アメリカの現在って、時間とともに日本に雪崩れ込んでくることが多いのです。アメリカの教育が少し変わって来ているそうなので、まとめたいと思います。
二極化
アイビーとは蔦のことであり、蔦がはえるくらい古い歴史を持つ名門校は変わることなく名門であり、むしろ、中国、インドからの優秀な人材供給にも支えられて、色んな意味で競争力があります。お金も回るし、実績と出せる、人気もずっと高いです。経歴関係なく、数字が全てのアメリカの社会でもなんだかんだと、名門校で学位を取得していると有利なことは多いです。
二極化しているのは名門校以外の学校であり、時代に合わせて教養系文系学部を廃止して、コンピューターサイエンスを重視したり、能力的に理系が無理な人の為にビジネス、会計などの比較的役立ち易い専攻を増やして行く学校はそれなりの評価を保っています。
その一方で、完全にFランになっているどころか、中退率が高く、卒業後に学位を必要としない仕事をつく人が当たり前になっている学校も存在します。アメリカの大学進学者の半分が中退、1/3が学位を必要としない仕事に就くというデータがあるそうです。中退率は編入が多いこともあるでしょうが、学位が無価値になっているのは深刻です。
インフレ
アメリカではどんどん高学歴化が進んでいき、7割が大学進学しますし、修士まで行く人も珍しくないです。学位が評価されづらい文系すら同じことであり、キャリアに行き詰まると逃げるように学校に戻る人が後を絶たないので、学位のインフレが酷いことになっています。
例えば、ロジスティックスの学位をとったけど、やっていることは倉庫番みたいな人が自分のキャリアが冴えないのは学位がないからだと思い、聞いたこともないような冴えない大学のMBAを取りに行く、とかしても、やっぱり何も変わらないんですよね。
それどころか、一昔前は博士と言えば、素晴らしい努力の結果とされてましたが、今では掃いて捨てるほどいます。大学がビジネス化して、ガツンとファンディングして優秀な学生を魅力的なオファーで採用するので、博士しても良いかな?と割と簡単に進学するんですよ。そうなると、就職感覚で博士課程進学するので、なんの珍しさもなくなります。
何をどこでどういう形で取ったのか?と言うことが明確に示されて、相手、採用者が魅力を感じるようなプレゼンが出来ないなら、学位だけ取りました!っと胸を張っても、評価されません。まして、みんな行くから、ともかく修士は取っておく、くらいの軽い気持ちで進学して評価されることはほとんどないです。
借金
アメリカの大学の学費は高いです。州民でも年に1万ドルくらいはするので、ローアーミドルの子供には辛いですし、アメリカ人は貯蓄をする習慣がない人が多く、子供は自分で借金して進学することになります。そうすると、借りても返せない、と言うことになるんですよ。
日本でも同じですが、日本の学生支援機構より金利も高いし、卒業後にまともな職にありつけないなら、干上がってしまいます。そうなる人が多いから、銀行はさらに金利を上げてくる、という悪循環になるんです。それでも、アメリカでも日本と同じように着地点のない学位取得を煽る人達がいて、借金地獄になる人は当たり前にいます。
聞いたことも無いようなショボい大学で文系修士までとって、10万ドルまで膨れ上がった借用書を見せて、まともな仕事がない、と喚き散らす若者を取り上げたドキュメンタリーを見たことがありますが、日本より酷いな、と思いますね。お前の意思で借りたんだろう?、と言いたくなります。
アメリカ人は教育に限らず、なんでも借金で間に合わせてしまう、と言うのもありますが、にしたって、危険水域まで来てしまった感はあり、彼らの破産はアメリカ経済にも重要な影響を与えるだろうな、と思いますし、彼らがアンチ移民、排斥主義に走ることで社会不安にもなるでしょう。
まとめ
アメリカでも徐々に手に職、という意識になって、十分に駅弁州立大学に進学できる子供が地域の職業訓練校に行くようになり、コーディングだとか、機電系スキル、美容師スキル、などを組み合わせて覚えて適性を安く探る動きが出ているらしいです。
ただ、あまり他人のことを気にしないアメリカ人でも、ミドルクラスの家庭で大学進学しない、とコミュニティで見下される、という雰囲気はあるらしいので、日本人のように序列大好きな人たちは、なかなか大学進学を諦めないのかもしれないな、と思います。
学生支援機構が破綻したら、日本もアメリカみたいに、駅弁国立は定員を増やして生き残りをかけ、私立は実学にシフトできるところだけが生き残り、上手くシフト出来ない大学は消滅、Fラン化するのでしょう。特に英語圏でもない日本に留学生が押し寄せることもないので、運営はもっと難しいですね。
