時分に低のクラスしか取ったことのない子がいたりします。そういう子が混ざっているため、数学は基礎の基礎のクラスから単位が取れる仕組みになっています。たぶん、そういうところだけをピックアップしてアメリカの学力は低いというイメージになっているんでしょうが、結構、アメリカは小学校のころから宿題の量はハンパないし、小学生でも落ちこぼれは落第になります。厳しいですよ。うちの息子も数学に関しては、高校のほうが難しかったといってましたし、実際そのようです。ただ、最近は学費の面から、最初の2年(基礎)はコミカレで単位取得後、3年目から4年生の州立大学へトランスファーというのは普通です。最近はUCLAでも現地生徒で年間学費平均1万5000ドル。掛ける4はキツイので、学費の安いコミカレで最初の2年 そのあと4年制へ編入というのは常識になってきています。

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david
Reply to  ニコ
6 years ago

リベラルアーツ大学の特にlittle ivyと呼ばれる大学はアイビーリーグに四敵する大学です。ニューヨークの進学アカデミー、ボストンのボーディングスクールなどでもハーバードと同じく超難関校と知られています。特に金融で将来働く人間は幅広い分野を学ぶために行く学生が多々います。コミュニティーカレッジとは全く違って、アメリカだけではなく世界でも一握りの人間しか入れない学校です。教養やらないと大学教育ができないわけではありません笑 正直日本のどの大学よりも社会に出てからの学生のレベルは上だと思います。

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かりりん
7 years ago

朱に交われば赤くなる とは私もそこは懸念していました。ただ、染まる子は高校の時にすでに染まっている気がするんですね。そもそもたかがコミカレでも、高卒以上の学歴を目指す時点で、まだマシな部類ではないかと思うんですが。何を軸にして比べるのか?というところがそもそも多様すぎてますね。コミカレを利用するもう一つの良いところは、コミカレ2年の間にGPAを高く保つことが、最初から4年制へ編入するより比較的容易だというのもメリットでしょうか?そもそもユニバーシティが学費が非常に高いという時点で、数世代アメリカに定住していて、家も前世代からの引継ぎでという経済的に恵まれた家庭に生まれた子供と、私のような移民1世の場合ではスタートからかなり格差が出てしまっています。その為、移民系の家庭の子供はまずはコミカレからという感じ、前者の家庭の子供は最初から4年制へ という感じですかね。特別優秀な子はスカラシップ免除がありますが。そういえば私の昔の後輩の日本人の子で、彼女の親は駐在員として在米、彼女が高校生のときに親だけ日本に帰国。彼女の強い希望で彼女だけがアメリカに居残りしました。そのおかげで総世帯収入がゼロという条件となったため、4年制大学で低所得者用学費免除プログラムが適応でき、4年間学費ゼロで卒業した子がいます。もちろんいろいろな条件をクリアしないと、学費免除プログラムを継続維持するのは大変なのですが。今現在は米系最大手のファイナンシャル・コンサル会社でバリバリ働いています。そうか!この手があったか!と私も息子が高校卒業前に日本へ帰国することも考えましたよ(笑)それからアイビーリーグ系の大学ですが、アッパーミドル系家庭出身の子が圧倒的に多いのですが、卒業後のメリットとしては割りとForbes トップ100企業への就職率が高いということでしょうか?軍需産業系も多い気がします。アメリカの企業、特にアングロサクソン系が牛耳っているような企業は未だにトップの学閥が偏っているためというのが理由です。そこらへんはメリットといえるんじゃないかと思います。

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かりりん
7 years ago

シンさん。私のブログは私個人が特定されてしまった感のあるコメントが続いたため、なんとなくアップデートする気にもならず、かといって閉鎖するには惜しい情報も過去ログにあるので、放置状態となってしまっていますw
私の体験談を元に記事にしていただけることは一向に構いませんのでどうぞ(笑)
そうなんです。まさにアメリカの古い大企業は学閥より。。。見た目が白人じゃないだけで、マイナス。。。その古い体質の企業を生き返らせようとしてるのがトランプ次期大統領! といっても、明日が就任式(苦笑)
彼の側近、閣僚はアメリカ至上最も高い白人男性率です! そして至上最低の低学歴率(笑)
どうなることやら。。。 まあわかりやすい人といえば、わかりやすいんでしょうw アングロサクソンの男性が世界一と思っているところは、ヒトラーと似ているというところでしょうかね。アジアや環太平洋問題なんて本当はどうでもいいと思っているんじゃないかなと思います。得になる国とそうじゃない国と はっきり分けるでしょうねぇ。。。

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ひろ
7 years ago

アメリカのリベラルアーツ(リトルアイビー/リトルスリー)の卒業生です。筆者のおっしゃるように一般的な日本人には私の卒業した大学への認知度は低いかもしれません。しかし大学卒業後の就職/大学院進学などで私は今のところ全く不自由を感じたことはありません。私の同窓生の日本人もアメリカ人も大半が同じ意見ではないかとおもいます。
それはすなわち教育界でもビジネスの分野で採用など関わっているこれらのリベラルアーツの大学知っている必要がある人たちは出身大学の教育の質を認識してくれているからだとおもいます。

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david
Reply to  シン
6 years ago

悪く言うなら行ってから意見を述べてください。 アメリカの超一流企業にもたくさんリベラルアーツ出身の方はたくさんいます。日本人がそのままアメリカに残って就職できるのか、日本に帰って就職するのかで違いが出ると思いますが、教育の質や学ぶことはリベラルの方が多いい気がします。コメント失礼しました。

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