米国の高等教育の学費が高騰しているのは事実で、近年ではIvy Leagueかそのワンランク下位までの私立となれば学費と生活費で年間8〜10万ドル弱、単純計算で4年で35〜40万ドル弱(4,000万円!)かかることになります。
だた、実際にはレベルの高い大学であればあるほど奨学金が充実しており、米国人でそれなりに優秀であれば多くの場合年間数万ドル程度の奨学金を得ており、ネットの費用は半額以下に抑えられることが多いようです。それでも大金に変わりはないので、やはり私立のトップ校に行けるのはアッパー・ミドルクラス以上が主体だと思います。
奨学金の多くは米国人に対象を限定しているため、現状で外国人としてトップ校に行くとなれば、1)特別に奨学金を支給される程突き抜けた才能や経歴があるか、2)優秀かつ自費で全額払えるだけの資金力がある家庭出身、3)または親が出身国の政治・ビジネス界の権力者で米国と受け入れ学校にとって明確なメリットをもたらしそうな子女である場合、の3つのケースに限られてくるでしょう。
90年代位までは、米国の物価も学費もそれほど高騰しておらず更に円高であったため、トップの私立大学であっても学費と生活費の合計で年間500万円程度で済んでおり、小金持ちの日本人家庭出身でも出せなくはない水準でした。更に当時はまだ日本経済に存在感があったため、学校側もジャパンマネーを引っ張るためのパイプとして日本人受け入れ枠を大き目に設定し、MBAでも官僚や大手商社、都銀などからの企業派遣で多数の日本人が比較的容易にトップ校に入ることができました。ただ、この時代に留学した日本人はトップ校のMBAを卒業していても英語もまともにできない人も多く、この英語力でどうやって卒業したんだろう??と首をかしげる人も結構いたりします。
多額の借金してまで大学に行くのは割に合わないというのに同意です。
米国の学資ローンの危険性で忘れてはならないのが、元々国営で今は民営化された大手サリー・メイのローンは自己破産免除なしのローンだということです。
無茶な住宅ローンを組んで豪邸を購入し、支払いができなくなったら家を手放して踏み倒すのは許されるのに、学資ローンは破産もできず一生追いかけられるなんて、自己責任とはいえ弱者からの合法的収奪以外の何物でもなく、おかしな話だと思います。
サリー・メイの学資ローン債権は束ねられて証券化され、ウォールストリートの金脈の一つとなっています。債務者を永遠に追いかけられるためデフォルトリスクが低く、モーゲージ債と違い金利変動による借り換え・償還リスクの影響も少ないため、優良な証券化商品として投資家に販売されています。ここでも、無知な弱者にローンを組ませることで合法的に搾取するメカニズムが出来上がっており、現代の格差拡大の一因となっていると思います。
もはや、アメリカの大学は外国人が気軽に進学できるところではなく、OPTを含めて、アメリカでキャリアを築いて投資を回収するまで計画しないとダメなところになりました。トランプ政権になり、労働許可が出づらくなり、外国人学生が減って予算が確保できない州立大学が困っているようです。そこで何が学べるか?でなく、アメリカでコンピューターサイエンスの学位を取って現地就職を目的とするインド人は今の情勢だと、さっと引いていくのも当然といえば当然です。インド人は本当にドライでお金にシビアですから、中国人みたいに英語が話せるようななればいい、とバカボン、バカジョーがアメリカに行きませんからね。
シン
日本でも情報系学部が増えて、国公立だと文系削減の要望から文系学部からデータサイエンス学科のような統計とコンピュータサイエンス学科の合わせた学科が増えてきましたね。
ただし、日本は製造業はまだいけるのと情報は向き不向きがはっきりするのと日本の情報産業が不人気なので私立大学だと経営体力のあり、学生の学力の質が確保できるとなると機電系学部もできてますね。
上手く転換できる大学は生き残り、出来ない大学はFランになるのでしょう。
シン
アメリカから教育に関する最新情報です。
シリコンバレーでHolbertson School of Engineer というIT技術者を育成する教育機関があるのですが、ここは学費ゼロで入校でき、卒業し、就職後 最初の3年間、給与の17%を学費として、このスクールに還元するというシステムです。
この方法だと、低所得者層の家庭出身、もしくは外国人でもテストにパスさえすれば、ITエンジニアへの道が切り拓きやすくなると思うので、私はとても良いと思いました。
詳細はこちらにあります
(日本語) https://jp.techcrunch.com/2018/04/10/2018-04-09-holberton-raises-8m-for-its-full-stack-engineering-school/
実は最近、オンラインでプログラマーを目指す人達の為に、実際にコーディングしながら学べる(初心者からでも可)、ほぼ無料のオンライン・デベロッパー・クラス等があります。ほぼ。。というのは、ある程度のレベルまで行くと課金になったり、もしくはDonation ベースで収益を出しているもの等。
私が参加しているのは、このDonation 型のもので、月々最低5ドルからなので、コスパ凄く良いです。
このシステム発案者&CEOは元フェイスブックのシニアエンジニアの方です。
FBを利用して、それぞれの地域で実際にユーザー同士が顔を突き合わせて、軽い勉強会をやる集まり等もあります。
また、このシステムである程度のカリキュラムが終わると、資格受験許可がおり、その資格を取得して実際にIT企業への就職に成功した方々も多数おられます。
こういったシステムは最近、アメリカでは小学校でも授業に取り込んでおり、小学生がコーディングして、簡単なオンラインゲームを作ったり(専用のツールを使ってですが)。
小学生からゲーム感覚でプログラミングができる環境はすごく良いです。ですが、それでは日本はますますIT後進国になるんじゃないかという危惧もあります。
未だに学歴が!偏差値が!序列が!ブランドイメージが!とか言って、はっきりとした目的もなく塾通いしている日本の子供はどんどん置いて行かれ、プラットフォームを抑えられ、利益に奪われる側になっていくんでしょう。嘆かわしいですね。
シン
まさに「出世払い」ですね。素晴らしいアイデアだと思います。
ITだけでなく、他の分野でも同様のプログラムを提供する学校が出てくるといいですね。
17%は並の仕事につく凡人にはちょっとキツイ感じがしますので10%位に抑えてもらっても、たった数人でも大成功する卒業生が出れば、採算を合わせることが可能かもしれません。
ポテンシャルがあるのに金銭的な制限で門前払いされる人がいるのは、個人にも社会にとっても損失です。
私もアメリカのIT教育の早さにはちょっとビックリしました。
私の4年になる子の授業の内容を聞いてみるとグループを作り、簡単なプログラムを組んでロボットを動かし、その発表にもグーグルスライドやパワーポイントを使っていました。
専門に教える先生ももちろんいますが実際にその関係の職業についている親がボランティアで教えに行ったりもしています。
公立ですが一人一台のグーグルのタブレットが与えられていて5歳児のキンダークラスの子から使用していたりと進んでるなと思います。
かりりんさん
おお~素晴らしいですね
現在だと国立大学でも学費が高いですし、経済的負担が大きすぎて家庭崩壊したりも多いですしね。
金銭的なことを気にせずスキル習得に専念できるのは非常に素晴らしいですね。
私も学生時代にこんな学校があったら是非行きたかったです。
私の学生時代は専門学校はしょぼいところが多いと思ってたので、行きたいとは思いませんでした。
特に今の子供たちって、授業に関連した内容をyoutubeなどの動画サイトを駆使して知識の獲得をしているようです 1)。
さらにこの記事によると、わからない内容などは LINE通話を駆使して、教えあってるそうです。
こういうの記事を見てると、この世代の子ならオンライン上でFacebookなどのSNSを使った勉強会なども、自然と溶け込んで上手く機能していくだろうなぁと思いました。
日本にもこういう学びの場があれば、そこから面白いサービスを世に出す日本人の子供たちがたくさん出てくるんじゃないかと思いました。
私が小さいときにこういう環境だったら100%馴染めた確信がありますが、今だと参考書片手にノートに殴り書きするスタイルが身についてしまったので、LINEやSNSを使った勉強は煩わしく感じてしまうでしょうね。
そういう意味では、もう今の10代の若い子たちには勝てないなぁとも思います。
素質的には今の世代は面白いものを持っていると思っているので、かりりんさんが紹介して下さったような、手軽にスキルを学んでいける場が、日本でももっと整備されてくると良いなぁと思いました。
1) ネットがない頃ってどうやって勉強してたの?」 女子高生が語る、今どきのテスト勉強法
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1803/21/news005.html